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大奥 |
10/5鑑賞
ファンの人には怒られそうなのを承知でいいますと。
ちょっと物足りなかったなぁ…。
男女逆転というからもっと何かあるのかと思ったんだけど、別に逆転してなくても
あまり変わらないよね、的な。
それは多分、原作第1巻を舞台にして映画作られてるからだと思うのですよ。
2巻以降この男女逆転の面白さはもっと発揮されてくるんだと思うのですが、舞台が
1巻なだけに普通の「大奥」で終わっちゃったかな、みたいな。
もちろん最後男女逆転でなければできない見せ場などありますけど、原作を読まないで
見るとものすごく物足りないです。
映画を見た後原作を見て補完という形がいいかと思います。原作から映画だと、ちょっと
キャラのギャップに戸惑うかな。
というわけで、あれこれもったいぶりましたが、この映画は原作とセットで見た方がいい
作品だと思います。
あと、できればもう少し作成を遅らせてでも、2巻以降を取り上げた方がより話の
奥行きが出たのではないかと。
基本的には史実を下敷きにした作品なので、時代劇というよりも、今風のドラマとして
楽しんだらいいんじゃないでしょうか。
さてさて物語は徳川の時代まっだ中。
男だけがかかって死ぬ病気が日本中大発生し、男性の数は1/4に減るという事態に。
どうでもいいですがナレーションがペケポンで川柳読んでる声の人だ。
(これでわからなかったら、デスノートのLスピンオフ映画に出てきた教授の人)
まさに男女逆転ですなぁ。江戸時代の詳しい資料はないんですけど、江戸中期だと
男女比率は男2:女1という割合でしたので。
でもってなんかいきなり吉宗登場してんだけど。皆ひかえてんだけど。
あれ?これ映画の盛り上がりどころじゃないの?先に見せてどうするよ。
つーかこれぞまさしくイケメンパラダイスですな。
これより少し時間は戻って、1715年、正徳5年。
江戸の町では男子人口減少により、今まで男がやっていた仕事を女性がやるようになって
いました。なんかこういう映像もすごく斬新ですね。そこらじゅう女だらけだ。
その中に男達がつどう剣道場がありまして、おまたせいたしました、主人公だと思われる(コラ)
水野クン登場です。
剣道で弟子をボコボコにぶちのめしてます。
そこにやってきたのは堀北真希だぁ!なるほど、彼女が男装して大奥にあがり、
「花ざかりの君たちへ〜イケメン☆パラダイス〜」はっじまるよー!なわけですね!?
(水野が主人公ォォォォ!!!!)
水野としては皆があんまり稽古に熱心でないのが気に入らんようですな。
まあこの天下泰平の世に、それこそ真剣を持って戦ったことのある人がどれくらいいるか
って話なわけでして。
なので、刀を質に入れてお金を借りるなんて武士も結構いたわけで。
ここの二人の会話から、実は両思いなことはわかるのですが。
いかんせん二人の間には身分の差が立ちはだかる。
ああこの二人はこれから先どうなってしまうのか!さてお立会い!
(活動弁士じゃないんだから)
水野はこの男が少なくなってしまった江戸の街において、吉原(男女逆転なので男が
花を売っている)にも行けないような女相手に、ただで寝たりしてんですな。それは、
自分がせめて力になってやりたいから、という気持ちらしいですが。
女としてはせめて子を残したいけど、結婚できるようなのは武士や金持ちの商家に
限られ、吉原で男と寝るにも金がないって感じらしいです。こういうところは男女逆転が
面白みを出してるというか。
朝になって水野帰宅すると、母が正座して待ってました。
こぇぇぇー!
