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デトロイト・メタル・シティ

9/2鑑賞

 思っていたよりはすっきりまとまっていてとてもおもしろかったです。
 ただちょっと残念だなーと思ったのが、どういったらいいのかな、役者・松山ケンイチの
見せ場が少なかったというか…。
 演技が不満なんじゃなくてもっと、根岸でありながらクラウザーになってしまうところ
とかがあちこちに出て来てもよかったと思う。物足りない。なまじうまく演じ分けていた
だけに、見せ場をもっと作ってほしかったなーと。
 クラウザーの時の根岸が出てくる部分というのはとても多くて良かったと思います。

 物語はとある純情な青年が上京するところから。ここから始まるということでダラダラ
いったらどうしようと思ったけど、実際はそんなこと全然なくて。
 つーか松山ケンイチさん、背ぇたけぇなぁ!
 ともあれ根岸青年が旅立つところから始まります。
 JR単線のワンマン電車ですからかなりローカルですね。大分らしい。
 お母さんから餞別のお守りをもらいました。長寿祈願…っておかあさーん!

 彼は東京の大学に進学したのです。
 というのもおしゃれな部屋に住んでおしゃれな音楽デビューを果たしたかったから。
よし夢はよくわかったから、サボテンにそんなに水をやるんじゃない。腐るぞ。

 大学のサークル勧誘などで出会った相川さんらとともにポップミュージック研究会と
いうサークルを立ち上げて活動中のようです。
 根岸のキャラというか声としては、Lともロボともかぶっていないのですごいなぁと
思いましたね。普通は例えば以前やったロボみたいなキャラをついついマネしたり
出てきちゃったりするもんですが、そういうのがまったくなくてすごいと思った。
 そうして彼は、新人ミュージシャン募集という張り紙を見て応募するのですが…。
 そもそもデスレコーズとかいう会社の名前からしておかしいだろ根岸!

 そういうわけで彼はデスメタル「デトロイト・メタル・シティ」のボーカル、
ヨハネ・クラウザー二世として地獄の底からよみがえ…デビューしたのでした。
 お前はアホだ。

 D.M.Cのライブ映像がいくつか挿入されてますが…多分声は松山さんじゃないですよね?
あまり自信無いけど。
 しかしノリノリですごいですなぁ。
 ここでOPになって、なんでこんなことになったのかの説明とかいろいろあって面白い。
 …いやいやいや。
 OPがデビルマン!あっれっはーデビルデビルマーンのノリだから!

 ライブ終わって控室でメイク落としてるんだけど、やってきた社長に根岸としての
新曲を披露してぶっ飛ばされてます。学習せんやつだのう。
 ここでの、松雪さんの社長の演技はちょっとぎこちない感じがしました。何となく板に
ついてないような。でもその後の演技はすっかり板についていたので良かったです。
ここだけですかいのぅ。

 そんでまあコソコソ根岸は帰るんだけど、出待ちしてるファンの間で語られてるクラウザー
さんの伝説にビビりまくり。まああれだ、うわさが独り歩きとかよくあるから気にするな根岸。
多分そのうち、1999年の7月の恐怖の大王がこなかったのはクラウザーさんが追い返した
からだって、みたいなのがつくだろうけど気にするな。
 
 根岸、オアの日には路上ライブしてるみたいですけど、ちっとも人が来ない。見て
くれるのは犬のメルシーだけ。
 …やっぱ失礼だけど才能ないんじゃないかなぁ。
 んー…ただ、音楽の方向性が違うということで納得しなければならない部分もあるの
ではないかと。
 浜埼あゆみが演歌を歌わないように、その人の得意分野というものがあるのだから、
それ理解しないとなぁ。デスメタルの方の音楽性は認められてるわけだし。そっちの才能は
十分に持ってるってことでしょ。彼自身が気付いてないだけで。人を夢中にさせたり夢を
持たせられるというのに分野なんか気にしてるのは贅沢だぞ根岸。

