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時をかける少女

11/30鑑賞

 昔原田知世さん主演で「時をかける少女」という映画がありました。確か2本立てでもう
1本は、故松田優作さんの探偵物語だったような。
 随分と子供の頃に親類に連れられて見た映画なのであまり覚えてはいませんが、面白い
映画だった記憶があります。
 というより子供心に強烈な印象を残したのが、最後スタッフロールとともに歌「時をかける
少女」が流れるのですが、倒れて気を失って終わったはずの原田知世さんが起き上がって
歌を歌い出すところです。「えぇっ!?」って感じでした。あの終わり方はどうなんよ、と今でも
疑問です。(最後皆で歌ってた)
 あの映画から20と数年。リメイクされたとはいえ、またこの映画を時を経て映画館で見ることに
なるとは思いませんでした。まあ最後は同じでなくて良かったんですが(笑)。

 物語は、一人の女の子と、二人の男の子がキャッチボールしているところから始まります。
高校生らしいんですが、随分と仲いいな。つーかタッチの世界かよ。
 しかもこれは夢だった。
 7/13、快晴。
 遅刻ギリギリでこの主人公、真琴は家を出ますよ、と。

 っていうかいつも思うのですが、親って子供が遅刻しそうになっても起こしにこないもの
ですかね?うちとか周囲とかは大体、起きてこないとたたき起こしにきていて、布団から
追い出されていたので、おおよそ遅刻というものをしたことがなかったのですが。
 うーん、まあそういうトコもあんだろうなー。
 マンガとかドラマって殆ど、「起こしにこない親」ばかりですよねぇ。

 ともあれ。
 いきなり数学のテストだわ、道歩いてたら男子同士がふざけて足を持って振り回して
いたのへ巻き込まれてすっ飛ばされるわ。でもって数学のテスト9点かよ、カカカ。
 文系と理系どっちへ行こうか迷っているみたいですが、迷わず文系へ行かれることを
お勧め致します。ほほほ。

 んで、真琴は日直なんを思い出してノートやらをズビズバーと理科の実験室へ持って
行くんですが、変な物音がする部屋を覗いて、何かに躓いて後頭部打って失神。その時に
なにやら変な体験をするわけです。このあたりの大元は原作と同じやね。私としてみれば、
せめてノートをおいてから入れば、スッコロンで後頭部強打は免れたのではないかと
思うわけですが。

 まあそれはともかく、真琴は千昭と功介の誘いを断り、帰路につくのでありました。
 ところがどっこいこれで普通に帰ったら物語も終わってしまう、ってなわけで。
 長いくだり道自転車のブレーキがプッツンとな。
 まあ壊れたなら転べばそれで何とかなるわけですが、いつまでもいつまでも必死に
スカスカとブレーキを握り締めている辺り、この主人公ってホンマもんのアホかなとか
思ったりするわけです。
 で、そのまま踏み切りに突っ込んで…。
 のはずが気がつけば、はねられる前に戻っておりました。

 わけが分からない真琴は、この解釈を求めに、親類の和子おばさん(通称魔女おばさん)
を訪ねていくのでした。つーか魔女おばさんてひでーな。
 んー、というよりも普通このような体験をしたら、人は白昼夢を見たか、もしかしたら自分は
もう死んでしまったのではないか、と考えたりすると思うのですが。
 二人とも素直に「タイムリープ」と言ってあっさり信じているあたりよくわかりません。

 ただ、この魔女おばさんは名前からしても、過去タイムリープ経験者である確率は
かなり高いですし、何度か時空を越えている真琴の話にもすんなり合わせている。また、
ラベンダーのポプリがあったことからも、彼女こそが最初のタイムリープ者ではないかと
思ったりするわけですが…。それなら簡単に話を持ち出すのも納得いきます。
 
 さて。
 そうしてあっさり信じた真琴は、とりゃーっ!と川に飛び込んでタイムスリップ。
 7/13をもう一度やり直すことに決めたのです。
 調理実習はやけどしないように高瀬君にポジションを代わってもらい、歩いていて男子生徒の
悪ふざけに巻き込まれないように「フンッ」とブリッジで避けたり、当然問題の分かっている数学
テストはバッチリだと。
 さらにさーらーに。
 カラオケもキャッチボールも好きなだけタイムリープで戻って何時間も楽しんだり。
 いや、いいんですけどね…。
 私としては、周囲の時間は戻っても、真琴自体の時間が戻っているわけではないのだから、
一人だけものすごい速さで年を取っていく可能性も考えないと…と思うんですけど。

 そうしてある時真琴は突然、千昭に「付き合わない?」と告白されました。
 今の心地よい関係を壊したくなかった真琴は、強引にタイムリープでそれをなかったことに。
 私はちょっとこのシーンを見て、真琴って最低だなぁと思いました。
 人の真剣な気持ちをそういう風にはぐらかして答えを出さないのってずるいと思う。
 それでいて自分は千昭の気持ちを知っているという有利な立場にありながら、未来を変えちゃって
千昭が別の子と付き合いはじめていると腹立ててる。
「私と付き合おうって言ったくせに!」と。
 ナニサマだと思いましたね。
 結局千昭は早川さんといい感じになってたわけですが、そこへハプニングが。

