多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→最後の忠臣蔵


最後の忠臣蔵

12/23鑑賞

 殿に忠義を尽くすは武士の本懐、てな言葉がありますが、この映画を見てつくづく、
こういう武士がいたとしてもおかしくないなぁと思いました。
 殿に命じられた使命ならば、命を賭して成し遂げる、たとえ裏切り者のそしりを受けようとも
たいしたことではないのだ、という思いに圧倒されました。
 佐藤さん演じる、寺坂という人物は実在したらしいですが、彼が本当に裏切って逃げたのか
この物語のように後者へ事実を伝えるために逃されたのかはよくわかってないみたいですね。
けれどもいろいろな人の対応を見ているとやはり私は、後者の目的があって逃されたのでは
ないか、と思います。
 また、役所さん演じる孫左もこの人はなぜ逃亡したのかはわかってないらしいですが、寺坂
同様「何らかの目的があって」逃げたのではないかという見方もあり、そこからこういう作品は
生まれたのでしょうね。
 普通の忠臣蔵には飽きたという人にはいいかもしれません。

 えー波の荒い浜辺を歩くおっさんが一人。
 もっと波から離れて歩けばいいものを、ざぶざぶ足元濡れてますが、何をしたいんだ。
 彼の名は寺坂。
 ある目的があって日本全国を旅してきた人です。
 彼は漁師とともに船を浜へあげていた、きわという女性に声をかける。
 きわもかなり驚いた風で寺坂を迎えます。

 この二人の会話から、寺坂の旅の理由がわかります。
 彼は16年もの間、全国に散り散りになっていた赤穂浪士の遺族にお金を渡すのと、討ち入りの
様子を伝えることが目的だったようです。
 お金を受け取ったきわさん、たいそう喜ぶのですが、いきなり様子が変わって「寺坂は一緒に
腹を切って死んだはずだ!」とか言い出します。
 もらうもんもらったら偽物扱いか…。(コラ)

 寺坂が説明したところによると、彼は討ち入りの時に伝令の役目をした。そのためあちこち
走り回って様子を一番把握しているはずだからと、討ち入りの後大石の蔵ちゃんが(オイ)彼に
あることを命じたらしいんですな。
 まずは今の休憩していた場所から別行動とって、広島の浅野の本家にいき(ここで説明として広島と
いう言葉が出てくるのはどうかと思いますが…)、そのあと討ち入りした浪士遺族を訪ねてまわって
ほしいというものでした。
 大石が「処断され死に絶えた後」というセリフ言ったんだと思うけど、切り方がおかしいのちょっと
気になった。
 「処断されしに、たえたあと」みたいな言い方してたんだけど。
 処断されしに、耐えた後、というセリフなのかな?にしてはあとにつながらないし…。
 まあいいや。
 ともあれ、大石は寺坂に大変な役目を与えたわけです。
 それで彼は16年もの間、その任務を全うした、というわけなんですな。
 すごい精神力がないとやってられないですよ。命じた本人は死んでいるわけですから
命令を放り出すこともできた。
 けれども寺坂は忠義心でもってそれに答え続けたのです。

 事情を知ったきわも、寺坂の苦労をねぎらいます。
 で、来年の2月には赤穂浪士の17回忌があるらしい。
 それに参列したいのでと寺坂は帰っていきます。
 任務を終えて肩の荷が下りたでしょうね。

 最期の忠臣蔵、ご声援ありがとうございました。(物語、これから!)
 あれ?全員にお金配って報告して終わりではないのですか?
 ま、何より寺坂がやれやれと思っていたところでしょうが、彼は帰りの茶店で、偶然にもある
人物を見かけるのであります。
 とある寺から坊主に送り出されてかごに乗った人物。
 その人に寺坂は見覚えがありました。
 あわてて茶店を出て追いかける寺坂。
 大変だ!食い逃げじゃー!食い逃げじゃー!

 すっごいナチュラルに食い逃げしやがったぞこいつ。

 で、その寺坂、かごを追いかけるのですが…。
 え?なんであきらめた?
 タクシーじゃないんだから走ったら追いつくやろ!
 もしくは「見なきゃよかった…見なかったことにしよ!」とか?