 まあともかく、相川さんと再会した根岸はCDショップへ。
 ちなみに相川さんは音楽雑誌の記者になっておりました。根岸の望むオッシャレーな
生き方をしてるわけですよ。
 …っていうか…。
 セカンドシングル発売になってたのはともかくとして、ファンのマナー悪いなぁ…。むしろ
こういうバンドのファンこそ礼儀正しかったりするものだと思うんだけど。迷惑かけちゃいけない
と思うからねぇ。聖飢魔IIのファン何人か知ってるけどすんごい礼儀正しかったですよ。
 ともかく、1時間待ってもらってのデートはいいけどさ。
 適当に切り上げるか、イベントをぶっちするとかしなよ…。
 相川さんとカフェでお茶→イベント出演→お茶→イベント出演→お茶→出演と繰り返してる
うちにクラウザーのままでカフェにきちまってんじゃねーか!お前は昔のパタリロか!
(このネタわかる人どれくらいいるんだか…)
 つかここで、メイクしてるシーンがあるけど、顔を白塗りする前に額に「殺」って書いたら
消えるだろ、クラウザー。

 んで相川さん、帰ったのはいいんだけど何を間違ったか、D.M.Cのライブ会場に入って
いっちゃった。
 正体がバレそうになって焦ったクラウザーはなんと相川さんのパンツめくり。
 いや…それはアリだと思うけど…毛糸のパンツとか…相川さん…。

 落ちこんだクラウザーはそのまま外に走り出て自己嫌悪。
 えーっと…。
 自己嫌悪するのはいいがお前場所考えろや。
 カワイ音楽教室の窓ガンガンに叩いてて中にいた親子がおびえててちょっと笑いました。
 そりゃ怖いわなぁ。すごいメイクした奴が外から窓叩いてたら。
 根岸は落ち込むと周囲が見えなくなるクセがあるね!
 そんな中、相川さんから電話が入りました。
 ショックなことがあって帰ってしまったけれども、また会ってお茶しようというもの。
 今度はクラウザーのままで喜び踊る根岸。お前は立派な変態だ。

 そんなわけで、まあいろいろあってまた根岸を社長がブン殴るシーンとかあるん
ですが。
 松雪さんパンツ見えてますが、これいいんでしょうかね。いや見せパンなのはわかる
けど、事務所的にOKなんでしょうか。松雪さん頑張ったなぁ。昔は「きらきらひかる」とかで
ツンデレ刑事の役とかやってたのになぁ。
 でもこのあたりから社長役が板についてきて、素晴らしい演技だったと思います。なるほど、
松山さんが「社長こわい」と怖がるわけだ(笑)。

 そういうわけで日を改めて相川さんとのデートにこぎつけた根岸。
 ところがそこにアサトなる人物がやってきたんですね。
 彼は根岸があこがれる、オシャレなデザイナー。
 つーか飲むふりかけとか、いくらオシャレでもお前のセンスが理解できねーよ、アサト。

 アサトに認められたらと、根岸は自分の作詞作曲の歌を披露するのですが、バカにされて
おしまい。
 お前なー、公衆の面前で人に恥をかかせたらいかんよアサト。
 ここでショックのあまり飛び出していく根岸。
 シーン見ていて思いましたが、ものに躓いたのはそういう脚本じゃなくてガチだったの
ではないかと思います。どうなんですか!?松山さん!

 というわけで落ち込む根岸ですが、アパートに社長が乗り込んできた!
 この時点で大体の展開は読めると思います。
 はい、アパートメチャクチャにされました。
 でも社長、犬の名前がグリとグラってどうよ。童話かよ!
 そこにまた相川さんがやってきて誤解して帰ったから事態はさらにややこしいことに…。
 もういいじゃん、相川さんなんてさぁ!

 そういうわけでいろいろあってクラウザーとして目覚めた根岸は、この恨みはらさでおくべきか
という、お前は魔太郎かというCDをリリース。
 すんごい売れました。
 根岸の才能を見抜いていた社長は大満足。
 で、なんかバンド対決とかしちゃってるのはいいんだけど。
 ラッパー対決、クラウザーのダジャレは脱力するほど古いんですがいいのかコレ。
 それと、金玉ガールズか、どうでもいいがお前銀魂の努力わかってんのかコラみたいな
バンドですが、ボーカル見覚えがあると思ったら、ドラマ「有閑倶楽部」の剣菱 悠理!うっわ
いいとこ持ってきたなー。
 でもクラウザーさんが首つり状態で死んじゃうから早く助けてあげて!

 そんな中、デスメタル界の帝王、ジャックが引退を表明し、大のファンである社長はショック。
彼は引退ライブとして世界各地のバンドをつぶすと宣言。日本の相手として選ばれたのが
D.M.Cでした。どうなる、クラウザー!?
 
