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パコ と魔法の絵本

10/2鑑賞

 映画のCMで、ルーキーズの川藤先生が出たのでおおっルーキーズのCMくるか!?
と思ったら単にジーパンのCMだった。ちくしょうやられたぜ。

 さてこの映画、もしこれから見に行くのであれば、レイトショーとかの夜、ゆっくりじっくり
おひとりで見ることをお勧めします。見終わったあと語りたいからと友達と行くよりは一人の
方がオススメ。
 それから、私はこの監督の作品、下妻物語も嫌われ松子の映画も見たことないです。
なんでかっつーとどうしても自分と合わないから好きじゃないので…。
 でもこの映画はほんとによかった。演出が奇抜でおもしろいと思ったのは久しぶりです。

 さてさて物語は、ヘンな叫び声といいますか、なんかもうここはどこの国なんだみたいな
とこから始まります。
 問題の洋館に住んでいる青年のもとに、ヒゲ男爵…じゃなくて変なおっさんがやって
きました。
 いやもうなんかこの洋館がすごいっていうか、さすがテレビ東京が協力してるだけあって、
いいのかってくらいアニメのポスターが貼ってあったりフィギュアはそこらにあったりと、
すごいですわ。
 で、その変なおっさんは二階の部屋の埃まみれになった納戸から仏壇を探し
出して、そこの遺影を前に話し始めました。
「お前が私のことを知ってるってだけで腹が立つ!」が口癖だった人のお話を。
 つーか遺影もおっさんもそろってサリーちゃんのパパかよ。そこまで重力に逆らった
髪型して何が望みだ。
 それてっぺんにもってきてポマードとかで固めればハゲ隠せるじゃん。

 最初青年が、部屋の奥の納戸開けた時、扉を見て「おおここからナルニアが!」とか
ちらっと思いました。まあこれで旅立ってたらナルニア第三章になってしまいますが。
嫌だな、サリーちゃんのパパとの冒険記は。

 とあるヘンテコな病院がありました。
 どれだけヘンテコかというと、話を聞いていた青年が新八のごとく突っ込みを始めた
くらいです。このおっさんも銀時のような行動をするからなんですが。
 そこの病院の看護師も、医者も入院患者もことごとく変わっていて、まともな人を探すのが
大変なくらいでした。
 ある晩、自殺を繰り返しては死ねない男がまーた入院にきました。その名は室町。
彼がなぜ自殺未遂ばかり繰り返してるのかはのちのち明らかになります。
 でもってそいつをゴミが!と言い捨てたのは「名前を覚えられたくない」じじいの
大貫。
 そんなこんなで誰に対してもこんな調子でしたから、大貫は、それはそれは嫌われて
いました。
「お前が私のことを知ってるってだけで腹が立つ!」

 …ここら辺で変な医者が出てきます。ええ、バカに見えますが正真正銘のバカです。いや医者です。
 サマークリスマスとかいう企画があるので、ピーターパンをやりたくてたまらないらしい
です。すごいハイテンションだ。テニプリなら間違いなくリョーマがサーブで沈めてるレベル。
 ただこの医者、バカなところは演技(半分は素でしょうが)で実はちゃあんと患者のことを
見てる。そしてこっそり、いろいろ配慮したりしてる。
 最遊記の八戒みたいなポジションといいましょうか。私この医者好きだなぁ。

 そんでもう一人の看護師が出てくるのですが、これがまたすんげー格好。
 彼女は、大貫のバカ息子の奥さんで、まあ結婚した動機は主に金。というか大貫が一代で
築いた会社を旦那が継いで社長夫人となり、犬を飼って服を着せるのが目標だという、
欲がでかいんだか小さいんだかよくわかんない人です。
 
 つかここあたりのドタバタで、大貫が手をついたところになぜかクイズの回答みたいな
ボタンがあって、それ押すと阿部サダヲ扮する堀米があちこちから出てくるのがメチャクチャ
面白かったです。大貫、発作起こして苦しがってるのにコントに応じる余裕はあるんだな。

