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ブレイブストーリー

7/9鑑賞

 結論から申し上げますと。意味分からん。いや、おおまかなあらすじは分かりましたが、
細かなところが「これはこれでそういうことにしといて」とおきっぱなしにされているようで
不愉快。
 100点満点で点数をつけるとしたら55点が限界といったところでしょうか…。話自体は
面白かったのであと何度かは見に行きたいと思いますけどね…。
 あと声がダメダメ。ワタル役の松さんはさすがでした。それとカッツ役の常盤さんもなかなか
うまかったかと。あとは大根。ミツル役のウエンツさんに至っては大事な役どころなのに
すべてが単調で盛り上がりもない。キャラがクールビューティなので単調なのがあうのかも
知れませんが、なんていうか、観客の心に訴えかけるべき静かな語りのシーンも棒読みだった
から、感動もなにも。観客モロに蚊帳の外に置かれた感じ。
 ちょっと厳しいことを言いましたが、これのどこがわざわざ俳優を使う必要があったのか、
と思います。声優をちゃんと使っていたら多分評価は90点くらいになった。
 あと音楽は素晴らしかったです。
 
 さてさて。物語はなんかガキ二人がガヤガヤ言いながら歩いているシーンから始まる
のですが、この唐突性は面白くていいかもです。
 そこは幽霊ビルといわれる、要するにハイオク?みたいなところなんですが。
(ハイオク満タン!)←違うし。
 で、この物語の主役であるワタルは、不思議な少年がビル屋上に浮かぶ扉の向こうに消えて
いくのを見かけるわけです。
 その少年はワタルが踏んづけてスッ転んだ不思議な玉を「それボクの」といって持っていく
わけなんですけど。この玉が何であるのかは最後まで説明されませんでした。おいおい。

 翌日ワタルは学校で、その不思議な少年が転校生ミツルであることを知るわけなんですね。
小学生にしてこの貫禄。中学生なのにホストといわれたり皇帝と言われたり年齢詐称疑惑
バリバリの、某テニス部の方々を思い出すわけですが。
 そんなミツルに絡んできたのはガキ3人組。幽霊ビルは自分達のものだから行っちゃいけない
んだってさ。
 つかすぐ手が出るあたり、こいつらの将来って絶対殺人犯しかないなぁと思いましたよ。

 で、何が胸糞悪いって、恥をかかされたこのバカガキ3人組がミツルを拉致して(本当に
拉致ですよ)幽霊ビルの中で殴る蹴るの暴行を加えてたってこと。本当にリアルで今の子供たち
ってこういうことやらかすからイヤだなぁ。こんなことしたら死ぬっていうのもわからない。ただ
欲望のままに好き勝手してるって感じで。で、こういうのの親に限って「うちの子供が悪い
わけない」とか言っちゃったりするんですよね。話それましたが。
 おどおどしながら助けに来たワタルが、ミツルの口に張られていたガムテープを剥がし、
ミツルは何かの呪文を詠唱、精霊?使い魔?を呼び出し、ガキどもを撃退。ワタルはやりすぎだ
と言ってますけど、私は個人的に死んでも構わないくらいの気持ちではおりましたが。
 子供のうちからあんな、拉致して暴行加えるようなことを覚えていたら本当に、将来は
犯罪者しかないですよ…。

 このあと二人はサイダーを飲んで仲良く話をしてるんですが、ここのミツルは好きですね。
初めて小学生らしさが出たなぁーって。ま、彼が異常に大人びている理由はおいおいと明らかに
なっていくわけなんですけど。
 サイダーを飲んでしみるって言ってるのいいなぁ。ほのぼの。っていうかサイダー買うなよミツル。
ネクターにしとけネクターに。

