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火天の城

10/7鑑賞

 うーん…圧倒的で面白いことは面白いんだけど、もうちょっと、完成後の余韻が欲しかった
なあって感じでした。
 こう、「城ができたー!」っていうのを主人公とともに喜びたいっていうのが。
 信長で最後シメちゃいかんだろう。(もちろん城のライトアップはあるのですが)
 そこだけがちょっと残念でした。

 ちなみに昔歴史の問題で「一夜城を建てたとされる人物の名をかけ」ってのがあって、
確か答えは豊臣秀吉だったと思うのですが、「大工さん」と答えて×をくらった人が
いたそうです。合ってるがな!

 さて今から500年前。信長が安土城を建てたけれども3年で消失した、という説明が
入ります。…焼失じゃなくてですか?確か焼けたと聞いてましたが。
 ともかくそういう幻の城のお話だそうです。
 つーか3年かけて建てて3年で焼失って。関係者聞いたら激怒のあまりあの世から
早馬で戻って来そうな感じですがな。

 時は天正4年、熱田。おお、BALLADの2年後ですな!
 宮大工の岡部又右衛門が今日も元気に仕事をしていると、織田信長がやってきて
のどが渇いたって言いました。
 そこらで飲めよ!水あるんだからさぁ!
 んで水を飲んだ後信長は、もちろん水飲みに来ただけではなくて、城を作ってくれと
言いにきたわけです。

 BALLADのあのおっさんも鷹狩りのついでに寄ったとか言いながら婚儀話を持ちかけて
きていましたが、回りくどい言い方は日本人特有ですな!
 ヘタリアの日本の原型がこんなところに!
 いやともかく、BALLADと火天の城、意外な共通点は、主役がどちらも「おまたのおじさん」
だというところです。(もっとほかに共通点あるぅー!)
 
 ちなみに信長の、城の条件。
・安土の山を丸ごとひとつ城にする
・天守は50
・3年で建てろ

 現代の建築技術ならともかくこの当時でムチャ言うにもほどがあります。
 でもおまたのおじさんが引き受けたので信長満足そうです。
 またえもん(なんかドラえもんみたいだな。体型とかそっくり←失礼だから!)が引き受けた
と聞いて、築城奉行とかいう人らは笑い物にしています。
 いやあんたらができないから信長は頼みに行ったんだと思いますが?
 頭悪いからそんなこともわかんないのね。
 
 またえもんの下で働く人たちは、棟梁なら大丈夫だ、と思っている様子です。
 そのまたえもんは家で図面とにらめっこ。
 この家が工夫凝らされていて面白いのですよ。格子の向こうに図面の倉庫があって、
スライド式の棚なんですよ。今でも十分通用する感じ。いいなぁこういう書庫が欲しい。
 というわけでまたえもん、安土に行くって奥さんに言うのですが、この奥さんがとてもよく
出来た人で、もうちゃーんと旅支度がしてあった。ツーカーですねぇ。

 そんで彼が安土にきてみると、信長が城の縄張りを決めていた。
 …あんたそんなムチャクチャな測量を…。
 信長張り切りすぎです。旅行前日の子供か!
 まあ、ここに決めた理由は、周囲の国が見渡せるから、っていう信長らしい理由
みたいですけどね。
 ただここで信長「おおさか」って言ってたけどこの時代はまだ「おおざか」ですよ。

 あと、信長がやたら広い城を要求したのは、戦乱の世から民を守るという目的も
あったようです。
 確かに信長は非情な性格の部分だけがクローズアップされやすいですが、民には
優しい面もあったと聞いています。
 土地をだまし取られた老婆の話を聞いた時にも、相手をすぐにとらえて老婆に土地を
返してやった、なんて話もありますしね。
 まああれだ、今で言えばこざかしいガキがそのまま大人になったような感じ?カッと
なると手がつけられない部分もあったけど、人の話を聞く一面もあったんだとは
思いますよ。
 上司になられると困る人ナンバーワンでもあるけど。(ギリギリのラインで無理難題
押しつけてきそうだから)

 そういうわけでまたえもんはいろんな建築を見て写生して歩きます。一点透視図法
うめぇな!さすが。
 あと信長がまたえもん呼んで地球儀見せてるんですけど、回すと爆発する爆弾とか
脅してるのがオチャメでおもしろかった。
 当時の言葉で「マパムンド」というらしいです。へぇー…ってこの時代には日本には
まだ登場してなかったよね!?まあいいけど。多少の誇張も必要だ。
 あと信長さんへ。レースの服、シュミ悪い…。
 
