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金田一少年の事件簿「吸血鬼伝説殺人事件」読書日記7

※この日記はネタバレを含んでいます。読まれる際には十分ご注意下さい。
トリック部分については、管理人信じられないほど頭悪いので当たることはないと
思うのですが…。

9/21 マガジン43号

 謎解き編2回目です。美雪ちゃんがエレベーターに乗れたのはどういう理屈か、さあ
解明してもらいましょう。
 事前に言っておきますが、血液抜きトリック禁止ということで。(400cc抜いた時点で
体にかなり負担かかります。でもってあと残りの500g、髪の毛切ることで代用なんて
不可能です。よって成立しません)





 …っていったそばから血液抜きトリックですよ…。0.9kgって。意識を失うけどなんとか
って緋色さん言ってますが、美雪ちゃんの体で0.9kg抜いた時点でショック症状起こして
ますよ。普通に立って会話して健康的に生活できるなんてありえない。まず病院行きで
しばらく安静ですが。(循環血液量減少性ショック)
 献血を思い出してみてください。400ccというのは女性はまず薦められません。体に負担
がかかるからです。(もちろん絶対やってはいけないというわけではありませんが)
 400ccでこれだけの負担がかかるというのに、その倍以上の900ccも抜いてピンピンしてる
わけがないです。
 血液の比重は水より多少重いので、900ccより少し少なめに採取ということができたと
しても、0.056〜0.049の範囲内なので何百ccも少なくなるということはないです。
 また、ccというのは根本的に体積の単位であるので、そこからmlに直すことは出来る
のですが、kgに直そうとすると複雑な計算を要するようです。でもまあ面倒だからここは
そのままcc≒gってな感じでもいいかも知れないですが。
 ともあれこのトリックは、美雪ちゃんが事件後何の不調もなくピンピンしていた時点で
成立不可能ということで…。
 1/4なら抜いても大丈夫、というのは、1/4までなら健康体でそれを過ぎたらバッタリ
倒れる、というわけではないです。

 ワインがなくなっていた、というのもアリバイのつじつま併せのためで、特に意味自体は
なかったみたいですね。チッ。だけどこの時間稼ぎはすごいと思いました。
 まああんなビンに血を入れてたら抗凝固剤入れたりするの大変だしなぁ。こんなところに
運良くあるとは思えないし。またも深読みしすぎましたよ。

 でもって。
 美雪ちゃんの血液抜いた疑惑の続きです。
 しつこいようですがわたくし、あえて最後までよまず、1ページずつ読み進めつつ感想
書いております。
 …青子さんが「美雪さんの体重が戻ってるなんておかしい」と言ってます。
 まさか…戻したとか、ありえないこと言わないよな?血を抜いて戻すなんて無茶なことは。
もしくは生理食塩水を代理で使用?これも代理だからありえないっす。PolyHemeもまだまだ
日本では使用禁止なのでありえないでしょう。
 只今9ページ目。
 さて期待をしてめくってみることにします。

 




 …戻してました。

 そうか…戻しちゃったのか…。抜くよりも戻すときの方が、雑菌を入らせないようにするのが
大変だし、その間も少しずつ凝固していくから抗凝固剤入れないといけないし、何よりそんなことを
しようとすれば、赤十字センターにあるような機械がいるんですけども。まだ別に血液を4タイプ
すべて用意しておいて、それを輸血したことにした方が良かったのに。(一旦抜いた血を戻すより
その方がはるかに安全)
 いくらクローズドシステムがあるっつーてもバッグさえあれば採血・輸血が出来るわけじゃ
ないです。
 抗凝固剤を入れてない血液をそのまま戻すと、凝固部分が毛細血管などに詰まって死亡確実です。

 ちょっと今回のトリック冗談抜きでありえない。一歩間違えば美雪ちゃん、意識不明の重体
ですよ。
 施設の整った病院でさえ、血液の扱いには慎重を要するのに(病院内だって雑菌はいくらでも
いる)、こんな廃屋の元病院だった現ペンションで、消毒もされていないような倉庫で血を抜き、
土足で歩き回られている場所で血を戻す。ありえないですよ…。
 その上食事の後ですよね。消化活動というのは血液を大量に必要としますから(食後30分は
胃に血液が集中するので、入浴は危険と言われるくらい)、ショックだけじゃなく脳障害も出た
っておかしくない。
 手術の時は皆やってる。それで済まされる問題ではないです。設備が違いすぎます。
 看護婦だからって。看護婦の資格があっても設備がないと出来ませんよ。

 飛行機の中で、医師が、医師と名乗るのを嫌がるのは、十分な設備がないから知識はあっても
手当てが出来ず助けられないから、という理由をもつのと同じく、いくら医学的知識があったとしても、
出来ないものは出来ないんです。
 元看護婦というだけで例えば輸血用のキットとかは手に入れられるかも知れません。しかし
血液濾過の設備やらなにやらは無理です。金銭的にも。

 
 気を取り直して続きを読むことにします。
 結局、切った美雪ちゃんの髪の毛が青子さんの服のポケットに入っていて、それで犯人確定。
でも意地の悪いこと言うと、それは誰か別の人にやらせるか、自分でポケット裏返しさせないと。
今この場で、ハジメちゃんが青子さんを犯人と確定させるために入れた、といわれてもしょうが
ないですよ。

 んで事件の真相。
 吸血鬼事件の発祥となったユリアさんですか、青子さんはその妹さんでした。青子とユリア…
名前に随分差が…ゲフッゴホッ…ああ、母親が違うんですね。
 母親が違うせいで認めてもらえず、別々に暮らしていたのをユリアさんが将来一緒に暮らそうと
約束したとか。いい話ですやんかー。
 ところが青子さんが頑張って看護婦になり、村を訪れた時、その病院は廃屋になっていましたとさ。
 で、その真相が次回いよいよ明らかに。
 こりゃあ医療ミスか!?


