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イルマーレ
THE LAKE HOUSE

10/4鑑賞

 映画のどうでもいいレビューをだらだらと書いて気がつけば70作品目ですか。
そういう区切りにいい映画を見たなぁと思いました。
 正統派というにはおかしいかも知れないけれど、正統派恋愛映画です。ぜひぜひ。

 研修を終えて病院に正式採用されることになった女医のケイトは、長い間親しんだ
湖岸の家から引っ越していきます。
 この家というのがものすごく変わっていて、ガラス張りで中が見えるというものでした。
いや、壁が全部ガラスって、耐久性からして危ないから…。どうなんですか姉歯さん!

 …つか元長野県知事が引っ越してくればいいんじゃね?お望みどおりガラス張りだし。

 まああの何となくクリスタルな人が越してくると話が終わってしまいますので、ちゃんと
アレックスがやってきました。
 ここのところ、場面の移り変わりが自然なんですよねぇ…何の知識もなくこの映画見た
人は「ケイトの後にアレックスが越してきたのね」と思うでしょう。
 実は反対なのです。

 でもほんとこの家、湖の上に立ってるから水害だの台風だのハリケーンだのきたらえらい
ことになりますよ。家ごともってかれるだろうな…。引越しが楽でよさそうですけど。(そういう
問題ではない)

 このガラス張りの家、やばいと思ってたらやっぱ周囲からもそう思われてたみたいですね。
ま、普通の人はああいうところにすまないし、そもそも建てないでしょう。っていうか、この
あたりの話も実は秘密があった、というのはすごいです。
 何故ならこの家は、建築家であったアレックスの父親が設計して建てたもので、以前母親が
いて温かい家庭があった頃には家族全員で住んでいたからです。
 それも母親が去り、父親と反発してアレックスが一人暮らしをはじめてからは誰も住まなくなって
いたのでした。ではケイトはどこに住んでいたのでしょうか?

 アレックスはポストの中に、前の住人からのメッセージを見つけます。
 手紙が配達ミスでやってきたら、下の住所に転送してほしいこと、そして玄関の犬の足跡は
前からあったということ、屋根裏の不思議な箱も前からあったということ。
 玄関に犬の足跡はなく、何かの勘違いかなと首をかしげるアレックス。
 なぜならばこの家はまるで何十年も人が住んでいなかったかのごとく、水道管はボロボロ、
ゴミがたまりまくっているというすごい有様だったからです。しかも家の中に木が生えてるし。
自然があっていいですけど、こりゃあ虫とかたまらんだろうな…。どういう秘密基地だよここはよ。
 岸から家へ入るためのタラップにペンキを塗っていたアレックス。
 そこに犬が入り込み、お約束どおりタッタッタッタッと足跡を盛大に残して家の中へ入って
しまいます。

「玄関の犬の足跡は前からありました」
 その奇妙な符号に、気になって彼は天井裏に行くわけですが、不思議な箱はありません
でした。
 で、当然のことながらアレックスは、ケイトがどっか別の家に前住んでいてそこと勘違いした
んじゃないかと思うわけです。っつーかケイトが真面目な性格でちゃんと犬の足跡を消して
去っていたりとか、妙な箱を開けていたら物語が成立しなかったんではないだろうか、という
突っ込みはしないほうがよさそうです。

 で、ケイト。
 忙しい毎日を送っていた彼女は、母親とランチを取りながら愚痴をこぼしていたわけですが、
そこに目の前で交通事故が。バスが、道を横断してきた男性に突っ込んだのでした。
 ここでまあ大体誰か想像がつくのですが、それはあえて語らないことにします。

 ケイトは懸命に処置をするわけですが、手当ての甲斐なくその男性は息を引き取ったと。
 ここからケイトの時間が動き始めます。

 で、アレックスは「ここは長いこと空き家だったみたいなんだけど」と手紙を書いて家の前の
ポストへ。
 ここでどういう理由でそのポストに入れたのか忘れてしまったんですけど、えらい自然に
描かれていたと思います。普通なら「なんで文通すんのに自宅ポストに入れんのよ」って
思いますもんね。
 と。
 目の前でポストの取っ手があがり、さがり。
 不審に思ったアレックスはポストを開けてみます。そうすると自分の手紙は消えており、
代わりにケイトからの手紙が入っていたのでした。
「空き家だったはずはない。私は住んでいたんだから」
 ケイトからの手紙に2006年とあるのを不思議に思うアレックス。何故なら今は2004年だったから。

