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警視庁メールマガジン第46号 |
==警視庁メールマガジン第46号==
発行日:03/03/28
目次 [〜お知らせ〜警視庁広報課より] ●平成15年度に向けて ●気づいていますか薬物汚染の兆候 [捜査一課業務報告 明智管理官の見た事件] ●意外な事件密告者 [大阪からコンニチワ〜西の探偵服部平次や] ●間抜けな強盗リターンズ [防犯ミニ知識] ●皮膚からも指紋採取が可能に [ほんの一口〜読者の声] ●パソコンを捨てるのは危険? [トクトク裏ワザ〜肩の力を抜こうヨ] ●あの本のタイトル、何だっけ? [内部密告コーナー] |
[〜お知らせ〜警視庁広報課より] ●平成15年度に向けて 平成14年はワールドカップ、北朝鮮拉致者帰国、深刻な経済悪化、そして戦争の突入と歴史的にもかなり大きな出来事がありました。特に、米英とイラクの戦争は、わが国にとっても他人事ではなく、全国都道府県警察では管轄内の警備に力をいれ、不審者やテロなどの発見に全力を注いでいます。テロを許すことは出来ません。 また、原子力発電所などの関係施設警戒にあたっては、機動隊銃器対策部隊により、原子力関連施設警戒隊を結成し警戒強化を図っています。 平和で安全な国民の生活のために、組織の全力を挙げて重大テロ事件の未然防止に取り組み、事件発生を迅速に認知できる体制作りに努めてまいります。 ●気づいていますか薬物汚染の兆候 春休みになってヒマをもてあましている学生の皆さん。「頭のよくなる薬がある」「ダイエットに効く薬がある」など声をかけられた覚えはありませんか? 最近10代の若者の間でまた薬物汚染が広がっています。受験勉強のストレスから逃れるためにドラッグを使用していたら止められなくなってしまった、徹夜で遊ぶために薦められた薬を飲んで遊んでいたら、薬を服用しない時の体調がおかしいなど、日々少年課への相談は増え続けています。 また、思春期のお子様をお持ちの皆さん。子供さんにこんな症状は現れていませんか? ・感情の起伏が最近激しくなった。ハイテンションである時とそうでない時の落差が激しい ・お小遣いをよくねだるようになった ・幻覚を見るようになった ・刺激臭が絶えずする ・目がうつろであったり挙動不振であったりする ・頻繁に水を飲むようになった ・一つのものごとに集中し出すと止まらない。1日中同じゲームを平気でやっていたりする ・急激な体重の減少 ・遅刻、不登校が増えた これらの症状は薬物汚染が始まったころに見られる症状です。直ちに最寄の警察署もしくは病院にご相談下さい。 薬物は知らないうちに体を蝕んでいきます。特に、10代の脳は成長し続けており、この時期に薬物で汚染された細胞は徐々に死滅し、再生することはありません。薬物汚染で脳に障害の残った被害者もいます。 何故薬物は恐ろしいのか。きちんと理解して、絶対に近づかないようにしましょう。例え軽い気持ちの1回だけでも脳に与えるダメージは計り知れないのです。 |
[捜査一課業務報告 明智管理官の見た事件] ●意外な事件密告者 今回は、事件の調書を書くのにちょっと困ってしまった話をします。少しオカルト的な内容でもありますので、怖い話が苦手な人は気を付けて下さいね。 夏になるとオカルトを題材にした番組が増えますね。最近またブームになったのか、定期的にそういった内容を取り上げている番組もあるようです。 その番組もその中の一つに過ぎませんでした。突然行方不明になった父親の居場所を家族の願いで霊能者が霊視する。まあこういった場合は適当なことを言って、「その場所に行ってみたが何も発見できなかった」とごまかしてしまうのが殆どです。おっと、誤解のないように言っておきますが、我々は捜査しなかったのではなく、家出人については犯罪性がない限り(未成年者除く)捜査本部を置いて捜査するようなことはしないのが普通なのです。自分の意志で出て行った場合もあるので、警察も犯罪として取り上げにくいためです。 さて、ある有名な霊能者がテレビスタッフとともにその家族の元に出向き、父親の衣服を握り締めて霊視しました。事前に家族の思い出を収録していたスタッフは、これで霊能者がどこどこにいる、と適当なヒントを言ってくれればあとはその場所に行って適当に撮影すれば終わりだ、といい出来栄えに内心ホクホクしていたとのこと。 ところがいつもなら黙っていてもベラベラとしゃべり出す霊能者が、その時に限っては妙にあいまいなことしか言わず、スタッフがいろいろ誘導しようと試みても失敗、結局意図した内容にはならずその話自体がカットされることになってしまいました。 