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TAJOMARU |
9/30鑑賞
うーん…「藪の中」をこういう形でストーリー化したのは面白いと思います。が、ちょっと
人が死にすぎだなあ。もうちっとこう、血なまぐささが減っていればよかったかも。
せめてあの山賊達は生きて一緒に旅をする仲でもよかったのでは、と思うのですけどね。
そういうわけで、まあ…DVDになったら見ればいい程度じゃないですかね、これ。
さて物語は、3人のクソガキ…いやバカガキ…もとい、遊び盛りの子供達から始まります。
一人は直光。畠山家次男で、兄であるところの信綱がのちに後継ぎになり、これを補佐して
いく運命にある子です。もう一人は兄の信綱。でもって「私のために戦ってみてよー」とか
小さい頃から男心もてあそぶ気まんまんの女の子が阿古姫。
どっちが阿古のこと好き?とか、自分に好意を持たれていることを知っている上で聞いて
くる女ほどうざいものはないって信綱さんが言ってました(嘘)。
屋敷に帰って来た彼らは、小汚い子供が盗みを働いて捕まったのを知り、たったイモ1つくらい
分けてやれよといってこれに分け与えています。
たったイモ1つくらいというのなら、せめて煮たものをやれよとか思うのですが、ボンボンです
から、そのまま小汚い子が食べるのを満足げに見ています。
で、直光はこの子を自分の家臣にすることを決め、名を桜丸と名付けました。名は体を表す
とはよく言ったもので、桜は昔から人に愛される反面、根元には死体が埋まっているというような
逸話のある、血なまぐさい面も持ちます。
直光らは管領ごっこをして遊んでおりました。畠山家が管領職にあるので、信綱が継ぐことに
なるために、皆で役をとっかえひっかえして遊んでいたのですが、そこは子供ですから、呼び付け
られて、桜丸を放置して皆行ってしまいます。ボンボンなんて所詮こんなものです。
そんな桜丸にへんなおっさんが近づいてきました。
このおっさんの正体はのちにわかりますが、はっきりいってろくでなしです。
さて大人になりました直光ら。
そこに当時の将軍、足利なんたらがやってきます。まあ史実のこの人もどうかなって感じ
ですが、この作品ではエロおっさんとして登場します。桜丸がいたくお気に入りらしい。
えーと、その御所さんがですね、信綱と直光に、大納言とこがはやり病で死んだから、お前ら
どっちか、子供の阿古と結婚して管領引き継げや。したら遺産も手に入るしね、とムチャ振りを
してくれます。
どうしてかっつーと阿古はすでに直光との婚姻が決まっていて、それを、「阿古と結婚した
方が管領ね」なんて言われてしまうと兄の立場がないからです。
直光は「待てやおっさん」と異議を唱えるのですが、御所、華麗にスルー。
そういうわけでアホおっさんが帰った後兄弟会議となるわけですが、直光は「いや俺別に
金塊とかいらねーし。阿古と結婚したら兄貴に全部あげるし?」って言うのですが、信綱は
直光が阿古と結婚して管領の座に就くのではないか、と疑ってるわけですね。
子供の頃から一緒に育ってきているはずなのにコレですから、信綱の心が既にくもって
いたとしかいいようがありません。
直光は心配になって阿古を励ましに行けばいいのですが、こいつも言葉を選べばいいのに、
いきなし「金塊どこにある?」とか聞いちゃうわけですよ。
そこできちんと「こういう話になってるから、とりあえずお前とは結婚するけど財産と地位は
兄にやっべ」とでも説明しとけばいいのに、「今の話は忘れてくれ」というから阿古がますます
不信感抱くわけで。
…つか、直光と信綱2人で会いに行けばよかったんじゃね?