 アレックスは4年ぶりに弟に会いに行き、不思議な出来事を話して聞かせました。
 つーか回転ドアの中に入って映像ながすな。目が回る。
 ここでも面白いんですねー。実は微妙に2006年と2004年の映像が切り替えられてる。

 で。えーとケイトが住んでいるっていうマンションを訪ねていくんですけど、そこはまだ建設途中
の場所。
 弟が、「1620号室なんてないぞ。呼び鈴鳴らすか、ヴィーン」って一人コントやってるのが
メチャクチャ笑えました。

 二人とも、時を隔てているということが信じられません。
 ポストはさんでものすごい勢いで文通始めました(笑)。
 っていうかさぁ。
 証明に写真入れて送ろうとか思わんわけ?
 アレックスは建設途中のマンション、ケイトは建設し終わったマンション写せば一発だと
思うのですが。
 不思議と写真の話は出てこなかったですねぇ…。
 ケイトも「(返事が)早いわね」ってポストの前で待ちぶせだし(笑)。
 しかも「2006年は人は銀色のスーツを着て心を読んで会話する」ってひどいウソ言うなぁ。
どうせなら「2006年はもう月にマンションが立って普通に住んでる。2005年に第三次世界大戦が
おきて人類の2/3が死滅した」っていう微妙にリアリティある話をかけよ。(悪魔かお前は)
 そして二人はどうやら、飼っている犬が同じ犬であるらしいということに気づいたのです。
 つまり犬は何でも知ってるわけかー。彼女に聞けばすべてが分かるってか。
 バウリンガルが必要ですね!(あれそんなに万能じゃないから)
 つーかジャック(犬)の寝方怖いよ。人間のように、じゃなくてあれは死んだようにしか見えません!

 二人は時空を越えたデートをします。
 アレックスが街中の地図に番号を振って、時間を決めてそのとおりに歩くというもの。ステキな
デートですねぇ。
 どっかの壁に書かれた、アレックスからケイトへのメッセージを見て笑顔になるケイト。
 落書きするなアレックス。

 ケイトの手紙に「ここには木がないから寂しい。あの家が恋しい」と書かれてあれば、その建設
途中のマンションの前に木を植えてあげるアレックス。
 雨に降られてあわてて帰ってきたケイトの横に、成長した木が現れました。粋なことをしますね。
 まああの小さな木が2年でそこまでになるかどうかという突っ込みはさておき。

 レイクハウスで弟と語り合うアレックス。
 話はいいこと言ってると思いますが、私は二人にたかるコバエが非常に気になって仕方があり
ませんでした。
 なんとかしとけよ。

 いよいよアレックスが本当に2004年に生きていると確信したケイトは、2004年のある日に
駅で忘れ物をしたからとってこいと、お前何いきなりずうずうしくなってんだというようなことを
お願いします。
 心優しいアレックスはちゃんと探しにいってあげました。
 彼女が忘れた、父からもらったという大切な小説を。一瞬、バスだか電車だかに乗り込んだ
ケイトと視線が合います。

 で、その忘れ物を無事アレックスが受け取ったのはいいんですが、「じゃあ2006年の今日
電話して」って手紙で。だからお前どこまで図々しく(以下略)。
 とたんに電話がかかってきてドキッとしますが、それはモーガンという、私からいわせれば
ルー大柴タイプの男。今はちょっと疎遠になっている、恋人未満な、昔は恋人だった男です。
 もーこの男大嫌いですわ。
 有頂天ホテルにもこのタイプのおしゃべりでうざくて一人でどんどん先にいってしまうタイプの
男が出てくるんですけど、実際にこんなんそばにおったら殴り倒すわ。
 ケイトも2年前実は、勝手にパーティを開いたことに怒ってモーガンと別れた?離れた
らしいですね。いきなり町中の人呼ばれてパーティ(しかも自宅)じゃ怒るわ。
 でもモーガンも、「キミこそあのパーティの時に、知らない男と踊った上にキスまでしてた」と
いうわけです。ケイトは「別にあのキスに意味はない」と言います。
 こういう勘違いタイプの男って本当にうざいわー。

