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プラダを着た悪魔

11/19鑑賞

 思わず「wow!」と言ってしまいそうな、キュート?でコミカルな映画でしたよー!話の筋としては
ベッタベタな感じだけどすごくいい!
 映画の中に登場する数々のブランド服とかも見とれます。

 冒頭からいきなりすごい着替えシーンから始まってどうしようとか思うのですが(笑)、主役である
アンディは殆ど化粧もせず、服も「そこらにあったもの」、フラットなシューズ、髪の毛も「そのまま」と
すごい有様。朝食もファストフードを食べ歩き。ニューヨーカーとしては完璧かも知れないけれど、
オシャレな女性としては程遠いと、ファッション界の人なら誰でもため息をつきそうなタイプ。
 そんなアンディが就職活動中何故か「いい返事」をもらって面接にやってきたのが、世界の
ファッション界をリードするという「RUNWAY」編集部だったのです。

 まあアンディはその価値を知らないので、世界一ファッション界で有名なミランダへんしうちょうの
名を聞いてさえ「誰?」といっちゃうわけですけど。
 彼女にとっては、新聞社で働くための経験稼ぎとして、ファッション雑誌か車雑誌の担当、という
ステップに選んだので、あんまり知らなくてもいいみたいです。
 ですが。
 就職しようというのにその業界をまったく知らないってのは、知らないにもほどがあると思う。
 例えば彼女が希望していたのは雑用というか秘書の仕事なんですけど、ファッションを知らない
から有名ブランドからのTELでさえ「そちらのスペルは…」と聞いてガチャギリされてしまう。
 これではちょっとねぇ。
 で、今のところの第一助手のエミリーに「あなたが面接を受けに?冗談でしょ?」とキョーレツな
ことを言われてしまうわけです。わかるよ、その気持ち(笑)。
 のちのち重要な助っ人となるナイジェルでさえ、アンディとの間に本を立てて口の動きが見えない
ようにして「この子何者?」と聞いてますから。あの聞き方はちょっと笑えた。配慮がありそうで実は
失礼とか…。今度やばい時にはこれでやってみよう。(するな)

 さぁーてそんなアンディの登場にびっくりしている間もなく、「全員戦闘態勢に入れ」との指示が
フロアに。
 ミランダご登場ですよー。
 皆大変なんだ…(笑)。
 急いでフラットな靴をピンヒールに履き替え、机の上のお菓子をしまい、書類を出して広げ、と
大騒ぎ。化粧も直してチェック。
 ミランダご登場〜。うはー、オーラが漂っている。
 でもここすごいんですよ。
 社に入ったところから、今日のスケジュールずーっとチェックして話し合ってるの。で、自分の部屋に
つくまでノンストップ。セリフ量ものすごい多いから、何回もリテイク出したんだろうなぁー。
 すごいの一言につきますよ。

 アンディも面接受けたんですけど。
 アメリカってなんていうか自分を売り込むタイプの面接なんですね。
 大学新聞の編集長していたとか、物覚えが良くて頭の回転も速いのでお役に立てます、だって。
へぇー。
 いや自分が日本人だからか、ちょっとばかし「なんだこの生意気な新人は」と思ってしまいました。
 ミランダも一度は追い返すんですが、何を思ったか「採用」。
 これにはエミリーらもビックリです。
 何百万人があこがれるその職業に、ぽっとやってきた冴えないかっこうの、おおよそファッションには
興味があると思えない人間がついてしまったわけですから。
 
 アンディもこの仕事の恐ろしさを知らなかったから売り込み出来たのかもなーとは、その後を見て
思った感想。
 ちなみにアンディ志望の理由は、ここで1年働けばどこの編集部でも通用するから、だそうで。
 いやキミさー、「ここ、大体数ヶ月で皆引越ししちゃうんだよ」という物件を紹介されて「へぇー、
皆もっと良い条件の物件が見つかったのかしら?」くらいしか思わない人でしょ。
 1年働けば=働いた奴があまりいない、ということを知ったほうがいいのでは…。

