多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→脳男


脳男

2/13鑑賞

 言われたことにではなんでも「NO」と言うッ!
 それがNO男ッ!
 …というボケはさておき、ハッキリ言って駄作の部類に入る内容でした。
 役者さんの演技はまったく申し分ない。生田さんの脳男に至ってはおそらく現実に脳男が
いるとしたらそういう感じなのだろう、というのがリアルに想像できました。
 ただ話が良くない。
 まったくもってありえない。
 爆弾があちこち仕掛けられている病院内に、一般人を連れてのこのこ警察が入っていく
わけがない。爆弾を制御する場所に一般人の案内で行くわけがない。(そこで爆弾が爆発
したらどうするのか)
 最悪だったのはラスト犯人との対決。車を暴走させてくる犯人に対して脳男が何度も轢かれ
続ける。何が言いたいのかまったくわからない。
 脚本と演出がまったくもってダメ。
 役者の素材を生かし切れない素人料理人が調理して、失敗作が出来上がったような感じでした。
 まあ原作にある、張り巡らされたワイヤーの中を潜り抜けて人質救出は絵面的にはやりづらかったん
だろうなぁと思うのですが。
 そういう、後半の展開がつくづく残念な作品でした。
 前半はそう悪くもなかったんだけどなあ…。
 あ、それと志村のエピソードは良かったと思います。あれは原作にない、素敵なエピソードでした。
 
 さてさて。
 冒頭からいきなり脳男登場。
 いろいろな画像映像数式とか出てきてるけど、これの意味は後でわかります。
 この後はある廃工場みたいなシーンが映るのだけど、結構グロいので注意。
 ここで女二人がいるのだけど、何か工具みたいなのを使って作業している後ろで、もう一人の
女が、捕まえてきたらしい女性の舌を切り取るというすごいことやってます。
 もう冒頭からこれですよ。

 シーンは変わって病院。
 マリコという精神科医がある研究プログラムの導入について説明をしているのだけど、あまり
賛同は得られてない様子。
 まあ、我が子を殺された母親と、殺した犯罪者を同室にするというだけでもう日本人には拒否感が
あるっていうか。たまたま成功しただけで、中には問答無用で犯罪者を殺しにかかる遺族だって
いるでしょうから、やってみればいいというものでもない、というのは何となくわかる。
 
 で。
 またまたシーンは変わってさっきの舌を切り取られていた女がヨタヨタとバスに乗っていく。
 その後ろには車に乗って見ている犯人二人。
 あーなんかもう予想ついちゃったなぁ…。
 このバスに、マリコも走ってくるのですが、すんでのところでバスは発車してしまった。
 ところがその直後にバスガス爆発。…いや違った、バス爆発。
 バスから這い出してきた子を抱いて絶叫するマリコがすごかった。
 ここのシーンを見ると、マリコは過去何か子供に対するトラウマがあるのかなぁ、というのがうっすら
わかるかと思います。

 この後はマスコミだの見物人だのが押し寄せてきて、ものすごい喜びながら写真撮ってるの
だけど、こういうのはリアルだなあと思いますね。
 んでそれに、刑事の茶屋がめっちゃキレてて。
 気持ちはわかる。
 こういう人達は自分が被害者にならんとわからんのですよ。
 この茶屋らの会話から、犯人は何度か爆破事件を起こしていること、自分達を批判した連中を
さらっては舌を切って殺害しているというのがわかります。
 ネタバレだから先に言っちゃいますけど、犯人は過去にも両親を同じ手口で殺害してるんですよね。
それでなぜ犯罪データベースを持っているはずの警察が同じ手口なのに犯人を突き止められないのか
というのが理解できない。
 こういうのからしても話の構成がグダグダな気が。

