アレ？本人登場？

　昨夜米花町の宝石店に怪盗1412号(通称KID)が押し入った事件で、その直前
KIDの活躍を見ようと押しかけた見物人の間で場所取りを巡ってケンカが発生、
それをKID本人が仲裁に入っていたことがわかった。

　事件現場は見通しの悪いビル街で、店周辺には数百メートルにわたって警察の
規制線が敷かれていた。そのため見物人がKIDを見られるのは、彼がやってくると
目されている上空か、脱出時の間ということになる。
　数少ないKIDを目撃できる場所を巡り、シートを敷いたりロープを張るなどしていた
大学生らに対し会社員が「公共の場を独占するようなことは慎むべきだ」と注意したことから
口論になり、つかみ合いのケンカになりかけた。
　ここに割って入ったのがどこから登場したのか、KID本人であった。
　突然の登場に現場は騒然となった。
　騒ぎに気づいた警察が駆けつけるまでの間KIDは悠然と「ショーの客席がショーより
注目を浴びるのは興ざめですよ」とたしなめたという。これによって当事者らは大人しく
なった。
　カメラに勇姿を収めようと集まってくる野次馬にも「皆さんもどうぞ譲り合ってご覧下さい！
私の大切な宝石が驚いてしまいます」と微笑んだのち、マントをはためかせ上空へと舞い
上がって行ったKIDはこの日も予告状通り宝石を盗み出した。
　見物人のちょっとした騒ぎにも顔を覗かせるあたり、KIDは相当にお茶目な性格であると
いえる。
　だからといってわざと騒ぎを起こさないように。
　次は警察が先に駆けつけてくるかも知れないのだから。

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※これら掲載の記事はすべて実際の事件・団体等に関係の無い架空の物です。

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