多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→告白


告白

6/20鑑賞

 以前テレビで、これを学級で見る企画があって、見た高校生達が「R15指定」である
ことについて「15歳未満も見た方がいいと思う」という話をしていました。
 でも私はこれはやはりR15指定でいいと思いました。この内容の重さを受け止める
にはまだ早すぎると思う。トラウマになってしまう人も多いんじゃないかと。
 いろいろと罪の重さを考えられる人もいれば、何をしても許される、自分はもっと
うまくやると思う人もいる。だからそういういろいろな影響を考えれば、15歳未満は
見るべきではないでしょう。賛否両論あるとは思いますが。
 でもって今回のレビューはギャグ控え目です。
 パンフを事前に読むクセがある人は、映画を見た後に読むことをお勧めします。
でなければこの衝撃は味わえない。
 あと見る気があるのならこのレビューも、映画を見た後にしたほうがいいかも
知れません。
 以上、おせっかいながら忠告まで。


 さて映像は騒がしいクラスから始まります。
 生徒が牛乳を飲んでいるんだけど、もうこの時点である程度の想像はつくなぁ。
 この牛乳、何か入ってるのではって。

 教師である森口は、なんか牛乳飲んで成長促進のモデルコースに選ばれたとか言って
ましたけども。
 毎日200mlくらい飲み続けるならともかく、一度飲んだくらいではなぁ…。
 つかこの教室全然人の話聞いてないじゃんよ。
 でも森口は平然と話を続けます。
 ちなみにここの会話はさらりーと流れて行くけど、あちこち伏線があるので、一応は聞いて
おいた方がいいと思います。

 神山とかいう子に、没収したというAVを返していますが、DVDでもアダルトビデオっていうのは
どうしてなんだぜ?(プロイセン風)
 家が電気屋の渡辺という子にモザイク外させていたらしい。電気屋だからってムチャ振りだな!
 んで森口は、自分は今月で教師を辞める、と話しだす。
 んで、桜宮とかいう、熱血先生の話を始めます。余命数ヶ月の宣告を受けたらしい。
ともあれ、森口はその教師とは違って自分は生徒を信じられない、という話をする。
 ここの例で出していた、女子が男子教師をウソついてラブホテルに呼び出して写真を取り、
親に言って問題にしたみたいなことだって、そういう陥れるようなことをするっつーのは確かに
あるわけで。
 子供だからとナメてるとえらい目にあうというのは本当だと思います。
 そういうことがあったから生徒を信じない、と。
 生徒を呼び捨てにしない、できるだけ生徒の視線に立って丁寧な言葉で話すという
この先生のルールは、私は好きです。
 生徒を呼び捨てにする先生とかもいたけど、その先生が、女子を呼び捨てにしている男子に
怒っても説得力なかったし、女子の下の名前で呼ぼうとするような教師は媚びようとする気が
見え見えでどうかと思う。友達として生徒に接するっつー、そういうポリシーはともかくとして、
そんなことはできるはずがないのだからうわべだけ取り繕うのはやめた方がいいんじゃ
ないかと。


 そして森口はとんでもないことを言い出します。
 自分はシングルマザーで、実は結婚するはずの相手がいたけれども、彼はHIVに感染
していたって。
 ここでクラスの生徒が一斉に息止めたりびびったりしてんだけど、HIVが空気感染してたら
今頃地球全滅だよ。流石に一般常識として知っておいた方がいいぞ。
 というか最近では保健の時間とかにそういうことも知識として教えないんですかね。エイズ
予防だけでなく、HIVとエイズの知識さらっととか。
 ともあれ、自分は陰性だと言う森口はそういうこともあって結婚せず自分一人で子供、
愛美を育ててきた。
 教師に復活して、竹中という人の家で愛美を預かってもらっていたけれども今年竹中が
体調を崩したために、職員会議のある水曜日だけ早めに保育園から愛美を引き取って、
保健室にいさせたと。
 それから、わたうさというキャラのポシェットを欲しがったけども買ってやらなかった。この
光景は下村という子が見かけていた通り。わたうさというかシナモンロールに似てるんだけど。