 ところがワタルは帰宅して自分の状況を思い出すわけですよ。父親が出て行ったということに。
でもって帰ると母親が倒れている。
 そんな現状を目の前にしてワタルは、ミツルが語っていたあの扉の話を思い出し、そこへ
向かいます。
 この階段がすげーんだ。宙に浮いてんの。高所恐怖症の私は絶対あがっていけないな、
みたいな。
 物語で登場する階段ってどうして宙に浮いてるんでしょうね?(地の底まで床を作っていたら
材料費勿体ないから)
 でもってこの扉、うち開きなんですね。扉の装飾が開くたびにぶつかり合って削れてそう。
姉歯物件!?(チガウから)

 さて異質な世界にたどり着いたワタル。つーか勇気が欲しいか知力が欲しいかとかなんか
聞かれて「全部」って言うなドアホ。何かを欲すればその代価が必要となるのは世の中の道理。
それを命で支払うことになったら意味ないでしょうが。…まあ子供だしなぁ…。
 んでラウ導師とかいうのに見習い勇者と判定されていざ旅へ。
 願いをかなえるためには5つの宝玉を集めないといけないらしいです。でもさあ、ここにきた
人全員がそうやって集めてたら宝玉いくらあっても足りないんじゃないの?いやわからんけど。
 あとミツルの情報も少々。彼も叶えたい願いがあってここにやってきていたことが判明。
あれ?でもミツルはたびたび現世とこちらの世界行ったり来たりしてるんですよね?ワタルは
願いをかなえるまでは戻れないのにどうしてミツルは戻れるの?
 この辺の説明はありませんでした…。

 砂漠に到着したワタル。ねじオオカミっていう「それトレマーズですやん」というような獣に
襲われていたところをキ・キーマに救われます。うん、キ・キーマは洋画でいうエディ・マーフィの
ような役どころです。これはいい。
 そんで旅が始まって、たどり着いた町でワタル、よせばいいのにミツルを見かけて単独行動。
当然迷いますわな。んで迷い込んだサーカスにおいては、ファイヤードラゴン?の子供が盗まれ
そうになっている現場に居合わせてこれを助けようとするのですが、逆に自分が盗賊の容疑を
かけられて捕まるし。この子何しにきたの?
 っていうか。
「心の底から主人公を殴りたいと思ったのは生まれて初めてだ…」ばーい夜神月、みたいな
感じなんですけども。
 そこでワタルは不思議な声に導かれ、そんでもってここらを納めるハイランダーの長カッツに
言われて本物の盗賊をやっつけに行くわけですよ。
 すったもんだで2番目の宝玉を手に入れ、ハイランダーの印ももらい、勇気りんりんで次の
目的地へ。
 ここでさぁ、特に盛り上がりもないのにいきなり主題歌が流れて旅の様子が流れるのが
わからないんですけど。これ「医龍」でいったら普通は手術成功のシーンだよなぁ…。いやいや。
しかも突然ワタルとキ・キーマらがはぐれて終わるし。展開が急すぎてついていけないよ…。
 でもユナ婆は良かった。

 困っていたワタルへ声をかけたのはこの一帯を治めているという、えー…ガラモンだかダイモン
だかっつージジイ。キ・キーマらを牢に入れてるあたり少なくともいい人には見えませんね。
 ただしそこでワタルはミツルが、宝玉を見つけるために森を焼き払い、そのためにけが人や
死者が沢山出たということを聞くわけです。そこで初めてワタルは、願いをかなえるためだったら
何をしてもいいのか…と迷います。
 この時点では(あくまでもこの時点では)、私はワタルよりミツルに同情してましたね。小学生が
そこまでして叶えたいと思う願いであれば、何をしてでもと責められるいわれはないんじゃない
かと。
 願いを叶えたいといっても誰かを、何かを犠牲にしてはいけないというのは建前です。
 本当にどうしても叶えたい願いであったらなりふり構わずかなえようとする、それが本音って
もんじゃないですかね。少なくとも私は自分がそういう立場に置かれたとしたら、「自分の願いを
叶えるのに何も犠牲にしてはいけない」という奇麗事は言えないです。それが、多くの関係ない
人の命であったとしても。

