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9〈ナイン〉〜9番目の奇妙な人形〜 |
6/27鑑賞
面白いといえば面白かったんですが。厳しいことを言わせていただければ、何がいいたかった
のか全然わからん。
メッセージが伝わってこないって感じがある。
最後結局何も解決してないんじゃないの?って感じがあったし。
もうちょっとひねりが欲しかったなぁ…。
んーと、映像としては画期的で面白いし、話の設定も素敵だと思うので、そういうのを楽しみ
たい方にはいいんじゃないかなと。
物語は、ある老人が人形のようなものを作ってるシーンから始まります。
世界は間もなく滅びる、しかし命を絶やしてはならない、といって人形の中に何か
スイッチのふたみたいなもんを入れてました。
その人形が目覚めた時。
作ったと思われる人は死んでおり、世界はとても静かでした。
要するに滅びてたわけだ。
まあ布縫い合わせてあれこれ部品つけただけで二足歩行ができて知能を持つ人形が
できるとしたら今頃テディベア工場は阿鼻叫喚なわけですが、科学者が作った人形なん
だからこれくらい朝飯前だぜ!ってことなんでしょうか。
彼の名はないですが、背中に9って書いてあるのでナインでいいと思います。
これが日本だったら間違いなく彼の名は、藤子不二雄のマンガに出てきそうな、
「キュウ太郎」的名称で呼ばれていたことでしょう。
9は自分の声が出ないのと、体の中に変なキャップみたいなものが隠されていることに
気づきます。
だからどうだという気がしなくもありませんが、彼は外に出て世界が死に絶えていることも
知りました。
そんな中、何か物音がしたので怖がって隠れる9。
普通の主人公ならここで隠れてやり過ごして相手の正体を見極めようとするところですが、
さすが滅び去った地球に生まれただけはあります。
相手の正体も確認せず、攻撃は最大の防御なりとばかりに、そばに落ちていたバールの
ようなもので殴りかかりました。
相手が布製の同じ人形だからよかったものの、陶器製の人形だったりした日にはいきなり
映画バッドエンドです。というか助けに来てくれた相手にこの仕打ちはないと思います。
彼の名は2。9が思い切り攻撃してくれたおかげで部品のいくつかが壊れたようですが、
あまり気にしてない彼はとてもいい人だと思います。
2は彼の声が出ないことを知ると部品をつけようとしてくれます。
いろいろなものが珍しくてそこらにあるものを手に取る9。
…いきなり銃弾を手に取りますか。
しかも叩きつけようとする9。
2が止めなければまたもここでバッドエンドになっていたところです。
9はこの映画の主人公なのか悪役なのかどっちなんでしょうか。
とりあえずお前は映画終わらせようとするのやめろ。
2がはめてくれた部品によって無事声が出るようになった9。
これで終始サイレント映画のような事態は避けられました。
と、2は9が持っているヘンテコなふたに気づきます。
「彼はいつもこの絵を描いていた」という2。
それはいいのですがこの伏線の回収はかなり話が進んでから。誰もが既に忘れ
去っていたような時に登場します。もう少し早く気付かないもんでしょうか。
そこに変な鳴き声が。
2は9に隠れているよう命じます。
そこに現れたのはビートルという、もうちょっと時代が早ければトランスフォーマーに
出演出来たであろう機械の獣でした。
ここでいきなり2がさらわれます。
風と共に去りぬ、と言っておいた方がいいのでしょうか。
物語のキーパーソンがいなくなってしまいました。
ちなみにふたも持ち去られました。
…冒険始めたら最初から毒に侵されていて、相棒に解毒剤を頼んだら、村長に話を聞きに
いった時薬草をくれたのに、相棒が話を聞きながらムシャムシャ食べてしまった、某銀魂の
銀さんのような状況です。
そういうわけで自らもビートルに襲われてフラフラになった9を別の仲間が助けてくれます。
ずいぶん都合よく見つけてもらったものですが、見つけた方は2を探していたようなもの
ですから、必然といえば必然かも知れません。
9が目を覚ました時、いきなり目の前に襲い来るハサミが。彼は夢中でそれを払いのけ
ます。
ハサミを持っていたのは5、という仲間。9の肩の切れたところを縫い合わせた糸を切ろうと
してハサミを持っていたらしいのですが、もうちょっと小さいハサミはなかったんでしょうか。
そこに、でっかいずうたいの、ドラえもんの世界なら間違いなくジャイアンと呼ばれるで
あろう人形、8が入ってきます。
あと、1という、ここを仕切っている王様みたいなのもいました。
1の目だけ、レンズのしぼりの形がちょっと違うことによって、鋭い眼光というか、そういう
感じを出しているのはなかなかよかったと思います。
彼らはバケツという名のエレベーターに乗って(ちなみに手漕ぎです)上の方へ。
ステンドグラスがあるところからして、ここは教会みたいですね。
1が言うことには、自分達が目覚めた時、すでに世界では、人間とマシンの戦いが
始まっていたという。
で、彼らは仲間を見つけてここへ避難してきたとのこと。
そのあとマシンによって有毒ガスがまかれ、世界から人間は消えたという1。
どう考えても人間も生き残っているような気がしますが、今の彼らにわかるはずもありません。
ビーストが襲ってくることについて9は1に、なぜ自分達が襲われるのか、と聞きましたが
1は無意味な質問だ、と言います。
素直に分からないと言えばいいのに、1は人をイライラさせることにかけては天才的なようです。
ここで、6が変な絵を描いているシーンが出ます。
9が気づけば早めにあの2が言っていた意味もわかったものを、ここ、誰も注目していません。
物語の分かれ道フラグがボッキリおられた感じです。
朝、9はいきなり5に、2を助けに行こうと、何の策もないこと丸出しの誘いをかけます。
彼はゆとり世代なのでしょうか?