 マリコは刑事らに事情を繰り返し聞かれてるんだけど、そこに茶屋がやってきて、あんたが助けた
子供、さっき亡くなったよとひどいことを言うんですよ。
 なんでこんな言い方するんだろうと思った。マリコが犯人じゃないのに。
 この茶屋という刑事、相当無神経だなと思いましたね。こんなこと言ってマリコが今後捜査協力を
拒んだらどうするつもりなんだろう。
 そのマリコは、母親が精神的にちょっとアレな状態になっているというのがわかる。
 小さな仏壇があって子供の写真があったから何か関わってるのでしょうが。
 これ多分特殊メイクなんだろうなと思うけどすごかったです。ここあたりは映像で語るみたいなのが
うまいなと思いました。

 そんな中警察の方では、針金を切断するのに使った工具が特殊なものだったとかで、その工具を
購入した相手のリストを控えて茶屋は購入者をあたっていく。
 あ…これ音楽流れ始めましたから、犯人に行き当たらないパターンですね。
 そうしてしばらくしたころ、とある廃工場へ。
 ……犯人もしかしてバカ正直に住所かいたの!?
 あれだけうまく立ち回る犯人がなんで?
 もしかしたら前の所有者がこれを購入していて、その工場をたまたま使ってたというだけなのかも
しれませんが。
 そういうわけで茶屋と、相棒の広野が乗り込もうとすると、女の言い争う声が聞こえて、広野が
ドアを開けた瞬間大爆発。
 ここ広野吹っ飛んだので間違いなく死んだと思いましたね。
 実際は生きてたけど。
 こうして数々の死亡フラグをボッキリ折ってたのに最後はなんであんなことになったのか…。
 ともあれ中に入った茶屋は(広野が生きてるのは確認したので放置した)、立っている脳男を発見。
 この時点では犯人扱いされても仕方ないんだけど何だかなぁ。
 つーかこの直後、バイクで逃走する音が聞こえてくるんだけど、普通ならここで緊急配備敷きますよ。
それをしないでなんで脳男だけとっ捕まえて帰るのかがわからない。
 
 まあともかく警察としては、犯人の一人を捕まえた、仲間割れして逃げたんだろうと早くも解決
ムードなわけですよ。
 そんな中脳男は何もしゃべらず留置されているわけなのだけれど、ある晩、隣に留置されていた
男が、ババアなら殺しても死刑にならないんだぜ、とか言ってるのを聞いています。
 この男も大概頭悪いな。
 そんで翌日の取り調べの時に、その男に殴りかかって目玉をえぐるのがすごかった。
 彼は彼なりの意志、正義感で動いてるのだけどこの時点では警察は彼の行動理由がわからないから、
精神鑑定にかける。
 こうして脳男はマリコとの出会いを果たすことになるわけです。
 ちなみに理解してない茶屋は死刑にしろとか言ってる。
 起訴した後で犯人と無関係と分かったらお前が責任取らされるんだぞ。
 
 この病棟に連れてこられた時に見取り図が壁に貼ってあるんだけど、脳男がジーッと見ていて
これいっぺん見ただけで覚えられるんだろうなぁと思った。
 あと、なんていうの、薬とかサンプルがチューブ状の張り巡らされたとこを通って行く仕組みに
なってるみたいですね。今はこういうのないんでしたっけ?
 ここで空身という、マリコの良き同僚みたいな人が、便利なんですよーこれとか言いながらでてきました。
 どうでもいいけど甲本さん、こうしてパーマかけるとウンナンのナンちゃんそっくりだな!
 最初ナンちゃんかと思ったよ!
 ちなみに茶屋は、精神鑑定の第一人者を選ばず、マリコを指定してきたらしいです。
 人を殺してても無罪にされたらたまらんからという実に下らん理由らしい。
 マリコならちゃんとそこのとこわかってくれるだろ、みたいな。
 や、私も、人を殺してても刑法第39条によって無罪というのはおかしいと思いますよ。けれど、
そのことと、結果をゆがめて診断書書いてもらうよう要請するのはまったく別のことだと思う。
 マリコも、感情に流された判断はしないと言うけれど、茶屋は、子を殺された親の身になれとか
言ってる。
 マリコも似たような経験をしているので、これはもうひどいことを言ったも同然だけど、犯人即有罪
と考えてるような茶屋にはわからんでしょうね。
 感情だけで突っ走ると失敗しますよ。
 てーか始終茶屋のキャラが好きになれませんでした。

