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クロサギ

4/9鑑賞

 なかなか面白かったです。ただ欲を言えば、せっかくの映画なんだからもっともっと
ド派手な大どんでん返しがあってもよかったんじゃないかなーと。仕掛けの部分ばかり
やたら派手っぽくなってて、決着はあっさりだったのでちょっともったいないなーと。
 あと、アクションといったらヘンだけど、神志名ともっとニアミスするシーンはあっても
よかったなと思いました。
 それと、黒崎と桂木のからみが多すぎて中盤ダレます。やたらぐちゃぐちゃと言いあい
というか、あーだこーだいってるシーンが多すぎる。あのエピソードはごっそり削って
しまって逆に、桂木にだまされているのかどうなのか、みたいな疑心暗鬼になるシーンを
もっと前面に出して欲しかったですね。
 それこそ一度黒崎が地方の警察に逮捕されて、神志名が駆けつける前に桂木の手下に
よって釈放される、みたいなエピソードとかね。その方が盛り上がったかなーと。
 まあいいんですけど。

 さてさて。
 冒頭「人は動き回る影にすぎぬ」という言葉が出てきます。シェイクスピアの言葉だ
そうです。
「Life's but a walking shadow」、正しくは人間の生涯は動き回る影にすぎぬ。マクベスの
セリフとのこと。というかこの一文だけ抜き出したかてわけわからんよ。そのあとの方が
大切でしょうに。
 「哀れな役者、自分の出番の時だけ舞台の上で騒いだり見栄を切ったりしてその後は
消えてなくなる」と。
 と、この混乱のまま話は次に移りまして、空港で黒崎が誰かを待っている。これは面白い
んですねー。最初誰を待っているのか、何をするつもりなのかまったくわからない。これが
分かるのは一番最後になってから。

 で、冒頭は出所したばかりの杉田かおる…が演じてた誰ですっけ。新川波江だそうです。
第1話に出てきた融資金詐欺だっけ?いけねぇ、覚えてないや。
 あ、やっぱ融資詐欺みたいです。財団作って騙すやつ。あれですね、黒崎が詐欺しかけてる
時に何もしらない神志名が「あなた騙されてますよ」と警告してくれるシーンがあったやつですな。
 んで何をしてるかというと、盗難車を買ってナンバーを付け替えさせ、これを売りさばいて儲ける
手口だそうで。
 これは大したことないんだけど気になるのは、「ムショの中で(手口を)教えてくれた人がいた」という
こと。確か映画第2弾作るの決定したんですっけ?ここらあたりにつながる伏線になりそうな
気がしますね。
 ともかく、お金を払ってウキウキとナンバーを取ってみれば、なんとこれが全部同じナンバー。
 つまりまーた黒崎にしてやられたんですな。
 毎度ありーの垂れ幕を出して走り去っていく車は笑えました。

 ここでドラマの時にもあった、シロサギとかアカサギとかの説明入るのですが。
 今回影絵かよ。いやある意味斬新でいいですけど…。
 こうして今回は結構静かに始まります。
 画面の隅っこに小さく「クロサギ」って出ただけだし。

 いきなり桂木に黒崎が日本刀つきつけてるんですけど、入って来た早瀬さんに「また
シェイクスピアごっこですか」って言われて台無し(笑)。
 …いやその前に日本刀って。
 と思ってたら黒崎が同じ突っ込み入れて、とおーっと冗談で早瀬さんに切りつけたら、
スーパーの袋がバッサリ。…本物ですやん!!!!!!!おっさん!!!!!
 桂木、早瀬にマジで怒られる。

 今度の詐欺の相手は、贈答詐欺。贈答詐欺のエピソードはコミックス12巻に収録されて
います。
 簡単に言うと、人からもらった実印とか印鑑を会社・個人の実印として登録しちゃいけません
よってことですな。もらう前にどんな使い方されてるかなんてわからんのだから。
 どうしてももらったものを使うなら弁護士立会いの上で、「何月何日にこの印鑑は甲から乙に譲渡
されました。これ以前にこの印鑑で作った書類は無効よーん」というのを作っとかんとダメでしょう。
もちろんそんなリスク犯すくらいなら使うなっちゅーもんですが。これ以降の日付で偽装されてたら
意味ないし。
 で、レイコという女性が依頼主なのですが、彼女はこの贈答詐欺に遭い、今回のターゲット
石垣に金をだまし取られていたわけです。
 