 えー。
 上でかなり手ひどいツッコミをしましたが、別に悪意があってやってるわけではないです。
金田一少年の事件簿という作品で毎回あっと驚かせられるトリックを今回も楽しみにしていて、
ありえない無茶なトリックに幻滅しただけです。
 もちろん、紙面の都合で実は青子さんはきちんとした設備を用意していてそれで血液を安全に
正しく抜いており、またそれを使って美雪ちゃんに戻したというのもありえなくはないでしょう。
 ただそれだと地下と2階の両方に機械がいることになりますし、それを隠す場所もない。また、
時間がかなりかかります。
 チューブシーラーは最近は携帯用のものがあるからいいとしても、ヘモイックなどを用意するのは
無理ではないでしょうか(両方とも、血液を抜き、安全に管理するために必要な装置)。また、
抜いた後のショック症状を出さないようにするために生理食塩液の輸液はどうされたんでしょうか?
 医学的な知識を必要とするまでもなく、こんなに大量の血液を抜いて戻すなんてトリックが
成立しないのは明白です。何より抜かれた方の生命に危機が及びます。
 期待していただけに、非常に残念です。

 ここからは少し専門的な話になります。
 そもそもこの話の中で、体重の1/13が血液、そのうちの1/4までは抜いても大丈夫ということに
なっています。そこから美雪ちゃんで計算すると、
 47÷13=約3.6kg で、3.6÷4=0.9
 確かに1/4は0.9となりますので、0.9kgの血液なら抜けるということになります。がこれは、美雪
ちゃんが男性だったらの話です。
 女性の場合の循環血液量は男性80mL/kgに対し70mL/kgとなりますので、47×70=3290mL、つまり
約3.29kgの血液量しかなく、つまり上の式で計算して、0.9kgも抜かれたら致死量になりうるということです。
 もし仮に0.8kgしか抜かなくて、あとの0.1kgを髪の毛で代用したとしても、やはり1/4抜いたことに変わり
ありませんから、ショック症状を引き起こします。
 また輸血の際に緋色さんが1リットル近くの血を血圧が下がってるから30分で戻せると
言っていますが、まともな医者の言うこととは思えません。そんなことをしたら死にます。
 輸血をする際には、最初の10分〜15分は1分間に40滴以下、大体1mL/minの割合で輸血
するように定められており、それを過ぎてもようやく5mL/minの速さということになります。
 急速大量輸血というのもあるようですが、それでも30分で100mLが限界のようです。そして
それなりの設備を必要とします(出血が同時に起きている場合はやむをえず手で輸血バッグを
押して輸血を行うことはありますが、危険を伴います)。
 つまり、30分でその9倍もの、900mLを輸血するということは不可能です。その人を殺したい
のなら別ですが。
 これが例えば体重超過しているのが500gだったとするならば、血を抜いてというのもありえた
かも知れませんが、1kg近く血液を抜かれて何のショック症状も起きずピンピンしているとしたら
かなりの体格といわざるを得ません。


 このエレベータートリック、私はてっきり体重分散を使ったと思ってたんですよ。分割となんちゃら
ってハジメちゃんが言ってるだけに。
 エレベーターの、超過重量を知らせるブザーですが実はこれ、真ん中から人がいなくなると
鳴り止むという性質を持っています。元々このブザーにしてもかなり余裕を持って鳴らされるので、
鳴らさないようにすれば、例えば今回のように限界が46.1kgのところであれば、47kgでも何とか
エレベーターは動くんですよ(絶対とはいわんですが)。
 で、真ん中から人がいなくなると、という風に書きましたけどもっと詳しく言うと、壁際に人が
よるようにすれば、ということです。すべてのエレベーターで可能とは言わないですが、ブザーが
なった場合、皆が壁に寄り、できる限り真ん中をあけると、ブザーが鳴り止む場合があります。
普通のエレベーターでさえそうなんですから、この荷物運搬用のならなおさらだと思います。
 丈夫なシーツでもなんでも用意しておいて、エレベーターの四方にきっちり取り付ける。その上に
美雪ちゃんを乗せれば恐らく動いたと思います。シーツが心配ならロープを渡してもいいわけで。
これなら多少重量が超過したくらいでは止まることはないはずです。数百グラムなら誤差範囲内。
 この方法なら、血液を少し抜いて併用という手も十分いけます。これなら多少体重が減って
いたとしても、どうやったって一見トリックが成立しないように見えますからいけたんではと思う
んですけどね。

 あともっと強引な手を使うなら、構造上エレベーターを動かす部分に入れるところがあるので
(エレベーターを設置している場合は必ずないといけないはず)、そこから入って美雪ちゃんを
エレベーターの上にのっけておき、2階に上がった時に引き上げる、とか。

 大体、家族のために犯行を考えるような人が、行き当たりバッタリの人を危険な目に遭わせようと
すること自体も無理があるというか。青子さんがそんなことしそうな人には見えないんですよね…。

 で。
 海谷さんは全身の血を抜いてもエレベーターに乗せられるほど軽かったんですか?


 今回相方に一部情報を提供していただきました。
 
<今日のメモ>
 探偵学園Qの特集記事が心の救いです…。
 というか私の心が狭い。


多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ日記扉→金田一少年の事件簿「吸血鬼伝説殺人事件」読書日記7