ビーストがあの3つの塔へ向かっていたという理由だけでそこに行こうとする9。
指輪物語でさえ、長い旅に出る時には相応の理由があったというのに、ものすごい軽い
理由で危険を冒そうとする9。
助けに行くならまず自分一人で行こうとして、5が止めるパターンではないのかと思うの
ですが、彼は最初から5と行く気満々です。
2人ならできる、という、根拠も何もないムチャ丸出しの9の言葉に、乗ってしまう5。
大事な地図を持って2人は外へ出て行きます。
ちなみに猛吹雪でこの地図はいきなり飛ばされました。
…しょっぱなからけつまずいています。
でもそのおかげで塔に続くトンネルを見つけたので、彼らはトントンだと思うことに
したようです。
トンネルの中へ向かうビーストの足跡。
ここで9は、さっき拾った、2が頭にかぶっていたロウソクの台を棒に固定し、そこに
あった電球をもぎ取ってライト代わりにしました。
それ以前に救出するにしても全然装備が足りないような気がします。9に至っては
丸腰です。お前はまるごしデカか。
しかし次のシーンでは割とあっさり塔の中へきました。
さっきまでの用心深さはなんだったんでしょうか。
鳥かごの中に2が入れられているのを発見する2人。
死んでいるように見えましたが寝ているだけでした。人間以上に紛らわしいです。
その向こうの穴ではビーストが、9からとりあげたふたをどっかにはめようとして
いました。
でも、ビーストに警戒することなく鳥かごから2を出そうとしていた9と5の立てる音に
気づいて襲いかかります。
誰かこの人形に警戒心というものを教えてあげてください。
彼らの窮地をさっそうと救った白い人形。まさにホワイトナイトです。
彼女の名は7。やっぱりラッキー7からきてるのでしょうか。
ビースト相手に一歩も引きません。
一方、転がっていたふたを見つけた9。
何も考えずにふたをはめてしまいます。
…彼がやったのは、史上最悪のマシンを目覚めさせることでした。
すみませんが本当に勘弁して下さい。
9をかばった2はこのマシンに命を吸い取られて殺されてしまいます。
やっと助かった意味もありません。
7がロープをひっかけて脱出に成功はしたものの、彼らはまだ何が起きたかよく
わかっていません。
このマシンはやがて工場の中で新たなマシンの生産を始めてしまいます。
9を作った人は、9の中にふただけ隠しておくよりもむしろ、取扱説明書もくくりつけて
いれておくべきだったのではないでしょうか。ここまで何も考えずに行動するとは
予測してなかったのだとは思いますが。
さすが電気ドリルに「これを歯の治療に使わないでください」と説明書きがしてある
国の人が作っただけはあります。
7はあの場所に答えがあるはず、と彼らを導いていきます。
場所的に図書館でしょうか。
そこには双子の人形がいました。
3と4。動きがいちいちかわいいです。
9をメチャクチャ観察してます。
7は事情を説明し、恐ろしいものを目覚めさせた、知恵を貸してほしい、と言います。
彼らは双子に導かれるまま上へ移動。ここのシステムは、台にのって、レバーで動かす
というハイテクで、教会で手こぎで上がるバケツに比べたら天と地ほどの開きがあります。
そして彼らはあれが、人間がかつて作り上げてしまった最悪の兵器、人間の脳を持つ
マシンであることを知ります。
要するに9がやったことは、終末をもう一度的な、これが週末だったらどんなによかった
ことかという展開にほかなりません。
作り上げられた当初はマシンは歓迎され、兵器にどんどん投入されていたのですが、
やがて人間に反乱、そうして戦いが始まったということがわかります。
9はここで、ふたには不思議な模様がついていたということを指摘。
これでやっと皆が、それ6が描いている絵のことだ、と気づいて話してくれました。
遅すぎます。
一旦戻らねば、という9。
彼らは6の描いた絵を探すのですが、8と1に見つかりました。
当然といえば当然です。
6は描いた絵をソースに戻るんだというのですが、それしか言わないのであまり交流が
出来ていません。
9は、これからも隠れて生きていくという1の行動を臆病者だとなじります。
最悪のマシンを好奇心で目覚めさせてしまった人に言われる筋合いはないと思うの
ですが、9はそれでも1への追及をやめません。