 病院の庭で携帯を使っていた黒崎は車椅子の女の子に「携帯使っちゃいけないんだよ」と
注意されました。その女の子は、登録してある番号のみにつながるというキッズケータイを
持っていたわけですが。
 この子はレイコの娘で、心臓が悪くて入院しており、手術の順番待ちだとのこと。
 さて黒崎は今回どのように相手を食うんでしょうかねー。

 と思ったらなんかヅラかぶって携帯コンテンツを作っているIT会社の社長になり済まし、
石垣とその部下鷹尾に近づき、電子マネーがチャージできるカードを贈って、表に出せない
金をこれで綺麗にできますよみたいなことを持ちかけるわけですね。
 つまり、贈答詐欺には贈答詐欺で、みたいなつもりだったようです。
 それで後日振り込まれた2億を黒崎はかっぱぐわけですが…。
 ちなみに電子マネーももう飽和状態だから古いと思う。いくつも種類が増えすぎて今は
もうどうにもなんないしなぁ。いちいち使い分けが面倒みたいな状況になってきてるもん。
 だからこそ皮肉で言えば、どこのお店でも使える「現金」が一番ということになってしまって
きてますな。
 ここで接待に使われたクラブで、ママさんの顔を見たとたん石垣の動きが一時停止。
どうした、アストロンでもくらったのか。(それ自分達にかける魔法ですから)
 
 シーザーという演劇のチラシをつららちゃんからもらってる黒崎なんですが、「桂」に
行くとなぜか同じチラシが。桂木が喜々として「つららちゃんからもらった」と出てきました。
…ジジィ。
 演劇の練習シーンもちょっとだけ出てくるけど確かにこのシーザーはドヘタクソだ。
 ゆかりはこれを女優デビューする場とか言ってるけどお前はあれか、ガラスの仮面の
マヤにでもなるつもりか。
 桂木はシーザーにはまってしまって「俺の周りにはブルータスしかいない」とか言ってるし。
…まずあなた自身がブルータスだと思うのですが。

 つららのところにやってきた黒崎はたまたまついていたテレビから、石垣の部下鷹尾が
殺されたことを知り愕然となります。
 自分がやる詐欺で人を殺さないのが信条だったから。
 つまり、あの電子マネーカードを、警戒していた石垣自身は使わなかった。
 けれども金に困っていた鷹尾は、石垣のバックにいた暴力団に持ち込み金に変えようとした。
で、買った暴力団は2億をチャージした。それを黒崎がかっぱいでしまったため、鷹尾にだまされた
と思った暴力団は鷹尾を殺したと。
 …いきなし話を信じてチャージする方も方だ。
 つかここのシーンで、カフェでご飯を食べていたら暴力団がやってきて鷹尾を拉致していく
んですけど、前に、いたずら好きで知られるブラッド・ピットが、何かの列に並んで待っていた
時に、悪態をついてきた連中に言い返したところ車で拉致されていった、というドッキリを仕掛けた
ことがあったんですね。これのシーンに似てる。もちろん見ていた人たちはいたずらだなんて
知りませんからその場で真っ青になって通報。タチの悪いいたずらではありますが、ちゃんと
通報するだけマシだなぁとかちょっと思ったり。(日本だと「誰かが通報するだろう」みたいな
気持ちが働いて、意外に通報が遅れたりなんてことがあるらしいです)
 話がずれましたが、そういうわけで、相手を「小物」と見くびったために人を死なせてしまった
責任感を強く感じる黒崎。
 桂木からもしばらくおとなしくしていろ、と早瀬から伝言を受けました。

 で。
 情報を託されていった先が、あの石垣がフリーズしていたクラブのママさんのところ。
 うわー、いいマンション住んではりますなー。うらやましいです。
 ここで石垣はこのママさん(名前はさくらというらしい)の敵であることがわかります。
 15年前彼は倒産詐欺をやったのだと。
 