縁談があるらしいんだけど、それより姉の結婚相手何とかしてやれよという水野。
年齢的に姉は20代のようですが、江戸時代の20代といえば今でいう「行き遅れ」みたいな
感じでした。子供を産む年齢としては悪くないんですがねぇ。
10代のころで嫁にいってたから、町民達はまだそれでも10代後半だったけど、武家とか
殿さんとかは10代前半で結婚することも多くて、そのためお産自体が大変危険なこと
でありました。
話ずれるけど、戦国時代だとか江戸時代の平均寿命が50歳前後と言われてるのは、
戦争で人が死んだのもありますし(戦国時代)、お産の時に母子ともに命を落としたりしたために
平均寿命がぐっと下がったことが原因です。だから、無事に生まれさえすればあとは
疫病でもはやらない限り、60歳70歳と生きた人もそう珍しくはなかったです。
ともあれ水野はその縁談の話はさておき、母にお礼を言いたいといいだした。
他の家のように、自分を男性を必要としているとこに、お金を取って貸し出して、寝させる
ようなことは一度もしなかった、どうか恩返しさせてほしい、と。
感動する母。
で、水野は頑張って恩返しの方法を見つけます、と立ち去るのですが。
黙って聞いていた父が一言。
「いっぱいくわされましたな」
父、縁談の話題そらしだと気づいてたー!
そういうわけで突然、水野、大奥へ行くと言い出しました。
食いぶちは減るし、奉公で手当ても出る、貧乏旗本としては助かるからと。
どう見ても軽い気持ちで言ってるとしか思えないのですが。
あれだ、今風に言えば「俺東京にいってミュージシャンになるよ!」的な。
滅多なことでは帰れないと心配する家族をよそに、水野はさくっと「いってきます」みたいな
感じなのでありました。
キミはあれだなぁ、たまに空気読めって言われないか?
お信が鼻緒切れて困ってたのを、水野が直してやるくだりは、この二人の関係を端的に
あらわしてるようでさわやかなシーンでした。
つかお信がはいてる草履が厚みあったので鼻緒直せるのかと思ってたら笄を出してちゃんと
使ってました。やるな、お主。
ここでお信、熱心に草履を直してくれてる水野に向かって「(大奥へ行くことについて)なんか
言ったらどうなんだい!」と怒ってます。いや、あんた今、手ぬぐいの切れ端を草履の穴に
通してる大事な作業中だろうが!しゃべってたら通るものも通らんわ!
彼女はこのあとも、水野が黙ってることに怒ります。いや、だから黙って作業させてあげて!
あんたの草履直してんだよ!
そんなに贅沢な暮しをしたいのかい、とトンチンカンなことをいうお信。
腹を立てた風でもなく水野はお別れをして去っていくのですが、音楽盛り上がりすぎです。ここで
終わりそうな勢いです。
で、大奥にやってきた水野は、松嶋という男にあれやこれや説明を受けます。
ここの役職の話だとかはあまり意味がわからなくても問題ではないです。
将軍に会える身分の人と会えない身分の人がいて、水野がつく役職は、会えない身分の一番
トップの肩書だと覚えておけばいいかと。つまり、出世すればすぐにでも、会える身分になれる
ってことです。
ここでCMとかでやってた、松嶋の長袴を水野が踏むシーンが出てくるんですな。ここじゃあ
軽く流されてますけど、本来こんなことしたらめっちゃ怒られます。
あと、松嶋の上司で藤波という人が出てきます。
「朝田を呼べ!」(呼ばんでいい!)
医龍3でよくこのセリフ言ってたので…。そういやあっちは藤吉先生だったなぁ。
この藤波は大奥の実質の実力者みたいなもんですな。
大体メインはこの人達で話が進みます。
というわけで配属された部署にやってきた水野、まずは基本の挨拶を元気よく…って
思い切りバカにされてますがな。
水野も江戸っ子、負けてないのが面白い。
ここでからかう先輩と水野の間を取りなしたのが杉下でした。
「亀山クン」
うん、その右京さんいたら大騒ぎだね!
