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ユナイテッド93

9/17鑑賞

 この映画は架空のものではありません。10/7公開予定の「ワールドトレードセンター」と
同じ、9.11テロの実話を基に作られたものです。

 私達は当たり前のように毎日、公共の交通機関やマイカー、その他を使って通勤通学し、
あるいは職場・学校へと通い、帰宅します。
 それについて特に注意を払わないのは、それが安全であるという大前提のもとに存在し、
運行されているからです。
 その、日常の一部でしかなかった移動手段の飛行機が、突如ハイジャックされて、非日常
へと変わったら。恐怖はいかばかりかと思います。

 これが地に足の着いた乗り物であれば、何とかスキをついて逃げることも出来るかも
しれません。大きな豪華客船なら隠れる場所は沢山あります。しかし空を飛んでいる飛行機で
あれば逃げる場所はありませんし、下手をすると墜落あるのみです。

 事件の経過を追っていきましょう。(細かな時刻などは省いています)
 
 飛行機に次々と乗り込んでいく乗客の姿がまず描かれています。恋人に電話している人、
仕事相手を電話でしかりつけている人、スケジュールのチェックに余念がない人、これからの
旅に胸を弾ませている老夫婦など…。
 飛行機の乗り方がちょっと描かれていてわかりやすいなと思いました。
 誰だ私に「国内線の飛行機では靴を脱いで正座して乗る畳シートがある」と云った奴は!
 あとビックリしたのが、あちらではFAでいいんですっけ、フライトアテンダントさんに皆
フレンドリー。気軽に「こんにちは」とか「よろしく」とか声をかけて乗っているのにビックリ
しました。日本はもっと堅苦しいよね。

 で、離陸のシーンでどうでもいいところがちょっと気になったんですけど。
 飛行機のドアを閉めるシーンで整備士さんかな?ともかく陸へ残る人にFAが「Thanks
so much.」と言ってて、それが「お世話様」と訳されてました。確かにそういう意味もあるん
だけど、なんていうのかな、そういう古臭い訳し方じゃなくて、「お疲れ様」とか「行って来るわね」
くらいでいいんじゃないかなー。なんか今回の訳、各所にすごい古い言い回しみたいなのが
目立った気がします。ほんとうに些細なことですけど。
 それとこれは関係ないんだけど、会話中突然「November」という言葉が出てきて、緊急発進
とかいわれていてびっくりしたんですがこれは、あのコナンでも使われていた通信用語の
やつですね。NovemberはNをさします。で、なんでこれが緊急発進につながるのかは知りません。
手帳にメモしてあったから書いてみただけだ。(ちゃんと分かるようにメモしとけ)

 一方管制塔の方では、他に飛んでいた飛行機が変な動きをすることに気がつくわけですね。
無線に応答しなくなり、ふと聞こえた会話ではなにやらハイジャックのような雰囲気があった
というだけ。
 この時点ではあまりたいした風に受け止めていなかった彼らは、「とりあえず検証してみよう」
程度でした。
 その後、もう一機ほど不審な動きをする飛行機、そしてあやうく別機とニアミスしかけた飛行機が
出てくるにあたり、「これは変だ」という雰囲気が漂い始めます。

 そしてあの、WTCの報道が行われました。
 最初は無理もないことですが情報が錯綜しており、「WTCで爆発があったようだ」「小型機が
突っ込んだらしい」ということから、不審な動きをしていた飛行機の一機が突っ込んだことを彼らは
ようやく知ります。
 呆然となる関係者達。きちんと確認しようと双眼鏡でWTCを見ていたところ、更に一機が突入するに
あたって、管制塔や軍は大パニックに陥ります。
 あわてて指令を出して今飛んでいるすべての飛行機を強制的に最寄の空港へ着陸させること、
離陸しようとしている飛行機はすべて飛行停止。各国からやってくる飛行機に対し、アメリカだけで
なくカナダや一帯もすべて進入禁止。
 「全空港閉鎖できました!」って踊る大捜査線みたいなあれですけども…。

 それでも事態は遅すぎました。
 もう一機がペンタゴンに突入。
 騒がしかった管制塔がふいに静かになりました。
 人間、驚きが大きいと動きが止まるんでしょうね。

 一方ユナイテッド93もハイジャックに巻き込まれていました。
 大混乱の中乗客たちはこっそり電話をして、WTCとペンタゴンに飛行機が突っ込み、大惨事に
なっていたことを知るわけです。
 そうして、ハイジャック犯は「空港に引き返す」と言っているけどもそれは乗客たちに反乱を
起こさせず、静かに目的を達成させるための嘘であるということに皆気づきます。
 恐らくこの飛行機が一番最後に行動を起こしたからでしょう。テロリスト達が時間を決めて
一斉に行動していたら、この機も目的地に到達していたと考えられます。

 家族にさようならと告げる人。抱き合い、祈る夫婦。
 ハイジャック犯に向かっていくことは怖いけれども、このままだとこの機もどこかに突っ込む。
 乗客たちは話し合い、勇気を振り絞り、今そこにあるものを武器として、ハイジャック犯に立ち向かって
いきます。
 やけになったハイジャック犯が操縦桿を回し、飛行機が錐もみ状態で墜落していく中、彼らは
最後まで戦い続けました。
 国を守るために。大切な人を守るために。
 エンドロールでは乗客リストが出ています(日本人もいます)。また、演じた人の中には
ご本人出演もあるようです。


 と、大体こんな感じでした。
 ただ、ひとつ難点を言うならば、この映画カメラワークが下手すぎる。
 あのね、始終ブレてるんですよ。一昔前の素人ビデオみたいな手ぶれがひどい。
 飛行機の中では効果を狙ったりとか臨場感とかわかるのですが、管制塔や軍、その他の
場所でもとにかく揺れている。で、人から人へ場面が変わるのでも、シーンの転換ではなくて
カメラをそのまま振ってピントを合わせる感じなので本当に見づらいです。人が歩いているシーン
でもカメラしょってそのまま一緒に歩いてる感じ。だから縦にブレる。
 見始めて30分〜40分くらいから頭痛がし始めて、何でだろう?と思ってたんですけど、
友達とか周囲の人もなんかごそごそしてるし、えらい肩こるしで、画面見ていて気がつきました。
 軽く車酔いのような症状が出ます。最後まで見るのは正直つらかったです。
 あれは何とかならないんですかね…。酔いやすい人はご注意下さい。
 これを除けば本当に良い映画でした。


 この映画に落ちはありません。感動的なラストもありません。
 彼らは全員助かりませんでした。
 一番近い軍の戦闘機でも160km離れていたとか。
 それ以前に軍は誤爆を恐れ、大統領から狙撃許可が出ていたにも関わらず、
離陸したパイロットたちには伝えなかったとか。
 それがどれほどの意味を持つかは知りませんが、ユナイテッド93の墜落を知ったのも
墜落4分後。
 すべては後手後手に回っていたのでした。
 そしてこの映画がまったく脚色されていないとは思いません。でっちあげられた美談の
可能性だってあります。
 しかし飛行機は何故か目的地に到着せず墜落した。乗客らからメッセージを家族が
受け取った。それらを総合するに、乗客たちが果敢に戦ったのではないか、という推測は
あっても良いのではないかと思うのです。

 もう二度とこんなことが起きないように。
 昨日と同じ今日が繰り返され、今日と同じ明日が繰り返される。
 これほど幸せなことはないと、私達は感謝すべきなのかも知れません。



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