 会社が売買の金支払う方法の一つに手形があります。これは今すぐ金を払うってんじゃ
なくて半年くらい先に払いますよみたいなもんで、払えないと不渡りという形でその会社は
信用をなくし、倒産につながります。
 今回の詐欺にもあったような、今まで現金で払っていた会社がいきなり手形に支払い
方法を変えたような場合、まず資金繰り悪化を疑った方がいいでしょう。今金がなくて払えない
から支払いを先延ばしにする、という可能性があるわけですから。
 ママさんの父親も、取引会社がいきなり手形にしたいということで、長年の付き合いだった
ために引き受けたのですが、半年後その会社は倒産、手形は紙切れに。支払がなければ
自社の資金繰りもままならない、ママさんの父親の会社はそのままあおりを受けて倒産。
 こうして100社がドミノ倒産し、数万人が路頭に迷うという最悪な結果に。
 そこにしゃしゃり出てきたのが石垣。元の会社社長に個人資産を処分して少しでも返せ
とか言うてるわけですよ。
 ところがもともとこの詐欺自体石垣が計画したものであり、つまりは債権者代表になる
ことによって、相手からふんだくった金を独り占めしようというものでした。
 石垣に計画を授けた人間は別にいるらしい。

 一方桂木はというと。
 ジジィー!何しとんじゃ!
 この人、シーザーの舞台に勝手にきてますよ。しかも「赤城の山も今宵限り…」うん、それ
国定忠治だからね。シーザー違うからね。
 さらに舞台にしつらえられた棺ノックして「入ってますかー」。
 ちょっとぉぉぉぉ!新八連れてこないと突っ込み間に合わないよ!

 さて警察では、石垣を逮捕すべく、知能係と強行係が合同捜査本部を立てていました。
もちろん中心にいるのは神志名。
 ここの説明のセリフからして神志名は、黒崎が今やっていることを到底認めることはできない
けれども、その境遇に対しては少し同情しているところがあるように見えます。
 黒崎に接してきて少しずつ見方が変わったのかも知れませんね。

 で、桂木。
 棺桶の中で寝るな。
 ズブ濡れの黒崎がやってきて、刀突き付けてんですけども。はぁーもう。
 ここでまあチンピラが死んだのはお前のせいじゃないとか、そんなにショックだったのか
とかあーだこーだ言ったあと、「いつの世もだまされた方が負け」と桂木は告げます。
 確かに黒崎が言っている、「人を死なせない」というのはきれいごとかも知れないけれども、
でもそうやって頑張って信念貫こうとする奴がいてもいいじゃない。
 
 立ち直ったのかそうでないのか知りませんが、遊園地で白石と会う黒崎。…場所おかしいよね!?
メリーゴーランドに仲良く乗ってる場合じゃないよね!?
 ってかお前らは栗子を尾行する真選組かよコラ。
 …というか白石さん、やや横に広がられましたか…?
 ただ私ここで引っかかったのが白石のセリフ。
「一人くらい死んだって仕方ねーだろ」
 これはいただけない。
 というか失礼ながら私、ドラマの白石と神志名が大嫌いなんですが、その理由の主たる
部分が、原作キャラの抱えてる闇の部分が違ってしまっているというところなんですね。
 白石はある意味黒崎と同じ人間ですよ。重い過去を背負って信念を持って詐欺師をやって
いる分、「詐欺を仕掛ける過程で人が死んでも仕方がない」なんてセリフ絶対に出てこない。
 どちらかといえば自分の仕掛けた詐欺で身の危険が出てくる人がいれば、裏から手を
回して助けるか、荒っぽくても警察に逮捕させて身の安全を図るような人間だと思うんです
けどね。(ギブアンドテイクで女性から情報を得ることは別、と考えてますが)
 だからこそドラマの、詐欺師としての一面しか持っていない白石像は好きじゃないです。

 ともあれ、黒崎は再度石垣を食うべく、桂木から情報を仕入れにいきます。
 ってかまた桂木、シーザーごっこしようとか言ってるし。
 お互いを信用しよう、とか。
 黒崎には、桂木を信用するしか選択肢ないと思うんですけど。
 ともあれ、石垣を食ったら俺を好きにしていい、失敗したらお前クロサギやめろと。…じゃあ
普通の詐欺ならいいんだな?(ダメですよ)

 情報を仕入れた黒崎は、石垣が今倒産詐欺を仕掛けるための、やくざのフロント企業でも
ある会社を経営していることを突き止め、セールスマンに変装して出かけます。
 まずつららちゃんに仕掛けてみて、正体がばれないことで確認してる黒崎。
 ここのエピソードはほんの些細なことなんだけどすっごく良かったなと思いました。
 まあほかに試せる人間がいないといえばそのとおりなんですが、つららちゃんに試してみて
この変装なら一度会っている石垣をだませる、と確信したとこが。
 そんな彼につららは声をかけますが、黒崎はそのまま去っていきました。