 そういうわけで追いかけられていたとは知らない孫左帰宅。
 使用人みたいなおっちゃんが、可音を預かっている、と言ってきます。
 近くの、ゆうさんという女性のとこにいたらしくて、可音、孫左の帰宅を遅いとか怒って
おりますですよ。
 わがまま言うな、働いてない家事手伝いが!(コラコラコラ)

 孫左は商いで素晴らしいツボを手に入れてきて、これを目利きの人に売りたいらしいけど、
ゆうさんが言うような、茶屋のご主人みたいな人は恐れ多くて目通りできないとかなんとか。
 と、ここでゆうさんがいきなり筆をとって何やら紙に書き始めます。
 「いただきましたー」
 (それSPECの当麻)
 これを持っていきなさい、会ってくれるからという話からして、ゆうさんは紹介状を書いてくれた
らしいですね。
 びっくりした、いきなりちぎって投げるのかと思った。←別に事件起きてないですよね?
 
 寺坂の方はあれきりかごの追跡はあきらめたらしくて、進藤というおっさんの屋敷に身を寄せて
いました。
 進藤は大石の親類にあたる人で、寺坂をねぎらい、法要の日までゆっくりしてけばいいじゃん、と
いってくれます。
 寺坂は一応孫左のことを聞いてみますが、「マジ知らねーし」と言われただけでありました。

 討ち入り前夜に孫左は突然逐電(逃亡)したらしくて、寺坂にも何も言わなかったとなれば
何やら理由があったのかもしれませんなぁ。
 身寄りがなく、元から討ち入りに前向きだったのなら逃げるはずがない。
 他にも逃げた者はいたようですが、孫左と親友だったという寺坂だったら、生きていた彼の姿を
見かけて、逃亡ではなく何かあったくらいは考えたでしょうね。
 自分自身大きな使命を与えられていたわけですし。

 で、そんな大事な話をしているのに進藤、さらっとスルーしやがりまして、面白い見世物が
あるから行こうよ、と寺坂を誘います。
 その面白い物とは。
 人形浄瑠璃でした。
 ああ、わかってたよ!この時代の娯楽がWiiとかウィンタースポーツじゃないのわかってた!
 くそぅ…。(何に怒ってんだよ)

 さてさて。
 孫左の方はおっかなびっくり茶屋を訪ねるのですが、ゆうの手紙を出したところ、本当に
茶屋の主人と目通りがかなったので驚いています。
 主人は孫左の商売っ気がないのをたいそう気に入ったようで、ツボ買ってくれるらしい。
 さらに、夕霧との縁はどういう縁かと聞いてくるんで孫左はなんのことって感じなんですーが、
ゆうさんは昔島原にいた太夫で、それを茶屋主人が身請けしたらしいです。だから本名が「ゆう」。
 孫左は知らんかったから逆にビックリって感じですね。
 つか身請けするにしてもお前、あんな人里離れたようなとこに一人で住まわせておくのも
どうなのって気がしなくもありませんが。
 ともあれここでできた不思議な縁が、これからもさらに不思議な出会いを招いていくことに
なるとは、この時点で脚本家以外知らなかったに違いありません。

 人形浄瑠璃に進藤に連れられて寺坂がやってまいりますと。
 何の縁だか、茶屋主人が息子とともにやってきてるんですな。
 その息子とは…土方はん!土方はんやありませんか!あなたも京におられるとは!
 まあ新撰組!で土方やってた山本さんというネタなんですけどね。
 ともかくそのバカ息子…もとい修一郎は、人形浄瑠璃を見に来たはずなのに、お客さんを
見ているという何してんだてめーはみたいな状況で、座っていた可音に目をとめるので
ありました。
 めっちゃーフォーリンラブらしいです。
 孫左は何してたかというと弁当買いにいってたっぽいんだけど、戻ってくる時に、桟敷に
寺坂がいるのを見つけて「マジヤベー」ってな感じで、可音とともに帰るんですな。
 まあその判断は賢明だと思います。
 彼の使命はまだ志半ばなのですから。

