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※これら掲載の記事はすべて実際の事件・団体等に関係の無い架空の物です。
安全は正しい防犯知識を身に付けることから
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警視庁メールマガジン第160号

==警視庁メールマガジン第160号==
                                   発行日:07/08/10



目次
[〜お知らせ〜警視庁広報課より]
●振り込め詐欺送付先住所を公開

[捜査一課業務報告  明智管理官の見た事件]
●交通事故

[大阪からコンニチワ〜西の探偵服部平次や]
●偽証を試みた犯人

[防犯ミニ知識]
●夏休みを安全に過ごそう

[ほんの一口〜読者の声]
●ルミノール反応

[トクトク裏ワザ〜肩の力を抜こうヨ]
●室内でも熱中症に注意!

[内部密告コーナー]




[〜お知らせ〜警視庁広報課より]

●振り込め詐欺送付先住所を公開

 警察庁では去年より、日本郵政公社の協力を得て、振り込め詐欺の被害により判明した住所宛への電信為替の送金依頼を受け付けない、現金書留の差出依頼人に注意喚起を行うといった対策を行ってきました。
 ところが、これら記載の対策を必要としない、エクスパックなどでの送金を指定する被害も増加してきており、被害にあった送付先住所公開に切り替えて注意喚起を行う方法も行っております。
 このたびまた新たに住所が刷新されましたのでご確認下さい。なおこの住所一覧は毎月1回更新されています。
 また、ここに掲載されていないから安心というのではなく、現金を送れという指示にすぐ従わず、おかしいと思ったら最寄の警察署までご相談ください。


 


[捜査一課業務報告  明智管理官の見た事件]


●交通事故

 今回は久しぶりに、捜査一課らしいお話をしてみようと思います。
 それは私が休暇を取ってある地方へ旅行していた時のことでした。皆さんもご存知の通り、刑事が休暇を取れることはあまりなく、ましてや旅行というのは滅多にないことです。
 季節は秋でしたから観光シーズンにも恵まれ、二泊三日という短い旅行でも十分満喫することが出来ました。
 東京に帰る日のことです。お昼前に散歩がてら課の部下へお土産でも…と道を歩いていたところ、住宅街の一角に人だかりが出来ているのを発見しました。少し見ているとパトカーや救急車も到着し、騒がしくなっています。
 こうなると私も刑事ですから何が起きたのか気になります。人だかりにまじって、そのあたりの会話を聞きながら、どうやら人が車に轢かれたらしいということがわかってきました。警察に話をしている男性が恐らくドライバーなのだろうという見当もつきました。
 交通事故ならそのまま処理がなされるだろうということで、私はその場を立ち去ろうとしましたが、救急車に乗せられようとしていた被害者を見てふと、おかしな点に気づきました。
 それは後で述べるとしてともかく私は、失礼を承知でその場の警察官に声をかけて身分を明かし、現場写真などを見せてもらいました。その後すぐに鑑識を手配してもらい、捜査を殺人未遂事件へと切り替えました。(残念なことに、被害者が亡くなった為殺人事件へと切り替わりました)
 私が救急車へ乗せられている被害者を見て不審に思ったのは、状況的に、「散歩をしていた女性を、後方からきたトラックが轢いた」というものであるにも関わらず、轢かれたのは頭部だけ、その他の部分には傷がなかったこと、倒れていた被害者の体の向きが、車体側に頭が向いていたことです。普通は引きずられる形になりますから、足が手前に向かって横たわる形になります。
 ま、これだけでは断定できませんが、何よりおかしいと思った理由は、被害者の首についていた赤い跡でした。これは後日判明しましたが、首を絞められた跡だったとのことです。
 つまり事件の全貌は、保険金目当てで被害者を殺そうとした夫が、第三者に依頼、依頼された方はこの女性の首を絞めて失神させ、道路に横たえておいてこれを故意に轢いたというものでした。なんともひどいことをするものです。
 夫は過去にも被害者の殺害を試みていたことも判明し、裁判で無期懲役が下されました。
 恐ろしい殺人計画はともかくとして、交通事故で片付けられなくて何よりでした。その警察を責めるつもりはありませんが、全国で警察官が不足のあまり、知識が十分養われない部分もあるようです。警察官を増員するだけでなく、豊かな知識を持てるよう、配慮していただきたいものです。