 ここでワタルは、自分の父親に責められるという幻覚を見ます。
 「出て行かないで」というワタルに対し父親は、「ずっとガマンして働いてきたが誰も感謝しない。
もう夫も父親もイヤだ」と言います。
 気持ちは分かるがそれを子供に言っちゃダメだぜオヤジさん。
 奥さんに言うのならともかく、子供に「感謝しろ」なんて言うもんじゃない。子供を養うのは当たり前。
そこには親の無償の愛があって、見返りを求めるものじゃない。というより子供にそれを理解しろ
というのはムリ。感謝は強要するもんじゃない。
 なんか哀れなオヤジさんですね、幻覚にしても。
 ワタルのピンチを助けたのはミツル。でも彼は、ワタルを助けるため簡単に、あのジジイの部下の
命さえ奪ってしまう。これは衝撃的です。

 ともかくキ・キーマらを助けようとしているワタルに助っ人が。カッツらがやってきましたよ!
 そんであのジジイも魔法を使おうとしたんだけど杖に吸収されてなんか玉になっちゃいました。
これをワタル、拾うんですがこの玉もその後どうなったか説明なし。これだから何なの?

 結局考え方の違いでワタルはミツルとケンカになっちゃうわけですが、それでも彼の中の
しこりは消えません。願いをかなえるためには何をしてもいいわけじゃない、というのが固まった
ようですね。
 んでここにきてなんか突然ファイヤードラゴンの子供大活躍。成長して、成竜を呼び寄せて、
ミツルが手を組んだというイルダ帝国だったかな、そこへ戦争をやめさせるため乗り込むことに
なったんでした。なんていうか…ご都合主義な展開というか唐突というか。展開はやっ。

 一方ミツル。ホストも真っ青の手練手管でイルダの皇女ゾフィをたらしこみ、最後の宝玉のありかを
聞き出すわけですよ。よっこの悪人!
 その最後の宝玉はこの城が守っていて、それを取ると封印されていた魔族が出てきちゃう
とかいうんですけど、ミツルの前に敵なし!まったくためらいませぬ。
 宝玉に王手をかけたところでワタルが追いついてきて「こんなの間違ってる」とか言うんですよ。
 間違ってるのはわかったから「何故」「どこが」「どのように」間違っているかを200文字以内で
答えなさい。制限時間5分。
 最後の宝玉を守る、相手の見たくない部分を映し出すという鏡が、ミツルの過去を映し出します。

 ミツルの親は、ミツルの妹アヤとともに無理心中をしていました。ミツルはたった一人取り残され、
恐らく親類をたらいまわしにされ、つらい思いをしたのではないでしょうか。
 というよりもですね。ミツルが話の中で「待ってろ、アヤ」みたいなことを言うのですが、それが
私にはずっと「ハヤ」という名前に聞こえていて、妹の名前が「アヤ」で違うので、この家族はいいとして
別の、例えば恋人とかを生き返らせたいのかと思ってました…。アヤかぁ…。

 ワタルが想像していたより、そして自分よりずっとずっとつらい過去を背負っていたことを知り、
彼は思わず身動きできなくなってしまうわけですよ。そりゃそうだ。ワタル自身、自分より不幸な
人間はいないと思いながら来た部分があったわけだから。そんな甘い考えをミツルの過去が
打ち砕いたわけですよ。
 で、ミツルは最後の玉をゲット!運命の塔へ。
 カッツたちがやってきて、ここは任せてワタルは上へ行けっていうんですけど。
 …運命の塔へいけるのは5つの宝玉を集めた人だけではないんですか?つかワタルはいつ
残りの3つを集めたの?なんかよくわからんけど。
 でもってゾフィもなんか玉渡してるけど、これも何の意味があるかわからず。
 5つ集まらなくても誰かが集めた後を昇っていけばたどり着けるってどういうことやねん。
 ま、ここらの私的見所は、カッツとトローンかな。この二人はとてもよいカップルだぁーと思いました。

