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崖の上のポニョ

9/4鑑賞

 この作品の内容を一言で表せと言われたならば、私はあえて、「幸せになった人魚姫」
と言います。
 テーマは多分もっと違うところに視点をおいているのでしょうが、私はそう言いたい。
 泡となって消えなかった海の申し子の幸せなお話。

 物語はとても静かに始まりました。
 海の中の景色の描写から始まるんですが、これがとてもきれい。
 すべて手書きというだけあって、やわらかく、静かな雰囲気がとてもよく出てました。
他のアニメにはみられない、ジブリアニメ独特のものですね。
 つーかクラゲはちょっと多すぎだろ!
 潮の流れにのってきたエチゼンクラゲじゃないんだから。
 …ちなみに初めてこの画面のクラゲを見てカボチャパンツかと思ったのは内緒です。

 おっさんがそんな海の底で、スポイトみたいなものを用いて何かしてるんですね。
このおっさん普通に呼吸できるんだな。
 …つーか化粧濃い。最初おばさんかと思った。
 
 んで、このおっさんに見つからないようにぽよぽよと、ポニョが出てきました。
私は人型よりこっちの姿のポニョが好きだな。かわいいです。
 沢山の妹を隠すようにした後、こっそりと出て海面へ。
 えーっと。
 これクラゲじゃないのかな?めくって中に入ってるもんなぁ。特にこの生物っていう
定義ないのかも知れませんね。
 んでOPになったのはいいけど、一番最初にプロデューサーの名前出してるけど、
私としては最初に宮崎監督の名前出してほしかったなーとか思ったり。

 海面近くに昼寝しながらやってきたポニョですが、海底を網でずーっとひいている
船の網に巻き込まれて、ビンが頭にすっぽりかぶさってしまい、気を失った状態で
もう一人の主人公、宗介に助け上げられます。
 これが二人の出会いでした。
 ポニョの入ったビンを割る際に手をケガしたんだけど、それをポニョがなめて治して、
でもって気持ちが通じ合うようになったというか。このあたりは大体読めたけど、
波がポニョを追ってくるシーン(あのおっさんが仕向けた)は、さすがに敵方として
登場するだけあって怖さが出てましたね。
 子供とかだと、波に気付かない宗介に「早く早く(陸に上がって)」みたいな気持ちで
見るだろうと思います。しむらうしろー、みたいなの。

 あと宗介君へ。
 海で拾った生き物を真水にひたすと大体死にます。(ロマン台無し)
 
 そういうわけで宗介に拾われて助けられたポニョ。つーかこの時点では名前はついて
なかったんですが、宗介が名づけてました。
 キミのネーミングセンスは少し問題があると思う。
 あと、宗介の母、リサが、保育園に遅れるからってせかしてる時に、あのおっさんが
上がってくるんですが、水を足元にまきながら上がってくんの。そりゃ不審がられますって。
 このおっさんの声は所ジョージなんだけど、しばらく誰がやっているのか思い出すのに
時間がかかるくらい、素敵な声でしたねー。さすがは所さん。
 …リサさん…あの…もう少しスピードは落として運転された方がいいと思います…。
カリオストロ城でガードレール走ってたルパンじゃないんだから。
 ポニョは宗介のサンドイッチからハムをとって大喜び。…えっ肉食(もしくは雑食)ですか!?

 ここの通学路(?)みたいなところで、船があがってくる踏切みたいなところがあって
これは面白かったです。(船があがりきるまでは車側は遮断機が下りる)
 実際にある場所なんでしょうかね。

 さて目的地につきまして。
 宗介はお母さんがつとめている(多分)老人ホーム「ひまわりのいえ」の隣にある保育園へ。
お母さんがこんなだからか、随分と大人びた子どもだと思います。
 というかちょっと思ったんですが、私はやっぱり母親・父親は名前で呼ぶべきじゃないの
では…と思いました。
 この中では宗介は母親・父親を名前で呼びます。パパ、ママとは言いません。
 確かにそういう、呼び方にこだわらない育て方っていうのもあるし、クレヨンしんちゃんとか
でも「みさえ」「ひろし」って言う時はあるけど、普段はちゃんと「とーちゃん」「かーちゃん」だし。
 最近の親でも、子どもと友達感覚でいたいからと、名前で呼び合うご家庭もあるようですが、
子どもと友達感覚でいるのと、常識としてきちんと呼ばせるのとはまた違うんじゃないのかなと
思いました。
 ポニョで気に入らない箇所があるとしたらここです。
 閑話休題。
 
 保育園にポニョを連れてきた宗介。
 隠そうとしたらおませなガキが来て無理やり覗きこんだあげく、ポニョに水ひっかけられて
泣きペソ。
 ああああうぜぇーーーーー。
 でもやっぱこういうところは女の子なんですね。敏感に「恋のライバル」を感じ取るところ。

