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ワールド・トレード・センター

10/8鑑賞

 あの日誰もがテレビ画面から流れる映像を一瞬、映画であると思ったに違いありません。
 晴れ渡った秋の空を切り裂くように飛んできた飛行機が、そのままビルに突っ込むなんて。
 世界が衝撃を受けたあの日をこの先きっと忘れることはないでしょう。
 2001.9.11 Tuesday 8:47 アメリカ同時多発テロ発生。

 この映画は、「ユナイテッド93」同様、実話を基にして作られています。WTCへ救助へ駆けつけた
警察官の中で奇跡的に救出された2名のお話です。
 だからやっぱり演出のために手を加えられた部分もあるし、ひねりも伏線もなにもありません。
「映画」として見るのではなく、ドキュメントとして見るのが正しいかもしれません。
 
 ニューヨークの町並みがいろいろ映るのですが、ニューヨークって頭上を電車が走ってるの?
すごいですねぇ。でも落ちてきたらちょっと怖いかも。
 いつものように町へ繰り出した警察官らは「Catch a break!」と言って別れ、バスターミナル警戒の
任務につきます。ニューヨーク市警ってフレンドリーな人多いですね。つか日本もこれくらいの
数であちらこちらウロチョロすると、多少は犯罪抑止効果になっていいんでは?まあそうするには
警察官の数が足りないでしょうねぇ。

 そんな中、大地を揺るがすような轟音がして、本部に戻れとの指示が。急いで戻った彼らが
見たものは、WTCのビルに飛行機が突っ込んだという知らせでした。
 ここの会話で「ガス欠かな?」「ありえない」と字幕で訳されていたのですが、実際では「ガス欠
かな?」といったあと「イエス…なんちゃら」という言葉が聞き取れたんですけどなんか訳間違って
ないですか?それとも否定形で聞かれたらイエスで答えるというあのややこしい構文か?
 しっかし、「Holy shit」までわざわざ訳さなくていいのにとちょっと思ったり。

 あとポリスの返事って、イエスじゃなくてサージ?かな、なんかそんな言葉で返事してたのが
興味深かったです。英語知らないから実際は何ていってたか知らないけど。

 それとこれをみてびっくりしたのが、WTCにはこういったテロを予想しての装備はなかったそうです。
細菌とか化学兵器その他のようなテロには対策できたみたいですが、爆破テロとかそういったものは
想定してなかったとか。
 この会話の中に出てくる93年の爆弾事件がまったく生かされていなかったわけですね。

93年の爆弾事件…1993年、WTCの地下駐車場で爆弾が爆発、ビルの倒壊をもくろんでいたけれども
ビルの強度が爆弾の威力より勝ったため目的にはいたらなかった。

 というよりも、93年の事故でも倒壊しなかったから大丈夫という油断が誰もの心にあったの
かもしれません。
 事実飛行機が突っ込んでから退避の放送が流れたものの、平然と仕事を続ける人、「こちらのビル
は大丈夫です」というアナウンスを信じて戻ってきて仕事についた人などがおり、そういう人達は
倒壊したビルの犠牲になったそうです。
 この映画でもたびたび「93年のテロでも大丈夫だったから倒壊するはずがない」という言葉が
聞かれました。
 ただ、今となってはどうしようもないのですが、「以前大丈夫だったから安心」なんてことは
どこにもなく、やっぱり私は誰がどういおうとも全員避難すべきだったと思います。

 現場はまさに大混乱で情報が錯綜状態。無理もないです。
 駆けつけた警察官らは、ジョン・マクローリン引率のもと、ビルの中へ入っていくのですが…そこへ
ビルの倒壊が発生。逃げる間もなく彼らはビルの中へ埋もれていったわけです。
 このシーンは凄かったです。大轟音の後一瞬すべての音がなくなり、真っ暗に。
 確かテレビで見た映像では、雷が発生していました。地上で発生する雷。恐ろしかったです。

 ジョンと部下のヒメノはかろうじて息がありましたが、完全に埋まってしまい自力脱出が出来ない
状態。
 なんとか助かったドミニクが、まずヒメノを助け出そうとするのですが、そこへもう一つのビル倒壊が
起こり、皮肉なことにドミニクが下敷きになって死亡。
 人生というのはなんとも皮肉で、何が起きるかわからないものだなぁと思いました。
 そこから二人の長い長い、孤独な戦いが始まります。
 いくら鍛えられたニューヨーク市警といえども、こんな極限状態ではおかしくもなると思います。