そういうわけで信綱、桜丸に「直光は金塊を独り占めするらしいですよ」って言われて信じて
しまうのですね。
で、阿古のもとに行ってこれを襲うわけです。
直光は桜丸から、「兄貴が阿古のとこにいった」と聞かされて慌てて阿古のもとにいき、
彼女をさらって逃げます。
まあ、まんまと2人とも、桜丸の策略にはまったということでしょうか。
信用できる家臣、景時に連れられて山の中に逃げ伸びた2人。
ですが、桜丸にまんまと景時以下全員が殺されてしまいます。
目を覚まして、事情はわからぬものの死体を見て逃げた直光と阿古は助かったのですが、
行くあても何もないので実質ホームレス状態です。
ちなみに帰って来た桜丸、信綱も切りました。
そういうわけで実質、畠山家の実権は桜丸が握ったも同然です。
彼が何を思ってこんなことをしたかはまだわかりませんが、でも家臣が全部従っちゃう
ってのがなあ…まあいいですけども。
一方さまよってた直光と阿古は、ひとりの山賊っぽいおっさんに出くわします。
なんか変装に失敗した弁慶みたいな恰好になってんぞおっさん。
彼は、天叢雲剣の兄弟の浪切の剣を買わんか、とか言ってます。
…いやそれ何も証明できないし?
彼が「たじょーまるだ」と名乗ったのを聞いて驚く阿古。どうやら知っているようです。
簡単に言うと盗賊ですわ。まあ難しく言っても盗賊ですが。
そういうわけで直光、かなりあっさりやられまして、目を覚ますと阿古がたじょーまるに
「この男(直光)を殺してほしい」と言ってるとこでした。
ちなみに馬は暇そうに口をもごもごしてました。
で。
たじょーまるの方がちょっと直光に同情気味になって「あの女どうする?」的なことを
相談してる間に阿古逃げました。
たじょーまるの方は、「逃げやがったー!」とか言ってる間に、ロープほどかれた直光に
刺されました。
君らは全員吉本に行ってコントをしてきた方がいいと思う。
そういうわけでたじょーまるは、「たじょーまるを殺したものが次のたじょーまるだ」と
おめ、それゲゲゲの鬼太郎の牛鬼の話じゃね?(牛鬼を殺した者が次の牛鬼になる)的な
ことを言って死んでいきました。
ちなみに直光、「念仏でも唱えた方がいいか?」とか「あまりしゃべらぬ方がいいぞ」とか
ほざいてました。もうどっからお前に突っ込んだらいいかわかんねぇよ、直光!
あとたじょーまるは刺されてから力尽きるまでしゃべりすぎです。
そういうわけで律儀にも、たじょーまるから毛皮とかいろいろ受け継いだ直光は、山の中を
ぶらぶら歩いているうちに、魚とか肉が焼いてあるのを見つけて夢中で食べます。
まああまり自然にそういうものができているわけではないので当然本来の持ち主、ここらの
山賊に見つかるのですが、彼らは目の前の人間がたじょーまると名乗り、浪切の剣を出した
のを見て、彼のことを認めるわけです。
こうしてたじょーまるwithゆかいな山賊ーズの生活が始まったのです。
山賊のボス道兼が、刀を折られて仲間から「ボス、刀抜くの早くなったな!」「短くなっちゃった
からな!」という会話をしてましたが、なんか当分この折られた刀ネタを引っ張る気らしいです。
たじょーまること直光は彼らの仲間にはなったけれども、殺しをよしとせず、物は奪うが、
食べ物がなくてケンカしてるようなところには分け与えてやったりと、それはそれで良いことは
してました。
そうしてしばらく経った頃、道兼から、京では信綱が急死し直光が管領職を継いだ、という
ことを聞き、こっそり都に行くのですね。
んで、「俺が直光だぁぁぁぁ」と乗り込んでいって思い切り捕まりました。
…この人は真性のアホなんでしょうか。
やってきた桜丸が「私が直光です」と名乗ったのはまだよしとしましょう。
(御所に、直光の影武者っぷりが気に入られたらしい)
言うてることがわからぬが?とか呑気に笑ってる直光のボケにツッコミ不在もまあよしと
しましょう。
その後「我が妻にも確認させよう」といって阿古が登場した時に阿古は「いや私こそが
直光」とか言って出てこんか!したら「お前もかよ!」って突っ込めるだろうが!