 脳男は病棟の中で、きわめて時間に正確に行動中。
 いいなあこの体内時計。
 普通人間の体内時計というのは25時間なので、時計のない生活をしているとずれてくるもの
なのですが、多分どっかで時計を見て自己修正が可能なんだろうなぁ。すごい。
 それと、脳男の体には古いやけどの跡があったのですが、彼自身はいつどこで負ったか覚えて
ないと言う。これは多分調べられたらばれるからだろうなぁ、素性が。
 
 そんな中マリコのとこに電話が。
 マリコが受け持ってる患者(少年院に入ってる)が人を殴ったということで連絡が入ったんだけど、
マリコはその青年を優しくいさめます。
 うーん…。
 私はこの時点でこの青年どうも胡散臭いなぁって感じがしてならなかったです。
 矯正しているように見せかけてる、装ってる感じがする。
 もうすぐ出るらしいし。
 あとここで「罪を許された気になっていた。子を殺された側は一生逃れられないのに」と言ってて、
マリコは生きて償うのよ、と言うのですが…。
 なんかこのあたりがひっかかるなあ。
 
 空身が脳男に対して面白い結果が出たと言ってくる。
 血液にドーパミンが含まれてると。
 つまり痛みをまったく感じない無痛症らしいです。
 その後も精神鑑定とかされてるけど、きわめて普通の受け答えをする脳男。
 マリコはピンで刺してみたけどそれにも脳男は気づいてないみたいでした。
 こういうのは普通、生きていく上で非常に危険なんですけどね。
(無痛症自体は存在する病気)
 マリコは、「母はヒゲをはやしていませんでした」と真面目に受け答えする脳男の答えに
引っ掛かったみたいでした。
 まあ普通なら「母はヒゲをはやしていませんでした。うちのネコはメスなのにヒゲがはえてる
けどね、HA-HA!!」ってな答えになるでしょうからね。(どこの陽気なアメリカンだよ)
 それと、ぴったり昼食の一時間後にトイレにいっているということもわかり、不気味さが次第に
明らかになってくるのであります。
 
 その頃逃げおおせた犯人は、自分のアジトを台無しにした脳男のことを病院に潜入して調べて
いました。
 ここのセキュリティはどうなってんだよ!
 犯人のうちの一人は緑川っていう女なんだけど、自分と同じタイプーとか言ってます。
 いや脳男もさすがにキミと同じタイプとは言われたくないと思うよ、うん!
 悪の教典で生き残った側が人殺しになっちゃうとかね!
(緑川の役者さんは最後生き残る生徒を好演)
 この後もう一人の犯人ゆりあは、何とマリコのバックに盗聴器をしかけ、なんかの鍵の合いかぎを
作ってるありさま。これは病院内の鍵かな?
 ともかくこんだけセキュリティザルなとこに容疑者入れておくってのもすごいな。監視カメラくらい
ないんか。(検査室に仕掛けられていたのは、ゆりあが仕掛けたものだと思うので。脳男がじーっと
見てたし)
 
 脳男、ポリグラフにかけられています。
「この衝動は〜まるで恋だね〜」←それポリリズム。
 この結果もまた、マリコと空身を驚かせる結果が出ました。
 脳男が、された質問にちょっと驚いたりするみたいな反応が出たとこがあったのだけど、
普通は言っている言葉から全体を予想して驚いたりすることが殆どなのに対して、脳男は
マリコが質問を言い終わってから驚くという反応を見せている。
 つまり銀魂で新八がシャワー浴びながら「打ち切りなんか知るかぁぁぁぁ!!!」と叫びまくって
たとして(ネコミミ娘の時の話)、普通の人なら、絵を見ただけ、「打ち切り」という言葉の時点でビックリ
する反応が出るけれど、脳男の場合は、絵を見て、セリフを見て、それから驚くという、ロボットのように
全体を検証して決められた反応を示すというような異常な出方だったわけです。
 しかも、同じ質問をすれば普通なら前回より反応が早くなるはずなんだけど、それも、初めて質問
されたのと同じタイミングで驚くというありさま。
 この数値からしてももう異常なわけですよ。

