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窓ぎわのトットちゃん

12/12鑑賞

 ひとつすごく気になった点が。
 作画の問題だから仕方ないんだけど、唇とかまぶたに色がついてるために、キャラ全員が
化粧してる感じになってすごく違和感ありました。
 くちびるは色がついていて当たり前なんだけど、見慣れなかった。
 あとまぶたがね。全員アイシャドウしてるような感じだったので。
 それ以外はとても素敵で面白い話でした。
 
 劇場内の注意CMかがオチビサンになってましたね。かわいい。

 昭和15年。
 駅にて突然切符を頂戴という女の子が。トットちゃんです。
 この切符が欲しいようでした。
 当時って切符全部回収してたから使い終わったものでももらえないんだっけ。
 トットちゃんは母親に、切符屋さんになりたいという。
 前はスパイになりたかったようです。
 この時代からすでにスパイというものの存在は知られていたのかあ。

 トットちゃんはこれから新しい小学校に行くところでした。
 前の学校を騒がしいという理由で退学になったからです。
 授業中にバタンバタン机を開閉してものを取り出したり、窓からちんどん屋さんを呼び込んだり。
 今の時代もうちんどん屋さんはほぼ見かけないかもですが、この時代宣伝といえば
ちんどん屋さんが普通でした。今でいうテレビ広告の代わりですね。
 どこそこで大売出しをやる、とか、どこの劇場でこれこれこういう演劇が始まるよとか。
 
 トットちゃんがやってきたトモエ学園。
 教室が列車の車両を使っていることにトットちゃんは大いに興奮し覗き込んでる。
 気持ちわかるわ。
 トモエ学園の校舎には藤棚が。
 …鬼避けか?(鬼舞辻無惨は大正時代に滅びました)
 中には校長室が。
 入り口に対して背を向ける形になっているということは、この先生は無条件に人を信頼し、
受け入れる方なのでしょうね。これだけでも人格がうかがい知れます。
 小林校長先生は母親の話を聞いたあと母を先に返し、トットちゃんの話を聞くことにします。
 その時間、実に3時間。
 喫茶店で待ってた母は心配もしますね。
 いろいろ話して話題がなくなったトットちゃんは校長先生に聞いた。
「どうして皆、私のことを困った子っていうの?」
 校長先生は言います。
「君は本当はいい子だよ」と。
 トットちゃんはこの校長先生に出会えて幸せでしたね。
 なんていうか、トットちゃんは本当に自分に興味あるままに行動しているだけで悪気は
ないんでしょうね。言えば理解する子なんだと思う。
 ただそれが当時の「集団行動」にはうまく当てはまらなかったんでしょう。

 トットちゃんの自宅が出てくるけど当時にしてはとてもモダンでおしゃれですね。
 上流階級に入るんじゃないのこれ。
 トットちゃんのベッドも天蓋みたいな感じだったし。

 翌朝、起きた母はびっくりして階段を転げ落ちた。
 トットちゃんがもう学校にいく支度をしていたからです。
 早い(笑)。
 朝もパン食べてるし本当にブルジョアだなあ。
 それとパパはねぐせすげーよ。黒子のバスケの黒子どころじゃねーよ。

 定期券を首にかけてもらったトットちゃんだけど、外に出たらロッキーにかけてて
両親がビックリするの笑った。こんなエピソードもありましたね。
 それとトットちゃんが切符を欲しがっていたときに話したあの駅員さん、トットちゃんと
ちゃんと会話してあげていて、いい人だなあと思いました。
 汽車に乗ってトットちゃんは想像の世界に浸りながら登校。
 車両の学校の生徒は10人くらいか。
 皆それぞれ好きな教科をはじめています。
 今ではこの学び方は珍しくないですが(フリースクールなどで取り入れている)、
当時としては斬新ですね。
 あとトットちゃんは窓際の席を選びました。
 その後ろにいたのが泰明ちゃん。彼は小児麻痺で左手と右足が不自由でした。
 トットちゃんがずけずけ質問してて、大人だったら固まってしまう場面だけどなんていうか
泰明ちゃんがちゃんと答えるのもいいし、教師があわてて止めないのも良いなと思いました。
 変にごまかさず理解させるっていうのがね。