 そして愛美は死んだ。
 警察はプールで遊んでいて誤って転落した事故死と判断したらしいです。
 まあ普通いろいろ調べたりするものだと思うんですがね…目撃者とか…。
 それをしなかったのはちょっとどうかと思うけど。
 ただ事故死と判断したにも根拠があって、プールの隣がその竹中さんの家で、いつも
ムクにパンをあげる役目を愛美ははたしていたから、待っている間ちょくちょくそこでパンを
あげていたらしい。だから、事故死と判断したと。
 
 しかし森口は、愛美はこの中の誰かに殺されたと言いだすのです。
 映画のCM見てると、この犯人探しが中心のように見えますが、実はそれは枝葉の部分
です。
 この犯人がこの後どうなっていくか、がこの映画の要です。

 森口は生徒たちの武器は少年法である、と言う。
 これホントに日本だけですよこんな手厚く保護されてるの。
 海外でもあることはあるけど、少年だから更生の余地ある、犯罪しても見逃してあげよう、
許してあげよう、なんて考え方はありません。きちんと罪は罪で罰するという考え方です。
 日本みたく、加害者でも未成年なら手厚く守られて情報は一切出ない、被害者は過去から
何から全部晒しあげられる、その一方で子供達を有害な情報から守れと、表現の規制まで
入るようなバカバカしいことを大人達がくそまじめにやってる国なんてありませんよ。
 皮肉として言いますが。

 話がずれましたが、つい最近おきた「ルナシー事件」というものを森口は話します。
 未成年が家族の食事にいろいろな薬剤を混ぜ、その結果をブログに掲載し、最終的には
青酸カリで殺したというものでした。
 加害者はなんら責められることはなく、担任の理科教師がバッシングされた。
 なんででしょうかねー。

 生徒達は一応聞いてはいるけど、メールで犯人探しだとか、外に出て行った生徒にメールを
送ったりしていて、それがなんだかリアルだなぁと思いました。

 ムクの小屋からなぜか、買っていないポシェットが出てきた。
 ムクの小屋はプールの隣にあり、校則違反をした生徒はプールサイドの掃除をさせられる
ことになる。
 それで森口はいろいろ調べて犯人に行き当たったらしい。
 この先生もすごいですな。
 犯人は2人いる、という森口。
 仮にA、Bと。
 
 今度は生徒が森口の話を聞いてAとBの正体を突き止めてます。これはすごいと思った。
 まあ見てるうちにも分かってはくるのですが。つーか顔映るし。

 Aは、天才博士研究所とかいう、動物を残酷に殺すための機械とかをブログで公開
していたりして、そして森口にもいろいろ自慢したことがあるらしい。
 あー典型的な、自爆で犯罪ばれて捕まるパターンですね。…成人なら。
 Aは、盗難防止財布という、あけようとするとビリッとくる仕掛けを利用して「中学生らしい」
安全な装置を作って、コンクールの賞をもらっていたけど、わざとらしいという森口。
 ちなみにこのAは、大切なものが消えちゃう音って聞いたことある、と森口に聞いて
きます。パチンとかいうらしいけど。
 それはどちらかというと消えたというよりはじけてるような。
 この時点で生徒はAを特定。

 森口はAに愛美の葬儀後どうしてこんなことをしたのか尋ねたけど、なんていうか、
自分の才能を世間に認めたい、注目されたいからやったという、本当に最低でくだらなくて
つまらない、ガキが考えそうな動機でした。
 盗難防止財布が表彰された時に本当なら新聞に大きく載るはずが、ルナシー事件が一面
とっちゃって小さかったのが不満だったらしい。
 お前はKIDに対抗して一面に乗ろうとする鈴木のおっさんか!

 いいことで褒められても注目されないから、犯罪しようとしたらしい。
 アホか。
 石川遼選手とか子供店長とかあるじゃん。(比較対象になってない)

 一方Bの方はなんていうか、運動も続かず勉強もあまりする気がないみたいな生徒
らしいですね。あれだ、棚からぼたもちのチャンスをずーっと待ってるようなタイプ。
 んでゲーセンで不良に絡まれて、交番に逃げ込んで保護されたわけですが。
 担任の森口が来なくて、隣のクラスの男先生が来たのが気に入らなかったらしい。
 これさっき森口が言ってた、呼び出しの件ですね。生徒から何か呼び出しがあった場合
同性の先生が行くってやつ。
 それで、校則で禁止されているゲーセンに行ったことがばれて、プールサイドの掃除を
させられた、と…。
 もう皆メール回しまくりですね。

