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千と千尋の神隠し |
10/23鑑賞
遅ればせながらやっと見てきました…。
いっやー先に言ってしまうと「見てよかった」っちゅー映画ですね。何度も見に行きたいと思ったよ。
ホンマ私もDVD出たら絶対買いますわー。もののけ姫なんて面白いゆーから映画見にいかんと、
ビデオ買ったけどすぐにテレビで公開されて後悔したっていうか…(10点)。
しかもビデオ結局見てないし。思ったより面白くなくてガックリでした。
そういうイメージがあって、どうかなー見にいかなくてもいいかなーと思っていたのです。もともと、
「大ヒット」とか「総動員数×人」とか言われると引く方なんで。でも結局気になって見に行きました。
劇場で宮崎駿アニメを見たのはこれが初めてです。
まず。冒頭の花束がアップで映っているシーンのあといきなり画面が暗くなる。
画面も声もなく、何の演出だろうと思っていたら「すいません、しばらくお待ちください」の声が。
いきなり故障です。
ええ、おかげで本当は続けて見ようと思っていた陰陽師に間に合いませんでした…。
(5分の差で始まってたのさ)
真っ暗闇で待たされること数分。やっと始まりました、また「東宝」のマークから。いらんて。
この前の特命リサーチ見てたんで、背景の描写とか人物の動きとかに時々注目してました。
確かに迫力のある背景、リアルなスピード感。言われてみればその通りです。
ええ、人の言ったことを素直に信じるタイプです(笑)。
で、話に戻って。
お父さん、内藤剛志さんなんでスね…。これじゃあ剣持一家の神隠しです(自分的に笑)。
一度そう思ってしまうと、もー離れなくなってしまって、笑いをこらえながら見てました。
いかんなぁ…。
しかし、見たことのない道を根拠もなく「大丈夫」と進めるお父さん。流石根拠もないだけあります。
大丈夫と勝手に食事を食べてブタになってしまいましたよ…。
まー千尋ちゃんは10歳ですからアレですけど、もしうちの家族が勝手に道入って、勝手に建物進んで
勝手に食べ物食べ出したら。
私車運転して見捨てて帰ります(笑)。怖いところへは行きたくないし、自分が助かればいいんで(笑)。
そいで、ちょっと分からなかったんだけど、灯りが入り初めて千尋ちゃんが逃げる時。水で地面が満た
されているシーンがあるのですがあれは、別世界に入り込んだということを確定的に表すものなんかな?
最初入り込んだ時は草原でまだ逃げられた。でも水が満ちて本当にこの不思議な世界が現実に
なってしまったから帰れないってことだったんでしょうか。
でも千尋ちゃんの走り方って特徴的だね。あの手のあげ方。私らの世代は「ブリッコ走り」と言われた
もんです(笑)。
で、豪華客船から降りてくる客。なーんか見覚えあるのが(笑)。陰陽の札に出てくるマークっぽい
のが。あのなんだらとかいう祭りに人間が神の代わりとして被るやつ。
と思っていたら湯婆婆が神様って説明してたんでやっぱりなと思いました。
大体分かったけど、あの杯を頭に被ってる大根みたいなんは名前がわかりませんでした。ガイドに
よると「おしら様」ってあったけど。農業の神様でしょうか?
対象を10歳前後の女の子向けとしているだけあって、不思議なものへの説明が一切ない。そこに
あるものは「在る」のにかわりはないから説明しない。対象を絞ったらそれ以外の見る人達のことは
あえて考慮しないってのも面白くていいですね。確かに10歳前後の女の子がこれを見たとして、いちいち
登場してくるキャラを「これは誰かな?」って思わないもんね。気になるのは千尋がどうなるか、でしょう。
ハクが出てきました。見るからに狙ったといわんばかりの(苦笑)、りりしくてかっこいい少年です。いやー
今時こんな子いないっスよ。いたらもらって帰りますので教えて下さい(なんでだ)。
階段を千尋ちゃんが下りていくシーンで、いきなり踏み板が外れるとこ。
アニメでは動きのある部分はそこだけ色が違っていて、次のアクションが分かりやすいですが、流石
宮崎監督。そんなベタはしません。突然壊れる板、すべりおちる千尋ちゃん。すっげービックリしました。
でもダダダダーッと降りていって壁にベチャ!と衝突するのはお約束でよかったですね。
つか劇場で笑ったの私だけだよー。皆ドリフ見てないのかー?