 さぁてもう助手の名前は誰であろうと「エミリー」に固定されてるわ、一切の質問は受付ないわ、24時間
いつでも電話とらなきゃいけないわ、言われたことで出来ないことがあってはいけないわ、
「That' all.」といわれたらそれ以上そこにいてはいけないわ…。
 ただ、ミランダを見ていて思ったのは、仕事は大変そうだけど、それだけならやりがいがありそうな
感じだなって思いました。
 いや、なんてーの、私も質問して10秒後に返事が返ってこないとイライラするタイプだし、気になる
ことはさっさとやってしまいたいし、本当に「この仕事だけ」に熱中できるものなら面白そうだなって
思いました。あくまでもこの仕事だけ、ですが。プライベートで趣味とか持ってたら絶対ダメだなぁ。

 最初はアンディの埋もれた才能をカリスマ編集長なみに見出したのかな、と思ったんですが。
 単なる気まぐれだったことが判明。
 だってアンディ、編集長がしゃべってることのひとつもメモ取らないんだもん…。これが?本当に
就職しようとする人の姿勢か?
 3つか4つくらい用事を言いつけられたけど、それの何一つこなせない、こりゃエミリーも怒るわ…。
 彼女なりに頑張っていたんだなーとは思います。
 けれども、「この服にどちらのベルトがいいか」と議論している場で、そのベルトを「私にはどちらも
同じものにしか見えないわ」と笑うのは失礼だよ、アンディ。
 車に例えていえば、「車なんてトヨタだろうがニッサンだろうが三菱だろうがどれも同じ。何が違うの」と
言っているようなもの。客が言うならいいですが、業界の人間が言ったら失礼どころの話ではないよ。
 ミランダが解雇しなかったのが救いですよ…。

 さてさて。そんな彼女に最大の難関が。
 出張先から飛行機で帰る予定だったミランダが天候のため飛行機が飛ばなくなった、子供である
双子のピアノ発表会をどうしても見たいからすぐに飛行機を手配しろと無茶なことを。
 日本だと最悪ハイヤーっていう手もあるけどアメリカだと国土が広すぎて無理なんでしょうね。
 父親との夕飯を諦めて手配に右往左往したものの、結局手配ならず。
 翌日出社したアンディにミランダは、痛烈な皮肉を浴びせかけました。
 これはミランダが悪いよなぁ。
 どうにも出来ないことってのはあるわけで。
 わがままにも限界があるというか。
 自分に出来ないことはないと思ってるなら、ハリケーンを巻き起こした相手に交渉するんだね。

 かなり落ち込んだアンディはそれでも、ナイジェルの励ましによって、そもそも「ファッションなんて
くだらない」と思っていた自分の認識が(ここで働くにあたっては)間違っていたことを知り、ミランダを
見返すべく頑張るわけですよ!服をナイジェルに見立ててもらってな!←このあたりヘボヘボ。
 ここのファッションショーは見もの。柱を通るたびに替わったりしてすごい良いです。
 つーかいくら服がいいものでも、着こなしってあるよなぁと痛感しました。カッコイイ!
 本当にアンディ、綺麗なんですよ!

 で、認めてもらえるようになったアンディだったのですが、信用を得た者のあかしである
「見本誌(ザ・ブック)」を自宅に届けるという仕事で大失敗。
 双子の陰謀(ええ、まさにヤツラ悪魔ですぜ!)にひっかかり、エミリーの「家の中に入っては
いけない」という忠告を無視した結果、ミランダが夫と言い争っている現場に「家政婦は見た」以上の
状態で遭遇。
 翌日ミランダからとんでもない復讐を受けるわけですよ!
「ハリーポッター第7章を手に入れること」
 はぁぁぁぁ!?作者がまだ書き上げてないんやぞ!つーか私も欲しいわ!
 女ってこういうところ、底意地悪いですよねぇ…。絶対不可能な注文をつけて嫌がらせ。
 つかこれ立派なパワハラだと思うのですが、ミランダの立場上誰も文句は言えないでしょう。