 森口はBに関しては自宅で話を聞いたらしいんですが。
 母親が典型的なモンペ?というかアレなタイプの人だった。
 Aに無理やり巻き込まれたB可哀想、としか見てないわけですよ。
 
 Aが威力をパワーアップさせた装置(Aはこれで人が死ぬと思っている)を誰かで試したいと
いった時、Bは何人かリストをあげて否定されたあげく、愛美がいいと言いだした。
 それは私には単に、自分より弱くて簡単に思い通りになりそうな相手でBが選んだ
ように思えました。少なくとも本当に悪人だからと思ってやったのではないことは明白だと
思う。
 だから、Aは芯からクズだけど、Bはなんていうか腐ってるなって雰囲気がありました。
 
 AとBはムクにパンをやっていた愛美にポシェットを渡した。
 そして愛美はポシェットを開けようとしてバチッときて倒れた。
 Bは動かないとビックリしたけど、Aは「僕がやったと言いふらしてもいいよ」と立ち去った。
びびったBはポシェットをムクの方に投げ捨てた後、愛美をプールに落として殺した。
 つまり、ポシェットで死んだのではなく水死だったわけですね。
 Aは殺意があったのに殺せなかった、Bは殺す気はなかったが死なせた。
 森口の言うとおり確かにこの状態だと、二人とも保護観察処分で実質上の無罪になると
思います。

 法廷で被告人がまず殺意を否認するのは、殺人罪と傷害致死だと量刑に、天と地ほどの差が
あるからです。(強盗致死と殺人だと微妙)
 殺す気で刺した、だとより罪が重くなり、最高死刑もありうる。ところが、脅そうと思って包丁を
ちらつかせていたら刺さってしまい、結果相手は死んだ、だと3年以上の有期刑。かなり違いますね。
 まあ殺した上に火までつけて逃走して、それで殺意を否認するような奴はどうなのって思います
けども。

 で。
 ここで森口は、犯人AとBの牛乳にだけ、HIV感染している夫、桜宮の血液を混ぜたと言う。
 教室内はすごいパニックになりました。
 犯人Aが口を押さえて飛び出ていったんだけど…。
 これの意味後でわかった時にはビックリしました。そこまで心理読んでなかったー!

 それで有意義な春休みを過ごして下さいって終わったんだけど。
 え…?
 なんかEDっぽい曲流れてきたんですけど。
 残り85分くらい何して過ごしたらいいですか?

 と思ったら別の人の告白始まりました。
 一瞬オムニバスかと思ってびびったのですが、ちゃんと続きだったらしいです。
 告白の主は美月。
 新学期になってクラスは何事もなかったかのように明るさを取り戻していて、それが
恐いみたいです。
 で、新しい担任はウェルテルとか自分にアダナつけてるんだけど、ものすごーく鬱陶しい
熱血教師でした。
 ナルトのガイ先生とテニプリの河村(ラケット装備)にチーム・バチスタ白鳥の空気読めなさ
っぷりをかけたくらいのウザキャラ。こんなんが担任になった日には翌日から不登校に
なりますね、私は。

 でもクラスはいろいろ秘密を探られたくなくて、ウェルテルを歓迎したフリをしていた。
 それが美月の目にはひどく滑稽に映ったようです。 
 確かにここから見始めた人には、90年代の熱血教師ドラマにしか見えないに違いない。
(ここから見る人はあまりいないと思いますが)
 しばらくたったころウェルテルは、B君は病気で欠席ではなくて心の病で長期欠席
してるんだ、と言いだす。クラスの皆はなぜBが欠席しているかなんてわかっていますから、
三文芝居にしか見えんわけですけども。
 それで美月はウェルテルとともにBの家へ行くことになるのですが。

 Bの母親は前の教師の悪口をさんざん言い続け、ウェルテルなら安心みたいなことを
口にします。
 アホじゃなかろうか。
 ああ、アホにはアホあわせとけって感じかぁ…。