そして釜爺!手が沢山あって、どこを見たらいいのか分かりません!
めまぐるしいですねー。
ススワタリも面白かったなー。金平糖が主食なら飼ってみたいなー。いや、部屋が黒くなりそうですが。
リンは結構好きなタイプですね。ハキハキしてて気持ちがいい。ハッキリ自分の気持ちを言うし。
女の子が「俺」って言うとすっごいイヤなんですけど、リンはなんかとっても合っていてよかったですよ。
で、大根の神様(オシラ様だったっけ)、さりげなくリンとの連係プレーが面白いです。千尋ちゃんを天井
部屋まで送り届けて下へ戻るトコなんかもいいですね。
湯婆婆…キョーレツでした…。すげー…。確かに「魔女」「権威」「怖い存在」というのをイッパツで印象
付ける外見です。だけどあの生首はちょっとリアルすぎてイヤだったなー。何の意味があるのかわから
なかったし。
ここで千尋ちゃんは千と名乗ることになるのですが(CMでやってた有名なシーンっすよね)、「荻野千尋」
という名の千を残してあとは湯婆婆が取り上げてしまうとこ。俗に言う「言霊」の術ですか。
今回なんでかちょくちょく陰陽道からんできますね。西洋魔術にもそういうのはあるけど、あのやり方は
どちらかといえば東洋魔術、つまり陰陽道だと思いました。魔女の湯婆婆、流石八百万の神様をお迎え
してるからそういうのも使えるんですかね。それとも、西洋とか東洋っつー区分け自体この世界にあて
はめようとするのが無理なんでしょうか。
で、ハクが千と話をするシーン。名前を忘れてしまったから自分は元の世界に戻れないとハクはいいます。
名前を支配するという言い方。子供にも分かりやすいですよね。これが「陰陽師」だったらもっと大人向け
の説明があるでしょうが、子供向けだからこれでいいんです(何言ってんだか)。
この後、千はおにぎりを食べながら泣くんですけど、これは描写というかよーく子供を見てるなぁーって
思いました。
子供ってよく食べながら泣くとあんな感じだし、泣いていてもしっかりおにぎり(というか食べ物)を両手に
もってて離さない(笑)。でまた食べながら泣く。すっごいリアルでした。でも涙がちょっと大きすぎたかな。
私何が目から落ちてるのかと思いました(笑)。こちらの世界のものを食べることによって、元の世界の
記憶が流れ落ちてるのかなどと、いらんこと思いましたもん(笑)。
カナオシと千の出会うシーン(これもCMで流れてた)ですが、私思うんですけど、カオナシって顔あるやん。
影無し声無し体無し、じゃないの?
全国のチビッコが一度は思ったであろうことをあえて言ってみました…。
あとね、この掃除のシーンでちょっと分かりにくかったのが、大湯を掃除していて洗ってもダメだから
薬湯を入れてごまかすシーン。薬湯を入れれば何でこすらなくてもいいのかが単純に分からなかった
です。これもガイドを見て「こんだけ濁ってればこすらなくても同じだな」っていうセリフを読んでわかり
ましたけど。いやあのあたりセリフが早口で何言ってるかわからなかったもんで。
ここでカオナシは千に薬湯の札を与えて、千がお礼を言ったから「千はこの札が欲しい。あげれば喜ぶ」と
沢山の札を持って千の前に姿をあらわすんですね。
っていうか、私が大人で、純粋じゃないからなのかもしれないけど(笑)、カオナシは中へ入れてもらった
お礼に薬湯の札を一つ与えた。なのにその後何度も現れて千に何かをしてやろうとする。そんなにどうして
何度もしてあげようとするのかな?