 院長室ではあのとぼけた医者が、入院していたヤクザに、体の中から出てきた弾丸を
ネックレスにしてプレゼント。アホかー!
 ヤクザ思わず、「どこの世界に撃たれた弾をペンダントにする奴がおんねん」と言って
しまい、医者に「あれ?銃が暴発したんでは?」とか突っ込まれてて、仕方なくそれを
受け取るハメに。そうか、撃たれたのを暴発したといって担ぎ込まれたんですかー。
 ちなみに、踊る大捜査線のすみれさんは自分が撃たれた弾をネックレスにしてますよ、
ヤクザ君。
 つかヤクザに「ピーターパンのティンカーベルやらない?」とかさそうな、怖いから。
 ここでちょっと面白かったのが、医者がピーターパンに扮してるからなのか、あちこち
にばらまかれた金の粉が、ここで登場するパコの頭上にも降り注いだことですかね。
なかなか面白い演出でした。

 で、また大貫を堀米がからかってんですが、ここのシーンよく見てみるとすんごく撮影に
時間かかってんだろうなってのがわかります。
 たった10秒くらいのシーンにすごいこだわりようだと思いました。
 むしろ映画はこういう、「どうでもいいところ」にこだわるのが面白いかも知れない。
 そうして、大貫がベンチに座ってくつろいでいると、パコがやってきました。
 ところがどっこい大貫は根性悪いですからベンチに座らせない。地面にはたき落とされても
ニコニコしてるパコに、一瞬ハッとしたけれどもケガをしてないと知ると知らんふり。
 まあそんなこんなで適当に本を読んで無理やり終わらせた大貫は立ち去ろうとするの
ですが、パコにお礼を言われて面食らう。
 急いで立ち去った後には大貫の大切にするライターが。
 パコはそれを自分の服のポケットにしまいました。

 この夜にもまたいろいろなエピソードがあって、滝田というケガしてる人間が出てくるん
ですけども、消防士なんで消火活動中にケガしたのかと思ったら、消防車にはねられた
らしいです。お前はアホか。

 翌日、大貫は朝から花壇荒らしております。
 死んだ小学生が植えた花だという声にも耳を貸さずやりたい放題。
 半分はライターを探してるらしいんだけど、そんな探し方あるか。
 そこへやってきたのがバカ息子。
 彼から会社の業績が5%アップしたと聞かされて、もう自分は必要ないのか、いらない
人間なのかと大貫激怒。
 …まあこの怒りはわからんでもないけれども反面、さびしい人だなとは思いますね。

 自分はひとりで頑張ってきたという自負はあっていいと思います。
 そして、こんなバカな息子に譲ったら会社はどうなってしまうことか…という心配ももちろん
あるでしょう。
 だから余計に周囲が信用できないとかいろいろあるんだとは思うけども、そうやって
周囲に憎まれ続けていたところで何もいいことなんてないし。
 
 つか、ここの花壇を荒らしてる時に駆けつけてきた、医者、立ち止まる時にずるっと
いってましたがこれマジでこけそうになってませんか。
 いらんことばかりに目がいってしまいます。
 ともかく、腹の虫がおさまらないでイライラしてる大貫はパコがあのベンチに座って
本を読んでいるところにやってきて彼女を蹴散らし、自分が座ります。
 そして、彼女の名前を呼ぶのですが、なぜか彼女は「どうしてパコの名前を知ってるの」
とびっくりします。
 大貫はとりあわず、葉巻を出して吸おうとするのですがライターがなかったことを
思いだしまたイライラ。
 そこにパコがポケットからライターを取り出したものだから、大貫はパコを「お前が
盗んだのか!」と殴りました。

 これが誤解であるにせよ、小さな子供を平気で殴れるというのはその人の性格に
問題があります。
 普通は子供に対して本気で暴力をふるうことの危険さを知っていますからね。

 さてここで現代に戻って。
 話を聞いていた青年は、大貫の行動にたいそう憤慨している様子。
 そしてなぜパコはこんな奇妙なことを言ったのか?
 おっさんによってその理由は明らかになります。