 ここの場面、少し混乱するので気をつけて見ないといけないなぁと思いました。
 ここまでは2006年の話。
 次に、ジャックがいきなり走り出して慌てて後を追ったアレックスが会うのは当然2004年の
モーガン。
 彼は「恋人」のケイトを紹介します。
 衝撃を受けるアレックス。
 モーガンはアレックスとその恋人(ええ、一応画面内に時折出てきてました)に「ぱーちーするから
おいでよん」と誘いをかけるわけです。

 ぱーちーに参加して、とりあえずぱーちーはどうでもいいアレックスは、ケイトに声をかけて
話をするのですが、うまいこと切り出せず。
 「説得」(Persuasion/ジェーン オースティン)の話をしてみたり。
 ケイトはこれを暗い話と言いますが、私はそうは思わないです。まさにこの「イルマーレ」の
ような話だと思うですよ。
 身分の差で別れることになった二人が、また時を経て再会する。けれどもお互いに既に恋人や
アプローチをする人がおり、またも二人は離れ離れに。二人とも、相手のことが好きなのに「もうこれは
どうしようもないこと」と諦めてしまったりするのです。けれども運命はお茶目ないたずらを彼らに
仕掛け、ようやく二人は最後結ばれるというお話です。
 で、アレックスとケイトは踊り、キスを交わすのですが結局時間切れで別れることに。

 アレックスの手紙からその話を知り、思い出したケイトは、「どうして声をかけてくれなかったのか」
と言います。無茶言うな。
 アレックスは「変な人に思われたくなかったから」と言います。
 アレックスの方が分別を持っているように思うのですが気のせいでしょうか。
 でもここで見ている方も「なるほど、2006年のモーガンとケイトが言い争ってたのはこれか」と
ニヤリと出来るわけです。
 
 そうやって続くかと思われた平和な時間ですが、突然の知らせによってさえぎられるわけです。
 アレックスの父親が心臓発作で倒れて入院。2006年のケイトの上司にあたる女医さんが
治療に当たっていますが、手術の必要があると。
 で、父親はなんかベラベラとアレックスに建築のなんたるかを語るわけですが、これは何か
意味があんのか。っていうか光が大切だとか温かみがどうとか、温かい家庭をぶち壊した
お前が言うなって感じですけど。
 なんかこの父親、建築に関するウンチクがやたら長いところは、あの結婚できない男の桑野さんに
ちょっと似てる。
 
 そしてケイトは病院のカルテから、その数日後にアレックスの父親が亡くなったことを知ります。
これはアレックスの時間で死んだことを見せるわけじゃなくて、こういう間接的に見せるっていう
のはすごいなぁと思いました。
 ケイトは急いであのポストに向かい、父親の死後出版された、建築家としての仕事をまとめた
本を、時空を越えてアレックスに届けます。…え…あのポストのサイズからしてこの本、入り
ませんよね…。(黙っとけ)
 幼き日、レイクハウスで父との写真を見つけて涙を流すアレックス。

 ケイトはそんな彼を慰めたくて、「どうしても会いたい。イルマーレで会いましょう」と、彼に予約を
入れてもらいます。
 すぐに予約をしに行ったアレックス。
 海外のこういうレストランとかパブリックサービスって、数年後とかの予約でも受けてくれるから
面白いですよね。
 バックトゥザフューチャーでも100年後だったかな、指定された場所にちゃんとドクからの手紙を
郵便屋が届けてましたもんね。
 