杉下は水野にいろいろと教えてくれるんだけど、サバサバした水野が気に入ったようでもあり。
侍が掃除とかするのは大変だろう、と杉下に言われて水野は、うちは貧乏だからいろいろ
仕事をやったみたいなこと言うんだけど。いわゆる万事屋銀ちゃんみたいな。
そのわりにゃハタキかけるのヘタクソだな…。
ともあれそうやって入った水野が面白くないわけですから、先輩方としちゃ嫌がらせの一つ
二つしたいわけで。
わざと膳を違う部屋に運ばせたりするんですな。
そこで水野は松嶋と、ある青年の逢瀬を目撃します。
この諸先輩方のいたずらが、水野の運命を大きく変えたといってもいいわけで。
出世の第一歩みたいなことになったのを知っていたら、はたして意地悪してたでしょうかねぇ。
また、夜水野は嫌がらせ受けるんだけど、これをものの見事に撃退。
まあ大人しくやられてるようなたまじゃないってことですね。
つーか刀枕元に置いてていいのか。
ここらあたりまではよくある王道パターンって感じですけども。
こっから少しずつ流れが面白くなってきます。
ある時水野は剣道場で青年達が稽古してるのを見て、外でホウキ振りまわしてたりした
わけですが、それをたまたま目撃した藤波が、剣道場で手合わせさせてやるんですな。
藤波としては、こないだの夜の大立ち回りが耳に入ってて、面白がってる感じです。
しかしまさかこれが大きな伏線だったとは!
剣道場で水野の手合わせをすることになったのは、あの、松嶋に寄り添ってた青年
鶴岡でした。よっ、ファイヤーダンスはもういいのか本木!(GM〜踊れドクター〜より)
水野としてはアチャーって感じだと思うのですが、ここでの手合わせで水野は勝つ
んですね。藤波としてはあっぱれって感じでしょうが、鶴岡としてはもう面目立たないわけで。
なんていうか、負けたとあっては松嶋の寵愛を受けられない、と焦る部分もあると
思うのですよ。松嶋ってそういうとこありそうだもんなぁ。
きれいなものとか強いものが好き、みたいな。(ただし水野は対象外、的な)
どうでもいいけどこの手合わせの時、2人がダダーって走るんだけど、剣道場どんだけ
広いんだよって思った。
で、鶴岡は手合わせ出来て幸せです、という水野に、「いい気になんなよ、自分の方が
顔は美しいんだからな」と捨てゼリフ。
顔はきれいかもしれねーがお前心は汚いな。
つーかそこはツンデレで「つ、次は絶対負けないんだからね!ちょっとくらいは認めて
あげてもいいけど!」ってやってたら松嶋だって見捨てなかっただろうに…。世の中
ツンデレですよ鶴岡さん!(ちげぇよ)
この後松岡に見苦しい、と愛想尽かされてしまった鶴岡は、そりゃあもう、水野さえ
いなければと思ったに違いありません。
そういうところが心が汚いっつーんだよ。
水野の方は、ここは美貌や才能がひしめいているが心は暗い、と呟いていました。
暗ければ進んで明かりをつければいいじゃない!
あと、杉下が水野に自分の身の上を語って聞かせるんだけど、ここ、大奥にしか
居場所を見いだせない自分のような者もいる、というのは確かにそのとおりであると
思います。水野にはけがれた場所に見えるかもしれないけど、ここでしか生きていけない
男もいるんだよ、と。
鶴岡を見事打ち負かしたという噂が広まり、水野はちょっとしたアイドルになってました。
少年とかがキャーキャー言ってるのがかわいいです。
その中に…おい、サク。バンドBECKの方はいいんか。(上映終わりました)
冷えてまいりました、お風邪など召されませぬようって声かけてて、水野に「ありがとよ」
って言われて喜んでるのがかわいいです。
ちょうど宝塚の上級生に憧れる下級生のノリだ。
水野としては、男にキャーキャー言われてもなぁ、って感じっぽいですね。
いいじゃないか、おっさんにギャーギャー言われるよりは!(何なんだ)
んで、皆が寝静まった夜。
多分剣道場に練習にきたんだと思うんですが水野。
ふと振り向くと暗闇の中、鶴岡が座ってた!