 ここのシーン非常に残念に思ったのは、原作で取り入れられていた、顔を見せずにセリフだけ
言って脳男に、マリコは今どんな気持ちで言ったのかを当てさせるというのが削られていたこと。
 あれは脳男が異常だと理解させるのに非常にわかりやすい内容だったと思うんですが。
 マリコが後ろを向いて悪口を言うシーンなんだけど、一つは恋人に「何で死んじゃったのよ馬鹿」と
いう設定、もう一つは悪党が「とうとうくたばりやがったこの馬鹿が」だったかな、そういう風に言うん
ですよ。
 普通だったらこのシチュエーションは説明されなくてもセリフ見ただけでまったく違うとわかりますよね。
でも脳男には違いが分からない。二つともマリコが怒っていった言葉だと言う。(バカ、という言葉は
怒りの時に言うものだと「学習」しているため)
 それが脳男が異常たるゆえんなのですが、これは入れればもっとよかったなぁ。

 ともあれ、マリコは数値を見て、脳男はもしかしたら感情が理解できないのかもしれない、今の対応
とかも全部後天的に教えられたものかも知れないと考える。
 それでマリコは脳男が連れ出されて行く前に、私に何か質問して、と言う。
 そこに、マリコが受け持ってた青年、志村がやってきたのですよ。
 新八、出番はぇぇよ!(新八じゃねぇよ!)
 出所して一人暮らしすることにした、という志村。
 脳男はたまたま振り返って彼を見ていたんだけど、初めて興味を示したように、マリコに向かってあの
男は誰かと尋ねる。それが質問だと。
 マリコは、自分にとって大切な患者よ、と答える。
 彼女はこの時彼の意図に気づかず、何かに興味を持ったのは初めてね、と大いに喜ぶのですが。
 実はここ、大きな伏線だったのであります。

 そんな中空身が、脳男の本名が分かったと言ってくる。
 過去発表されていた論文に、無痛症の患者についてのものがあったらしいです。
 名は藍沢医師。
 マリコはその医師を訪ねて行きます。
 てーかもうここから医者としての領域を超えてるなとは思うけど、そんなこと言ってたら映画
成り立たないしな!
 藍沢医師は昔、精神にいろいろ問題のある子を引き取って管理してたんだけど、ある時脳男が
預けられてきて、両親がひき逃げで死んだのをきっかけに、脳男の祖父のとこに行くことになったと
言います。
 ものすごい金持ちだったから、ホームドクターになったらしい。
 その祖父がまた変わり者で、藍沢が脳男の天才的な頭脳に気づくや否やあらゆる知識を教える
ように命じ、英才教育を始めたと。
 んで藍沢はそこでお払い箱になったらしいです。ひどいなおい。
 その後のことは、ということでマリコここで何故か茶屋を呼び出しました。
 なんで唐突に…。
 ともあれ藍沢の後に来たのが伊能という登山家で、脳男の体を鍛えるトレーナーとして雇われていた。
 その伊能のとこに二人は訪ねてやってきたのでありました。
 この男がコードブレイカー…!(それ異能。)
 ちなみにマリコさんも、なんと茶屋さんも気づいていませんが、ずーっと尾行されています。
 盗聴もされています。
 ずっと犯人のターンやないか!
 なんで怪しい車がずっと後ろぴったりくっついてきてるのに、茶屋すら気づかんのだ!