 んで塔の上にいったら謎の声でワタルを助けた少女がいるんですが、この少女の存在が
またわからない。いや、ワタルを利用したかったというのはわかったんですけど、ミツルを
利用した方がもっとシビアに願いを叶えてくれたと思うんだけど。
 ま、ミツルだと逆に耳を貸さずにひたすら妹を生き返らせることだけを願うからかもね。
 あと私はこの不思議な声はアヤだと思ってました。チッ…。

 一方ミツル。自分の影との戦いで、なんていうか思惑に負けたというか引っかかったというか
それで命を落とすわけですよ。
 あれ、ここで死んじゃうんだ、とこれは結構意外でしたね。で、このシーンは妹とやっと出会えた
と大切なシーンなのに、全然感動もありませんでした…。もうちょっと思い入れタップリに演技
してくだされ、ウェンツ殿…。

 そしてワタルはついに運命の女神と出会い、その願いを口にします。
 その願いとは…?


 最後、無情に思えて一応フォローがしてあるところが、シビアな展開だけど救いがあるなぁと
思いました。(氷河さん、言葉変えて同じこと2回言っただけです)
 
 物語の展開として、数々の消化しきれていない部分、謎のままで終わった部分があったと
思います。それが残念です。話の展開は急すぎず緩やか過ぎず、リズムがあって非常に
良かったですね。面白かったです。
 まあ分からないところが多かったのでこれは原作読まないとダメかも知れないですね…。
それだけが本当に残念です。(パンフレットを読んだら、ワタルが踏んでスッ転んだ玉、ジジイが
杖に吸い込まれたあと残った玉、皇女からワタルが預かった玉、すべて宝玉だそうです。一度
くらい目の前で剣に入れてくれればわかりやすかったのに)
 ファンタジーだけどしっかり定番を踏まえているところと、わざと踏み外しているところ、
こういうのがあるのは面白いです。
 
 ワタルの話。
 うーん…なんでかな、あんまり好きになれないタイプ。多分それは、途中まで彼自身
気がついてなかったように、自分も願いをかなえるためなら他の何がどうなってもいい、
という気持ちがあったクセにミツルを「そんなことをしてはいけない」ととめていたからかも。
 それに気がついた後のワタルは本当に変わりますからいいですけどね。
 自分自身の願いは叶わなかったけれども、でもその奥底にあった本当の願いはちゃんと
叶った、運命の女神もそれを見通していた、そんな気がします。

 ミツルの話。
 話の中でシニカルな笑みしか見せなかった彼が、最後ワタルと再会するシーンで普通に
微笑んでいたのが印象に残りました。
 子供だから願いがかなうっていったらがむしゃらになっちゃうんですよ。だから私は
ミツルが間違っているとはいえない。ましてやこれがずっとずっと後悔しながら生きてきた
ものであれば、それ以外見えなくなるでしょう。
 ミツルも、まっすぐなワタルと出会って、こいつと関わっていたら決心がゆらぐって思った
ところがあるんじゃないかな。
 ヴィジヨン イズ フリーダーム〜
 ヴィジヨン イズ フリーダーム〜
 でもミツル、立ち去るとき必ず行く先ワタルに言ってから消えるよね。


 私が願いを叶えるとして、ワタルかミツルかと言われれば恐らく、ミツルのタイプだと
思います。自分の願いをかなえるために他人がどうなろうと知ったこっちゃない、という
気持ちがあるのは否定できません。
 でも願いをかなえたとして、また別の誰かが自分の願いをかなえるために私を犠牲に
するとしたら、願いはエンドレスなわけで。
 とすれば何を願うべきなのか。
 自分で出来ることを放棄してはいけない。
 この物語はそれを教えてくれます。勇気の物語。



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