多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→容疑者Xの献身


容疑者Xの献身

11/9鑑賞

 いやーもう久しぶりに「やるなぁ」って映画を見ました。このキャスティングがまたね、
いいんですよ。石神は堤さんなくしてありえないだろと。
 原作を読んだことはないんですが、淡々とこのタイプのキャラを演じられるのは彼だけ
でしょう。
 つーかやまとなでしこのあのキャラと同じだなぁーとちらっと思った。

 さて冒頭は、いきなり船の爆発事故から始まるんですが、これ何か関係あるのかと思って
注意深く観察してたのに、全然関係ないですやん!ちくしょう!
 ともあれ、この船をどうやって爆発させたかということについて湯川さんが説明してました。
あっさり説明されてるけど仕掛け大掛かりすぎるよ!こんなんだったら船で近付いていって
相手を撃ち殺してさっさと逃げた方が早いだろ、どう見ても!
 つかこれ再現してみせるのに、爆発させる必要はあったのか、と思うのですが。

 そういうわけで相も変わらず内海さんが皮肉を言っていますが、科学で説明できない
ものは愛である、とか。
 湯川教授、あれこれと数式を言ってますが、あーたのおっしゃってる「アイ」は多分数学で
使う「i」だと思うんですけど…。

 一方で、とあるアパートの一室が映し出されます。うーん乱雑というか、研究者らしい机
ですなぁ。
 とか言うと几帳面な教授に怒られたりするんですが、学者ってのは両極端ですよ。机の上に
まったくなにもなくてきちんと片づけられているか、下が見えないくらい書類とか本で散らかって
いるかの。
 んで、寝てるこの堤真一さんが今回のもう一人の主役といったところでしょうか。
 ここでタイトルが、実にシンプルに出ます。素晴らしい。
 つーかアパートの声丸聞こえなんスね。
 彼が起きて出勤する風景。
 私も最初は「なんでこんなにずーっと、歩いてるシーンを見せる必要があるの?」と思ったの
ですが、ここはもうしっっっっかりチェックすべし。いや、後のシーンで違和感感じてはいたんだけど
関連があるとまでは思ってなかったので。くやしい。

 彼はあるお弁当屋さんに入って、おまかせ弁当というのを頼んでいます。
 レストランなんかに行くとシェフのきまぐれサラダっていうのがあるけど、あれ要するに
「今ある食材で適当に作るよ」ってことだよなぁ。きまぐれにもほどがある。(友達と自分とで
中身が違うとか)
 まあそんなことはどうでもいいですわ。ここの店長さんはとても元気がいい。
 
 話はずれるんですけど、「まるいち的風景」というマンガがありまして。まるいちという、
高機能学習能力を持ったロボットの話です。平たく言えば。
 そのロボットの機能に、見たまんまを記憶して再現することができるってのがあって、お弁当
屋さんがまるいちを導入し、お弁当作りが速くて正確で楽になったと喜ぶんですね。ところが
逆に客はどんどん少なくなってしまったと。
 理由は、今までいた店員さんはお客さんに合わせて、その日のメニューを進めたり、
味付け加減を調整していたからで、ロボットはそんなんまで出来ませんから、結局人間の
能力はすばらしいということになるんですが。
 お弁当屋さんなんてそれの確たるものだなと思いました。もちろんそこらにあるチェーン店は
悪くないけれど、ひとりひとりに合わせられるお店があったら、やっぱり繁盛するんじゃないの
かなぁと。
 閑話休題。

 彼は店長さんに話しかけようとするんだけど、他の客が入ってきてろくに話もできず、
こそこそと出ていきます。内気な人なんですかね。
 そして出る時にぶつかった男。目つき悪いです。気になりますねー。

 この男は、店長の別れた夫であり、しつこく付きまとってんですよ。ああーウゼー。家を
突き止めてやってきたらしい。こんなもんストーカーで警察につきだしたらよろしいがなとか
思うのですが。娘に危害が及ばないうちにね。
 ともあれすったもんだの挙句に彼を絞殺。
 こうして花岡親子の悲劇と、容疑者Xの献身は幕をあげたのでした。