 で。
 信長は、城を四重までは吹き抜けにしろって言うんですね。んでその上の天守に
自分が住むと。
 しかしまたえもんはなぜかこれに関しては「うん」と言わなかった。
 それで信長はムッとして、指図争いで棟梁を決めると宣言します。
 指図争いは要するに、建築図を持ち寄って一番いい人に決めるっていうことです。
 このあたり字幕で説明が出るのでわかりやすくていいです。

 築城奉行は、ほれみたことか、田舎大工が、と笑ってますが…。
 まさかおめー、自分が選ばれるとでも思ってんのか?
 めでたい頭だな。切りとってさっきの地球儀でものっけとけよ。

 さてそれからいろいろありまして。指図争いの場になりました。
 金閣寺作った人とか奈良の大仏作った人とかがそれぞれ趣向を凝らして吹き抜けつきの
図とモデルを作ってきた中、またえもんのだけは、吹き抜けがなく、それでいて堅牢な城を
デザインしてきます。
 なぜ吹き抜けを作らなかったのか。
 またえもんは、それぞれの城のミニチュアに火をつけることによって証明しました。
 もしも敵が攻めて来て火がつけられた場合、吹き抜けはそのまま火の通り道となる。
 だからまたえもんは、信長の安全を考えてあえてつくらなかったわけですね。

 普通なら建築の素人だと思っても殿さまの言われることですから黙って作ります。
 けれどもまたえもんは自分の命をかけてまでその命令に背き、あくまでも殿さまの安全を
第一とした城造りにこだわった。
 そういうことです。
 そして信長もそれが見抜けないほどのうつけではありませんから、またえもんの考えに
いたく感心し、「これなら落城しても舞を楽しむ暇はあるな」と言いました。
 いや、逃げろよ。
 そういうわけで信長はまたえもんに、城を3年で建てろと命じました。
 これにはまたえもんは、ノーとは言いませんでした。

 余談ですが、あの9.11の時のワールドトレードセンターも、炎がエレベーターシャフトを
通じて一気に各階に回ったと言われています。また、非常階段が上から下までつながって
いなかったことも問題だったのですが、そうして行き来に便利な建物が、火の回りを早くして
しまったことで倒壊につながった一因にもなったそうです。
 アメリカの防災に関する建築基準が法改正によって弱められてしまったためなのですが、
「便利さ」を優先することが必ずしも防災にはならないという皮肉な例だと思います。

 そういうわけで築城が始まりました。
 段ボールで作っていたどこかの城とは違ってセットが大変そうです。
 またえもんは部下に「木は育った方位のままに使え。南に生えていた木は南の方角に」
と指示。すごいです。見てパッとわかるのはやっぱ大工さんだからですかね。
 あと、部下に「華麗なるスパイ」の霧山がいました。どうしたんですかボス!時代を超えて
潜入ですかボス!名前わかんないから今後ボスにしときます。
 それともう一人、山本太郎さん演じるクマ。この人新撰組の時もだったけど時代劇の役が
映える人だと思います。

 さてここで問題が生じました。
 またえもん、信長に会いにいきます。
 なんでも、天守を支えるための柱に檜を使いたいのだけれども、それがあるのは敵国、
武田勝頼の領地内、木曾なんちゃらの土地にだというのです。
 飛騨檜というそうなのですが、その中でもめっちゃ太くてでかい檜でないといけないらしい。
 信長は面白がってまたえもんに行って来いって言ってました。
 何人か護衛つけてやれよ!

 さて信長は部下2人と茶を飲んでます。
 茶器を部下の一人が褒めるのですが、その価値は誰が決めたとかまたこいつ屁理屈
言ってるよ。その人がいいと思やそれでいいだろうが。
 最後割りやがったし。
 お前は家宝荒らしの伊達政宗か!(この人もよく家宝を壊してた)

 またえもんの方は、ドストレートに、木曾なんちゃらに会いにいって捕まえられてました。
 でも、まったく下心なく、本当に檜を求めてやってきたまたえもんに対して迫力負けしたん
だと思いますが、木曾なんちゃらはじんべとかいう兄ちゃんに命じて、檜を見せてやるのです。
つーても、本当に檜あげちゃったら武田に「なんばしょっとね!」って怒られてしまうので(それ
別の武田じゃん)、適当に檜見せて、見あうものがないということで帰らせろって命令だったん
ですね。
 このじんべという人のさらに下に仕えているじいさんがいるのですが。
 ほんのちょっとしか出番ないので気づきにくいですが、あのラストサムライにも出ていた、
斬られ続けてン十年、のあの人ですよ。