 石垣の会社に機器セールスとして入り込む一方で黒崎は、早瀬から、石垣とつながりの
ある暴力団が経営している金融屋リストを手に入れます。どうするつもりなんでしょうね。
 信用を得たところで石垣はパソコン100台を買い替えたい、と持ちかけてきました。
 ただし、支払いの代金1200万円は手形でお願いしたいと。倒産詐欺を仕掛ける気なんで
しょうな。

 警察でも神志名が熱心に捜査を進めておりました。
 詐欺の証拠がないとバカにしたように言われてブチ切れというかやや逆上?
 自分が証拠揃えて令状とるってさ。
 ちょっと思ったんだけど哀川さん滑舌悪くないですか?失礼ですが。なんかこう、言葉の
キレが悪いなぁと思って聞いてました。

 黒崎は石垣に、半分は手形で支払い、半分は現金でと持ちかけます。ただし、パソコンの
納入がすべて終わってからその半分の現金を支払うということで話は決着。
 さてどうなることやら。
 ここで黒崎が街を歩くシーンが出てくるのですが、ビルに大型テレビあるじゃないですか。
あれのCMが多分花より男子だった。もうすぐロードショーだもんね。
 この映画で微妙に出演者出るとかリンクしてたら面白かったんですが、残念ながらそれは
ありませんでした。
 あと、コインランドリーでたまたま出会ったつるべさんにオセロの手ほどきを受けてました。
将棋をしてると横から口を出してくるおじさんとかはいたけど、オセロの手ほどきってのは
初めて見たなぁ。っていうかつるべさんの洗面器(多分銭湯通い)にシャンプーハット入って
るんですけど。
 ああ、あれが少ないからシャンプーとかたれてきて目に入りやす…(以下自主規制)。

 …すっかり忘れてましたが、レイコの娘さん、海外で手術が受けられるようになった
らしいんですが、1億かかるそうで。
 私これ、この話がまた詐欺じゃないか、最後にどんでん返しあるんじゃないかと思って
いたんですが、これは別に普通のオペの話でした。つまらん。ここでもうひと展開あれば
ぐっとこの映画面白くなったのに。
 ともあれ、木曜日の午後3時だっけ、それまでに1億用意しないといけない…ってお前
それ明後日ですやん!どうやったらこの世に1億2日でそろえられる一般人がいるん
だよ!話をもっと早く持ってくるとか支払期限何とかせいよ。

 ここにやってきたママさんが黒崎に、もう復讐はやめろと言っています。
 つーかさー。
 黒崎の過去を知りもしないでそういうこと言うのは失礼だと思うんよ。
 つららちゃんのように黒崎のことを知っていて、それでも言うのが残酷だとわかって
いて「やめろ」というのならともかく、横からぽっと出てきて、自分も詐欺にあったから
大変だったけど、割に合わないから復讐はやめろとか言われたら腹立つと思いますよ。

 ここでママさんはあのあと自分達の会社がどうなったのかを話します。
 今度は父親の会社の倒産で紛糾される側になったママさんたちですが、そこに
乗り込んできたのが桂木でした。入って来たとたん債権者(石垣含む)の顔色がサーッと
変わって、空気が張り詰める演出は面白かったですねー。
 で、そのあとも電車に飛び込もうとしていたママさんに「電車はやめた方がいい」って
声かけて自殺を思いとどまらせたり。
 つーかさ。そこのホームの電車のスピード見てるとどう見ても、轢く前に止まるよね。

 そう言うわけで債権処理を手伝ってくれた桂木に深く恩を感じたママさんは桂木と
付き合うようになったのですが、そう思っていたのはママさんの方で、おくりものをして
ちょっと席を外した隙に桂木は消えてしまったんですね。プレゼントはそのままに。
 結局桂木がママさん達を助けたのは特別でもなんでもない、ドミノ連鎖をどこかで
止めようとした結果だっただけなわけです。

 んでママさんは黒崎に「彼の中には誰もいない。あなたは彼に心を奪われた?」とか
言ってるんだけど、そういう、ホモ臭いセリフはちょっと…。もちろんそういう気持ちで言って
るんじゃなくて、助けられたことに恩義を感じているのならお門違いよ、と言いたいのは
わかりますが。

