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最後の弁護人

第10話(03/03/19)

 神崎さんがある電話を受けました。
 妹を殺した人間、吉野が模範囚として仮出所したと。
 その電話を受けたと思われる博士。何故か仕事道具からナイフを取り出しました。
 これから一体何が起きるのでしょう。
 まあ多分、そのナイフは後で視聴者に「そういえば博士が冒頭でナイフを…。そうか、
真犯人は博士だ」と思わせておいて実は違ったというための伏線なんだと思うのですが、
大体ドラマが始まって数分は、「おかあさーん、始まったよー」「はいはい、ちょっとこの
洗濯物しまってくるから」という風にバタバタして終わってしまうので、見てなかった人
の方が多いと思います。

 吉野はある男を呼び出しました。今は鈴木と名を変えていますが吉野の妻と子供を
殺害し、有働によって無罪判決が下っていた男、瀬戸でした。
 殺すつもりはなかった。
 確かにそれだけで無罪になってしまったとしたら、これほど遺族にとってやりきれない
ことはないでしょう。有働の有能さが、吉野を有働ゆり殺害に導いてしまったのです。
 弁護士にはこんな逆恨みも本当にあります。
 その吉野が出所。有働はどうするのでしょうか。

 その夜、無言の110番通報がありました。警察官がかけつけたところ、血まみれで
歩いている吉野を発見。吉野は鈴木殺害の現行犯で逮捕されたのでした。
 ちなみに今の警察が果たして無言の110番通報ごときできちんと巡回してくれるか
どうか甚だ疑問なのですが、まあ今の時期ノルマ達成に躍起になっているので、3月中
なら見回ってくれるかも知れません。
話が進まないので、事件性を見越して見回ったら
大手柄ということにしておきましょう。

 吉野は有働を国選弁護人として指名しました。何となく吉野の意図が見えてきた気が
します。
 「私は弁護人です。私は依頼人の無罪を勝ち取るために全力を尽くします。依頼人が
どんな人間であろうとも」
 有働が10年前言ったこの言葉を、吉野は今でもいえるのか、有働の妻を殺した自分でも
有働は依頼を遂行するのか、たかがそんなことを証明するために人を殺す。こいつの
頭の回路がいかれてるのは間違いないでしょう。
 弁護士であれば弁護するのが仕事であり、検察と一緒になって有罪判決に動いたら
裁判成り立たないと思いますが。はないちもんめじゃないんだから。裁判をはないちもんめ
でやったらある意味面白いでしょうが、被告人にとっては冗談じゃないでしょう。

 有働はこの事件のおかしな点をあげていきます。
 所持金とレシートなどから、ナイフを買ってはいないこと。誰かにもらったか拾ったか。
 次に、通報者が無言で切っていること。本人であれば言うでしょうし、係わり合いになる
のが嫌だとしても「人が刺されている」と言って切れば本人確認されることはありません。
 まあナイフはそこらの、コンビニの前でまたおっぴろげて座ってる頭の悪そうな、いかにも
「春休みでーす」と主張しているバカガキをちょっと蹴り上げれば何本でも手に入ったり
しますが(その代わり、ダッシュで逃げ切る足が必要)、やはりそこは有働。ナイフの手に
入れ方にこだわります。そして、そのナイフに瀬戸の指紋がついており、吉野はナイフ傷を
負っている。となると、ナイフを持っていたのは瀬戸ではないかという疑問が生じてきます。
吉野は「付きまとう」宣言をしにいっただけ、しかし瀬戸は殺されるのではないかと怯え、
ナイフを持っていったとしたら?
 殺人ではなく、過剰防衛もしくは傷害致死の可能性も出てきます。
 ちなみに瀬戸というと、某カードからモンスターが飛び出してくるマンガの、目つきも顔つきも
悪いやたら風になびくマントを羽織っている高校生を思い出すのですが、まったく関係ない
でしょう。