 この後なぜかよくわかりませんが、水戸黄門のお色気シーンよろしく、可音の入浴シーンが
ありました。

 可音はこのあとも、離れて食事する孫左に、一緒に食事したいとか言ってます。
 というか、可音は座敷、孫左は囲炉裏のそばなんですが、どう見ても孫左の方が暖かい
ように思えるのですが…。
 孫左としては、武家の姫らしくきちんと礼節を持ちなさいと言いたいらしいんですが、可音と
してはそれが不満らしいです。
 まあ年齢的に反抗期なのもあるんじゃないスか。
 というか孫左が女心に対して鈍すぎるってのもあると思うのですが。
 おーい、フォロ方さん呼んで来い!
 なぜフォロ方さんなんでしょうか、人形浄瑠璃見てた方じゃダメなんでしょうか!同じ土方じゃないですか!
(事業仕分けの口調で)

 この後、私はさびしい、孫左は仕事をしている間私と離れていてさびしくないのか、と聞かれて、
孫左が「少しはさびしい」と言ったことで可音も満足したようです。
 やっすいのー!(コラ)

 その孫左、茶屋主人に呼ばれまして。
 主人が言うことには、修一郎は女嫌いだったんだけども、こないだの人形浄瑠璃で一目ぼれした
女性がいて、それをなんとかツテで探してくれないか、とのこと。
 ムチャ振りにもほどがある!
 今ならまだ写メとってそれで探せるでしょうが、たまたま見に来てた女探せってお前どんだけ
ノーヒントでフィニッシュです、なんだよ!
 …まあ孫左にはバリバリ心当たりあったんですけどね!
 そういうわけで孫左、一応引き受けることになります。
 何もなければ「それはうちの可音さまでございます」と言えたのでしょうが、この時点で孫左は
言えないわけがありました。
 それはおいおい明らかにされていきます。

 ゆうも、それはよい縁談だと喜ぶのですが、渋っている様子の孫左に、まだ理由は言えませんか
みたいなことを言います。
 彼女は、孫左が16年前、乳飲み子だった可音を連れて雪の中たどり着いた時からずっと、
二人の世話を何かと焼いてくれたようですね。
 言わば大恩人なわけですか。
 そんなゆうにも話せないほど、孫左は重い使命を背負ってるんでしょうな。
 16年もの間、ゆうは可音に礼儀作法から芸まで教えてくれたらしいですが、本当にいい人に
巡り合えたもんですなぁ。太夫だったら一通りのことはできるしね。
(太夫や花魁はかなりの教養がないとなれませんでした。お客さんとの歌遊びとかにもついて
いけないといけないので)

 孫左は可音に、嫁にいきませんかみたいなことを言うのですが、可音は当然「いや」と。
 まあ話の持っていきかたがまずいというか、孫左空気読めてないというか…。
 あなたを幸せにするのが「使命です」と言われて、怒らない女性はいやせんぜィ孫左さん。
 まるで義務のように聞こえるから。
 孫左と暮らしたい、という可音。
 
 この後可音は一人で人形浄瑠璃を見に行きます。
 こないだの時は孫左が寺坂に気づいて途中で帰ったので、続きが気になるらしい。
 そこに修一郎がやってきていて、帰る可音にまとわりついて「彼女、家どこ?名前は?」って
聞いてて、めっちゃウザい感じでちょっと笑いました。
 解説には「真面目」って書いてあったけど、どう見てもナンパ男にしか見えんのですが。
 そういうわけで、今日可音に会ったと早速茶屋主人に報告する修一郎。
 でも、可音には好きな人がいるみたいだ、ということがここでわかります。
 誰とは言わなかったけど、なんとなくそういうこと言ったらしいです。
 それを今度は主人から聞かされて困る孫左。
 あんたらは…。回りまわって本人の耳に入ってんじゃねーか!

 しかも帰宅してそれをストレートに可音に聞いちゃう孫左。
 うなずく可音に動揺しまくる孫左。
 薪割りで斧が薪に刺さって取れなくなってるのめっちゃ笑いました。
 しかもさらに、そこで「誰ですか」と聞いちゃう孫左。
 鈍すぎます。
 可音、怒って部屋の中に引っ込んでしまいました。

 というわけでゆうに相談しに来た孫左。
 ゆうは、「可音様は恋しちゃってるんですなぁ」みたいなこと言い出します。
 目の前の孫左はまさに「変しちゃってるんです」けど。

 ゆうは、可音は孫左のことが好きなんですよ、と断定。
 それを聞かされて激しく動揺する孫左。
「いやいやいやいやナイって!ナイナイナイナイナイナイって!これはナイって!!」と
隠し子疑惑で動揺する銀さんか!
 どっちも動揺しすぎだろ!