 宗介、困って隣の「ひまわりのいえ」に逃げ込みます。
 ここには宗介君を大好きなご老人達がいて、歓迎してくれます。
 ポニョ見てもおお喜びなんですが…。
 ときさん、というおばあさんだけは「すぐに海へ返しな!津浪を呼ぶよ」と怖がるのでした。
 こういう、ご老人の言うことは結構バカにできないものです。

 ポニョがときさんに水をひっかけてしまったので、怒られると思った宗介は近くの海岸に
逃げるんですね。
 けれどもそこにあのおっさんがやってきて、ポニョをさらっていってしまう。
 ショックを受ける宗介。
 そんな彼を、探しに来ていたリサが見つけて助け上げました。
 こんなところは結構あっさり描写されていて、再会を思わせる雰囲気十分なので
面白かったし、おっさんの正体がまったくあかされていなくて、「これからどうなるんだ!?」
的な展開はかなりジリジリしましたが良かったです。

 そして、ショックを受けた宗介が、母の車に乗ってボーッとしつつも帰宅するシーンがありまして。
この車とすれ違ったトラックが坂道を降りて行くところで、わきを歩いていた、スーパーの袋を
持った男性が、トラックにあわてて避けている描写があるんですね。
 さすがこういうとこ細かいなーと思いました。ここまでやるのは他では多分クレしん映画
くらいでしょうな。

 さてそんな宗介にビッグニュース。
 父、コウイチが船の仕事から帰ってくるらしいんですね。
 つーわけで帰宅した宗介は、ポニョが入っていたグリーンのバケツを、海におりる道の
杭にかけて、ポニョが戻ってきた時の目印にしてあげようとします。
 それを否定しないリサは、母親としては素晴らしいと思う。
 宮崎ワールドの母親っていつも寛大で理解がありますね。千と千尋の母親はアレですが…。

 リサが張り切って夕食の用意をする中、コウイチから電話が入りまして。
 なんと帰れなくなったとのこと。
 こりゃあ機嫌も悪くなりますわな、リサ。
 なぐさめる宗介を横にやけ酒してました。気持ちはわかる。

 コウイチの船が近くを通るというんで、宗介が信号で通信してます。
 モールス信号の光みたいなやつ。亡国のイージスで真田さんがやってたやつ。名前
知らんけど。
 これでリサ、言葉のわからない宗介に「ビー(B)エー(A)ケー(K)エー(A)」って何回も
送らせてたのが笑えました。そのあと自分でもものすごい勢いで発信してた。
 ここは本当に面白かったです。 
 これを読売新聞だったかな、パロ的な内容でCMやってて結構良かった。

 さて、おっさんに連れ戻されたポニョ。
 ここでようやくこのおっさんが「フジモト」という名で、しかもポニョの父親であることが
判明します。
 …似てねぇ……。
 ともあれポニョは、人間になる人間。しかも自力で魔法使って変化し始めたー。
ってポニョ!それはお前、鳥だ!ヒバードにでもなるつもりか!即効咬み殺されるぞ!
 ちょっとそこのハウルさん、正しい人間への変身方法教えてやんなよ!
 フジモト、変化し始めたポニョに大慌て。
 何とか閉じ込めるのですが…。
 あの人に会わねば、とかまだあわててる。
 ぶっちゃけあの人というのはポニョの母親、つまりフジモトの奥さんなんですけど、
こっちは「あの人」呼ばわり。
 リサといいフジモトといい、この映画の夫婦は変な人ばかりだなぁ。

 あとフジモトは、ここのお城の金庫みたいなところに、不思議な水をためている
んですね。
 これで古代の海をよみがえらすとか。
 つまりフランス語で言う「アクア・ウィタエ(生命の水・からくりサーカスより)」という
ところでしょうかね?
 ドアがガタガタだとか…。伏線っぽいなぁ。

 小さな水の塊に閉じ込めれられたポニョですが、妹たちがわらわらと出て来て
それをやぶってくれるんですね。
 そうして意識を取り戻したポニョは、その生命の水を飲んで宗介の元へ。
 ここからダイナミックな描写が始まります。
 まさに圧倒の連続。
 手で描かれた景色がここまで圧倒するとは。
 ハリウッドの特殊効果ですらかなうかどうか…。

 ポニョちゃんへ。
 人間はまず波の上を走れませんから。
 あと波を起こすのは構いませんが、その波に飲み込まれそうになってるのは、
あなたの将来の義父です。

 ポニョが宗介の家を目指したことで、地上は大変な暴風雨に。
 なまじ海辺に道路あるから危険というか…ここらは古い街並みなんですかね。
 最近ではこういった、高波がくると冠水してしまうような道路というのは少しずつ直されて
いってるはずなので。
 ひまわりの家は停電中。
 そんな中宗介は、おばあさんたちに、折り紙で作った金魚を持って行ってあげます。
 ときさんにも、船の折り紙を。
 本当に宗介自身は心の優しい、いい子なんだねぇ。
 ただ、大人びすぎていて、それが少し心配です。
 今年の映画クレヨンしんちゃんでも、普段はませているしんちゃんが、子供らしく
おびえたように、本当の危機っていうか、どうにもならないことに直面すると、ポキッと
心が折れてしまったりするから。