 さて、またえもんの娘、りんと仲のいい、いちぞーってのがいるのですが、これがうまいこと
木を削ったりできないらしくて、乱暴にやってて怒られるわけですね。
 それで「俺、不器用だから」って。お前は高倉健さんか!つーかBOSSの片桐か!
 で、そのいちぞーをボスは、不器用は宝だ。どうしたらいいか工夫して努力する、俺も昔
不器用で、棟梁にそう言われたんだって言って励ますのですね。
 確かに不器用な人ってうまくやろうとあれこれ工夫する努力家が多いですよね。それが
今の「日本人は手先が器用」につながるのではないかな、と私は勝手に思っていたり
するのですが。

 さてさて檜を探しているまたえもん。
 じんべと野宿になるのですが、魚を自分が食べた後じんべに差し出すと、彼は「残りもの
などいらん」と言うのですね。
 けれどもまたえもんは、一つのものは皆で分け合ってきた。残り物をやるというのではなくて
分かち合うという気持ちだ、と言う。
 それにじんべはいたく心を動かされます。
 そして翌朝、またえもんはついに目的の檜を見つけます。
 ところがじんべは「これはうちの祭りで使うもんだ!お前にはやれん!帰れ!」と彼を
殴る。
 というのも、追手が2人の様子を見ているのを知っていたからなんですね。
 だからわざと手荒く追い返した風に見せかけて、実はまたえもんに「大雨の日を待て」と
言っていた。
 彼もまた、どんな城ができるのか、見たくなった一人だったのでしょう。

 そうしてまたえもんはやっとこさ帰ってきます。
 皮肉なことに、戦が始まって櫓を組む必要があるからと、大工数人が連れていかれることに
なり、その中にいちぞーも混じっていた。
 皆は、城を作りに来ているのにどうして戦いに駆り出されなければいけないんだ、と怒って
います。
 それは…信長に言った方がいいような気がする。
 戦に駆り出されたらそれだけ城の完成が遅れる、他のとこから調達してくれ、とか。
 首はねられるか…。

 あと、いちぞーにりんが、「そんなに死にたいの!」とか言ってました。
 死ぬの前提で話をするなぁぁぁぁ!
 それとお偉いさんが檜の催促うぜーです。

 仕事の後の飲み会で盛り上がっている中、クマが、戦に行った奴はいつ戻るんだ、
檜は全然こねーしよと言って一気に空気盛り下げました。
 皆せっかくお酒飲んでいい気分になってたのに…。

 それからしばらくしてやっとこさ戦から皆帰ってきたのですが、いちぞーの姿はありません
でした。
 …つーかりんのせいじゃね?死亡フラグとか…。
 そのりんは、お母さんに「城のためならお父さんは人の命なんてどうでもいいの!?」的な、
「え?その展開どこであった!?」ということを言って怒られてました。当たり前だ!
 
 檜が届かないまま、仲間の間でも段々と焦燥感がただよってきました。
 またえもんも奥さんに対して鬱憤を爆発させるのですが、この時の奥さんの言葉がすごく
良かったです。
「私がいつも笑みを絶やさぬのは父の教えです。女は家内の日輪、何があっても微笑んでおれ、と」
 日輪よー!(違う)

 ここで奥さんが鼻水出ていてそっと拭っていましたが、これは多分アドリブかなんかかなと
ちょっと思いました。(いいシーンでどこを見ている)

 またえもんと、石工のせーべーさんが、蛇石(ヘビの模様がある)の上で月身酒をする
シーンがあるのですが、せーべーさんは、石に教えを乞う心、石の気持ちを聞くことが大切だ
と教えてくれます。
 またえもんはそれを生かして、木の声を聞こうとするんですね。

 奥さんはお百度参りをしていました。ほんっとうにいい奥さんだー。
 でもなんか体壊してるっぽいのが気になります。

 そんな中やっと雨が降りました。
 そしてついにあの檜が届くのです。(ここ、海を見ていた奥さんの顔が笑顔になることで表現
されています。すごいです)
 なんでいかだの、檜の上に秀吉が乗ってんのかって気もしますが、うまいこと先回りしたんだと
思っておきましょう。

 ところがその代わりにじんべーは木曾なんちゃらにとらえられて首をはねられてしまうのです。
まあでもその心意気に感じ入るところがあったのか、手厚く葬ってやれとは言ってましたけどね。
 武田に対しての名目上、首をはねないと申し開きが立たなかったので仕方ないとは思いますが、
木曾なんとかも惜しい人間を失いましたね。