 B母の告白が始まって、これはもう森口が悪い、Bが引きこもりになったのはすべて
森口のせいだとか言ってるけども。
 行動を見る限りBは、HIV感染の可能性を考えて、家族との接触を絶っているだけの
ように見える。それから考えるとまだ理性はあるなーって感じ。

 一方Aの方は平然として登校して来ていたんだけれども、落ち付いている様子を見る
限りこっちはおそらく、頭はものすごくいいだろうから、検査をさっさと受けたのではないかと
思います。
 だからこんなに平然としていられるんじゃないかな。もとから人を殺しておいて知らんふり
してるような人間なのだし。
 それが気に入らなかったのか、いつの間にかいじめが始まるんですね。
 誰が何をしたかによってポイントが入る、みたいな、極めて悪質としか言いようがない
内容でした。こんなことを「人殺しには何をしてもいいんだ」という大義名分のもとにやる
こいつら生徒も十分狂ってると思うよ。

 人殺しは確かに悪い。けど、だからといってその人殺しを殴ったり傷つけたりしてもいいか
というとそれは違うと思う。それが許されるのは遺族だけだと思うし、そういうことをするの
ならその人殺しの家族から、傷つけた仕返しを受ける覚悟もしておかないと。
 人を傷つけるというのはそういうことなのではないか、と思います。

 で、Bに励ましの言葉を贈ろうってことでウェルテルがなんか書かせるみたいなんだけど、
これはよくわからんのでさておいて。
 ずっとウェルテルはBの家を訪問し続けて、なんていうかもう、これはB母にとっては
恐ろしい以外の何ものでもなくなったようです。この気持ちはわかるなぁ。熱血も行き過ぎれば
押し付けだからねぇ。
 そしてB母はとうとう、Bの食事に睡眠薬を入れて、Bの髪の毛を切り体中拭いて綺麗な服を
着せてやるのです。
 まあある意味ショック療法ではあったと思う。

 一方6月に入り、クラスにいじめがあるという投書があった、とウェルテルが言い出し。
 皆は美月がチクッたと思いこんでAと一緒に制裁という名のいじめをするんですね。
 ウェルテル何の役にも立ってないどころか事態悪化させとる…。

 んでB母なんだけど、贈られた色紙を見て、ひとごろししねというメッセージに気づくんですね。
すごいな。私これ見てもわからんかったよ。よく気づいたな…。
 
 その頃美月はAと会っていた。なんか雰囲気がツンケンした感じないなーと思ったら
2人付き合うことになったらしい。
 まあそういう更生の仕方もあるんじゃないのとか思っていたのですが、実はそんな簡単な
ことではなかったのです。
 これの意味がわかった時話の構成がすごいなと思うと同時に、AもBも更生不可能な生徒と
して描かれてんだなって思いました。

 美月は、森口は牛乳に血液なんて入れてないと思っているようです。
 2人に考えさせるためだけに入れたって。
 どうかなぁー。

 クラスでは美月へのいじめも始まっていたんだけど、Aが自分の血をつけたりして反撃に
出たので、わりとあっさりいじめは終わりました。
 要するにいじめはやりたいけど反撃されるのは怖いってことでしょうね。自分はいつでも
安全圏にいていじめをしたい、と。
 AもBもクズだけど、このクラスも群集心理としては怖いですよ、十分。
 AがHIVに感染の可能性があると思っている限りこの脅しは有効でしょうね。

 一方Bの方はこれよりもっとすごくて、コンビニで自分の血を振りまいてました。普通
ここまでやったら警察呼ばれますよ。
 B母は土下座して謝ってますが。
 これで逆にBは開き直ったみたいで、牛乳の一件を話す。
 B母はまた森口のせいとか言ってます。
 自分のせいだと考えないのがすごいとこですね。自分の育て方が違っていたとか。

 さらにBは、愛美はあの時気を失っていただけで、プールに落とす直前に目を覚ました。
だから自分はわかっていて殺したのだと衝撃の告白です。こっちの方がタチ悪いですね。

