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  ローカルニュース

11月6日(月)  12時00分

無断キャンセル被害の店にKIDが参上

 最近問題になっている「無断キャンセル」。
 飲食店などに数十名での予約を入れておきながら、当日まで何の連絡もせず、当日誰も
来ない、連絡先の電話番号にもつながらないというものである。
 これをされると飲食店では数十万の被害が出るばかりでなく、せっかく用意した食材を
破棄しなくてはならなくなってしまう。

 そんな無断キャンセルが先日米花町のSさんの店でも発生した。
 Sさんのお店は米花町ではそこそこ知られたレストランで、忘新年会のような飲み会や
結婚式二次会(貸し切り)にも対応している。料理コースや持ち込みなどにも細かく対応
してくれるため、年中いろいろな予約が入ってくるという。

「11/3に30人で結婚式の二次会に使いたい、という予約電話がありました」
 Sさんはそう話す。
 何度か電話でやりとりをして、1人5000円のコースに決まった。
 結婚式二次会ということで盛り上がれるようにと、サービスとしてメッセージボードや
カードなどもSさんが店持ちで用意したという。
 ところが、前日確認のために電話をしたところ「電波の届かないところにいるか――」という
メッセージが流れ、まったくつながらなかった。
 そして11/3、予約時間の夕方6時になっても予約客は現れなかった。
「やられた、と思いました。確認の電話を入れたら着信拒否されていて。もうどうしようも
ないですよね」
 失意の中Sさんはお店のツイッターアカウントで「無断キャンセルやられました。結婚式
二次会の貸し切り予約だったので週末の稼ぎ時、お客さんはほかにいません。用意した
食事全部廃棄です」とつぶやいた。
 ツイート直後からぽつぽつとRTや、慰めのリプライがあった。

「30分くらい経った時でしょうか。1人のお客様がこられたんです」
 Sさんによるととても若い男性だったという。
「正規料金を払うので用意されていた料理を出して欲しいと」
 もともと貸し切りのための料理だったので正規料金は取れないと説明し、半額で納得
してもらったという。
 意気消沈していたスタッフも笑顔を作って接客した。
「静かに召し上がられて、美味しいと満足されまして」
 男性が入ってきてから1時間が経過しようとしていた。
 急に客が押し寄せてきた。
「皆さんとても笑顔だったんです。しかも男性と同じように、用意されていた料理でいいですから
出して下さい」ということでした。
 たちまち席はいっぱいになったという。

 その時だった。
「あの、テレビで見た声がしたんです」
 振り返るとニュース報道でよく目にしていた怪盗1412号、通称KIDが立っていた。
「もう、何が何だか、ですよね。お客様がいっぱいになったと思ったらKIDが立っている。
これはどっきりなのか?と最初思いました」

「Ladies and gentlemen!
 今夜はお集まりいただきありがとうございます!
 この怪盗めの呼びかけにお応えいただいた皆様に今宵限りのサービスをどうぞ!」
 KIDがそう叫ぶと店内が輝き、ダイヤモンドダストのようなものが降り注いだ、とSさんは言う。
 そしてすべてのテーブルにバラのブーケが置かれていた。
「なんでしょうね、本当にマジックショーを見ているようで。そのキラキラしたものに見とれて
いたらいつの間にかKIDは消えていました」

 なお、この時スタッフの1人がKIDから「皆様に素敵な一夜をお願いします」との言葉とともに
支払いを受けていた。1人分、半額という約束だったにも関わらずKIDは、貸し切り客が支払う
はずだった金額全額を置いていったという。
 Sさんは「あの後お客様からお聞きしたのですが、「○○という店に今KIDがきてる!無断
キャンセルされた料理を欲しいと言ったらKIDが見られるんだって」というツイートがされていた
みたいで、皆さんそれ目当てにこられたそうです」と語る。
 KIDが消えた後も客は全員料理に満足し、「今度はちゃんと自分のお金で食事をしに来ます」と
伝えて帰った人もいるという。
 
「あのツイートはどなたがしてくれたのか…わかりませんが、本当に救われました」
 Sさんはそう話した。
 ネットでは「あのお店KIDが個人的に好きなお店なんだって」「よく行くらしいよ。誰がKIDが
通って見極めないと」という話が飛び交っており、KIDが常連であるこの店のために一肌脱いだ
可能性が高い。
 
 警視庁の中森警部は「あの後店にいって捜査したが、KIDの手がかりは得られなかった。引き続き
KIDの情報を探していく」と複雑な顔で答えた。
 
 これには後日談がある。
 SNSでKIDがこの店に現れたことを知るや、無断キャンセルした当人から店に「KIDが来るなら
キャンセルしなかった。もう一度予約を入れたい」と連絡があったというのだ。
 Sさんは「KIDを売り物にするつもりはございません」ときっぱり予約を断ったと言う。
 「くれぐれも無断キャンセルはご遠慮ください。また無断キャンセルをしてKIDを呼ぼうとする行為も
ご遠慮願います。どうぞ雰囲気と料理をお楽しみいただければ幸いです」
 Sさんは今回の騒動をそうしめくくった。


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