「私は色恋のプロ、見たてに狂いはないですよ」というゆうさんの言葉を即座に「くるってる」と
否定する孫左。
 お前…言い方ってもんがあるだろうが!
 これは定めです、どうにもならない、というゆうに、悩む孫左。
 でも私は、孫左は立派なとこに嫁がせて…と思ってるかもしれないけど、可音がそれを幸せだと
思うのであれば、一緒にいるのもいいかなーなんて思ったりするのですけどね。
 まあ大切な身の方ですから、孫左としてはそういうわけにもいかんのでしょうな。
 
 可音が勇気を出して、私が嫁いだら孫左はどうするの、と聞いてみたところ、孫左またまた
「ゆうさんが世話を見てくれるかもー」と空気読まない発言。
 そりゃあまた可音が「私邪魔ってことか」って怒るよなぁ。
 でも孫左はそんな可音をたしなめます。
 可音を育てて立派なところに嫁がせるのは私の使命です、と。
 だからそれが空気読めてねぇつってんだろうがおっさん!このマダオが!
 使命使命と言われたら、可音だってカチンときますわな。
 ここで、可音が立派なところに嫁いでくれたら自分は幸せです、とでも孫左が言ってたら
可音だって救われたんでしょうけどね。

 ここらで可音は決意したんじゃないかな、と思います。
 茶屋を訪ねて、男物の反物を買ってました。
 多分孫左に仕立ててあげるんだろうなぁ。
 この時修一郎が対応したんですけど、「可音さんが着物買ってったよ!男物っていってたけど
父親にではないようだよ!」みたいな報告をまた父親にしていて、お前は何でもかんでも報告
すんなや、とはちょっと思った。

 可音は帰宅するのですが、反物買ったとばれないようにかくして帰るのはちょっとかわいかった
なぁ。やっぱりお年頃って感じで。
 でも心配してた孫左に、「もう子供ではない」とか言いながら上がるのはいいとしても、子供じゃ
ないんだったら脱いだ草履くらい揃えましょうね!

 さらにさらにこのあと、着物を仕立てるとはいったものの、サイズがわからなかったらしくて、夜
孫左のとこにいって無理やり、着古した着物を奪い取っていくのが面白かった。
 人を夜中に叩き起こして何してんだてめぇはよ。

 えー、茶屋の主人から可音のことを聞いた進藤。
 出てくるのが久しぶりすぎてすぐ名前思い出せんかったわ!
 進藤は、可音の名を聞いて何か思い当る様子でした。

 可音、という名の横に進藤は可留、という名を書いて寺坂に見せます。
 大石が昔京にいたころ、世話をさせるためにそばに上げさせていた娘がいたのですが、その
名前が可留といったらしいです。それが、大石が去った後身ごもったらしい、と。
 なるほど、つまり可音は、大石の隠し子である可能性が出てきたわけですね。
 ここまできたら進藤のこと、なぜ孫左が逐電したのか推理するのも容易でしょう。

 孫左は茶屋主人に、可音のことを少しだけ話し、今嫁ぐ気がないということを話します。
 事を急いでは道を遠くする恐れがあるから自分にまかせて欲しい、ということですかね。
 その時たまたま茶屋主人を訪ねてきていた寺坂が、帰宅する孫左を見つけて、今度こそは
ちゃんと追っかけます。
 ここでお坊さんたちの托鉢とすれ違ったけど、様相からして臨済宗の方ですか?
 まあそれはいいんだけど、孫左はこの後、大石の墓参りいったらしいです。
 そこで赤穂の藩士に見つかって、その侍たちはこの裏切り者がどの面下げて、と孫左に
暴行を働くんですな。
 切り捨てようとする彼らに、まだ使命があるのでなにとぞ、という孫左。
 それを寺坂は聞いていたわけです。
 で、多分「もしや…」と感じたのではないでしょうか。

 ところでどうでもいいですが、この墓参りのもみあいの時に、墓石を豪快に倒していった
やつがいたんだけどちゃんと直したんだろうな!!!!