 講堂では他の車両にいた子供たちも集まってお弁当です。
 山のものと海のもの、懐かしいなあ。
 ここのエピソード好きだった。
 お弁当に海のもの、山のものがあるか確認してもらって、足りないと入れて
もらえるんですよね、料理を。
 トットちゃんのお弁当とてもカラフルできれいでした。
 これは今の時代でもいけると思うよ。
 ちなみにでんぶは海のものだそうです。

 ある時トットちゃん、トイレに財布を落としていまいます。
 ボットントイレでよくある悲劇だわ…。
 トットちゃんはひしゃくを借りて汚水槽から中身をくみ出すことをやり始めた。
 これアニメだからソフトにかいてるけど絵面相当ですよ。
 校長先生は途中何をしてるんだと声をかけましたが、トットちゃんを止めることはしませんでした。
 終わったら戻しておけよ、と声をかけただけでした。
 こういうところもすばらしいよね。
 自分が手伝うとかでなくあくまでも子供が出来る範囲に任せるっていうのが。
 トットちゃん、財布は見つからなかったけどやり遂げたことに満足したようでした。
 授業もお昼も全部すっとばしたもんな。
 校長先生が担任の先生に言って彼女をお風呂にいれて予備の服の手配してくれた。
 
 トットちゃんは泰明ちゃんを木登りに誘いました。
 でも泰明ちゃんは上れないからと断った。
 でもトットちゃんはあきらめませんでした。

 そんなところにビッグニュースが。
 新しい車両が来る、というのです。
 当然入ってくるところを見たがるトットちゃんら。
 ところがそれは深夜搬入だった。
 校長先生はダメとはいわずに、一度家に帰って寝巻きなど持ってくるようにいった。
 講堂で皆寝て、来るときに起きようってことなんですね。
 こういう柔軟さいいなあ。今だったら責任責任うるさく言う保護者もいるでしょうが…。
 ただ、泰明ちゃんは母親に言い出せず、来ることはなかったようです。
 そして新しい車両が運び込まれてきた。トレーラーっぽかったけどこの当時あったんだ。
 あとは人力で固定ですね。
 朝登校してくる泰明ちゃんをを今か今かと待っていたトットちゃん。
 新しい車両につれていってくれます。
 それは図書館でした。
 いつも教室の片隅で本を読んでいて、そこにある本は読みつくしてしまった泰明ちゃんのため、か
どうかはわからないけど新しい本をたくさん校長先生は入れてくれていました。
 
 プールの授業。
 泰明ちゃんは入らずに片隅で本を読んでいたけどトットちゃんが呼びに来るんですよ。
 そんで彼を引っ張ってプールに入れてくれた。
 泰明ちゃんは水に入ると体が軽いことに気づくんですね。
 普通の人と同じよう、までとは行かないけど自在に動く体は嬉しかったのではないか、と
私は思います。
 
 夏休み。
 トットちゃんは泰明ちゃんを呼んで学校の木に登らせてあげようとしていました。
 はしごで失敗したけど脚立を見つけて、二人はとても時間をかけてやっと木のまたに登る
ことが出来た。
 泰明ちゃんにとってこれがどれほど心強く、嬉しい出来事だったのだろうと思います。
 自分がダメだと思っていたことをダメじゃないと挑戦させてくれた人がいたことを。
 泰明ちゃんはトットちゃんに、君はいつかテレビジョンに出るかもしれないね、と話しました。
 先見の明があるな。

 その夜泰明ちゃんの服がドロドロに汚れていたことに気づいた母はうれし涙を流していました。
 
 トットちゃんはお祭りにて一生のお願い、と言ってヒヨコを買ってもらっていました。
 でもヒヨコはすぐに死んでしまった。
 まあしょうがないよねえ。
 泰明ちゃんはそのヒヨコはトットちゃんに飼ってもらって楽しかったと思うよ、と言うのでした。