 パコが7歳の誕生日目前の日、ドライブ中にトラックと衝突し、両親は湖に車ごと
沈み死亡、パコ自身も事故の後遺症で、記憶が1日しか持たなくなってしまっていた
のです。
 だから、大貫が「初めて会った」自分の名前を知っていた理由も、ライターがポケットに
入っていた理由も知らず、彼女が目がさめればその日はいつも誕生日で、枕もとには
いつの間にか母親が置いてくれた誕生日プレゼントの素敵な本があるのでした。

 それを知って愕然とする大貫。
 そんな彼のところにパコはやってきて絵本を読み始めます。
 殴ったところに大貫がそっと触れるとパコは不思議そうに、「おじさん…昨日もパコの
ほっぺにさわった?」と言うのでした。
 一日しか持たないはずの彼女の記憶が、たったひとつだけ覚えていたこと。

 触れたんじゃなくて殴ったんだということを言えず、自己嫌悪の大貫。
 その夜彼は初めて心の底から泣きました。
 今まで自分がどんなに嫌な人間だったかを知ったからです。

 「お前が私のことを知ってるってだけで腹が立つ!」
 誰にでもそう言って来た大貫はこの日初めて、この少女の心に残りたいと、この少女の
記憶に残っていたいと思ったのです。
 初めて大貫が自分から「おじさんは大貫だ」と名乗ったのです。
 
 何かしてやりたいと思った大貫ですが、他の絵本を買い与えようとしても、パコがいつも
読んでいる本は母親が「今日の」誕生日に贈ってくれて、毎日読んでねとメッセージが
あるため、これ以外はいらないのです。
 おもちゃも、何も、自分ができることはないのかと、大貫の自問自答が始まります。
 そうして彼が考えついたのは、毎日絵本を読んであげることと、毎日パコの頬に触って
あげることでした。

 今日も「今日私誕生日なの!お母さんが絵本をくれたの!」と言うパコに、医者も患者達も
みんな「そう、誕生日おめでとう」と言ってあげてます。
 この病院は本当に優しい人たちばかりなんですなぁ。
 その一方で、まだなんかあれこれ苦しんでいる室町に、何してあげたらいいかわかんない、
と嘆く看護師のタマ子に「誰かさんも同じように悩んでたよ」と言う医者。
 この室町はなんか子供の幻覚を見て苦しんでるんだけど、この理由は後で明らかになります。
むしろこの段階で明らかになるよりも、後でわかるからよりいい展開になってると思う。

 そうして、何かできることはないかと悩む大貫は、サマークリスマスの行事としてあることを
思いついたのでした。

 で、みんな集めたところに医者と大貫やってくるのはいいんだけど、空気読めない堀米が
騒いでうるさい。ヤクザにスリッパではたかれてたのは笑いました。昔なんだっけなー、
TOKIOのコンサートだと思うんだけど、サイコメトラーEijiのED曲の入りしなのとこで、舞台から
せりあがってきたとんねるずの木梨がスリッパでメンバーにはたかれるってなのがあったん
ですね。愛の嵐って曲です。確か木梨だと思うんだけど…はたかれたの。
 メトラーEijiの方では誰だったかな忘れたけど、ギャグ担当の子がはたかれてたけど。
 あれ思い出した。
 長い脱線だな…。

 ともかく大貫が提案してきたのは、パコがいつも楽しく読んでいる絵本、「ガマ王子対
ザリガニ魔人」を皆で演じること。
 全員でてるってことで誰が見るの?と誰かが質問した後に、パコがやってきて、皆が
「あー」って納得した声出していたのはよかった。こういうシーン好きです。
 まあ皆もろ手を上げて賛成ってわけじゃないけど一人、大反対した奴がいたんですね。
室町です。彼はパコの絵本をふんづけて大貫を怒鳴り散らします。
 そこにタマ子が割って入った。彼女は室町のことを気にしているようだけれども、この
行為には我慢ならなかったんでしょう。
 
 「信じてんだよ、あのジジイは。
 全部忘れてしまうあの子の心に、それでも何か残せるって」
 
 ヤクザがその夜電話受けて、じゅんぺいが死んだとかいって大泣きしてんですね。
医者がすばやく、パコを別のとこに行かせてたのが、やっぱりこの人すごいなぁって思い
ました。この医者のキャラはいいキャラだー。
 テニプリで言うと不二周助とか幸村精市みたいな。
 ちなみにこのじゅんぺい、サルです。
 そしてこのヤクザ、しまっといたチャカをこのサルがみっけて、それで撃たれたらしいです。
え…ここ笑うとこ?泣くとこ?