こぇぇぇぇぇ!おめぇ、呪怨じゃないんだからそういう登場すんなよ!マジびびったよ!
彼は真剣で水野に戦いを挑みます。
つまり、殺す気満々ってことですよ。
松嶋に捨てられたからやけっぱちになってやがる。
誰か!ファィヤーのとこの氷室呼んできて、氷室!
鶴岡ー新しいスポンサーよー!(アンパンマン、新しい顔よ!のノリで)
…まあごまかしきれなかったようで、鶴岡は問答無用で向かってくるんだけど、水野が、
刀は将軍様をお守りするために抜くべき、という説得で鶴岡は刀を納めます。
どうでもいいけど剣道場の床であんた滑りまくりだったけど大丈夫か、鶴岡。むしろそっちの
方が気になってハラハラしたんだけど。
水野を残して鶴岡は出て行ってしまいます。どっちもフォローなしか!
で、外に水野が出て見ると、なんと鶴岡、腹切ってました。
そういう責任の取り方はわかるんだけど、水野はこの事態をどう説明すればいいんだ…。
切腹した鶴岡を見ている水野。
やっぱりファイヤーを呼んだ方がいいでしょうか?
水野はこの後介錯をしてやります。
つかそういう経験がなくてよく出来たな、という気がしなくもないが…。
首を切り落とす介錯というのはそう簡単にできるものではないので。
松嶋にどう報告したかはわかりませんが、水野としては死後も鶴岡が恥をかかないように
してやったのではないかと思います。
そして冬が来ました。
七代将軍家継が病で亡くなり、吉宗がやってまいりました。
ここから面白くなります。…前振り長かった!
将軍が変わると大奥は一新して、要するに人員入れ替えるのが習わしだったのですが、
吉宗はこれを嫌い、節約のためにそのままで良いと言う。
藤波と松嶋はそのことで、やれやれと話をしてんだけど、この時に猫が藤波の膝の上に
のっかってて、「女は怖いのー」と言った時、猫がニャーって言ってたの笑いました。
(後で声だけ入れたかもしれないけど)
多分「いやいやあんたも十分こぇぇし。つーか餌まだかよおっさん」って言ってたと思う!←コラ
このあと吉宗が馬走らせてるのかっこよかったです。
あれ?暴れん坊将軍のテーマは?
江戸城についた吉宗は、豪華な着物を作っていた側近(肩書き忘れた)を早速解雇。
実家から連れてきた人を秘書みたいなポジションにつけます。
これちょっと設定的に触れられてなくて、原作読んで知ったんだけど、この人は幼馴染
でもあり、吉宗が信頼を置いているやり手の人らしいです。もうちょっとその辺の設定を
わかるようにして欲しかった。吉宗の、女としての名を呼んでるシーンだけではわかりにくい。
その幼馴染の加納さんって人が、大奥との橋渡しをすることになるんだけど、藤波が
「吉宗様マジで大奥来てないんだけど。ちゃんと来てよ」と文句を言ってくるわけですな。
でも、「大奥をバカにしてないか、吉宗様は何を考えてるんだ」と言った藤波に加納が
「この国の、行く末を」と言ったのはかっこ良かった。
吉宗はそのまま、お庭番を連れて江戸の町へ出るんですな。
おいおいちゃんと徳田新之助って名乗ってんだろうな!(暴れん坊将軍じゃねぇ)
自分の目で直接町を見るっていうのはいいことだと思う。
吉原も見て歩いたりとか。
この後、あんまりお忍びで出ないでマジ危険だからと諭しに来るのが、大岡越前で
あります。
残念だなぁ、竹脇無我さん水野の父親役で出てんのに…。
(竹脇無我さんはその昔「大岡越前」という時代劇で、越前守の友人役、小石川養生所の
先生やってた)
このあと、大奥への顔見せも政のひとつですよと言われた吉宗はお義理程度に
大奥へやってくることになるんですが。
水野の方は、御中臈に突然昇格。
藤波が取り計らってくれたらしいのですが、吉宗に選ばれて次の将軍が生まれれば