 ドキドキしながらその日を迎えたケイト。
 ところが閉店まで待ってもアレックスは来ませんでした。何故なら…。

 何故こなかったのと責められてもアレックスは理由がわかりませんがな。
 あとここで不自然にケイトから、「今年のバレンタインデーに男の人がはねられて死んだ」という
エピソードが入り、伏線を張りまくった後、ケイトは「もう手紙を出さないで」としめくくり、ポストの
チェックをやめるわけです。
 それでもアレックスは諦めきれず手紙を入れ続けました。なんかポストの中にどんどん
手紙がたまっていくのが切ないです。

 ケイトはモーガンとよりを戻していました。
 なんでよりによってこんなつまらない男に…。
 仕事が出来てもこういうのはイヤですね。自信過剰で女に愛されてると思ってる。そのクセ
女が言うことを聞かないと力ずくできかせようとするし。

 失意の中アレックスはやっと区切りをつけ、家を引き払い、弟と事務所を開くことにしました。
 そうして偶然出会ったモーガンに、ケイトが探していたという湖の家についてカギを渡し、
去っていくのです。
 そう、屋根裏にあの手紙を入れた箱を残して。

 ケイトはつまらなさそうにテレビを見てます。パワーパフーガールズだっけ、あれが映った。
あれ確か続編みたいなの出来るんですよね。ええ、どうでもいいですけど。
 つーかモーガンとケイトってケイトのマンションで同棲してんのか。まあ珍しくもない話
ですねぇ。
 で、ケイトは不自然に盛り上がった床下からあの本を見つけるのです。
 かつて自分が忘れ物をし、アレックスが見つけてくれたあの本を。
 多分突然出てきたということは、アレックスが去り際に、完成間近だったあのマンションに
途中で入ったか何かして床下に隠したのではないでしょうか?
 そう思いました。
 でも、すべてが手遅れであると感じたケイト。
 そのまま時間が過ぎていきました。

 ここからはゼヒゼヒ、一瞬たりとも画面から目を離すことなく見て欲しいシーンです。

 2006年、バレンタインデー。
 大して興味なさそうに仕事に出かけたアレックス。弟は事務所に待機。
 ところがアレックス、バレンタインデーと聞いて以前ケイトが、この日に男の人が
撥ねられて云々という話から、その場所を確認すればケイトに会えると思いつきます。
慌ててあの家に戻り、屋根裏から手紙の箱を取り出し、どこの場所だったか確認。
大急ぎでその場所に向かおうとするのです。
 
 ケイトはモーガンと、新しく建てる家の話を。
 激安でやってくれるという小さな建築オフィスにやってきました。
 壁に飾られた、あの家の絵を見て衝撃を受けるケイト。
 この絵は…?と聞くケイトに対し現れたのはアレックス弟。
「これは僕の兄のものです」と。
「お兄さんはどうしてるの?」と思わず尋ねるケイト。

 弟は残念そうな顔をして告げました。
「兄は亡くなりました。2年前のバレンタインデーに。バスに撥ねられて」



 すべてのつじつまがケイトの中で合ったのです。
 何故なら、今は2008年だったから。
 今やっと彼女は知りました。
 手紙のやり取りをするようになってから、「電話をかけてきて」といっても、「イルマーレで
会いましょう」と書いても何故「2006年」には会えなかったのかを。
 ケイトはものすごい勢いで駆け出し、懸命にあのポストへ向かいました。
 今から入れようとしている手紙が間に合うことを願って。
「私に会いにこないで。2008年のバレンタインデー、あのポストの前で待っているから」

 
 愛することとはほとんど信じることである  ユゴー
 

 恋愛映画にSF的要素(?)を絡めたのはいくつもあるかと思うんですけど、この映画は
端々に小憎らしい演出がきいていて好きですね。なんかリメイクということで元々は韓国
映画だそうですが…うーん…いや韓国モノが嫌いとかいうのでなくて、先にリメイクの方を
見てしまって、こっちがいいと思ったからオリジナルは見ないかな。
 でも本当にいい映画でしたよー。私も見た後会う人に語りまくったし。素敵な恋愛映画が
見られて良かったです。
 
 もしも引越し先のポストに先住人からの手紙が入っていたら。
 あなたは返事を書きますか?



多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→イルマーレ THE LAKE HOUSE