 そして二人は学校にあったチャリアカーでトットちゃんのパパの職場へ。
 このエピソードは知らなかったなあ。あったっけ。
 そこは楽団の練習場でした。パパはバイオリニストだったのです。
 トットちゃんはやさしいローゼンシュトックさんがどうの言ってるけど楽団員にめっちゃ怒鳴ってた。
 まあ子供には優しい人なんでしょうね。良い大人だと思いますよ。
 実際そとに出てきたらめっちゃ歓迎してくれたし。
 
 ある日トットちゃんは校長先生が怒っているのを目撃しました。
 「どうしてしっぽがあるなんていったんだ!」
 それはトットちゃんの担任の大石先生が叱られていたのでした。
 
 人間のからだの仕組みで、尾てい骨について触れた時に、大石先生は高橋君に対して
「高橋君にはしっぽがあるんじゃないの」と言ったのでした。
 詳しくは説明されていませんが高橋君はなんらかの障害があってみんなより体つきが二回り
くらい小さかった。
 そんな彼が劣等感を持ってしまう、トラウマを持ってしまうような発言を大石先生がしたことを
校長先生は叱ったわけですね。
 トットちゃんには見られていたけども、他の生徒の前で叱らないというのは良いことだと思います。

 運動会のエピソードは泰明ちゃんのお母さんがものすごく喜んでいたのが良かったなと
思いました。
 トットちゃんと泰明ちゃん、一位になることはできなくてもちゃんと走りきれたのだから。
 そして高橋君はからだが小さいことを生かしてこいのぼりの中をくぐる競技で一位取ってました。
 からだが小さいということは場面において不利になることもあります。
 けれど「戦えない」というわけではないのです。

 昭和16年。
 いよいよ世界がきな臭くなってきました。
 トットちゃんの父親は今後自分たちを父・母と呼ぶように言いました。
 昭和17年。
 トットちゃん3年生。
 相撲エピソードはかわいらしかったな。
 あと泰明ちゃんがトットちゃんの相手に名乗りをあげるのですよ。
 でも普通の相撲では勝てないから腕相撲が提案される。
 そこにおいてトットちゃんは初めて「相手に配慮をする」ということをしちゃうんですね。
 泰明ちゃんの体のことを考えて忖度するというか。
 腕相撲には勝ったけど泰明ちゃんは怒った。
 トットちゃんもズルはしてないといったけど、なんで自分がそういうことをしたのか、まだ
わからなかったのかも知れないですね。
 
 ある時、近所のクソガキどもがトモエ学校をバカにしにきた。
 トットちゃんは反論する。
 クソガキどもが石を投げるんだけど泰明ちゃんがトットちゃんをかばった。
 かっこいいぞ!
 トットちゃんは歌い始めました。
「トモエ学校、いい学校!入ってみてもいい学校!」とクソガキどもが揶揄してた言葉を
うまいこと変えて反撃したんですね。
 みんなも歌いだしてクソガキを追い返すことに成功。
 暴力に非暴力が打ち勝った、すばらしいケースじゃないですかね。
 たまたま声を聞いていた校長先生が後姿だけだったけどうれし泣きしてた感じでした。

 買い物に出ていたトットちゃん一家が兵隊に奥さんが華美な服装と注意されていて、
トットちゃんがうまい機転で逃れるのは良かったですね。
 まあ確かにどういう服装するかは自由だけどちょっと目立ちすぎるなとは思った。
 この時代、贅沢は敵って言われだしてたからなあ。
 お弁当もだんだんと質素になっていった。
 自販機もお金が戻ってくるだけになり。
 いつもの駅の駅員さんも女性に代わっていた。出兵されたのでしょうね。

 昭和18年。
 日本の状況はいよいよ貧しいものになっていきました。
 泰明ちゃんがトットちゃんに、『アンクル・トムス・ケビン』の本を貸してくれた。
 黒人奴隷の話ですね。
 そして二人がよく噛めよの歌を歌いながら帰宅していると、通りすがりの兵隊に
そんな歌を歌うなと叱られた。
 いやしい歌だって。
 この時代は子供にまで節制が求められたからなあ。
 