 家へ帰る宗介とリサ。
 あの踏切みたいなとこも強行突破するのはいいとして、そのあとは安全運転で
いきましょうよ、リサさん…。マジであなたの運転が怖いです。事故りゃしないかと
見ててハラハラしたよ。
 そんな中宗介は、波の上を走っている女の子に気づくんですね。けれどもそれが
ポニョだとはまだ知らない。
 しかもポニョの方は魔法が切れたかで沈んでしまった。
 ああ、残念。
 と思ったら、ちゃんと人間の姿で、風でころがったバケツを持ってやってきた。

 宗介はやっと、彼女がポニョであることに気付きました。
 奇跡の再会ですね。
 徳光和夫さんだったら泣いてるね。

 そして、ポニョを驚かずに受け入れるリサもすごいなって思った。
 温かいはちみつ入りの紅茶をいれてあげたりとか、ラーメン作ってたりとか
楽しそうでした。
 温かい飲み物でも大丈夫なんだな、ポニョ。
 あと、ここで作って食べていたのは間違いなくチキンラーメンだと思うんですが、
すんごくおいしそうに見えて、10年ぶりくらいに買ってみました。
 ポニョが、ハムが好きだというのを聞いてて、こっそり2人に目をつぶらせて、
具を乗せてあげてるリサが良かったです。
 宮崎アニメの食べ物って本当おいしそうに見えますよね。

 ポニョはつかれたのか眠ってしまうんですが、そのあとリサは、山の中の光に
気づき、ひまわりのいえへ様子を見に行くというんですね。
 おいおい、その思い立ったら即行動って時には命取りになるぞ…。
 つーか子供たちだけおいていくなよ、いくらなんでも。
 宗介だってまだ5歳なんだから…。
 こういうとこは、リサはちょっと宗介に依存し過ぎなんじゃないかなと思いました。
 多分、普段2人で暮らしているから、お互いに依存するクセがついているとは
思うんだけど。
 ただ、この家の明かりを(留守にすることで)消すわけにはいかない、ここは海にいる
人達の目印なんだから、みたいなのはちょっと納得したけど。

 ともあれそういうわけで、二人の朝食だかを作り置いてリサは、まだ波が引かない
中、ひまわりの家へ行ってしまいました。
 森の中、ヘッドライトがもれる描写は細かくて好きです。

 一方ですっかり忘れ去られていたコウイチは、変な場所に迷い込んでしまっていました。
この世のすべての船が集められているかのような、不思議な場所。
 そこに後ろから巨大な女性がやってくると、船の故障もたちまち直ってしまいました。
 巨大な女性の正体とは…?

 フジモトが、すっかり眠ってしまったポニョと宗介の様子を見に来てますが、結界が
貼ってあった上に、ポニョの妹に邪魔され撤退。
 でもって「あの人」というのが来ましたよ。
 
 ポニョが生命の水を飲んでしまったこと、そのせいで大きな魔法の力を持ってしまった
こと、そして彼女のせいで、人工衛星までもが落ち始めたこと。
 それらを心配した両親は、古い魔法を使うことにするのです。
 人魚姫の伝説を試すと。
 っていうかそういうのはわかったから、宗介の家の電気を消すんじゃねぇ。
 目印がなくなるだろうが。

 翌朝宗介が目を覚ますとなんと、世界は水没してしまっていました。
 んーでもなんかこういう世界も面白いなぁ。
 庭とかがもう水没してんの。夢に見るような世界ですね。
 そういうわけで宗介は、ポニョとともに、大きくしてもらった船でもって旅に出るんですね。
 ここの旅の出方とか、海底にいる古代魚とかは面白かった。名前は存在しないものだと
思うんですが(多分)。
 2人は旅の途中、船に乗った夫婦+赤ちゃんに会うんですけど、この夫婦がまるで
トトロの、あのメイとさつきが生まれる前の両親みたいでなんか素敵でした。

 そういうわけでいろいろあったんですが、ポニョの両親が仕掛けた試練をものとも
せず打ち勝った宗介はかっこよかったです。
 あと、トキさんの活躍も見ていてよかった。あれこれ口が悪くても、ちゃあんと宗介の
ことを大事にしてるんだなって分かってよかった。

 んで、最後地上に戻ってきて、コウイチを迎えつつポニョが人間に戻るというシーンが
あるんですが。
 ここはちょっと不満だったなぁ。
 私は宗介とポニョ、抱き合って終わってほしかった。
 でもまあ、フジモトが、すごくポニョに未練たらたらで、娘を結婚を機に送り出す父の
ような心境が描かれていたのは好きです。
 それと、スタッフロールが手書きで、すんごく温かみを感じた。

 うーん…まあそのうち、妹たちもフジモトの目を盗んでポニョに必ず会いにくるでしょう。
 何と言ってもポニョの妹なんだから。
 幸せにおなり、人魚姫たち。

 


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