 美月はAに、ルナシーはもう一人の私、とか言い出します。
 やばい、この子も結構アレな子だ…。ありていに言えば「心を病んでる」。

 B母は、Bを殺して自分も死ぬ、的な展開を選んだようですが。
 
 翌日、学校では会議が開かれて、BがB母を殺した、というのがわかります。
 まあそうなるとは思ってましたよ。
 ウェルテルは美月に、ありのままを話せばいい、と言うのですが。
 美月はウェルテルのせいだ、と警察に話した。
 彼がしつこくしつこく家を訪ねて、それが結果Bを追い詰めることになったと。
 それで確かに説明はつくでしょうな。

 ここからは主に、Aのことになります。
 Aの母は研究者で頭もよくて、Aに同じ道を進むことを強制した。強制したっつーか
それが当たり前だと思ってたんですな。
 で、結果的にそれが虐待となり父は離婚、Aを引き取った。
 この時Aには大切な物が消える音が聞こえたと言う。
 耳の横でシャボン玉はじけただけじゃんよー。

 夏休み最後の日。
 Aは学校に爆弾をしかけた。
 それは、出来が良かった作文を皆の前で読み上げたあとスイッチを入れて爆発させ、
沢山の生徒を巻き添えに死ぬためだった。
 こいつの犯罪には美学が感じられない。いやどんな犯罪も美学なんて言葉を用いては
いけないけれども、ガキのたわごとにしか見えないんだよね。自分が認められないなら
全部壊してやるというのしか伝わってこない。
 
 何もかも母に認められたくてやってきて、天才博士研究所というブログも、でたらめの
発明品を乗せたらいろいろコメントがくるようになったけれども、それでも母からの
リアクションはなかった。
 まあでもちょっと安心したのはあれがでたらめだったってことですね…。
 動物を殺したとか、そういうのがなくてちょっと安心した。だからって人を殺していいって
のでもないけど。

 それで、あのなんとか財布を出したのも審査員が、母が尊敬していきた瀬口とかいう
人だったかららしい。
 動機だけはピュアだったんだなぁ。
 認められれば母の耳にも入るだろうと思ってたら新聞であんな小さな扱いになった
から怒ってると。こっちはくだらないですけども。
 だから、マスコミが扱うすごい事件で自分を見てほしかった。
 ここでニュースの犯人の顔がAになってるのがすごいですね。
 本当にお前が事件起こしたら顔出して放送しねーよ。

 愛美を殺した時に、倒れている愛美にびびるBに、君はできそこないだから共犯に
される可能性気にしないで、みたいなこと言って立ち去ったらしいんだけど。
 ここでBの告白が入ってくる。
 Aは殺人者になりたかったけど(愛美が死ななかったので)ならなかった、あいつこそ
出来そこないだ、でも自分は違うと。
 だからBはAへの対抗心で愛美を殺したようなもの。本当にくだらない。どうしようもない。

 Aが、森口が牛乳に血液を混ぜたと言って口を押さえて飛び出していったのは、
笑いを押さえていたからだった。
 死に至る病、それになったら父も母に伝えて、母はずっと自分を見守ってくれると。
 こっちも本当につまらないな。
 なのに結果は陰性だった。
 
 で、美月との恋愛ごっこにも飽きたAは美月を殺した。マザコンと言われたから逆上
するなんてやっぱりガキじゃないか。

 一方Bの方ですが。
 少しさかのぼって、汚かった頃の様子が出てくるんだけど、髪の毛伸ばしたりとか爪
伸ばしたりとか汚いからだ、みたいなところでのSEがなんかおかしいぞ。
 まあこういうシリアスな映画だからこそ滑稽であり、そのアンバランスさが怖くも
あるのですが。
 で、B母に刺されて、逆上して殺したと。

 そして殺されゆく美月の告白。
 以前ウェルテルと会っている森口を見かけて話を聞いた。
 森口は牛乳に血を入れたかどうかは最後まで話さなかったけど、ウェルテルをうまく
けしかけてBを追い詰めたことは話したんですね。
 すごい計画だと思う。
 ウェルテルでなければ成功しなかったと思いました。
 でもAへのいじめがやんだことはがっかりしたと。
 
 牛乳に血を混ぜたかどうかはともかくとして、あんなことでは感染確率はゼロに
近いという森口。そしてもし感染してもエイズは死の病ではないし、治療で発症は
防げる、桜宮が死んだのは、隠れていたガンの発見が早ければ…と言う森口。
 ああ、エイズで死ぬのはおかしいなと思っていたらガンにもっていかれましたか…。
 