 ちなみに堤さん演じる石神は隣に住んでいたのでした。すごいなおい。
 彼は隣の部屋の尋常でない物音を聞きつけてやってきます。
 そうして、中へと入って行きました。
 
 少しして広場で死体が発見されました。
 自転車が転がっており、おそらくこの被害者のものと思われる指紋があり。
 被害者は全身裸で放置、顔をつぶされ手足が焼かれており、近くには衣服を焼いた
形跡が。
 つーかカメラワーク考えろよ。尻を映すな。モザイク入ってたじゃないか。
 まあそんなことはどうでもいいんだけど、被害者の身元はあっさりわかりました。
衣服から出てきたカギをたどっていくと、扇屋という旅館に滞在していて、鍵を持って逃げた
男、つまり、店長の別れた夫富樫であるとわかったのです。そこから採取された毛髪とかの
DNAが遺体のものと一致したと。
 彼は花岡を探すためここに滞在していて、前まで花岡が勤めていたお店に行き、今の
弁当屋の住所を控えていったとのこと。いやさ、そういうのさ、簡単に教えてしまうのもどうかと
思うけど。店側も、花岡さんも。花岡さんが何も言わないでおくか、夫には言うなといって
おけばこんな悲劇は…とか言い始めても仕方ないですけど。
 さぁーてネタバレしますと、ここからもうトリックは始まっています。
 いやさ、犯行が終わった直後から、というべきでしょうかね。
 
 んで死因は頸部をねじれたヒモのようなもの、つまりこたつのコードで絞められたことに
よる窒息死?になるのか。
 そんでさっそく花岡のところに聞き込みが来てます。
 あれ?草薙さん、警察手帳見せたのはいいけどあーたヒモつけてましたか?ちゃんとヒモ
つけておかないとあきまへんよ。
 ともかく彼らは、12/2の夜は何をしていたのかと聞きますが、彼女は、娘と一緒に映画を
見に行き、そのあとラーメン屋へいってカラオケして帰って来た、と答えます。
 これが草薙には気に入らなかったようで、しっかりしすぎているアリバイに疑問を持った
みたいですね。
 確かにそうだと思う。出来過ぎていますからね。
 ここのトリックはもー、あとでわかった時に「やるなぁ石神!」って感じでした。後から作った
アリバイなら確かに完璧だなぁおい、みたいな。
 そう、「後から作ったアリバイ」なんです。これは。
 
 一応引き上げようとした草薙と内海は、丁度帰って来た隣の石神に出会い、聞き込みをして
います。
 12/2のことを聞かれて、「いや、特に隣に変な気配はなかった」と答える石神。草薙は、
郵便物を見ている彼の手もとを見て何か気付いた様子です。

 んでこのあと石神出かけたから何かするかと思ったら、遠くの公衆電話までいって花岡に
電話かけてんの。用心深いなーと思いました。
 でも盗聴用心して公衆電話からっていうのはいいけど、毎回場所変えるとかせんと。石神さん。
 彼が今回アドバイスしたのは、映画の半券についてでした。聞かれない限り最初から見せなくて
OKというのと、パンフレットにはさんでおいてください、と。
 なるほど考えたな石神。
 
 一方で湯川さんの授業に草薙と内海がやってきました。
 理由は、石神の受け取った郵送物の中に、この大学からのものがあったから。つまり、
OBであるらしいので。
 あと、花岡の使ったトリックは何かって感じで。
 興味を示さない湯川でしたが、犯人がすごい美人と聞いて「コーヒーでも淹れよう」
 これはめちゃくちゃ笑えました。

 さて花岡親子のアリバイについてですが、ラーメン屋、カラオケは店員が覚えていたので
アリバイ成立。映画に関しては、石神の言ったとおり、パンフに半券挟んでいてそれを、
内海が発見しました。
 つか最近ではメンバーになれば安く見られるところもあるから、半券なくてもカードの使用
状況見れば一発ですわな。刑事が「平日の夜に映画ですか?」って聞いていたけど、むしろ
平日が安いから見に行く人多いっスよ。レイトショーもあるし。
 平日の夜に出かけてるからあやしい、という見方はよくないぞ、草薙。

 ここの湯川さんが言った、1854ラトビアの教師が突然分裂した、というのエピソードは
意味わかりませんでした。いや目の前で湯川さんも2人になってチョークで黒板に文字を
書いてたんだけど、だから何が?って感じで。
 まあ、分裂でもしない限り無理だと言いたいのはわかったけど。