 伊能は脳男は祖父から人を殺す方法を教えられていた、とビックリの証言。
 悪を殲滅しろ、お前は神に選ばれた人間なのだ、と言ってます。
 …脳男がコードブレーカーだったらそれはそれは怖い存在になってただろうな…。
(もうコードブレイカーのことは忘れろ!)
 で、それはさすがにまずいと思った伊能は脳男を外に連れ出して、登山につき合わせたりしていて、
少しずつ人間ぽいとこも垣間見えていたらしいのです。
 でも祖父が無理に脳男を連れ戻したと。
 ところが事件はほどなくして起きた。
 強盗が屋敷に入り、じいさんは致命傷を負い、強盗が逃げようとしたところで脳男と遭遇。
彼は、祖父の命により何の罪悪感も抱くことなく強盗を絞殺したのでした。
 セコム入らないから…。←違う。
 この時にやけどをおって病院に運ばれものの、治ったら姿を消したらしいです、脳男。
 祖父の遺産もなくなっていたとか。
 伊能はそれを振り返り、恐らく祖父の身に何かあったらそうするように言われていたんだろうなと
言う。
 つまり、祖父の死をもって脳男は犯罪者に死の鉄槌を下す殺人ロボになったというわけですか。
 こういう言い方を安易にするのもどうかと思うけど。

 茶屋は怒ってるんだけど、マリコは泣いていました。
 あと緑川も盗聴して泣いてた。
 え、今のどこに泣くとこありました!?(緑川に関して)
 と思ったら、なんかもう自分と重ね合わせて最高みたいなことになってたらしいです。
 いやキミと彼と決定的に違うのは、脳男は自分の利益追求して殺戮を繰り返しているのではないと
いうところだよ。下卑た思想を一緒にすんな。

 脳男の両親をひき殺した犯人はそれから捕まったものの不起訴となったようです。
 ただし今から2年前に殺されているとか。
 犯人は不明のまま。
 それからも、ひどい犯罪をやってたやつが立て続けに殺されているらしいです。
 脳男が目玉をえぐった留置場の男も、ババアを殺しても死刑にならないと発言したということが
分かっている。
 よかったこれで、むやみやたらに暴力をふるったという汚名はそそぐことができましたね。
 茶屋ようやく気付きます。
 自分達は見当違いをしていた、脳男は爆発事件の犯人じゃない、と。
 うん、見てる方は最初からわかってた!←当たり前。
 あの現場で脳男は犯人を殺そうとしていたんだ、という茶屋。
 で、脳男を本庁に護送すると言い出しました。
 …一応今の時点では容疑といったら、あの目玉えぐったぐらいのことなんですけども…。
 マリコは少し時間をくれといい、いつものように診察室に通して話を聞こうとする。
 けどこの時あわてていたのだと思うけど、脳男の前のテーブルに、クリップとペンをはさんだ
ノートがおきっばになっていました。
 
 マリコは脳男に話をします。
 父が早くになくなり、母は女手一つで自分と弟を育ててくれたこと。
 しかしそんな中弟が小学生の頃、ある人間にさらわれ、死体となって発見された。
 髪の毛とまゆをそられているという異様な死体だったらしいです。
 母は自分を責めて重度のうつ病になってしまった。
 犯人は中学の少年だったと。
 マリコはここで問いかける。
 あなたならそんな子でも殺すの、と。
 いや殺すでしょうよ。
 言わせて頂きますが、犯人が中学生だから可哀想、同情の余地がある、という考え方こそ
おかしいと思います。
 昔日本でも、小学生数人が生まれたばかりの赤ん坊を殺すという事件が起きています。この
時も確か犯人が小学生ということで罪に問えなかったばかりか、まあ満足いく対応ではない展開に
なっています。(まるで腫れ物に触るかのような)
 動機は、単に赤ん坊で遊ぼうと思ったから。自分達と同じ人間とみなしていなかったということです。
 日本の犯罪史を紐解けばそういう、未成年による殺人事件は多数発生しているわけで、子供だから、
判断能力が劣るからという理由で大人と同様に裁かれない仕組そのものがおかしい。
 