 そんなことがあったとも知らず根岸は偶然相川さんと再会し、また、後輩である佐治くんが
テトラポット・メロン・ティというバンドでそこそこ人気があるのを知り、あこがれつつもショックを
隠しきれません。
 で、相川さんとも中途半端で、彼女がアサトにデートに誘われてると言っても「行ったら
いいんじゃない」と返事を。お前は男としても最低だ、根岸。

 とはいえ気になるので尾行を開始するんですが、その遊園地で佐治君に見つかって
必死で逃走するハメに。
 ここでピンチになった彼はクラウザーに化けて何とか逃れます。っていうか変身セット
持ち歩いてんのかお前は。
 確かこれ、原作にもあったエピソードだっけ?
 トイレでノリノリで踊るクラウザーさんとか、しっかり後輩を励ましてあげるクラウザーさんが
好きでした。
 あと佐治君に「リラックスできました」とお礼を言われて「俺は悪魔だ。深入りするでない」
と言った口調は根岸君に戻ってました。
 ここ、どういう解釈でこうしたのか分からないけど、私はクラウザーのままで言うよりは
根岸に戻って言った、この雰囲気の方が好きです。うまいなぁと思いました。
 
 その後も相川さんらをクラウザーのままで尾行してんだけど、観光地によくある、顔だけ
出して撮影する看板で隠れつつ後を追ったりとか、それを発見しておびえてる親子があの
カワイ音楽教室の親子だったりとか、この辺は面白かったです。

 また、クラウザーさん怒り狂って走っていくんだけど、佐治くんに目もくれず、タンバリンを
弾き飛ばして「ナイスタンバリン」とか意味不明なとこは面白かった。

 遊園地では、ビクトリースリーとかいうヒーローものがショーやってたんだけど、なんと
そこに怒り狂ったクラウザー登場。
 こんなヒーローショーを子供に混じって見てるアサトもアサトだけど。
 ヒーローの、レッド役の人が、実はD.M.Cのファンで、クラウザーを止めようとした子供に
脅しかけてたのは面白かったです。
 ところで皆おびえて逃げたベンチに、パンダのぬいぐるみがぽつんと置いてあるのは
何の意味があったんだろう。
 ともあれここで相川さんはクラウザーに対して「あなたの音楽は最低だ。夢を与える
ことができるのが音楽だ。私の知ってる人は「No Music No Dream」って言ってた」
と言うんですね。
 それは根岸の言葉であったんですが、彼自身やりたくてやっていることではないので、
相川さんの言葉にショックを受けます。
 倒れてきた人形像から相川さんをかばい、クラウザーは静かに歩み去って行きました。
 そんな姿を見て相川さんは、「根岸君…?」と気づきます。

 私は、映画の相川というキャラは大嫌いです。
 ラストシーンでわかるけど、まったく空気読めてないし、音楽雑誌の記者のくせに、
自分の趣味じゃないからって特定の音楽を否定する。そういうのはおかしいと思う。
 むしろ相川さんにこそ、音楽を語ってほしくないです。
 原作の相川さんは面白かったんだけどなあ。

 そういうわけで、田舎に帰って来た根岸。
 家族に暖かく迎えられます。
 つーかアパート引き払ったんですかね?
 何もないところに社長たたずんでたけど。
 田舎に帰って来た根岸が、上京する時は持っていたはずのギターを持っていないところ
からみると、本当に音楽を捨てて戻ってきたのでしょうな。
 つか、牛に「久し振り」とか言ってるけど、牛めっちゃいやがってる。

 お母さんと会ったのはいいけど、「D.M.C」のシャツ着てたのは笑いました。
 しかも家では弟がすっかりD.M.C信者になってしまっていて髪型も性格も変わっちゃって
ました。これは大変だ。

 大変なことになったと思った根岸は一計を案じます。
 その内容とは…。
 弟を夜の畑に呼び出し、クラウザーとして、弟に正しい道を説くことでした。
 いやさ、だからさ、音楽は捨てたのに衣装は持って帰ってきてるのな。
 やっぱりなんだかんだいいつつ、根岸、キミはクラウザーに絶望しちゃいないんだ。