おいしいボケがー!
(これはそういう映画ではありません)
そういうわけでやっっっっっと直光が「裏切ったなー」ということに気づいたのですが。
わが心はすでに癒えぬ傷を負ってるからこれくらい大したことないもんねーと泣きながら
言ってますが、どう見ても、から威張りです。
桜丸は、阿古が金塊のありかを吐いたら助けてやってもいいよんとか言ってますが、
阿古は知らないという。
つーかそんな本当にあるかどうかわからんようなものを探し続けてる桜丸もアホですが。
そんな折に、所司代がやってきたという報告が入ります。
えーと…今の県警本部長くらいの人?かな。
あわてて桜丸が飛んで行くと、道兼がとらえられていて、仲間のたじょーまるがここに
忍びこんだというので屋敷を改めたい、というわけですよ。
殺されるかもしれないのに道兼、わざと捕まったんですね。いい人じゃー。
そこに阿古が「本物の直光が牢にとらえられている。これは桜丸といってただの家臣だ。
どうか助けてほしい」と訴え、本当の直光、桜丸、阿古、道兼はお白州での裁きを受ける
ことになります。
まあここで取り調べが進めばよかったんですが、桜丸が家臣の山田にあることを命じた
せいでとんでもない展開になってしまいます。
ともかく阿古は、このたじょーまるが直光であることを言うのですが、直光はすっかり
やさぐれてますから「俺たじょーまるだしー、確かに前は直光だったけどー、俺的にそれ
かなりどうでもいいしー」と言ってます。
兄に屋敷を追われて、地位も名誉も捨てて阿古を選んだのにその答えが、俺を殺せ
だってーと。
阿古はどうしてそんなことをしたのか答えませんでした。
ただ、大納言の金塊は父が捨てたんでもうないし、とは言いました。
桜丸は未だにあると信じてるらしいのですが、所司代が「いや大納言の家調べたけど
そんなもんなかったし?」と言われてかなりショックな様子。
そんなところに御所がやってまいりましたよー。
みんな大慌てです。
桜丸の、してやったり的な顔がかなりむかつきます。
で、御所は桜丸の縄を解かせ、桜丸の命に従えと所司代に言いすてて帰って行きました。
このおっさんを何とかしたほうがいいみたいだな。
阿古は縄をうたれて連れて行かれ、桜丸が去った後、ぼへーっとしてる直光と道兼が残され
ました。
道兼はここで、とんでもない事実を明らかにするのです。
直光と阿古が山中でたじょーまるに遭遇していた時、偶然道兼もそこに居合わせて、一部始終を
見ていたらしいのです。
直光が知らなかった、気絶した後のことを。
阿古があまりにも抵抗するのでたじょーまるは手を出すのをあきらめ、阿古の話を聞いて
やることにしました。
状況的に「たじょーまるの恋愛悩み相談室」になってます。
信綱にけがされてしまった阿古はもう、直光のそばにいる資格がない、あの人が優しくして
くれるのがつらい、ということを話し、そしてこれからも自分が一緒に居続ける限り、信綱に
追われることになってしまう、だからここで別れるしかないというのですね。
多分直光にわざと嫌われて自分は都に戻り、信綱と結婚することで直光を守ろう、という
つもりだったんでしょう。ところが現実では桜丸が乗っ取ってしまっていたと。
それで、たじょーまるはいい案があるといって一芝居打ったわけです。
目を覚ました直光に、自分の女にした、だからもうこの女は諦めろという風にもっていく
つもりだったんでしょうね。それで阿古も精いっぱい悪い女を演じたと。
だからこのお白州の裁きは最後の賭けで、どうしても直光を助けたかったけど、それも
桜丸によって阻止されてしまったということでしょうか。
直光はやっと、阿古によって自分が救われていたことを知ったのですね。
…あれ?