 ちょっと脱線しましたが、マリコは、自分も殺したいと思ったけれど、犯人を殺しても傷は消えないと
言う。
 茶屋もこれ聞いてましたから、最初の時なんて自分はひどいことを言ったんだろう、と少しでも反省
してくれてるといいんですが。
 で、弟を殺した犯人のカウンセリングをした、というマリコ。
 長い時間がかかったけど立ち直ってくれたと。
 それが志村だと言う。
 それを聞いて脳男非常に驚く顔をしているんですね。
 マリコも気づいて何を感じたの、と言うけれど彼は答えず、茶屋が入ってきて脳男は連行されて
いきました。
 ここ、普通に見てると「なんでそんな人間をカウンセリングできるのかと理解できなかった」と、脳男の
反応を読み取ると思います。
 しかし実際はそうではなかった。
 ここは本当に面白かったですね。
 実は彼はまったく違うことを考えていたんだなって。
 マリコは、おしこめてる感情があるんじゃないの、あなたは人殺しになるために生まれてきたわけ
じゃないのにと声をかけています。
 それはいいんですけどマリコさん。
 感情に流されない判断はどこいったんでしょうか。

 この後脳男は連行されていくんだけど。
 警察官よ、なぜ檻をしめていく。なぜドアを閉めていく。
 マリコ先生ぽつーんと一人檻の向こうに取り残されとるやないか!誰が出してくれるんだよこれ!

 護送中のバスの中。
 脳男、何かの音を聞くようにしています。
 緑川らが脳男を強奪するためにバイクできてたんですよ。
 あと脳男、入手したクリップで手錠を冷静に外し、広野にペンをつきつけてバスを止めるように指示。
これは緑川らが来るから止めた方がいい、と判断したためなのか、単にあいつらを始末しようと外に
出ようとしただけなのか。
 ともあれそうこうしてるうちに、緑川が先導していたパトカーの運転手にボウガン撃ちこんで強引に
止めるという展開に。
 当然バスもすごい状態で止まるわけですよ。
 この隙に脳男は茶屋の拳銃を奪って外へ。
 緑川を撃とうとするんだけどゆりあが庇ってこれが撃たれて、しかも死ぬ間際にボウガンに仕込んだ
爆弾爆発させやがった。用意周到すぎるな。
 ここで広野ドーンとふっとばされてて、今度こそ死んだと思ったのですが生きてました…。
 おぃぃぃぃ!こいつの生命力の方がすげぇよ!
 しかも茶屋に「新米!しんまーい!」としか呼んでもらえてねぇよ!銀魂の山崎ことザッキーのポジションの
ごとく扱いひどすぎるだろ!

 緑川は逃げていきました。
 
 病院に収容された広野。
 茶屋と組んで3年になりますよとか言ってるんだけど右から左に流されました…。
 童貞は否定していたがしょんべんたれの方は否定しないのか。
(脳男にペン突き付けられた時怖さのあまりもらしてた)
 まあともかく、茶屋は俺の銃で脳男は人を殺しやがったと怒ってます。
 その前に、爆発事件の犯人取り逃がしたことに怒れや。大失態だろうが。
 ここでようやく、犯人が緑川であることが分かります。
 彼女の周りでは何人も人が死んでいて、両親も舌を切って殺されてると。ただしこれらは
証拠なしで逮捕されていないと。
 おっせぇわ!

 緑川の状況は脳男と似てるとか言われてますが、異常なとこが似てるだけでそれ以外は
別に関係ないと思うけどなぁ。

 脳男がいなくなって一週間経過。
 マリコ、いきなり女子トイレで緑川に拉致されています。
 だからこの病院のセキュリティは(以下略)。
 しかも病院内で次々と爆発発生。
 システムをハッキングしていろいろ調べたらしい。
 なんでこの病院が狙われたかというと、後でわかります。
 