恐怖に取りつかれた臆病者だ、と言います。
その理論で言うなら9は間違いなく厄病神の気がするのですが、そんな不毛な言い争いに、
空からやってきたマシンの攻撃によって決着がつきました。
とどのつまり、言い争いどころではなくなった、ということです。
ここのアクションはなかなかおみごとという感じで見ごたえありました。
さびた飛行機のプロペラに、空飛ぶマシンのワイヤーを引っ掛け、巻き取ってバラバラにさせる
という連携プレイはさすがでした。まるで映画「エイリアン」のラストのように、「とりあえずバラバラに
すればいいんだよ」的な雰囲気プンプンでした。
普通ならここで1と9達は打ち解ける展開が待っていると思うのですが、特にそういうことは
ありませんでした。
一方バラバラにされたマシンを回収していく偵察機マシンがありました。
作戦失敗を知ったマシンは抜け殻となった2の体に気づきます。
9達の方は、教会が燃えてしまったので図書館かな、そこに移動。
8は1に命じられて見張りをしているのですが、石像の、もげて落ちている手に座った
あげく、磁石で遊んでいました。
お前の言う見張りはこれか。
そして彼は新たなマシンに襲われてしまいます。
ホラー映画でもこの手の人間が助かった例を見たことがありません。
6の描いた絵を分析していた9達は3と4によって、あのふたが生命エネルギーを
転送、つまり人の命を奪い取るものだと気づきます。
1は知っていたようですが、禍しかもたらさない、と言います。
9は自分が目を覚ました部屋に戻ってみる、というのですが。
すぐ行くのかと思いきやしばらくうだうだとしていました。
なにがしたいんでしょうかこの人は。
1は一人で行動していました。
ホラーものでも推理ものでも、次に犠牲になるのは大体このタイプです。
案の定、向こうからフラリとやってきた、2の姿にびっくりする1。
つまり2の体を疑似餌とするようなマシンを、あのマシンは作り上げたわけです。
この知能の学習能力には驚かされます。
1がとっ捕まって催眠術にかけられたようにボーッとしてしまいます。
つられて5もピンチに。9はとっさに目をそらしたので助かりました。
7が攻撃している間に我に返った5も加わるのですが、結果としては、1を助けている
間に7がさらわれる(8はすでにマシンの体内へ)という、どうでもいい存在が残って
大事な存在がさらわれる、グダグダの状況になりました。
もう誰も死なせない、という9。
物語中盤でこの手のセリフをはくと、あと数人は死にます。
そういうわけで工場に乗り込む9。
5達は外で待機しています。作戦があるようです。
9が入って行くと、ちょうど8が命を吸い取られているところでした。もう誰も死なせないと
いったそばから死人が出ています。
まだ7は助けられると判断した9。その判断がもっとはやければ8も確実に助かっていたの
ですが、ジャイアンよりはしずかちゃんです。
あの電球に布をかぶせて人形に見立てロープをくくりつけてそれを工場内の歯車につなげて
おく。その後ムカデみたいなマシンの注意を誘い、7を救いだすことに成功。ムカデマシンは
歯車に引き込まれてつぶれます。
外の方では、5が用意したドラム缶を待機させて9が出てくるのを待っているのですが、
勝手な1はさっさとこれを落として9もろとも燃やそうとしています。恐ろしいやつです。
大声で言い争いをしていたものだから外の見張りに見つかる1。9といい1といい、なんで
こんなに事態をややこしくする人形がそろっているんでしょうか。
7と9の声が聞こえたので、1はドラム缶を落とします。そして、そばにたれているオイルに
火を。
つまりあのドラム缶の中にはオイルが入っていたわけですね。
さらに以前2を救いにきた時に9は、地下にオイルがたまっているのを発見していた。これで
大爆発を引き起こそうというわけです。
すごい伏線の割には都合がいい気もしますが、転がってきたドラム缶を9と7はよけ、見事
脱出成功…かと思われたのですが、先ほど見つかった見張りにワイヤーをくくりつけていて、
それをドラム缶につなげていたので、引っ張られた見張りが落下してきて、あやうく9と7は
脱出失敗になるところでした。まさに予想外です。
工場が爆発したということで万々歳の一同。
これで解決したとばかりに、マシンが滅びたかどうかの確認もせず、彼らは呑気に音楽を