たじょーまる、死に損じゃね?
せっかく助けてあげようとしたのに。
まあそういうわけで、やってきた道兼の仲間たちとともにそこを切りぬけまして。
誰だったかな、浪切の剣をたじょーまるに渡してくれるのですが、持っただけで効果音
鳴るってのはちょっとどうかと思います。
振りまわすと音が出る子供用のヒーロー剣か!
そういうわけでたじょーまる、阿古のもとに向かいます。
桜丸、まだ金塊はどこだって言ってます。
だからないっていってんだろうが!ないもんの証明をどうやってするんだよ!お前は
サルの一つ覚えみたいに金塊金塊うっせーよ!
そこに直光やってきたんですけど。
阿古、「もうやめてー。もうおしまいにしたいのー」っていって地獄谷へ飛びおりました。
助けに来たのに飛び降り。全然空気読めてません。
直光「生きて戻ったら必ず貴様を殺す」といって続けて飛びおりました。せめてロープとか
なんか考えた方がいいと思うのですが。
そういうわけで飛び降りた直光、気絶しました。こいつはアホです。
やっとこさ目を覚まして、阿古を見つけて上にあがろうとするのですが。
一方で道兼達も心配して地獄谷に来たのですが、桜丸らが待ち構えていて、応戦するも
かなうはずもなく力尽きるんですね。
それを知らない直光は呑気に恋人つなぎで阿古と手をつないでとことこ歩いてて、上がる
道を探していました。
そんな折に、昔投げ捨てられた金塊を見つけるのです。
あ、持って上がるのかと思ったらそのままにしとくんだ…。私なら今後のことを考えて
着物にでも包んで持っていきますけど。
で、彼らは童兼の分銅を見つけて「やったーらっきー」とばかりにそれを伝って上にあがり
ます。…ほんとにこれがなかったらこいつらどうやって上がってくるつもりだったんでしょうか。
そうしたところで上がってみれば皆が死んでて、直光は皆の遺品を身につけて桜丸のもとに
向かいます。
どうでもいいですが道兼のヒゲにわらがささっていたのが気になって仕方がありませんでした。
えー。
誰が整えたのか知りませんがボロボロだった阿古の髪が、屋敷にたどり着くまでに、すっかり
キューティクルになってました。
そういうわけで戦って見事勝った直光。
俺には何も手に入らぬ、と言っていた桜丸に「俺は阿古と暮らせるだけでよかった。盗まなくても
すべて兄とお前のものだったのだ」と言いました。
桜丸は死の間際「イモはおいしゅうござい…」って死にました。最後まで言わんか!
(ムチャ言うな)
直光はあとのことを山田に全部押し付けて任せて屋敷を後にします。
そうしてどこともなく旅立って行ったのでした。
せめて金品くらいは分けてもらった方がいいと思うのですが。
まあ、桜丸というキャラクターの立場はとても理解しやすいし、面白いです。
ただそれをちょっと生かし切れてなくて残念な部分があるように思いました。
もっといろいろ、悪いことをやってくれた方がメリハリあるなーって感じで。例えば自分の
好き放題してる場面を出すとかね。
だから私は見てて、「こいつ悪いやっちゃなー」と思いつつもいまいち憎めないところが
あったし。
最後の劣等感丸出しのシーンをやるならばやはりそれに見合うだけの、もっと非情なシーンが
欲しかったかな、というのはありました。
その一方でキャラはどんどん死んで行くから、血なまぐささだけが目立ってしまったしね。
信綱はもうちょっと生きてて、阿古が戻ってきたところで桜丸に、用なしとして殺されてしまう
というストーリー運びでもよかったんじゃないかと。
ともかく、面白いことは面白いんだけど、盛り上がりに欠けるなというのはちょっと感じました。
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