 吉野は有働に執拗に揺さぶりをかけます。自分をこのまま弁護せず見殺しにすれば、
有働の復讐は果たせると。憎しみは連鎖するそうです。吉野の家族を瀬戸が奪い、瀬戸を
弁護した有働の妻を吉野が殺し、吉野が瀬戸を殺す。えー…連鎖していそうで微妙に
連鎖切れてると思うんですが。
 瀬戸→吉野の家族、吉野→有働の妻、吉野→瀬戸
 有働が入っていないので。
 吉野さんは高校時代、生物の食物連鎖が理解できなかったくちだと思います。
 
 現場検証をしていた有働に刑事さんが何かヒントを持ってきました。
 そのヒントを見た有働。
 博士に、事件の日のアリバイを尋ねます。
 博士が弁護士事務所にいた理由。吉野の出所を待っていたのではないか。
有働はそれをつきつけました。まあでなければただ飯食らってた理由がないですわな。
 博士はそこで、吉野を殺害するつもりだったことを告白しました。
 憎しみとは連鎖するもの。
 確かに、何より大切な人を殺され、その犯人が出てきたとしたら。私ならそいつの
家をつきとめて「この人は殺人犯です」と張り紙をはりまくり、近所にも張り紙をポスト
インし、家の壁にも「殺人犯出所おめでとう」とペイントするなど、人間としてそれはやっちゃ
いかんだろうという行為をする自信はあります。あ、あと郵便ポストを接着剤であかない
ようにとしくとかな。

 公判が始まりました。
 通報のあった公衆電話からは指紋が検出されなかったという報告が出ました。つまり、
通報しようと思い立った通報者が途中で思いなおし、無言で切ったあと指紋を丁寧に
ふき取った。
 それから有働は、警察に指紋登録のある人間か、事件関係者に近い人物であること
を導き、さらに吉野の出所を知っていたのは3人であることから、神崎が通報者であると
判断したのです。
 すばらしい推理力です。これで通報したのが指名手配されていた人間とかだったら
とんでもないことになるのですが、さすがに最終回なので神崎さんで決まりでしょう。
 しかし神崎さん、裁判長の代わりに裁判をしきるのは怖いのでやめて下さい。

 有働は過去の話をし始めました。
 瀬戸の弁護について妻に相談した時の事。
 違法な捜査のために十分無罪がとれることを有働はわかっていました。しかし人として、
殺人犯を無罪放免にしてもいいのか。彼は悩んでいました。
 そんな彼に妻、ゆりさんは言ったのです。「あなたが人を裁いてはならない。あなたが神に
なろうとしてはいけない。人を裁くのが許されるのは事実のみである。それが美しくとも、
醜かろうとも」と。
 有働は吉野を憎んでいました。妻を奪い娘を傷つけたから。しかし復讐するような
ことはしないと誓っていました。それは、妻に軽蔑されたくないから。
 世界中の人間に憎まれようとも、妻にだけは軽蔑されたくない。
 それが長い間有働を突き動かしてきた誓いなのでしょう。

 神崎さんは証言しました。
 やはりナイフは瀬戸が持ち出したものでした。ある意味、瀬戸こそ人間のくずと言える
でしょう。人を殺しておいて無罪判決に甘え、遺族に復讐されることを恐れるあまり
逆に殺そうとするとは言語道断横断歩道、青になったら渡ろうね。
 こうして、真実は暴かれたのでした。

 どうでもいいですが結局博士のあのナイフはどうだったのか気になります。鉛筆
でも削ったのでしょうか。
 あと、冒頭で「最後の事件」と思わせぶりに言っていたので、有働が刺されでもするの
かと思っていたら、家賃が払えなくなって事務所が成り立たなくなっただけでした。
ドラマとしてこんな史上最低な終わり方をしていいものか激しく疑問です。

 憎しみとは連鎖するもの。
 この言葉は確かに正しいでしょう。家族を突然奪われれば誰でも犯人を殺したいと
思いますし、その復讐が果たされれば今度は犯人の家族が、その殺害犯人に復讐
することになります。
 しかし、人が人を裁いていい権利はないのです。法があるからこそ、我々はその連鎖に
取り込まれずに済んでいるというべきでしょう。憎しみの連鎖は無限連鎖であり、
終わりはないのですから。
 最後の弁護人、彼は自分を救うことが出来たのでしょうか。


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