 この後家にやってきた寺坂を孫左は「お前を切らねばならん」とかいうて刀持って
おっかけまわすわけですけども。
 ここで何がすごいって、刀の鞘抜いて捨てたはずなのが、外に出て追っかけまわす
シーンで孫左の腰にちゃんと鞘が収まってるってことでしょうか。
(私の覚え間違いならすみません)
 寺坂は姿を隠した孫左に呼びかけます。
 自分は大石から使命を賜って、藩士を訪ねて歩いた。
 みんな無事に生きていた。
 討ち入りに加わらなかった者は罵られ、それでも耐えていた。
 討ち入ったものより、残ったものの方が背負うものは大きかった。
 お前もよほどのわけがあったんだろう。

 で、そう呼びかけたんだけど孫左が出てこないので、寺坂は、ならばもう聞くまいと
いってあっさり引き上げていくのです。
 多分それは、孫左が言わないと決めたのならもう聞いてもムダだろう、という考え方
なのではないかなと思うのですが。

 この後孫左が大石より受けた使命が明らかになります。
 討ち入り前夜孫左は大石に呼び出されました。
 大石は、京にいって可留を助けてほしいと孫左に言ったのでありました。
 病気の身で身ごもっている、生まれた子は大罪人の子としてお上から追われる身に
なるから、どうか親子を助けて欲しい、ということなんでしょうな。
 時が来るまで素性を隠し、守ってほしい、と。
 ここであーた、命を俺にくれっていうのはいいけど、時が来るまで、のそのあとをちゃんと
言っておかないから…。まあ仕方ないんですけども。

 そういうわけで孫左は名をかえ姿を変えて可留と生まれてくる子を助けると誓った………
名前変えてなくね?姿も変わってなくね?だから寺坂にすぐ見つかったんじゃね?

 寺坂は孫左の家で拾ったにおい袋を進藤に持ってって報告。
 何も聞かないで帰った代わりに調べてんじゃねーかよ!
 いいんですけども。
 進藤は、これは可留の匂いと同じものだといい、やはり大石の指示で隠し子を育てていたの
だろう、と孫左のことを見抜きます。さすがです。

 この後寺坂、なんと可音のところに会いに行きました。
 話が早いな。
 習い事から帰ろうとする可音を訪ねて、事情を話す寺坂。
 可音も自分が大石の娘だと聞いて驚いたでしょうなぁ。
 で、可音が戻ってきて出迎えたら、寺坂も一緒にいてびっくりする孫左。
 内心「お前何も聞かないつーて帰ったんじゃねーのかよ!」とツッコミまくりだったと思います。
 多分寺坂としても「どうせ「お前何も聞かないつーて帰ったんじゃねーのかよ!」って思ってる
だろうけど、何も聞かないとは言ったけど調べないとは言ってないから!」と内心思ってたと
思います。
 
 寺坂はよく今まで頑張った、それだけを言いに来た、といって帰ろうとするのですが。
 孫左はどうか内緒にしてくれと頼むんだけど、寺坂は「進藤様はお見通しだった」と。
 ま、寺坂も進藤も触れ回るつもりはないでしょうけどね。
 まだ孫左の「使命」が済んだわけじゃないんだから。

 ただ、素性を知った可音はこれで決心がついたんじゃないかと思います。
 修一郎のところに嫁ぐ、と孫左に言いました。
 孫左もさっそく茶屋主人のところにいき、ここで初めて可音が大石の隠し子であることを
告げます。
 主人は驚きはしたものの、大石内蔵助といえば武士の鑑、なんのさわりがあろうとたいそう
喜んでくれ、修一郎も承諾、これで何の問題もなくなりました。
 ただ、10日ばかり待ってほしい、と孫左は可音の言葉を伝えます。
 ああ、すっかり忘れてたけど着物…。

 この後のシーンで、雨がざあざあ降る竹藪の中にてひっそりたたずむ孫左の姿の
シーンがあったのですが。
 すっごい重みがありました。
 孫左とて、可音にまったく何の気持ちもなかったとは思わないのですよ。
 それが恋心ではなかったにしても、親子的な愛だとか、そういうものはあったと
思うから、これで使命を果たせるという一方、簡単には言い表せない、さびしい気持ちもまた
あったんだろうと思います。

 嫁入りの日、可音は孫左に着物を渡します。
 この後可音が「だいてほしい」とか言い出して「…代手?」とかマジボケしたのですが、子供の
時みたく抱きしめて欲しいということでした。マジびっくりしたぁー!←お前のボケにびっくりだよ。