 家族の様子も描かれているのですが、もう「ショックを受けた」という言葉で表せるものでは
ないでしょうね。
 現場にパパを探しに行くという子供もいましたけど、まず入れるなんて状態じゃない。気持ちは
分かるけどもどうしようもないですね。もどかしいですね。

 と、物語が進むと不思議な海兵さんが出てきます。
 神の啓示を受けてあの現場に向かうという人。
 この人は実話なんでしょうか?
 ちょっと現実離れしてるというか…。いや実際この人がヒメノがパイプを使って出す音を聞きつけて
二人を見つけ、救出劇をやるので…。
 というか結果的に二人を見つけたからいいですけど、こんな現場で勝手に捜索して二次遭難と
いうか二次被害にあっていたらよけい事態がややこしくなると思うのですが。
 ま、これは考え方の違いかもしれないですけどね。

 ちょっとほほえましいエピソードだなと思ったのが、ヒメノ発見の一報に家族がものすごい喜ぶ
わけですが、それで奥さんが「で、どこに迎えに行けばいいの?」で一同シーン。
 見つかったという知らせに、あまりの嬉しさに誰も聞かずに電話切ってしまったらしくて、ちょっと
笑っちゃいました。
 あるよね。

 で、実はまだこの時点ではヒメノは見つかったけど救出されてなくて、それを救助する時に
向かうのに、ジョンがタワーへ入るのと同じ「誰か(救助活動が)出来る者は?」「昔に」「昔じゃ
ダメだ」というセリフが繰り返されたのはなんかちょっと感動した。
 っていうかこんな時X−MENがいたらよかったのになぁ…。
 それと、あの不思議な海兵さん、名前を「ディブ・カーンズ」というらしいのですが、「ファースト
ネームは?」と聞かれて「名前は軍曹だ」という訳がついていたのですが意味がわかりません。
 ここの会話なんだったんでしょうか。

 さて現実に戻ってヒメノ。
 この人すごいんですよ。この状況でジョークが言える。
 実はこの埋まっているところがすごい不安定なところで、いつ崩壊するかわからないような
場所だったんですね。それで救助していたリーダーが「お前たちは避難しろ。自分一人で
なんとかする」みたいなこと言ってて、皆「何言ってんだ、俺達も残る」と返すんですね。
そうしたらヒメノが「皆助かるから安心しろ」と。お前が言うなって感じですが、流石は
アメリカ人だなぁって思いました。信じてないといえないセリフですね。
 それでやっとこさジョンの救助に向かうんですけど、もうね、皆自分が危険かもしれない
なんて関係ないんですよ。崩れるかも知れない、自分の命も危ないかも知れないなんて関係ない。
ただ目の前の要救助者を救うために黙々と作業を続けるって感じで。

 意識を失いかけていたジョンも、奥さんの幻を見ていました。
「アナタ!日曜大工でまだ台所できてないヨ!ちゃんと作るヨ!中途半端だーめヨ!」
(カイヤの声で)
 とまあ実際はどうだったかは知りませんが、そうそう台所というわけでジョンも生還。
 生きているからいえるジョークですが本当に良かったですね。

 ジョンの奥様はまだこの時点では救出されたと分かってないから、散々後悔している
わけです。朝普通に出て行って、どういう言葉を交わしたかも覚えてないって。
 そんなものです。
 皆誰も、今日何かがかわるなんて思ってない。だから朝交わした何気ない言葉が
思い出せない。時にはケンカしてイライラしたまま別れてしまったり。それが永遠の
別れになってしまったら一生引きずることになります。
 だからそんなことのないように、一日一日を家族と大切に過ごしていきたいものです。

 無事救出されたジョンは家族と再会。
 ERが喜びに包まれました。

 それから2年後。
 すっかり元気になったジョンとヒメノは、現役引退し家族と幸せに暮らしているそうです。
 ちなみにヒメノさんご本人が警察官役でどこかに出演してるみたいです。うーんどこでしょ。


 ちょっと気になったのが、「この悪の行為が」という言葉。
 確かにテロは許されることではありません。無関係の人を巻き込むだけで何の意味もない。
けれども、そういう状況に中東を追い込んだアメリカの責任は?アメリカだけが完全な
被害者でしょうか?
 隠されている武器を探すとして何年も攻撃され、今も尚無関係の人間が誤爆などによって
殺されている事実は?そうして「武器はない」といわれても「あるはずだ、探せ」が繰り返され…。

 二度とこの悲劇を繰り返さないための答えは何でしょうか。
 聖闘士星矢という作品の映画3作目のキャッチフレーズが、
「神よ… 戦いはなぜ 愛する人を 奪うのか」でした。
 何かを与える戦いなどない。
 それが答えだと思っています。




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