 そんな中、窓から飛び降りようとしていた室町を助けようとして、ガマ王子に抜擢されて
いた滝田が一緒に転落し、重傷を負ってしまうのです。
 消防士だから助けずにはおれなかったんでしょうね。
 それでもなお甘えたことを言っている室町に、タマ子ついにぶち切れた。
 彼女は室町を自分のロッカーに引きずっていって中を見せます。
 子供のころの室町の写真が貼られているロッカーを。

 室町は昔天才子役で、タマ子はテレビの中の彼にあこがれて、ガンで死ぬ子の役を
やった時に看護師になる決意なんかしちゃったって言ってるけど。
 でもって室町は大人になって、子どもの演技しかできないから嫌気がさしてこんな
状態に落ちぶれちゃって。
 タマ子がずっと支えて来てくれた理由を知って、今度こそ目が覚めたはずです。

 さあ、「誕生日」の朝パコが目を覚ますと、そこは絵本の中の世界になっていました。
暴れん坊のガマ王子が登場して皆を困らせています。
 皆を困らせていたけれど、自分がしたことを知って反省したガマ王子は、皆を守るため
ザリガニ魔人やその手下の魔女と戦います。あと堀米は勝手にヤゴの役やってんですけど。

 そんな劇の中、部屋で医者とタマ子が心配な会話をしていたのです。
 「もう医学ではどうしようもないんだ」
 「あとどれくらい?医学でもそれくらいは予想できるんだろ」
 「もうとっくに予想を通り越してるんだよ」

 室町扮する、迫力たっぷりのザリガニ魔人との対決中、発作を起こして倒れる大貫。
彼はそれでもパコのために最後まで劇をやり遂げたいと言います。しかし立ち上がる
気力もない。
 絵本のガマ王子も力尽きようとしています。
 そこに現れたのがヤゴからトンボに成長した堀米。最後の手段だ!といってボタンを
ボチっとな!

 ……………………かなだらい落ちてきたんですけど。

 みんなが「ドリフかよ」って突っ込んだよおい。ザリガニ魔人、かなだらいで倒れちゃったよ。
シリアスなのに笑うのか泣くのかわかんないよ。

「こうしてガマ王子が死んだあと、雨がいっぱいふりました。
お空の皆が泣いているのでしょう。
カエルがとっても大好きな
雨がいっぱいいっぱいふりました

大きな大きなお池でおこった、小さな小さなカエルのお話」

 
 ここで話は現代に戻りまして青年は涙ながらにこの話の続きを、大貫はどうなったのかを
尋ねます。
 おっさんは「いや、ただの発作ですぐ回復した」って。
 それは良かった。
 良かったけれどもこれにはまだ続きがあった。
 真実を知ることが必ずしも幸せとは限らない出来事が。

 命の炎がつきかけていたのはパコの方でした。
 なすすべもなく見守る医者に大貫は頼み込みます。
「私はこの子の心にいたいんだよ!」と。

 湖に沈んでゆくパコの手に、優しく触れたのはガマ王子。
 さあ、絵本の続きはお空の上で。


 幸せとは限らない結末でしたが、それでもパコにとっては幸せな誕生日だったんじゃ
ないかなと思います。
 そうして、青年が手にしている「絵本」が破れていた理由も判明します。
 皆がこの出来事を忘れないようにって1ページずつ持っていたから。
 
 おっさんは去っていくのですが、最後またボタンがありまして、青年、それをおっさんに
言われるまま押してみると…。
 絵本からガマ王子が目を覚まして飛び出していきました。
 それは最後の奇跡。



 ね、だから一人で見た方がいいでしょ?




多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→パコ と魔法の絵本