 そういうわけで、二度と戻ることがないであろう家を懐かしげに振り返った後、可音は
かごに乗りこみます。
 お供は孫左だけ。
 武家の嫁入りとしてはあり得ない光景ですよね。
 でもそんなところに寺坂が松明をもってやってきて、自分も加えてもらいたい、という。
 さらに彼は控えていた者たちにも合図をします。
 だだーっと嫁入り道具を抱えて参列する者達。
 おそらく進藤の取り計らいではないかと思うのですが。
 もはや秘密にしておく必要がなくなった今、藩士に話を広めたのではないかと思います。
 寺坂も自分にそんな知恵あるか、進藤の計らいだ、と言ってたしね。
 嫁入りご一行となったところで一同が進んでいくと。

 しばしーとか言って誰かきましたよ。
 元赤穂の藩士なんで、大石の娘さんの嫁入りと聞いたからどうか参列させて欲しい、
というわけなんですな。
 可音は快く参列を許します。
 で、彼らはさらに、孫左にあの日逐電者と罵って申し訳なかった、事情を知らずあんなことを
して万死に値する、とわびるのですが、孫左も、ともにまいりましょう、と声をかけるのでした。
 私はここのシーンを見て、この映画見てよかったなぁと思いました。
 孫左がやっと報われたなーと思って。
 もとより誰からそしられようと使命を果たすためと気にはしなかったでしょうが、それでも
ちゃんと名誉回復されて欲しいなと思ってたので。

 この後もさらに列へ加えてほしいという藩士らが相次ぎ、行列はどんどん膨れ上がって
いきました。
 それはいいんですがこの列、いつになったら茶屋につくのでありましょうか…。
 どう見ても、出発する時は昼間だったのに、今夜更け過ぎになってる気がするのですが。
 あと、茶屋で出迎えたおっさんは立場わかるんだけどわざわざ出す意味あったかなぁ…。

 こうして茶屋に迎えられ、可音は中へ。
 孫左が声にせず、「どうか幸せになってください」と言っていたのがよかったなぁと思いました。
(多分こう言ってたと思うんだけど)
 声に出して言えばまた引き止めることになる、周囲の注目を浴びる、それを好まない孫左だから
こそ声に出さずに伝え、可音もしかとそれを受け止めた、というところではないでしょうか。

 ともあれめでたく婚礼の儀となりました。
 ここちょっと気になったのですが、新郎新婦の座る位置が、「武士の家計簿」とは逆だったの
ですけども、やっぱりあれは関西関東ということで意図的に変えてるだけで特に意味は
なかったんでしょうか?
 武士の家計簿では、向かって左側に新婦がいて、新郎側親族がずらっと並んでました。
 こっちの映画では向かって左側は新郎がいて、新郎親族が並ぶ、という感じ。こっちは京設定
だからこれで間違いないんですけども。
 武士の家計簿の方は徳川の直参だから関東に属するから、あの並びになるんですかね。
(この並び方は、ひな祭りの並びにも影響しています)
 閑話休題。

 寺坂も祝いに参加しているのですが、孫左の姿がないことに気づきます。
 まあ彼が何しようとしているか気づくよなぁ、ここまできたら。

 この後孫左とゆうさんのシーンが描かれますが、これはどちらかというと前日の話にしても
よかったような気がする。
 私は一気に、孫左のシーンにいってよかったように思うので。

 
 仏壇に使命を果たし終えたことを報告した孫左は、その場で切腹します。
 駆けつけた寺坂に、介錯無用といって自分で首を切る孫左。
 執念すごいっていうか、これ誰が後片付けしますのん?(台無し!)

 このあと寺坂が、大石家の裃を孫左に着せかけてやるのがよかったですね。
 こうして最後の赤穂浪士、孫左は自分自身の忠臣蔵を終えたのでありました。

 多分あの世で大石は「え、ちょ、ここまできたら孫の顔まで見届けてよ!」と思っていたか
どうかは…定かではありません。(余韻台無し!)
 ただ、切腹する前に孫左がこれまでの可音との16年間を振り返って、笑顔で切腹して死んで
いくので、おそらく彼は死の間際まで幸せであっただろうなとは思いました。
 ただただ使命のために一生を使ったもののふ、それが武士というものであります。




多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→最後の忠臣蔵