 そんなところに母が来て「地獄から来たクラウザー」という弟の紹介に「四国から
きたん、遠いところを」とか言ってて笑える。
 っていうか多分母は気付いてますね。だって母親だもん。

 翌日家族を囲んでご飯。お茶目だわー。これは父親も気づいてますね多分。
 そしてクラウザーは、兄をバカにする弟に「あれはな、公然わいせつカットというものだ」
と髪型の話をしてました。まあ意味はわかるが、ピー音なしで口にするんじゃない、弟よ。
 
 そして根岸として戻ってきた彼に母は、荷物が届いていると渡してくれます。
 中から出てきたのは、仲間の和田くんからの手紙とか、西田くんからブルマと貸して
いたゲームソフトとか、あとファンレターとか…。
 ここのシーンのネコかわええです。立ち去る間合いとか、貴様!相当の役者だな!
 あと、伝票みる限りこれは佐川急便ですかね。

 ファンレターを読んでいた彼を、母は神社に誘います。
 クラウザーをいい人だと誉めるんですね。歌で夢を与えるって。
 根岸は根岸で、母がそなえた絵馬を見つけます。
 息子の夢がかないますように、と書かれた絵馬を。
 彼はやっと戻る決心をしました。
 そこへ母がお守りを渡してくれます。クラちゃんに会うことがあったら渡してと。
 根岸よ。
 キミは、キミがクラウザーだと知ってて、黙って励ましてくれる母の心に気付いたかい?

 根岸は走りだします。
 ボクにしか見せられない夢があると。
 気持ちはわかったから、クラウザーのままで電車に乗るのはよせ。

 そんなクラウザーの目撃談をキャッチして盛り上がるファン達。
 ジャックとの対決会場まで、リレーでクラウザーを送り届ける彼らはすごいし、素敵だ
なぁって思いました。
 ここのシーン、CMで見ててっきり警察に追いかけられているのかと思ったけど違うのね。
 にしても松山さん、あのハイヒールのブーツでよく走れるなぁ。まあピンヒールじゃないから
実際きちんとはいていれば走るのは難しくないですが…。

 この後、ジャックと対決するんですが、とてもおもしろかったし、とてもかっこよかった。
 牛だか馬をべーベーとあやしてるのは笑えた。
 この後ジャックに向かっても挑発するんですが(これもCMでやってました)ここのシーンは
ちょっとお茶目でかっこよく見えました。
 
 ただ、ラストがなぁ…。
 ジャックとの対決で爆発起きて立ち上がって、テンパって根岸バージョンの歌うたいはじめて
しまって、社長のタバコぶちあてられるのは面白かったんですが。(ジャックがよろめくとか面白かった。
ギター渡すシーンはびびってるクラウザーに笑いました)
 そのあと「SATSUGAI」を歌い始めたのは確かにかっこよかったんだけど…相川さんのシーンは
ちょっと余計だったかなと思いましたよ。
 何より相川さんの空気読めてなさっぷりがムカつくし(わざとやった演出だというのはわかるんですが)、
これで終わるのはしまりがないなと思うし。
 できれば、甘い恋人をクラウザーが歌って、ファンが気持ち悪いと倒れていって、翌日の新聞で
「D.M.C新たな伝説を作る」みたいな見出しが大写しになって終わりとかでも面白かったん
じゃないのかなと。
 スタッフロールの後の話は笑いました。

 ちなみにパンフレットを見ていたら面白いエピソードを発見。
 路上ライブのシーンは、下北沢で撮影されたそうなのですが、本物の路上ライブと勘違い
されて、「うるさいよ」と注意されたことがあったんだそうです。松山さん苦笑い。面白かった。

 私は原作の、下品なシーンはあまり好きではないんですが、映画としてはそういうところが
少し控え目になっていた上に、一青年の成長物語がギャグチックに描かれたって感じで
結構おもしろかったと思います。
 この映画は松山さんの演技力なくしては成立しないだろうなぁとも。
 松雪さんの迫力もすごかったです。
 この映画はキャスティング勝ちといいますか、久々に原作の雰囲気を壊さない映画を
見られたなぁと思いました。
 ライブシーンはメチャクチャかっこよかったです。松山さんの新しい魅力を発見した気が
します。このノリでLやったら面白いだろうなぁとか思ったんですが、それは多分Lでは
ないので別にいいです。



多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→デトロイト・メタル・シティ