 駅にたどり着きトットちゃんに泰明ちゃんは何かを言いました。
 けれどそれは汽車の音にかき消されたのでした。
 夜トットちゃんに本の内容を読み聞かせていた父はある決意をします。
 それは、自分のバイオリンで軍歌は弾かないということでした。
 引いたら食料がもらえたんだけど、父はプライドを優先したんだね。
 もちろん、家族のために軍歌を弾いて食べ物を得た人もいると思います。
 それはそれで大切な決断だったと思います。
 生きていくためには仕方ないことだからね。

 そして。
 トットちゃんにとってつらい出来事が起きました。
 泰明ちゃんが亡くなったのでした。
 
 トットちゃんが泰明ちゃんに別れを告げて教会を出ようとした時、泰明ちゃんの言葉が
聞こえてきました。
 トットちゃん。
 いろんなこと、楽しかったね。
 君の事忘れないよ。
 多分駅で言ったのもこの言葉だったのかなと思います。

 町の中を走っていくトットちゃん。
 笑顔で兵隊を送り出す人たち。
 兵隊ごっこをしている子供たち。
 家族を失ってひっそりと悲しむ人。
 いろんな人がいました。
 
 昭和19年。
 ロッキーはいなくなっていて首輪だけが映ります。
 ここは、カットしてくれてよかったと思います。
 あのエピソードはつらすぎる。

 学童疎開が始まりました。
 皆お別れすることになります。
 トットちゃんは泣く子を励ますくらい空気読める子に育ってて良かった。
 トットちゃんは校長先生に会いました。
 大きくなったらこの学校の先生になってあげる、と。

 トットちゃんたちは青森へ疎開することになりました。
 家も取り壊されることに。
 そしてトモエ学園は空襲で燃えてしまいました。
 しかし校長先生は息子さんにこう語ったそうです。
「次はどんな学校を作ろうか」

 EDでロッキーとトットちゃんの絵が出てきて泣きそうになっちゃったなあ。
 最後、トモエ学園の写真(があったか忘れたけど)みたいなのがあるとちょっと良かったな、と
思いました。

 私はこの作品多分小学生の頃に読んだはずなんだけど面白くて何度も読み返したんですよね。
 で「ああ、あのエピソードやるんだ」「これは外したんだ」って見ながら思ってました。
 外してよかったと思うエピソードは、トットちゃんが前の学校を退学になった詳しいくだり。
 実は、机をばたんばたんさせることについて「あ」を書くための鉛筆を取り出して「あ」をかいたら
それをしまい、次に「い」を書くための鉛筆を取り出して同じ動作をする、間違えたらケシゴムを出して
またしまう、という風に一つ一つの文字をかくたびにエンピツを出し入れしていた、というのが
あるのですが(確か)、それは冗長なシーンになってしまうので、映画の通りでよかったと思います。
 また、もうひとつ外してよかった思うエピソードはロッキーですね。あれ原作だと、ロッキーが
死んでトットちゃんが学校にいってる間に処分されてしまっていた、というエピソードだったと思うの
だけど、あれはなくてよかったと思います。二つの死が描かれるのは悲しすぎるから。
 と思って検索したのですが、「ロッキーがいなくなった」と表現されてるみたいですね。私の記憶違い
なのかな。ロッキーが死んで離れないトットちゃんを、学校にいかせている間に両親が何とかしたから
「いなくなった」という表現だと思っていたのですが。原作読み返してみないとわからないけど今私の
手元にないです。子供の頃数度読んだきりそれからどこかにいってしまったんだよね、あの本。
 多分私はこの話で楽しかったことだけ覚えてるから、いろいろと記憶との齟齬があるのかも
しれない、と思います。

 入れて欲しかったエピソードがあります。
 元気の皮のエピソード。
 これはトットちゃんが購入した、噛んでなんの味もしなければ健康だ、という木の皮の話。
 失礼だけど戦争関連の話をカットしてこちら入れて欲しかったなあ。
 明るい話をたくさん入れて欲しかった、と個人的に思います。



多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→窓ぎわのトットちゃん