 で。
 今度こそクビを覚悟したアンディでしたが、以前のパーティで出会ったエッセイストのクリスチャンを
思い出し、連絡をとり、ゲラを手に入れてなんとか凌いだわけです。いや、ゲラって。
 よくローリング女史も名称だけとはいえ、使うことを快諾したなぁと思いました。
 絶対「この映画の撮影で使われたハリーポッター第7章ゲラ」というニセモノをオークションとかに
出品する奴とか出てきそうな気がする(笑)。
 それはともかく、この言いがかりとしか思えない難題をやり遂げたことでミランダはアンディを
信用するわけです。
 そんでパリコレにも彼女を同行させると。

 とんとん拍子に出世していくアンディですが、彼女にも困ったことが。
 365日24時間いつでもどこにも伺います!という、どっかの宣伝文句のような仕事形態の
おかげで、友人や恋人とも疎遠、挙句のはてには友人の誕生日パーティをすっぽかすような
形になってしまい、私生活崩壊の危機だったわけです。
 ただ私も言いたい。
 仕事の電話がかかってきたのに携帯を取り上げるという悪質ないたずらをする友人は殴っても
いいですが、RUNWEYをけなした友人相手に本気で怒るのはどうかな。自分だって数ヶ月前は
そんな状態だったわけだし。何より、仕事を選んだのは自分なんだから、「電話がかかってきて
仕方がなかったの。(だから約束を破っても許して)」という言い訳は最低ランクだと思う。
 それよりは「キャリアのためにこの1年はどうしても仕事優先にせざるを得ないけど、それでも
その後はフォローいっぱいするから許してね」と一言言っておけば、こんな事態にならなかったの
では…?
 
 恋人と別れるような形になってしまい、パリコレに向かったアンディですが、クリスチャンと
仲良くなってとんでもない陰謀を聞くわけです。
 それは、ミランダを解任して、彼女が嫌っているフランとRUNWEYの編集長であり、ライバルの
女性をRUNWEYの編集長にすえるという話。
 アンディは慌てて彼女に伝えようとするのですが、なかなかうまくいきません。
 そして記者発表の場で。
 コルトだかホルトだか忘れましたが、なんか会社の新しい事業を始めるパートナーとしてミランダは
そのライバル女性を推薦するわけです。本当はナイジェルに決まっていたのに。
 つまり、ミランダはとっくに策略をご存知であったわけでして。
 あの女にファッションセンスなど皆無、でもってコルトだかホルトでの高給仕事に飛びついたと。
 それでも知らせようと頑張ってくれたアンディに対して「あなたは私にそっくり」というのですよ。

 その言葉にショックを受けたアンディはミランダについていかず離れ、ついでにRUNWEYも
やめましたとさ。
 いや唐突な終わり方でビックリしたよ。
 でももしかしたらアンディはミランダの一言で、「失ってはいけないもの」に気づいたのかも。
 で、恋人と仲直りしてやり直しですよ。
 しかも就職面接にいったミラー紙(一流新聞社です)ではとんでもない言葉を聞かされました。
「キミが以前RUNWEYで働いていたと知り、電話をかけた。そうしたらあのミランダ本人が電話に
出たんだよ。キミのことは「今まですべてのアシスタントの中で最大の痛手だ」と。そして、キミを
雇わないなら私は大ばか者だと言われたよ」
 最大の賛辞ですよね。

 どうやら面接に受かったらしいことを知って表に出たアンディは、偶然車に乗り込むミランダを見つけ、
お互い視線が交差するのですが。
 何事もなかったかのようにフッと無視して車に乗り込むミランダ。でも、車内でフッと笑顔になるその
表情がすごく素敵でした。
 「ミランダが1度頷けば『良い』、2度頷けば『とても良い』。…笑顔になったのは2002年のショー
一度きりだ」

 ミランダ自身は仕事の鬼となりすぎていくら結婚してもすぐ夫と別れることになってしまうんですね。
彼女自身、自分の評価は気にしてないけれど、それが理由で子供が好き勝手かかれるのが我慢
ならないと。なんかわかるなぁ。
 女が仕事に頑張ると何故か「仕事に頑張る女性」みたいな特別扱いを受けます。男が仕事に頑張っても
当たり前のように受け止められます。
 差別だのなんだのと大声で叫ぶつもりはないですが、誰だって幸せを追求する権利はあるんじゃ
ないかな。
 ほんわかあったかい最後を見つつも、そういうのがちょっとでも伝わるといいなぁ、と思う映画でした。



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