 さぁて黒崎が動きだしました。なんかチョロチョロとやっております。
 一方で石垣は誰かから連絡を受けてました。オセロの話が出たところを見ると…。
 まあ何となくこの辺で相手は誰か見当つきますけど。

 このあたりの細かなエピソードはすっ飛ばしまして。
 黒崎、我修院達也演じる職人さんに頼んで携帯を何か細工してもらってます。ここは
伏線のロングパスといった感じで面白かった。
 っていうか、偶然出会った白石を手伝わせて、パソコンの箱組み立ててるのはちょっと
笑った。原作の白石さんだったら絶対やらないだろうな。このエピソードはちょっと好き。

 一方では神志名が令状とれたということでいよいよ乗り込む計画を立てています。
 三つ巴の化かしあい、いざ開幕!といったところでしょうか。
 戦国BASARAで言うと伊達政宗と毛利元就と松永久秀、少し離れていつき。(誰が
誰だかわかんねーよ)
 あとここで出てきたつららちゃん、左眉ちょっと薄い。(どうでもいい)

 ここで乗り込む時に出てきたビルが、そのまんま新川波江が使ってたビルだと思った
んですけど記憶違いかな…。ともあれ、エレベーターに黒崎のってたらいきなり停電。
…と思ったら、追いついていた警察がエレベーターを停止させ、黒崎は閉じ込めておいて、
まず先に石垣を抑えようという魂胆らしいです。
 おおっとこれはやばい。
 というわけで映画さながらに(ってこれも映画ですが)、天井部分から脱出した黒崎は
通路をよじ登って逃げます。
 天井部分のとこ閉じておけばよかったのに。そうしたら「乗ってなかったかも」と思われた
確率大だと思うんですけど。
 あと、コナンの時も書いたかと思うんですが(確か映画で似たような脱出シーンがあった
ような気が…)、現実のエレベーターではまずこういうことは出来ません。あれは点検用の
出入口であり一般人が出入りすることはできませんし、感電の危険があるため、もし閉じ込め
られたとしても出るべきではありません。
 もしもエレベーターが停止してしまった場合は非常ボタンを押しつつ中で待機、これが一番
安全です。日本のエレベーターは万が一ワイヤーが全部切れたとしても落下しないように
なっているので。もちろん海外製の(例えば某シンドラー社のような)エレベーターはこの限り
でないので保証はできませんが。
 エレベーターの中に「お宝はマリンブルーコンサルタントの中」というメモを見つけた神志名。
石垣の元へ急ぎます。
 ところが石垣はもう立ち去っており、そこへ「黒崎さんからのお届けものです」とパソコンが
納入されてきました。ここに神志名が気付かないわけがない。
 箱を全部開け始めます。…ごくろうさまです…。

 ともかく逃げた黒崎は空気口を携帯に仕込んだドライバーでネジはずして、そこへ入っていく
のですが、手が滑って落としちゃってますよ。中指立ててごめんごめんってお前それ本気で
謝る気ないだろ。
 脱出した後何かするのかと思ったら、そのままゴミ回収のトラックに乗って脱出。挟まり具合が
可愛かったです。
 …そのゴミ処理の車、ナンバーが「53-53」なんですけど。そのまんまか!

 車に乗って逃げようとしたらまたママさんだよ…。
 なんかこの人いい加減うざくなってきたんですけど。
 ママさんは、石垣の邪魔をするなと言います。石垣がうまく高跳び出来たら、レイコの娘の
手術費用として、彼がだまし取った5000万を返してくれると約束してくれたからって。
 黒崎、冷やかに言います。
 あれだけ騙されてまだ石垣のウソを信じているのかと。
 確かに。
 どう見ても、自分が逃げるための口実にしか見えないですよね。
 このママさんも何度騙されたら気が済むんだかと。いくら、警察とかに石垣がしたことをすべて
話すと脅したところで、証拠がなければ何も困らないわけですし、石垣は。
 というわけでママさんを降ろして黒崎は次の場所へ。