 だから、そんなことも知らないで感染の恐怖におびえるあんたたちのまぬけづらったら、
と森口は笑う。
 ある意味この人も、子供を殺され、夫を失って心を病んでしまった部分があるように
思います。
 でも、美月と別れて歩いて帰る途中泣いていたから、自分が正義などではない、
やったことの重さを受け止めて、これから抱えて行く勇気は持ってるんじゃないかなと。

 ここの、道端にしゃがみ込んで泣く演技、泣くというよりもう慟哭なんですけど、ゾッと
するほどうまかった。演技だと分かってるのに、見ていてものすごく恐かった。やっぱり
この人演技すごいなと思います。

 美月を殺したA、ひとり殺したところで少年法が守ってくれる、とまったく罪の意識が
ない様子。
 というのも、数日前、ブログに、待ちに待っていた母からのコメントが届いたから
らしい。
 大学研究室の場所が記されていました。

 Aは爆弾で死ぬので遺書として動画を録画していて、その中で、母に会いに行こうと
したが、自分の才能と偉業を認めてもらわなければ意味がないと考え直し、会わずに
帰った、と語る。
 それで大量殺人をすると。
 サイトにアップされたそれを森口が見てました。
 …死ぬ前にアップしたら、個人特定されて止められる危険性もわからんのでしょうか、
この馬鹿(A)は。
 
 で、作文を読み終わって「なーんてね」と言いつつスイッチを押したAだけど。
 何も起きない。
 爆弾は取り除かれていました。
 森口から電話がかかってきて、自分が取り除いた、あなたを殺しても自分の命は惜しくない
みたいだから、何かいい方法はないかと考えた、と言う。
 そしてAが動画で言っていた嘘を指摘します。お前は「新参者」の加賀か。
 本当は会いに行ったけれど母は留守で、しかも瀬口と再婚していたことを知り、ショックを
受けたAは研究室を飛び出していった。泣きながら。
 あのブログに書き込んだのは留守だということも調べていた森口でした。
 やるなぁこれ。
 
 そして美月から弱点を聞いていたという森口。
 あのレストランでの会話ですね。
 美月はAのことを、母に認められたくてやった、と話していました。

 なぜ関係ない人を犠牲にしようとするのか、だったらまず愛するママを殺しなさい、と
言う森口。
 もうすぐ警察が美月の死体を発見する、あなたの唯一の理解者だったのに。
 法律があなたを守るとしても、私はあなたを許しません。

 そして森口はAの母に会いに行ったという。
 母は一度もAを忘れてなかった、賞をとったことも喜んでいた、と。
 で、せっかくの発明品だから置いてきたって言うんですね。
 …爆弾を。


 ここでA、携帯を取り落とすほど取り乱すんだけど。
 鼻血が出てますよ?
 実は感染してたとかいうオチなのかな?と思ったんだけどここはよくわかりませんでした。
 森口は電話で、「私にも聞こえました。大切なものが壊れる音。パチン、じゃなくて
どっかーんて」と。
 CMで言ってたのコレですかー。

 この後Aは吹っ飛んだ研究室に行くという幻覚(だと思う)を見るんだけど。
 時間が逆光していって研究室が元通りになって、また吹っ飛ぶのですが、妄想であるにも
関わらず、生徒らの前にどっかから吹き飛ばされて出てきたAがすごかった。すごかったと
いうかお前どこにいってたんだ?って感じ。
 んで「爆弾を作ったのもスイッチを押したのもあなた」と森口に言われてまた携帯を取り落とすA。
この携帯よく壊れんな…。

 歩いてきた森口はAに、「これが私の復讐です。ここからが本当の地獄。ここから更生の
一歩が始まるんです。…なーんてね」
 おいここに和久刑事がいるぞ!


 全体的に、この映画の出演者は「誰でもありうる」のだと思います。
 誰がいつどの立場になってもおかしくない。
 だからこそ怖いし、考えさせられる。
 見終わった人が「気持ち悪い」「恐い」「面白かった」といろいろ言いながら歩いていくのを
見て、「自分だったら」と考えることこそが森口が観客に求める「告白」ではないのか。
 そう思う映画でした。



多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→告白