 マリコの方はオペ室に拘束されてました。爆弾いっぱいつけられとる。
 緑川の狙いはここに脳男をおびき寄せ殺害することにあった。
 さらにここの病院を選んだ理由は、サンプルとかを運ぶあのチューブ。あれで爆弾を送り込んで
好きなところで爆発させられるから、あちこちに仕掛けて回る手間がいらないと。
 大したもんですな。
 この後茶屋以下が乗り込んできて、爆弾があちこちで炸裂しているというのに、病院内で爆弾が
仕掛けられていないか探すというものすごい杜撰な展開が繰り広げられるわけですが。
 「見つからん」とゴミ箱投げたりとかいろいろありえない。
 しかしその部屋を出てきた直後そこから爆発が起きたということで、空身はチューブが使われて
いると気づく。
 んで制御室に行こうとするんだけど、そこに脳男が現れて、制御室に近づかない方がいい、と言います。
彼だからこそ緑川のやりそうなことが理解できたんでしょうね。
 でも茶屋は言うこと聞かずに、爆弾処理班の黒田以下をそちらに向かわせる。
 …爆弾処理班であればボマーの心理にも通じてると思ったんですが…。
 なんでこういう展開になるかよくわからんなぁ。
 当然脳男の忠告を聞かずに向かった一同は、制御室の中に仕掛けられていた爆弾にボーンですよ。

 少し時間戻って、残った茶屋の携帯に電話がかかってきて、緑川が脳男を連れてくるように
命じる。
 そこには広野がたくさんの爆弾つけて拘束されてました。首輪を揺らすと即爆発らしい。
 ここは脳男が爆弾解除の展開の方が面白かったのに…。
 緑川は、茶屋が脳男を殺したら爆弾を解除してあげるというけど、黒田を呼ぶとか言うわけですよ。
で、緑川が、何も仕掛けてないと思ってんの、と。
 それでようやく脳男の言ったことの意味に気づいた茶屋が黒田へ、そこを引き上げるように電話かけるの
だけど、時すでに遅し。爆弾ボーンで黒田以下全滅。空身も巻き添えになってました。
 このあたりの展開がいろいろありえない…。

 その後2人が争ってる姿を見て広野は自分が死にますからーとかいって、椅子を倒して首輪揺らして
自爆ですよ。
 もう展開がアレすぎて…。
 しかし皆さんご安心下さい!
 さらに理解できない展開になるのはこれからです!
 脳男は撃たれてケガを負いながらもマリコのいる場所に向かうのだけれど、彼女がいるオペ室に入る
手前で血を見つけてそちらに向かう。
 一方機動隊が駆けつけてきたのですが、オペ室を開けて仕掛けられた爆弾で吹っ飛んでました。
 …あの…爆弾魔というのはわかってんだからこういうことを想定して突入作戦をですね…。
 脳男の方は救急搬入口へ。
 そこで緑川が車に乗って、助手席にマリコ載せて待ってて、脳男を数回撥ねるんですよ。
 脳男もここは武器を見つけて車を止めるようにするとかなんとかしそうだと思ったけど、なんで何も
せずに撥ねられるだけなのかまったくわからない。
 それ自分にダメージ増やすだけじゃん、と。
 そんで3度目くらいにマリコがサイドブレーキ引いて車は隣の車両に激突。
 サイドブレーキある車最近少なくなったなぁ…。(シッ)
 で、脳男は緑川を引きずり出して殺そうとするんだけど、マリコがいつのまにか降りてきて(後ろ手に
縛られている状態で脱出したというのはまだしも、なぜか後部座席のドアが開いているという変なシーン。
見間違いならすみませんが)、あなたは人を殺すために生まれてきたんじゃないのよーと泣き叫ぶわけです。
 それはいいけど私はどうしてもこれが欺瞞に見えて仕方なかったです。
 身内を殺された人だからこそ言えるってのもわかるけどね。

 この隙を見て緑川はマリコに仕掛けた爆弾を爆発させようとするんだけど、立ち直ったらしい茶屋が
これを射殺。
 お前、脳男は俺の銃で撃ちやがったとか言っておきながら…。
 この後脳男にも銃を向けるけど弾倉はからでした。
 はい、残念でしたっ!←