 またえもんはじんべーからの手紙を受取って涙してました。
 つかこの手紙、思い切り現代仮名遣いなんですけど。いいのか。陣ベエとか書いてあったし。

 天正5年、夏。
 皆の協力であの檜が立派な柱になって立てられました。
 
 そして季節は早くも冬。
 またえもんの忘れた図面を届けに行った奥さんは途中で喀血します。
 胸の病ですかねー。
 それをずっと隠してるのが健気っつか、もうほんっとまたえもんにひたすら仕事に打ち込んで
欲しかったんだなという感じですよ。

 えー。
 それで季節はまた巡りまして。
 あの蛇石ですね、お偉いさんが動かせとか言うんですよ。
 信長に持ってったら喜ぶだろうからって。
 せーべーさんは、動かせば祟りがあるというんだけど、バカばっかだから聞きやしねぇ。
 そういうわけで石を動かすことになります。

 そんな中、奥さんの病状が悪化して、りんに「お父さんのことを分かってあげて」と言い
彼女は息を引き取ります。
 知らせを聞いてまたえもん、飛んで帰ってくるのですが、ここで彼女の死が受け入れられず
「なんで息をせんのだ」ってうろたえる様子が、西田さん流石の名演技だと思いました。
 
 翌日、仕事に出かけるまたえもんをりんは信じられないみたいな顔で見てるのですが。
 多分奥さんも自分のそばにいて仕事をないがしろにするよりも、そうやって悲しみをこらえて
でも仕事に出かけることを望んでいたと思います。
 夫婦にしかわかり合えないことでしょうね。

 そういうわけで信長自ら立ち会って、みんなの力で石を動かすことになるのですが。
 クマが惚れていた、うねという女が実は、信長の命を狙うくのいちだったわけですね。
 そうして爆発が起きてあたりは大混乱。
 うねと、それをかばったクマは殺され、多くの人達が転がった石の下敷きになり犠牲と
なります。
 ほれみい、石を動かしたからだろうが!
 
 またえもんが誰もいなくなった作業場にいると信長がやってきて、「早く仕事しろよ。
俺っちの命令だしー」って言って帰って行きました。
 ここの信長はむかつくなぁ。
 しかも城に帰ってやってることが、賛美歌を聴くこと。
 お前の服の背中部分に「ド阿呆」って刺繍したろか!
 つかもともと死者がたくさん出たのお前のせいじゃね?

 そういうわけでですね、またえもんが「オー人事」に電話しようか迷っていたかは知りま
せんが、彼は雨漏りがしているのに気付きます。
 梯子をあがって見てみればなんか柱の組み合わせがゆがんでいた。
 いやーここはこの映画一ヒヤッとするシーンですね。
 下を映さんでいいから!まじで恐いから!
 どこのホラー映画だよ!マジ画面直視できないからやめてください!
 というわけでりんちゃんも上がってきました。
 …この映画はあれですか、高所恐怖症の人への嫌がらせですか?
 こぇぇんだよ!

 そんなところに皆がやってきて、「棟梁水くせぇよ!俺らにも手伝わせてくれよ!」って、
そろそろ映画も終わりに向けて盛り上がりますよということを知らせてくれます。

 なんか、親柱の周りの礎石が沈んで高さがゆがんでるってことらしいのですね。
 それにはこの一つの柱を持ち上げてえー4寸だから12cmくらいか、削らないといけない
らしい。
 持ち上げてと簡単に言いますが、もう組まれちゃってるわけだから、人力で持ち上げる
しかないわけです。
 女子供も一緒になって、時間もないことですし割とサクサクと持ち上げます。
 そして柱を切って、またえもんが頑張って仕上げしているのですが、なかなか仕上がらない。
 そこに死んだと思われていたいちぞーが華々しく登場。作業を手伝って、柱は無事、もとの
場所へと戻されます。

 こうして安土城はできたのでした。
 …一気に終わっちゃったよオイ!
 内部の映像とかないのかよ!
 
 最後満足してる信長と、ライトアップされた安土城の映像で終わりました。

 最後が物足りなかったのはともかくとして、他の部分はものすごい迫力あってよかったと
思います。
 簡単に、この城は誰々が建てた、あの建物は誰が建てたというけれども、その陰には
こういった職人さんたちの努力があるわけで。
 そういう意味でもそこにスポットがあたったいい映画だったと思います。



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