ちょっとこの辺が分かりづらかった。
もしかして最初の薬湯の札を与えた時千が、番台にお礼を言ったから、改めてっていう形にしようとした
のかな?うまくいえませんけど。
あ、それと薬湯の札をもらいに行く時、「番台って何?」って言うのは笑ったな。細かいとこちゃんとやって
ますね。確かに10歳の子は知らないよね、銭湯自体。
で、オクサレ神。この正体が、不法投棄とか投げ捨てられたゴミをまとわりつかせた河の神。
これは宮崎監督流の強烈な皮肉がこめられていましたね。というか私はそう受け取りました。
自転車とか、からまった釣り糸。
人間が「いらないから」と川に投げ捨てたゴミが、神をあんな姿にしてしまう。そして、汚れきった外見は
誰もが顔をしかめて避けることになる。
千は子供だからそんなことは分からない。お客様だからきちんと接客しろって言われてその通りにする。
これが大人と子供の違いなのかと思いました。
体の中から汚いものが全部出て、河の神は帰っていきますが、またもここで湯婆婆の「大もうけだよ!」
っていうのが分からない。金を落としていったからなのかな?
ハクが追われて千の部屋に飛び込むところですけど、白竜だからここで大抵の人は「ハク」を「白」、その
正体を白竜、本当の名前は「ハクリュウ」って思ったんじゃないですか?それとも私だけか?(笑)
いやー騙されましたね、見事に。
子供はそんなこと考えてないでしょうねー。千があれを「ハク」と言ったからハクなんであり、本当の名前
だとか正体なんてどうでもいいことでしょう。
この、ハクの視点で建物を一気に駆け上がるシーンは迫力ありましたねー。すごいです。
んで場面は飛んで、坊がネズミになるとこ。
かわいいですー。すっごいかわいい。チョロチョロって動いてて、子供どころか大人のハートまでゲッチュ
ですねー(笑)。
そして穴へ落下するハク。ここで千は何かを思い出しかけます。つーか、ここは大事な伏線なのに私、
「日本昔話じゃー!」って内心げらげら笑ってました。あの冒頭の竜にぼーやが乗ってる
とこっす。だって色とかソックリなんだもん、ハクが。
そして釜爺のところへたどり着く2人。
はんこのシーンで、釜爺が「千、えんがちょだ!」っていうのは面白かった。懐かしいなーって思いました。
釜爺ユーモアセンスもバッチリだ!(しかも千が「ハク息してない!」って言うのに「しとるがな」って冷静
に突っ込んでるし/笑)
だってさー、私ら大人だったら「汚いから早く洗いなさい!」とか「うっわー、ふんだよ」で済ませてしまう
と思いません?子供だって「嫌だなー」って思ってることには違いないのに。
えんがちょ、いいねぇ。
でも説明している間坊ネズミが同じことやってるのは笑いました。かわいいです。というか、えんがちょ
切ってもらってヒーローになってるのが面白い。しかもそれに見入ってたから説明聞いてなかったし。
ハクが何で湯婆婆に従ってるか、でしたっけ?
目がきつくなったしか覚えてない(笑)。
さて、物語はクライマックスへ向かい始めます。カオナシの話はなんつーか、現代社会の哀れな犠牲者
って感じがしました。どこがって言われるとうまく説明できないんですけど。本当に欲しいものは出せない。
何もかも持っている人がそんなことを言われたら、ホントどうするんでしょうね。
「私が欲しいものは、あなたには絶対出せない」って。
ちなみに私の欲しいものはカナオシさん、出せそうです(笑)。
そうそう、で、湯婆婆に「なんだい、その汚いネズミは」って言われてすっごく傷ついてる坊ネズミがちょっと
かわいそうでした。湯婆婆は千と違って大人だから(この物語の中で、ある意味千尋ちゃんの両親とは
また違った意味での大人。まあ純粋でない人)、物の本質が見抜けないんでしょうね。
何もかも持っていて、魔法が使えても、恵まれていない人なんですね。
そして、銭婆のところへ旅立つ千。カオナシも一緒です。やっと元に戻りました。
電車に乗ってはしゃぐ坊ネズミがまたかわいかったですー。疲れて千の手の中で眠ってるとこも。
で、大体いつもあの湯バードの変化したのに吊り下げられて飛んでるのも、すっごいかわいかったんです
けど、電車から降りた時。自分で歩き始めるのいいですね。自我の目覚めって感じ。
でも向こうから電灯が飛びはねながらきた時は、素直に千の肩に戻ってたけど(笑)。
ネズミの動き一つとっても、パターン化してないんですよね。
あの電灯はとても親切だったなぁ。
そして銭婆の家です。湯婆婆と違ってとても暖かそうな家ですね。
お約束どおり回し車を回している坊ネズミ!やっぱいいですー!サイッコーですよ!