流してくつろぎ始めます。
蓄音器のレバーで上がったり下がったりしている双子を7がわざと脅かすのはほほえましくも
ありましたが、そんな中、たまたま転がったレコードを追いかけていった5が、マシンが生きていて
こちらにやってくるのを発見します。
どう見ても一同、くつろぎ過ぎです。
ここで5がまっ先にさらわれ、殺されてしまいます。
「もう誰も死なせない」といった9クンには今一度ここで同じセリフを言っていただきたいものです。
橋へ逃げる一同。
ここで、皆を助ける、あのマシンは壊したらダメだ、とムチャなことを言いだす6。
やっとしゃべったと思ったらこれです。
しかも言った張本人、マシンにとっ捕まりました。何をやってんでしょうかこの人は。
そういうわけで9はやっとさっき自分が言っていた、目を覚ました部屋に戻るという発言を
思い出したらしく、戻ってきます。
その前にもすこし7と言い争うシーンがあったのですが、とりあえず早く戻れ。
9を作ったであろう科学者のそばにあった箱のようなものを開けると、9へのメッセージが
現れました。…これを最初に9が見ていたら、あのふたを何も考えずはめ込むというような
アホなことをしなかったのだと思いますが、それだと映画が何も起きず終わってしまいます。
このメッセージには、自分があのマシンを作ったこと、しかし総統は約束を守らず自分から
マシンを取り上げて兵器に転用し、その結果悲惨な状況を招いたこと、あのマシンには人間の
心がないことなどが入っていました。
だから自分のたましいの分身である9達を作ったという科学者。だから、というつながり方が
いまいち理解できませんが、どうやらそういうことらしいです。
そして科学者は9に、今から自分のすることを忘れるな、と言います。ある順番にふたの模様を
押すと何かが起きるらしいです。
映像を見る限り、このふたに自分の命を込めたらしいのですが、その展開的にはあのふたを
はめ込んだ時点でマシンに心がやどるというのでなければおかしいような気がします。
そういうわけで仲間のところに戻った9。
真実がわかった、と言います。
科学者の魂を自分達にこめたんだ、それが僕たちが生まれた理由みたいなことを言って
いるのですが。
ここを見て、人形達が全部マシンの中に取り込まれることで、マシンが心を取り戻す的展開
なのかと思っていたらそれも違うらしいです。
マシンの猛攻撃の中、9は、自分がまいた種だから自分で決着をつけると初めてまともな
ことを言ってマシンに立ち向かうのですが、やったことといえばマシンの前に突っ立っただけ
でした。
そんな彼を助けたのは1。
この時点で1も死にます。
「もう誰も死なせない」…?
ともあれそのスキを見て9はふたを外し、科学者が言っていた通りに模様を押し、それを
マシンにつきつけます。
これで科学者の命がマシンに吹き込まれ、マシンは心を持つようになり、9の仲間達を解放…
する展開かと思ったら、壊れて終わりました。
彼らの努力は一体。
そういうわけでかがり火をたいた9は、死んだ仲間たちの体からはぎ取ったと思われる
布をかかげて、ふたの模様を押します。
すると中から人形の魂が現れ、静かに天へ昇って行ったのでした。
人形に魂をこめた、ということの落ちを強引につけすぎです。
生き残った9、7、双子達。
9は、この世界は僕らが守る、それだけはわかる、とカッコいいことを言っています。
これが人間であれば子孫を残していったり、生き残った人間を探していくという手も
あるのでしょうが、人形でどうするつもりなのか、という疑問を残しつつ、物語は終幕
するのでありました。
えーと人形のデザインの中では双子が、マシンの中では、疑似餌持ってたムカデもどきの
マシンが気に入りました。
他の人形、マシンも実に素敵なデザインなのでじっくり見てみるといいかと思います。
ただ…この映画としては、パンフレットみると、オズの魔法使いにこめられたメッセージを
下敷きに、的なことが書いてありますが、そういう、何かを知らないと伝わらないメッセージ
なんて何の意味もないです。
この映画はこの映画でガッチリ伝わるものを残してほしかった、そんな気がします。
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