 脳男は無言で去って行きました。
 マリコの爆弾は誰が解除するんだろう…。

 ここのシーンは原作のワイヤーは再現できなかったにしても、せめて緑川がマリコを放置して
逃げた後に、病院内の人間に変装して紛れ込んでいるという原作の展開をやって欲しかった。
 ネタバレしちゃいますけど原作では緑川はそうやって紛れ込んでいて、脳男は自分は見ている
から見つけ出せる、一緒に飛びかかりましょうと茶屋に言うんだけど、彼がさした男を茶屋が取り押さえて
いる間に脳男は妊婦を人質に取って去ってしまうという展開なんですね。
 それが緑川の変装だったからなんだけど、ここのポイントは脳男が初めて自分の意志で皆を
助けるために動いたということです。(伊能とのエピソードは伊能を助けるため)
 その最大限、脳男の変化が現れているシーンを改変したあげくに、マリコを助けた理由を簡単に
台詞で説明してしまうというのは本当にもったいない。(ラストのシーンで出てきます)
 本当にここのシーンが残念でならなかったです。

 そうして。
 ある時マリコのメールアドレスに、今から志村を殺すというメールが。
 あわてて彼女は志村が一人暮らししているアパートに行くけれど、彼は殺された後でした。
 しかし彼女はそこで恐るべきものを発見する。
 浴槽に監禁されていた、丸坊主にされた男の子でした。
 つまり志村は更生などまったくしていなくて、新たに犯行を繰り返していたというわけです。
 何とも皮肉だなあと思いましたね。
 えーと、緑川との最終決戦の前に(最終決戦て)不自然に、ハゲ坊主にされた子に注射器ブッサしてる
シーンがあって、??って感じだったのですがあれは、志村が同時刻にやっていたという意味だったの
かもしれませんね。ここの伏線は唐突だったけど面白かった。

 志村の母親がマスコミに取り囲まれて、うちの子は殺されて良かった、おかげであのお子さんの
命が助かったと言っていたのは非常に興味深い発言だなと思いました。
 それをテレビで見ていたマリコの母も、神様っているんだねと言い出し、前に言っていた治療プログラムを
受けてみようかねと言い出しました。

 一人納得いかないのはマリコでしょうね。
 更生したと思って送り出したのがそうじゃなかったんだから。
 そんな彼女のところに脳男から電話がかかってくる。
 どうしてもマリコの過ちを見過ごせなかったと。
 彼は出所したという志村がマリコを尋ねてきた時、その観察眼でもって、右腕に真新しい、
子供が噛みついた跡があったのを見ぬいていた。
 その時は情報として蓄積していて、その後マリコから、志村が弟を殺したこと、更生のための
カウンセリングを受けてもう立ち直ったということを聞いて「全然立ち直っていない」という事実に
驚いたのだと思います。
 だから脳男があの時驚いたのは、マリコが自分の身内を殺した犯人を患者として受け持って
いることではなく、マリコが更生していないのに気づいていないということだったのでしょう。

 マリコは、何で善悪を判断するのか、死を下す権利は誰にもない、というけれど。
 その時向こう側に脳男の姿を見つけるのです。
 マリコは自分のために泣いてくれたから、その恩返しのために脳男なりにしたこと、と彼は伝えてきます。
 そうして最後、笑顔を見せるのです。
 これは本当によかった。
 その後無表情に戻る過程もすごかったです。

 話の内容はともかくとして、脳男がしてることを悪だ殺人だと非難することは可能だけれど、
更生の余地がないような犯罪者を、見逃して野に放ってしまって、再犯しても誰も責任を負わない
という現状もある意味どうかなと思いますけどね。
 コードブレイカーではないけれど、悪には悪を、が完全否定できない世の中なんじゃないでしょうか。
 原作ちょっと流れ忘れたんで読み返してみますけど、私はやっぱり原作の話の方が好きです。
 ワイヤーを正確に潜り抜けて助ける、そのシーンがなかったのが残念。あれこそ脳男の真骨頂
だと思ったんで。
 
 


多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→脳男