しかも千のためにまた回し車回して、さらに編物まで!いいなぁ、ほのぼの(笑)。
(そしてカオナシ、もくもくとケーキ食ってるし/笑)
そして回復したハクが迎えに来ました。いいなぁ、ジーンとしましたよ。
坊ネズミが「ちゅう」ってするのもかわいかった。
子供だからきちんとお礼を言って感謝の念を表せる。笑顔で戻っていける。
いいなぁ。
このハクが空に舞い上がるシーンの動きは、ヘビの動きを取り入れてますね(なんやの、いきなり)。
蛇ってあーやって動いていくし…。
そして、千はハッキリとある記憶を思い出します。
小さい頃、川に落ちたことを。今は無くなってしまった、優しい川のことを。
「あなたの本当の名前はコハクがわ」
その瞬間、ハクは人型に戻ります。全身を覆っていたうろこが消えていきます。
ここはすっーげー感動しました。
ハクも言います。「私の本当の名はニギハヤミ コハクヌシ」って。
千は「神様の名前みたい」って言ってるけど多分その通り。
2人は随分前に出会っていたんですね。「一度会ったことは忘れない」っていう銭婆婆の言葉どおり。
千の涙を掴もうとする坊ネズミもまたかわいかった。
そして、湯婆婆との賭けにも勝ち、帰っていく千尋ちゃん。
ハクとつないだ手を、ゆっくり離して、石段だけが画面を占めるそのシーンがもうグッときました。
もう一度ハクと会えるといいね。
多分会えると思うよ。
最後に一言だけ。
どこらへんが神隠しなんですか。
さて。話を現実に戻しまして。
実は地元の評論系サークルさんにこの映画、酷評されていたんですが(笑)、それはまあ意見として
あるにしても、大人の視点で見てる限り無理もないんじゃないかなって思います。
監督が言っている通りこれは「10歳の女の子」を対象にして作られた映画であり、彼女の視点で
描かれ、対象としている限り私達が思う「センに対して周囲が甘すぎる」とか「ラストシーン、両親が
あっさり戻ってくる」という疑問なんかはすっ飛ばしてしまっていいと思うんです。
それは私達が大人だから思うんであって、10歳の女の子にしてみれば周りが自分に対してどんな
反応をとるとしてもそれはありのままに受け止めるだろうし、ラストシーン、両親をブタから元に戻す
ために千が何かと戦ったり駆け引きをしたりっていうのはいらん部分なワケです。
純粋に、千が頑張っている姿を監督は描き、見ているじょーちゃん達は自分達に置き換えてハラハラ
しながら見てる。
それがこの映画のねらい目なんじゃないかなーと、私は思ったりしたわけです。
で、そういうまだ子供の部分をどんな大人だってまだ持ってるからこの映画は大人の視点から見て
も面白いワケで。
こんな映画を作れる宮崎駿という人。確かに四年間という時間が空いたのもわかると思います。
某Mさんじゃないですけど、映画って本当にいいですね。
10/25補足
千と千尋の特集番組を見て、ちょっと疑問が解けたことをば。
上で私「どうしてカオナシはあんなに千にいろいろしてあげようとするのか」ということ言ってますけど、
監督によるとカオナシは千がハクと橋を渡る、一番最初に出会うシーンで千に一目ぼれしたのだ
そうです。でも次に会った時千は両親に会うために無視して橋を渡ってしまう。けれども次に(CMでも
使われているシーンですね)会った時は声をかけてもらえた。それで嬉しくて…ということらしい。
監督は言います。「カオナシはある意味現代社会の犠牲者。物をあげることによって人の関心をひこう
としてしまう人。いわばストーカーのようなもの」って。
私もそう言われれば確かにそうだなって思った。物をあげさえすれば誰もが言いなりになると思って
いる人。そうとしか思い込めない人。無償の愛とか行動が理解できない人。
そういう意味がこめられていたのですね。
そして、物で釣れない、断られると逆ギレしてしまう。うーん確かにこりゃストーカーかも。だけども、
カオナシは私嫌いじゃありません。皆そうなんじゃないかな。一生懸命千を追ってくる。それは何となく
いじらしいと思いました。
ある意味もっとも人間臭いキャラクターなのかもしれないですね。
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