[大阪からコンニチワ〜西の探偵服部平次や]


●偽証を試みた犯人
 
 例えば映画で効果音は非常に重要なポジションを占めるけども、その逆に、音だけ聞かされても何が起きとるかわからん、ということがある。
 想像力を働かせるとか、バラエティ番組で「何をしている音でしょうか」というのもあるけども、それにしてもあまり複雑な動作の音は扱わない。ま、複雑になるとわからんからな。例えば包丁で何かを切っている音というのは容易にわかる。けども「何を切っているか」はわからんやろ。
 犯罪において音というのはあまり重要視されん部分がある。もちろん殺人事件なんかで隣人が、不審な物音を聞いていたというのはともかくとして、殺人現場の血や荒らされた現場、死体その他のように後に残っていない分、じっくり検証というのが非常に難しい。
 けれどももし録音されていたというような場合は、これが強力な証拠能力を発揮するわけや。
 例えば指名手配犯がかけてきた電話などをテレビで聞いたことある人多いと思うけども、その録音テープの背後の音から、犯人はどこから電話をかけてきた、その時周囲にどれだけ人がおったとかいうのを分析できてしまうんや。ただし電話は一定の周波数を超える音をカットしてしまう。だから風鈴の音やセミの声など、相手に伝わらないものもある。
 さておき、この音の分析が重要な証拠として裁判に提出されたことがあった。
 昔の立てこもり事件なんやけど、犯人警察ともに発砲しており、犯人は「警察が発砲したから仕返しに撃った」と証言、警察は「犯人が発砲してきたのでやむなしとして応戦した」という証言だった。警察は拳銃の使用についても「警察官職務執行法」で定めとるから、犯人が何もしてないのに発砲ということ自体がまずあらへん。これはどんな警察官でも守ることや。
 ただこんなことをいっても裁判は証拠主義やから「はい信じます」というわけにはいかん。
 そういうわけで、現場のやり取りをたまたま撮影していたテレビ局のテープが科学警察研究所に提出され、慎重な鑑定が行われた。その結果、銃声の周波数の違いから犯人が先に発砲したことが判明した。それで、犯人の量刑はより重くなったわけやな。
 日頃あまり意識せず聞いとる音やけど、こんな風に役立つこともある。ま、周囲の音の研究をしてみたら楽しいかも知れんで。




[防犯ミニ知識]


●夏休みを安全に過ごそう

 8月も10日過ぎました。まだまだ先生に出された課題に手をつけず、遊びまわっている子供さんも多いことでしょう。
 今回はこれまでに取り上げてきた内容から特に、子供さんが注意して欲しいこと、親子で話し合って欲しいことを簡単にまとめました。是非夏休みの防犯にお役立て下さい。

1.遊ぶ場所
 川などでの水難事故が増えています。台風が過ぎて大丈夫だからと水に入っても、川底は流れが速い、思わぬ深みがあるというようなことも多く、川で遊ぶときはそこが立ち入り禁止場所に指定されてないか、遊泳禁止区域ではないかなど確認しましょう。また、川べりの草が泥にまみれているというような時は、少し前まで増水していた可能性があります。入らない方がいいでしょう。

2.連絡先をはっきりと
 どこに遊びに行くにも、親御さんにきちんと告げていきましょう。最近では携帯電話がありますから、行く先を確認しないケースも増えてきましたが、何かあった時のために連絡をとりやすくなります。どこに行く予定なのか、帰宅時刻は何時ごろになるのかきちんと告げてから出かけることを親子の約束にしましょう。