 そうして、草薙が石神の名前を言ったとたん、湯川さんの表情が一変します。
 いわく、「あまり天才という言葉を使いたくはないが、本物の天才と言えるのは石神だけだ」
って。
 湯川さんをしてそう言わしめるほどの人ならば、相当に頭の切れる人なんでしょう。
 その石神ですが、高校教師で数学を教えているのですが、彼の話を聞く生徒はおらず。
ってか淡々と数式解いてるのはいいけど字汚いぞ。
 しっかしやまとなでしこを思い出さずにはおれない展開ですなぁー。

 花岡らの方は映画のストーリーを聞かれたりと、かなりしつこく刑事に付きまとわれています。
ただ、ここまでしっかりとしたアリバイがあるならば、普通の捜査はもう彼女を容疑者から外して
さっさと他の人間の方に絞り込むと思うんですけどね。
 カンで「怪しいから」という捜査が通るわけじゃないし。
 すべてが石神の言う通りに展開していくことに、驚いている花岡親子。石神に「どうしてここまで
してくれるのか」と尋ねますが彼は何も答えませんでした。
 なんていうか…もう石神の努力がすごいというか。

 んで湯川はこの時は何も思わず、懐かしい旧友を訪ねていくんですね。
 ぎこちなく手をあげてる湯川が何となくよかったなーって思いました。
 石神の家で飲み明かしてるというか、石神は湯川が持ってきてくれた問題を解くのに夢中で
夜明かし、湯川は壁にもたれかかって寝てた。
 つーか石神さんよ。この本の積み上げ方でこの量だと、こんな安普請アパートだととっくに床
抜けてるっスよ…。

 石神は大学に残って研究をせず、親が寝たきりになってお金がいるために、卒業して教師の
道を選んだようですね。
 けれども研究はどこでもできると。それは健在のようです。
 湯川も嬉しそうです。
 こういう旧知の仲っていうのはいいもんですねぇー。
 そんで朝になって2人は出勤していきます。というか湯川はいいけど石神大丈夫か。
頭がぐらんぐらんですけど。
 あと気になったのは、階段を降りていく時に、花にさしてあった鳥のおもちゃを今日は直して
いかないこと。前は倒れていたのを立ててたんですけど。これ何か意味あるのかなと思った
けど、全然なかった。何だったんだ。
 それと、ここの二人で歩くシーンはしっかり見た方がいいです。わざとわかるようなカメラ
ワークされていますが、以前石神一人が歩いていた時と決定的に違うところがあります。
 それが分かっても何に使われたかがわからなかったからすんげー悔しかった。

 別れる場所にやってきて石神はぽつりと、「いつまでも若々しいお前がうらやましい」と
言います。
 それを聞いた湯川は驚いた顔をします。
 まあ普通に別れるんだけどさ。
 あのさ、うらやましいと言った直後に二人の立ち位置変わってませんか?気のせいか?
いいけど。
 石神の後ろ姿を何かが気になるのか、じっと見ていた湯川なのでありました。

 湯川が内海を遺体発見現場に呼び出しました。
 ここで先に来て待っていた湯川が、野球チームに口をはさんでいたのは面白かった。
 そんでまあ湯川は現場を見て、いともあっさりと、被害者は別の場所で殺されてここへ
運ばれてきたんだと言います。
 さすがだな。
 そして自転車についても、しっかりと鍵のついた新品のものを選んでいることから、
犯人はどうしても被害届を出してもらわなければならなかったんだ、とも。
 つまり時刻をはっきり特定する必要があったんでしょうね。
 と私は思ったんですが、内海が「どうして被害届を出すことが犯人に都合のいいことなん
ですか」と聞かれて「さっぱりわからない」って返事してたから、ズコー!みたいな感じでした。

 湯川はまた石神と落ち合って、花岡さんの店へ弁当を買いに行きました。
 そこへ、工藤という、花岡がお店で働いていた頃の客がやってくるんですが、湯川は
ふと、苦痛にゆがむ石神の顔を見てしまうのです。
 彼がどう思ったか知らないけれど。
 私は後から思うに、これすらも石神の計算だったのではないかと思うのです。
 途中までは湯川も欺かれかけていたのだから。

 弁当を買ってほくほくしながら湯川は帰路につきます。
 そうして、帰ろうとした石神に言います。
「誰にも解けない問題を作るのと、それを解くのとではどちらが難しいか。ただし答えは
必ず存在するものとする」と。
 石神は考えておくと言って帰りました。
 つーかこれはどっちも難しいよなぁ。でも、前者の方がやや簡単かも。ヒントを出し渋れは
いいわけですから。卑怯とも言うけど…。