帰路についたマイクロバスの中でスタッフはテレビ局や関係者に連絡をとり、頭を抱えてたそうです。一つの話がカットされる分新たに取り直さなくてはならないためです。 ところが、それまで黙っていた霊能者が近寄ってきてこう言いました。 「あのお父さん、家族に殺されてるよ。むごいやり方でね。いくら何でも犯人の前でそんなことは言えない。死体は××に埋められとる」 最初は信じなかったスタッフも、確認ぐらいはしてもいいだろうということになり、急遽その場所へバスを向けました。すっかり日も落ちた中機材を抱えて現場へ向かい、霊能者が示す場所を試しに掘ってみたところ。 ビニールに包まれ、ヒモで縛られた遺体が見つかりました。それから警視庁へ通報が入り、私達が現場したのは言うまでもありません。 すぐに家族が殺害を認め、尊属殺人で起訴されましたが、弁護士から「どうやって遺体を発見したのか」と突っ込まれた検察は返答に窮したそうです。 警察が提出した調書には「密告により発覚。密告者と被疑者との関係は霊能者とその依頼者」と書いてあったのですから無理もないでしょう。私は嘘を書いてはいませんけどね。 とんでもないところから事件が発覚した、珍しい体験でした。 |
[大阪からコンニチワ〜西の探偵服部平次や] ●間抜けな強盗リターンズ この間府内の新聞読んだ人なら知ってるかも知れんけど、俺がこの間捕まえたアホな強盗の話を今日はするで。 ちょっと寒い日が続いた後の小春日和の日やったな。夜にな、ふと思いついて本屋に出かけてん。忙しくて、いつも買っとる本を買い忘れてたのに気づいたからな。 その帰り道。ふと道の反対側を見ると自販機の前でごそごそしとる人影が目に入った。あー飲物でも買ってるんかなと思って見てたら、あたりをキョロキョロしてサツと走り出したんや。あれ?と反射的に道を渡ってその自販機見に行ったら鍵が壊されてつり銭がゴッソリやられた形跡がある。そこの自販機古いタイプでな、警報装置ついてないねん。 さっきのが犯人かと思ってすぐに俺は追いかけたけど、車停めとってな、逃げられてもた。府警にナンバーと車種を通報して直ちに検問が敷かれた。 こいつがアホなんはここからや。 ある検問にやってきたんで警察官が静止させようとしたところ、そこを強引にぶち破って逃走。警察官の威嚇射撃にも停まらず隣の和歌山県に逃げよった。その後も、走っていた車をナイフで脅して奪い、次々に乗り換えたり、停めてあった車を盗んだりとやりたい放題だったみたいや。 まあ府警が激怒せんわけはないわな。俺も休みやったから和歌山まで行って探したで。もちろんきちんと県警に挨拶はしたけども。 そうして、まる一日経過した頃、場所は言えんけど、ある公園前に不法駐車しとる車両を発見。覗き込んだらその男がグーグー寝てたわけや。 和歌山県警と府警のパトがやってきてその男は逮捕となったわけやけどな、所持品から覚せい剤が発見されてさらに余罪追加。 自販機荒らしは初犯やったそうやけど、もしあの時逃走せんでおとなしく逮捕されてたら初犯ということで執行猶予がつく。それどころか多分不起訴処分。なのに検問破って逃走したせいで公務執行妨害、その際警察官が負傷して傷害罪、車の運転手をナイフで脅して運転させた罪で逮捕監禁罪と強盗罪、そんでとどめが覚せい剤取締法違反。合計で懲役刑最高の20年は軽く行く。逃走したばっかりにどえらいことになってもーたな。 流石に検察もあきれ返った、っちゅー話や。 |
[防犯ミニ知識] ●皮膚からも指紋採取が可能に〜香川県警鑑識課より〜 今回、当県警から、新しい指紋検出方法についてご説明させていただきます。 事件発生現場において現場から指紋採取をする時、加害者と被害者がもみ合っていたりする場合など指紋が当事者以外からは採取できないことがあります。衣服からも指紋検出できないことはないのですが、布の種類によってはうまくとれないこともありまた、夏場ですと皮膚の露出部分の方が多かった場合検出できる指紋がない、ということもありました。 このたび開発した技術は、被害者の皮膚から直接、犯人の指紋を検出することが出来るというものです。特に、被害者に直接触ることの多い性犯罪については威力を発揮することが出来るでしょう。 指紋は、指から分泌する皮脂から検出します。従来の採取方法は、アルミニウムなどの粉末をかけ検出していました。しかし、皮膚についた指紋は、その人自身が分泌する皮脂と混じってしまうため、これまでの方法では検出が困難でした。 当県警の開発した手法では、犯人が例えば被害者の手首を強く握った時、被害者自身の分泌物より多くの皮脂が残ることに着目し、特殊なシートを押し当てて指紋を転写します。そのシートにある薬を噴霧し、皮脂を青色に発色させたのち低温であたためて濃淡を調節します。こうした過程をたどることによって犯人の指紋を鮮明に浮かび上がらせることが出来るようになりました。 使用する薬やシートの詳細については、対策を立てられるのを防ぐため一般公表はしていません。 この手法はまだまだ研究途中であり、被害者が汗をかいたりこすったりすると検出が出来なくなってしまいます。また、冬は採取しづらいという欠点があります。 これからも研究に努め、手法の確立を目指していきます。 |
