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THE・有頂天ホテル

3/22鑑賞

 これはもうかなり面白かったです。ストーリーは説明するにはかなり複雑なんで、
簡単に説明だけ。

 舞台はあるホテル。ようするにここで次々と問題が続出し、それが次の問題を呼ぶという
面白い連鎖がみられます。
 そもそものことの始まりは、たれまく。謹賀新年という垂れ幕をホテルは頼んでいたの
ですがこれがなんと誤字されていて「謹賀信念」という文字に。これじゃあ飾れないけど
頼みなおしているヒマがない、それなら新しく書くしかないか、ということであれこれやって
いる間にまた新たな問題が。
 ホテルで上客をとッ捕まえようとコールガールが入り込んじゃってるわけです。
 これを追い出そうとするんですけど、いろんな方法で戻ってくる。板に車取り付けただけの
台車がありますが、あれに腹ばいになってダーッと受付の下を走りこんでいるのは大爆笑
しました。
 一方では、ヒューマンオブザイヤーに選ばれたおっちゃんがこのコールガールに会おうと
してドタバタ。
 さらに一方では出し物として呼んでいた芸人に「やってみたら」といわれて白粉をつけた
ホテル総支配人が、それが落とせなくなって(人に見つかって悲鳴上げられたり、不審者と
思われておっかけられたり)、スタッフに電話しまくるとか。
 有名人が贅沢にチョイ役で出ていて、次々と起きる問題が場面転換によって起きることは
あまりなく、どちらかというと場面がつながって次のシーンにうつるという感じで、とても
見やすかったです。

 副支配人の瀬尾役こと生瀬さんはいつもおいしいところ持っていきますねぇ。総支配人の
部屋でさわらなきゃいいのにうっかりホテルの模型をいじって、てっぺんのところ壊して
あわてたり…。なんか踊る大捜査線を彷彿とさせますね。あれも課長が作った焼き物の
とってがいじってたら取れてしまって、皆があわててくっつけるという話が前にありましたが。
 でも最後は「責任は自分がとる」みたいなこといっててかっこいいの。戦国自衛隊のあの
役のような感じで。ごくせんの教頭とかもそうでした。この人はこういうのが似合いますね。

 佐藤浩市さんも素晴らしかったです。熱血代議士さんだったのですが、愛人問題や汚職
がばれ、このホテルにやってきたものの解決策が見つからず、悩みに悩むんですが、
コールガールことヨーコに励まされたり、ホテルベルボーイの只野君の歌を聞いて自殺を
思いとどまったりなど。役どころとしては三枚目だと思うのですが、佐藤さんが非常に素晴らしい
演技をなさってます。
 このオチをばらしてしまうのはちょっと卑怯かな…と思うんですが、ベルボーイに扮して
脱出しようとしたはずが何故か駐車場誘導をやってる…というのは爆笑しました。

 ベルボーイの只野君は、ストリートミュージシャンもやっていたのですがあまり売れなくて
ホテルの仕事も辞めて田舎に帰るつもりでいました。が、この話の主役?である副支配人
こと新堂さんに仕事を頼み込まれているうちに、間接的にとはいえ自分の歌が人の役に
たったということを知り、辞職を取り消しました。うん、確かにこのホテルの中ではまともな
部類だと思う…。でもなんだかんだいって、幸運を運ぶ人形(田舎に帰るので人にあげていた)
が彼の手元に戻ってくるのはさすが三谷脚本だなと思いました。三谷さんのやりそうなことです。

 客室係の竹本さんの奇妙なお話もなかなかよかったです。何故かある資産家の愛人と勘違い
されてしまったことから話がややこしくなっていくのですが、いろいろ話をあわせたりしている
ところが面白い。松たか子さんのすっとぼけた演技最高。

 10こくらいの別々の話がバラバラに展開しながら、それでいてぶつ切りとか途中でしらける
ようなことはなく、話についていけないということもなく、最後一気に収束していくというのは
すごいと思いました。
 誰もが問題を解決し、誰もが幸せになれる。
 これが三谷作品のいいところだと思います。
 会話も無駄なセリフがなく、どちらかというと音楽を聴いているような感じのノリのよさ。
ポンポンと弾むというのはああいうのを言うんでしょう。

 ホテル探偵の蔵人が結構いい味出してました。
 白塗りした総支配人を追いかけたり、ズバリと鋭い推理をしたり。
 つーか蔵人って。赤屍さんかよ!ってつっこんでましたよ。
 元刑事だそうですから…ああ、古畑さんもこのホテル、泊まりにきたりするのかなぁ。
 ねぇ、西園寺君。

 もしこんなホテルが実際にあったら楽しいでしょうね。
 年末には是非宿泊したいものです。
 でも壁薄いのは勘弁してください…。隣から歌が聞こえてくるってどんなんや。
 廊下をアヒルが走り回っていたら…「アフラック?」って言うかもしんないけど。

 おっと、この映画、三谷作品らしく伏線が沢山あります。
 以前の映画のキャストが背景に出ていたり、佐藤さんと生瀬さんのツーショット(新撰組
を見ていた人はニヤリ)などなど、おいしいところ盛りだくさん。
 1度しか見ないのはもったいない話ですね。



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