 その夜石神は花岡に電話をかけ、「次のカードを切ります」と言いました。
 湯川が現れたことでこのままではまずい、と思ったんでしょうね。
 湯川が言ったことはそのまま、自分が今やろうとしている工作のことだろうから。

 そゆわけで映画館で娘のクラスメート、もりのくるみという子に会ったということで、
2人のアリバイは揺らがないものになり、捜査本部は立て直しを迫られます。
 っていうかもりのくるみって。
 あーた、日曜日に「スカイローズ・トランスレイト」とか言って変身してませんか?(それ美々野くるみ)
 まだ花岡の犯行を捨てきれない内海は湯川を訪ねていくんですけど、珍しく苛立っている
湯川にけんもほろろな対応をされます。
 気持ち的にはわかるなぁ。
 自分の友人が進んで犯罪にかかわっていたのを知ったとして、それを暴いていいものか
どうか、湯川なら迷うでしょう。
 違法行為だとか、よくないことだとか彼にはそういうの関係ないでしょうからね。
 自分が納得できるかできないかだと思う。

 石神も学校に草薙と内海がきて出勤簿とか調べているのですが、2日と3日の午前中に
休みを取っていることを指摘します。あと、12/2のアリバイがないことも。
 内海はなおも湯川に食い下がりますが、石神は進んで殺人をするような人間じゃないと。
合理的ではないからだ、彼なら別の方法を見つけているはず。と。
 ということは彼が事態を把握した時点で死んでいたとみるべきだし、隠ぺい工作をした可能性は
あると。完璧な工作を。
 殺人の方が彼には(数学より)優しいはずだ、という湯川のセリフはびっくりしましたなー。

 そんな彼らの思惑を多分石神は計算していたのだと思います。
 花岡と工藤が会っているところを写真に収めています。
 捜査本部の方は、富樫がとばく関連だったかな、トラブルがあったのでそちらの方から
調べることにしたみたい。っていうか普通手分けして調べてるだろ!
 石神のところにもまた草薙と内海がきたけれど、手がかりなし。
「今生徒らにやらせているのは簡単なひっかけ問題ですよ。幾何の問題に見えて関数だ」と
追試で学校に来ていることを彼は言います。
 これ、私も高校の時に似たようなひっかけ問題やったことあるけど、気づくと面白いん
ですよねー、解くのが。気がつかないと不愉快ですが。
 そうして草壁らは、隣人以上の付き合いはないのか、ということを念押ししてかえって
いきました。
 その後の付きまとい描写というか、石神の行動がわざと演出されてて、やられたーって
感じっスよ。

 手がかりがないまま草壁と内海は湯川を誘って四川料理をごちそうしています。
 っていうか四色問題の話をしつつ「確かにカラすぎる」ってついでに料理の評価もするな。
何かと思ったじゃないか、湯川よ。
 でもこういう話し方好きですねー。「四色問題というのは隣の国が同じ色にならないように
塗るにはどうしたらいいかというものだ。確かに辛すぎる」っての。
 あー四川料理って辛いんですか。食べてみたいな。
 ちなみにこの辛味成分というのは、ほとんど消化されないので、毎日毎日食べていたり
すると、排泄の時に直腸周辺を痛めるので痔になりやすいそうです。ご注意。

 で、この四色問題をきっかけに2人は出会ったのだけれども、彼はもう解かれた問題を
一心に解いているから湯川が理由を尋ねたら、「あの答えは美しくないから自分で探している」
って。なんか数学者だな!って感じでいいですねー。私が習った数学の先生も美しくない
数式は嫌いな先生だったなぁ。
 内海が、お二人はライバルなんですか、と聞いてて湯川はそれを否定。
 例えが悪くて申し訳ないんですけど、高杉が岡田似蔵に「昔の同志」と言われて「二度と
俺達を同志なんて呼び方すんじゃねェ そんな甘っちょろいモンじゃねーんだよ俺達は」というのを
思い出してました。
 ともあれここで内海がふと漏らした、今日の石神の様子を聞いて湯川、何かに気付きました。
 それは同時に、なんていうか、言いようのない感情を湯川にもたらしたんじゃないでしょうか。
 石神に電話した湯川。
 石神は逆に、登山に誘いました。

 はい、では新八に言ってもらいましょう。「ちょ、おい、なんで登山!?なんでいきなり登山!?
しかも次のシーン、途中描写一切省いていきなり雪山にきちゃったよ!展開急にもほどがあるだろおい!」
 と言うわけで雪山です。