[ほんの一口〜読者の声] ●パソコンを捨てるのは危険? 「引越しすることになったのですが、いい機会なのでパソコンも買い換える予定です。電気店に下取りしてもらってもいいのですがあまりいい値段にならないので、捨てるか誰かにあげようかと思うのですが、データは完全に削除されないから危険ですよ、といわれました。本当ですか?」 ハイテク犯罪対策総合センターからお答えします。 「パソコン上で出来るファイル削除の操作は、本にたとえて言えば目次から削除するだけで、データ自体はパソコンの中に残っています。そのため、専用のソフトを使用すると、データが復旧できてしまい、第三者にデータが漏洩してしまう結果となります。不要になったパソコンを引き取ると称して、これらのデータを業者に販売している悪質な人間もいます。 今は完全にデータを消去するソフトも販売されていますので、そちらを購入して完全にデータを消去し、捨てるなりお友達にあげるなりされた方がいいでしょう。ただし、消えて困るデータは別に移しておくのを忘れないようにしましょう」 |
[トクトク裏ワザ〜肩の力を抜こうヨ] ●あの本のタイトル、何だっけ? こんにちは!交通課の由美ですvvさあ3月もあっという間に終わり。あと数日で社会人となる皆!くれぐれも、会社の車を違法駐車しちゃダメよ。 さて今回は、前に友達に「これ面白いよ!」って言われた本、いざ買おうと思ったけどタイトルがわかんなくなっちゃった…とか、「こういうイメージの本ってあるのかなぁ」って思った時。書店に行って店員さんに聞いてもチンプンカンプン…。出版社も著者もいつ出版されたかすらもわかんない!こんなアナタをお助けしてくれる人を紹介します! それはズバリ図書館の司書さん。いつも貸し出し業務とか本の整理している姿しか見てないという人、そんな簡単な作業に「司書」という資格はいりませんよ。実は司書さんはもっとすごい試験をパスしてきているんです。 どんな試験問題が出るかというと、「1975年から2000年まで、アメリカの自動車生産台数を知りたい」とか、「日本学士院賞の受賞者データを知りたい」という時にどんな本を探せばいいか、というもの。つまり読みたい本を検索してくれるのにこれほど心強い味方はいないってわけ。 もちろん司書さんも完璧ではないから、例えば「1900年代に日本国内で起きた犯罪について研究している本」を探してと言っても1分待ってはい、と出るわけではありません。でもすぐには分からなくても、次にあなたが図書館を訪れた時には必ず「大体こんな感じの本」と探しておいてくれるはずです。 インターネットでキーワード検索も便利だけど、やっぱり無駄なくスピーディな検索は司書さんにはかなわないのです! |
[内部密告コーナー]※警察官の日常の風景を紹介するコーナーです。 刑事のFさんが非番だった時のこと。買い物にフラリと出た先で疲れたので、ちょっと休もうと思い喫茶店に入りました。するとたまたま直前に入ったおばさんがくるりと振り向き、「あなた尾行してるのね!」と言われ、とっさに「今日は違います」と答えてしまったらしい。 |
[あとがき] 週があけて、1日出て翌日からは気持ちを入れ替え、平成15年度の始まり。そうなるはずでした。 ここまで文明の進んだ時代になって未だ暴力によってつけなければならない決着があると、誰が想像したでしょう。もちろん、中東ではこまごまとした小さな争いは絶えませんでしたが、こんな地球規模で人類の未来を脅かすものはありませんでした。 この戦いが終わったあとに残るものは一体何なのか。残骸だけが残るような無意味なことはして欲しくないですね。 それではまた。 [警視庁メールマガジン] 総編集長: 警視庁 警視総監 白馬 編集長: 警視庁 総務部 牛黒 発行: 警視庁 転載を希望する場合はご連絡下さい。 |
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※これら掲載の記事はすべて実際の事件・団体等に関係の無い架空の物です。