 ジャマーが仕掛けられているため携帯が圏外となって石垣の部下岸田が、警察が乗り込んで
きたことを連絡しようとしても、石垣には連絡がつきません。
 石垣が電話をかけようとした時に黒崎が入ってきてぶつかり、うまいこと携帯をすり替えました。
 で、ランチを予約するのに個室を頼んであるからとそこを離れました。
 石垣は当然岸田に連絡。
 ところがどっこいその電話は黒崎につながったのです。ボイスチェンジャーで岸田のフリをした
あと、黒崎は何事もなかったかのように石垣のもとへ。
 ここらあたりは、デスノートのすり替えみたいな感じですなぁ。つーか黒崎君よ、そんな近距離で
話してたら聞こえるやん…。

 はいはい、ここでやっとこさ箱の中から手紙発見。宮下公園のフットサルを探せという内容に
神志名ら移動。柵を軽々と乗り越えまして公園へ。
 したらそこに、2時にQ:FRONTというところの電光掲示板見てねというメモが。
 掲示板にはホテルのランチのCM。黒崎が数日前見ていたCMですな。
 
 一方黒崎。
 石垣とランチしていたら、暴力団が乗り込んできまして、お前のとこの会社の手形がうちの
ところに来てる。全部で5億払ってんだが、みたいなことを言うわけですよ。しかもその手形が
なんとニセモノ。
 つーか黒崎を追い出して話をすればいいのに。
 そういうわけで怒った暴力団は、石垣の貸金庫の金を全部持って行くべく委任状書かせて
立ち去っていきました。
 まさに身ぐるみはがされた形。
 そうです、黒崎は、同じように倒産詐欺を仕掛けられている会社を探しだし、石垣がやろうと
していることを話して手形を買い取り、せっかくだからとその額を大幅に増やして石垣のバックの
暴力団が経営する金融屋に持ち込んで売りさばいたのでありました。
 でもって携帯も黒崎がすり替えていたことを石垣は知り呆然。この携帯は、レイコの娘が
持っていたキッズケータイにヒントを得て作ったものでした。すごい伏線。

 そういうわけで見事金をかっぱぎまして、向かう先は病院。
 レイコの娘にお金を置いて去って、途中ママさんに出会ってあーだこーだして、んで車で
走り去っていった黒崎ですが。ナンバーが9639だし。

 あとちょっといいエピソードが。
 桂木がタバコを吸おうとしてこの映画の中でよくマッチを探してました。
 早瀬が映画の終わりあたりで痺れを切らして「どうしてライター使わないんですか」と
尋ねますが。桂木は答えませんでした。

 15年前死のうとした駅のホームの忘れ物箱に、あの日贈り損ねたライターを入れている
ママさんの姿がありました。
 多分桂木も、最初は単にドミノ連鎖を止めるため父の会社を選んだのでしょうが、そのうちに
ママさんにひかれて行ったんじゃないでしょうか。
 けれども自分は詐欺師だから彼女の前から去った。
 ライターを持たないのは桂木なりのけじめじゃないかと。

 それともうひとつ。
 石垣の逮捕で連鎖的に綿貫なる人物が逮捕されました。これが15年前のドミノ倒産を
計画した人物で、なんとつるべさん。
 思わぬ大物がかかったらしい。桂木もこれは計算外だったみたいですね。嬉しい誤算と
いったところか。
 偶然出会った神志名に皮肉で「自分の仕掛けた詐欺で人が死ぬ気分はどうだ」と聞かれた
黒崎。
 「もうエレベーターには乗んねぇ。そんな気分だ」
 と言って去っていきました。エレベーターはもうええっちゅーねん…。

 で、桂木にみきもとの居場所を聞いた黒崎。日本から帰ってくると聞いて空港に。
 これがあの冒頭のシーンにつながるわけです。
 というか本当にちょっと出ただけだな、岸部シロー…。
 彼の後ろについて歩き出す黒崎の映像で映画は終わります。
 終わり方は尻つぼみな感じがなくもないけど、まあ良かったんじゃないでしょうかね。

 白石がほんのチョイ役でしかなかったのは残念ですが、でも人物像が原作と大きく変わって
しまっていたので、あれでいいかも知れない。
 これで原作みたく、黒崎と協力とか言われてもなー絶対裏切りそうだなとか思ってしまうし。
 つららちゃんもあまり活躍の場がなかったのは残念でした。
 うーん…話は面白かったのですが、いまいち、映画の利点を生かせてなかったような
気がするのが残念です。
 もし第2弾があるとすれば、最後まで気を抜けないような、そんな展開が欲しいところですね。



多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→クロサギ