 一方で花岡は工藤に不審な手紙が届いたことを知って驚愕しています。
 それは、2人の仲を裂こうとするものだったからです。
 彼女には痛いほど心当たりがあったから。

 雪山での2人の語りは、双方とも天才であるがゆえの内容と申しましょうか。
 けれども湯川は決定的なことは口にしなかった。
 何故言わない、と石神に問われて湯川は言いました。
「キミが友達だからだ」と。
 けれども石神は「ボクには友達はいないよ」と否定。
 多分これ…湯川に迷惑がかからないようにってことだったんじゃないのかなぁ。
 もうね、結末を知れば知るほど石神の生き方が、ひたむきですごいなと感心させられる
ばかりですよ。

 「この問題を解いても誰も幸せにならない」

 花岡のところに石神から最後の電話がかかってきたのです。
 おびえる花岡でしたがやがて彼女は真実を知ることになります。
 おそらく彼女だけが知る真実を。

 つーか花岡娘。おめーは何読んでんだ。「執事様のお気に入り」か。(マンガのタイトルなんか
どうでもええですやん)

 石神は自分こそが富樫を殺した犯人であると名乗り出ます。
 以前から花岡さんをストーカーしていて、やってきた富樫を疎ましく思い殺したと。
 それが本心でないのは、見ているこちらにもわかるから、それであの写真か、と納得いく
わけですよ。
 ここ数日の異常な行動はすべてこの伏線のためだったんだって。
 けれどもなぜ彼はここまで花岡親子をかばうのでしょうか。

 石神が読んだら処分してほしいと頼んでいた手紙には、花岡へ向けた最後のお願いが書かれて
いました。
 工藤はとても誠実な人物で、付き合うには問題ないこと。
 どうか、罪悪感を持たずにこれからは二人幸せをつかんでほしいこと。
 自分のことは忘れてほしいこと。

 留置所に入った石神が四色問題のことを思い起こしているシーンがあるのですが、
学生時代の湯川と石神が声だけでてきますけど、さすがは名役者。うまいですねぇ。声を少し
高くして演じてます。やるなあ…。
 
 落ち込んでいる湯川のところに内海がやってきます。
 彼はぽつんと、石神と再会した時に、湯川の容姿のことを言った、彼は自分の容姿なんておよそ
気にする男じゃなかったのにと、聞きようによってはかなりひどいことを言います。
 つまり彼は恋をしていたんだと。
 内海は「彼は一体何をしたんですか」と聞きますが「この真相を暴いても誰も幸せに
ならない」と湯川は言います。
 うーん…。
 難しいですよね。
 石神が人生かけてまで隠そうとしていることを、湯川が暴いていいものか迷うというのは
とてもよくわかります。
 けれども真相は真相として明かされなければという気持ちもあるでしょうから。
 彼は「友人として聞いてくれるか」と言ったあと、「この事件の結論はすべて僕に任せて
欲しい」と言いました。

 湯川は花岡と話しています。
 12/2は実際にあのアリバイであっていると。
 富樫を殺したのは実は12/1であり、石神はあなた方を守るためにとてつもない犠牲を
払ったのだ、と。

 拘置所に輸送される石神を湯川が訪ねて来て、ことの真相を話したわけですね。
 このトリックもすりかえだったと。
 どうしてそこまでして彼女を守るんだ、と湯川は言うけれど、石神はそのまま出て行って
しまいました。

 石神には自分の人生を、命を犠牲にしてでも返したい恩が花岡にあったんです。
 それはもう、大きな大きな恩でした。
 ところが輸送される彼の前に花岡が現れてしまう。
 遂げられようとしていた石神の計画は最後の最後で崩されてしまったのです。


 こうして事件は収束しました。
 17年前石神と出会ったベンチに座っていた湯川。
「もし石神が愛することを知らずに生きていたら、こんなミスを犯すことはなかったかも
知れない」と言います。
 ミスというのを悪い意味で使っているのではなくて、彼らしくないことをしなかった
だろうなという意味だと思うのですが。
 けれども石神はやっぱり幸せを知ることができたんじゃないのかな、と思うのです。
 だからこその献身だったと。

 なんかもう、ひたすら圧倒された話でした。
 死体のトリックはなんとなーく気づいてくるんだけども、その裏の動機がすごかったなって。
 これ続編があれば見たいものですね…。



多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→容疑者Xの献身