3.誘惑に乗らない
 夏休みは出会い系サイトに関係した被害や、インターネットトラブルが増える時期です。家のパソコンを家族で使っている場合は、有害サイトへアクセスできないようフィルタを導入する、携帯も制限をかけるなどして、親が見ていないところで有害情報へアクセスすることのないように気をつけましょう。「自分だけは大丈夫という安心感があった」「危なくなったら逃げればいいと思っていた」と、被害者は証言しています。
 また、ドラッグ関係のトラブルも急増します。友達から誘われても怪しいものには手を出さない、友達もやっている・違法じゃない、という言葉に乗らないようにしましょう。

4.防犯ブザーの持ち歩き
 小学生でも当たり前のように防犯ブザーをランドセルにつけて歩く光景が増えました。ところが、いざという時に使えるような持ち方をしている人は意外に少ないのです。人通りが少ないところや夜道を歩くような場合、しっかり手に持って歩くようにしましょう。襲われてから取り出しているヒマはありません。

 これらは夏休みだけでなく日々の防犯でも大切なことです。夏休みも折り返し地点にきました。残りも楽しく過ごすため、しっかり安全に気を配っておきましょう。




[ほんの一口〜読者の声]

 
●ルミノール反応
「ミステリーに興味があるのでいろいろ調べているのですが、有名な血液の跡の検査のルミノール反応というのは微量でも、洗濯してもわかると聞きました。本当ですか?良かったら教えてください」

 広報課からお答えします。
「血痕の検査というとすぐ出てくるのがルミノール反応ですね。現在ではこの他にもいくつかの方法が用いられており、科学捜査の進歩により、血液が3000倍に薄まっても発見することが出来ます。ですから推理小説でよく用いられる、"氷が凶器で溶けてしまえばわからない"というものでも、捨てたあたりでルミノール反応の検査を行えばすぐにわかりますし、おっしゃるとおり何度か洗濯をした布からでも血痕を発見できます。
 小説の中ならいざしらず、現在の犯罪において落ちた血痕が発見されないということはない、といってもいいでしょう。」




[トクトク裏ワザ〜肩の力を抜こうヨ]


●室内でも熱中症に注意!

 こんにちは!交通課の由美ですvv帰宅してからのビールがおいしい季節になりました。汗だくで帰ってきてシャワーを浴びてビールを飲むと、一日頑張ったなぁ、と感じます。
 さて今回はこの季節起こりがちな熱中症についてのお話です。
 熱中症というと、炎天下の屋外で起こると考えがちですが、実は少ないながらも室内においても発生しています。
 体には体温を一定に保とうとする機能があり、これが汗をかいたりして調節しているから熱中症にならないでいるのですが、高齢者はこの体温調整がうまく出来ないため、室内でも注意する必要があります。
 温度の上昇を感じ取りにくいこと、体温調整能力の衰えにより発汗量が減っていること、体の水分が失われてものどの渇きを感じにくいこと、が原因として考えられます。
 このことから、室内にしてもこまめな水分補給、温度計のチェックなど、高齢者の皆さんは注意しておきましょう。やせ我慢は熱中症のもとです。
 



[内部密告コーナー]※警察官の日常の風景を紹介するコーナーです。

 家庭を大切にしているSさん。夏休みどこへ遊びに行くかという話になり、「海や川はおぼれる危険があってダメ、プールも管理が危険、山は遭難の心配があるし、遊園地などは遊具の破損が怖い…」と消去法で悩んでいる




[あとがき]

 ガソリンの値上げでまたも行楽シーズンに大打撃です。こうなると、「パトカーはいいですね、税金でクーラーかけ放題ですから」ということを言われる機会も増えるのですが、なかなかどうして、「節約するように」という厳しいお達しが出てきています。少しでもガソリンを使わないようにというのは、民間も警察もかわりません。地球に優しい運転を心がけたいですね。
 それではまた。

[警視庁メールマガジン]
総編集長: 警視庁 警視総監  白馬
編集長:   警視庁 総務部    牛黒
発行: 警視庁
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