 調理実習で真琴と変わったことによって火災を起こしていじめられていた高瀬君が逆切れ、
不良に消火器を吹き付けていたのですが、真琴が止めに入ったことによって、非難の矛先が
真琴に。
 それを庇いにきた千昭を助けようとして真琴は彼を何とか助けるわけですが、逆に、すっ飛んだ
消火器が早川さんに当たり、彼女がケガを。
 保健室で手当てを受ける早川さんに付き添っていた真琴ですが、千昭が自分を見ようとも
せずに、彼女に声をかけたことでさらにムカムカ。

 つーか。
 こいつどこまで自分勝手なんだろう。
 過去を変えればそのしわ寄せはどこかに行くと分かったんだから、本当に何とか変えようと
するのであれば完璧にその可能性を潰さないと。そんなことも出来ない、過去を変えることの
責任も取れないのなら安易に過去なんて変えるべきじゃない。

 そして功介は功介で、タイムリープする前に告白されていた女の子がいたのですが、過去が
変わったために真琴は、「いつもバカだと思っていた奴の模試の点が良かったから自分も
うかうかしてられない」と、告白した子、藤谷さんが断られたことを知るわけです。
 少しずつ、自分が変えた過去のせいで人が不幸になっていっていることをやっと理解してきた
真琴は、どうにか功介と藤谷さんをくっつけようと、あの、自分が吹っ飛ばされた昼休みの地点に
藤谷さんを連れてきて、功介に助けさせたりとかあれこれするわけです。
 そのうち真琴は、自分の腕にいつの間にか現れていた数字がかなり減っていることに気が
つきます。恐らくそれは、タイムリープが出来る残り回数。

 そうして真琴は思いついて、あの実験室に誰がいたのかを確かめようと、そっと忍び込み
ます。
 ところが誰も現れず、ノートを持ってきた早川さんが現れました。
 走っていく真琴に「さっき、千昭君ならすれ違ったけど…」という声は届かなかったのです。

 真琴の携帯に功介からのメールが入りました。
 「彼女を送っていくのに自転車を借りる」と。
 そこで真琴は思い出しました。
 あの自転車はブレーキが今日故障するということを。

 走って二人を追いかける千昭。何とか坂道の場所にやってきて、功介に連絡をとったところ
「今病院」といわれ安心したものの、直後に千昭からかかってきた電話で「お前、タイムリープ
してね?」という言葉に動揺。最後のタイムリープを使ってちょっと前に戻り、強引にその
話をなかったことに。
 そんなくだらないことに使っていいの?
 と、その真琴の横を、自転車に乗った功介と藤谷さんが通り過ぎていくわけです。
 当然「帰り」があるわけで。

 走って追いかけても間に合うはずがなく。
 叫ぶ千昭の前で時間が止まります。
 これなんて「ザ・ワールド」?
 いやともかく。
 そこにいたのは千昭。
 彼が時を戻り、真琴の自転車をとっておくことで、二人は病院から自転車に乗らずに
すみ、死なないで済む未来が選択されたわけでした。
 
 千昭は未来人で、あの魔女おばさんが今修復しているという絵をどうしても見たくて、
やってきたのだといいます。
 彼のいる未来には残っていないのだと。
 ところがあの実験室に装置を落としてしまい、真琴がリープ機能をチャージしてしまった
ために、未来へ戻ることが出来なくなってしまった。最後の1回もそうして功介たちを救う
ために使ってしまったため、もう手段がなくなったのだと。

 自分はルール違反をしたと、姿を消さなければならないとそういい残して千昭は姿を
消しました。
 その時になってようやく真琴は自分が犯した取り返しのつかない事態に気づくわけです。
遅いわ、たわけ。
 自分の好き勝手に過去を変えたり、未来を変えたりすることで、どれだけの人に迷惑を
かけてきたか。

 ところが千昭がタイムリープをしたことによって、自らの回数が1回復活していることに
気づいた真琴(それもどうかと思うんですが)は、精一杯の力を振り絞ってあの、7/13に
戻っていくわけです。

 あのタイムリープチャージ用の機械を拾い上げ、千昭がキャッチボールしようと待っている
グラウンドへ全力疾走。
 …はいいけど、無意味に「ハアハア」という声を2分くらい聞いてるのはつらかったよ…。
長すぎるよこのシーン…。

 そうして千昭に会って、今度はちゃんと話をして、千昭は未来へ帰るわけです。
「私が必ずあの絵を守るから」という真琴の言葉を信じて。
 飛び出してケガとかするなよ、とからかい混じりに言葉をかけて消えた千昭。真琴は
文句をたれつつも、反対方向を向いて歩き出します。
 ところがその後ろからトットットッと走ってくる影が。
「未来で待ってる」
 今度こそ、そういい残して千昭は消えました。
 ここ、すごいグッとくるシーンでした。

 冷静に考えたら、そんなタイムリープ機能を生み出せるような科学が数十年のうちに
完成するわけはありません。だからこの先の未来、千昭と真琴が絶対に出会うことはない
でしょう。
 でも、あの絵が守られ、伝えられていくことによって、真琴の意志は伝わるのでは
ないかと。

 案外またひょっこり千昭がやってきて、三人でキャッチボールをしている。(いや、功介
君の彼女とそのおとり巻きもか…)
 そんな未来があってもいいと思うのです。

 Time waits for no one.
 時は誰も待ってくれない。
 だからこそ、今一瞬を生きて行く。



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