世継ぎの父になれる可能性があり、つまり、権力を手にする可能性も出てくるわけですな。
それで水野は部屋を変わるわけになるんだけど。
身分上がったもんで、あれだけ水野に嫌がらせしてた先輩方の態度変わってて面白かった。
さらに杉下が今度世話役になるみたいです。
で、あの、キャーキャー言ってたサク…じゃなくて誰だこの人…垣添か。
裃を仕立てにくるんだけど、水野は彼のセンスを気に入って全部任せることにします。
このあと水野は松嶋とともに、香を嗅ぎわける遊びみたいなのやってたけど。
ここのエピソードは別に落としてもよかったんじゃないかなぁ…。
いや松嶋が水野の才能に舌を巻く、というのを出したかったのはわかるけど、もともと
そんな表だって張り合ってたわけでなし。思い切ってエピソード省いてもよかったように
思います。
垣添が仕立て上げたのは綺麗な黒の流水紋が入った裃でした。
この後、お礼は何もいりません、思い出をって言って恥ずかしがってる垣添は妙に
かわいかったです。
ここはちょっとほのぼのしてて良かったなぁ。
で、二人のやりとりを杉下がゲラゲラ笑ってたのもよかった。めっちゃツボに入っとるがな!
吉宗がやってくるというので皆揃うわけなんですけども。
皆は水野の黒の裃を見て貧相と笑うんですね。
この黒の美が分からんとは、つまんねー目を持った連中だなぁおい。
お前らの裃こそ、下手物の極みじゃないか。
藤波は水野に、吉宗に名を問われたら、それが選ばれた合図だ、と教えます。
というわけで鈴が鳴ったので皆並んでお出迎え。
吉宗は、バカバカしいほど着飾った連中だのーといいながら歩いてくんだけど、この時に
着物の裾を踏んで躓きそうになる。大事には至らなかったんだけど、水野の横にいた男が
つい笑ってしまって、吉宗はそれをとがめます。
と、水野がとっさにかばったのかどうなのかはわかりませんが、自分が笑ったのだ、という。
吉宗はその時初めて水野を見て、名を聞くんですな。
一同ハッとなった。
彼女がどういうつもりで水野を選んだかはわかりませんが、黒が質素で良いと見えたか、
顔を見染めたか。
ともあれ相手は決まったわけです。
いやーすごいサクセスストーリーですな!
ところが喜びもつかの間、水野ビックリです。
藤波は、水野は死ななければならないと言ってくるんですね。
まあぶっちゃけた話、初めての相手だからっつーことですよ。
家族には病死と知らされる、咎を受けることはないと聞いた水野は覚悟を決めました。
杉下とかは仕組まれたものだ、でなければおかしいと文句言うんだけど、それ以上
言うと自分の心が曇る、と止めた水野はいい男だなと思いました。
つまり杉下が言いたいのは。
いきなり水野が昇格したのはおかしい、普通なら今いる松嶋以下の御中臈から吉宗の
相手が選ばれるはず、でもその家族から袖の下を受け取ってるから、むざむざ死なすわけ
にはいかない、そこで水野を人柱にしようってことなんですね。
藤波は最初からそのつもりで水野を引き立ててたってことで。
その次に相手をする人間として松嶋を推して、吉宗が男子を産めば自分達の権力は
絶大なものになるってわけですな。このあたりの仕組みはホントの大奥とそんな変わらない
と思います。
水野だって後悔がないわけじゃなく、こんなことだったらお信と寝てやればよかった
と考えてます。まあ誰だって大奥入っていきなり自分が選ばれて、さらに死ぬハメになる
なんて考えもしないでしょうよ。
というわけでこの後、吉宗と夜を迎えることになる水野でありましたが、ここの寝屋での
坊主との会話が面白かった。
吉宗がやってきて、こんなことになるとは知らなかった、軽い気持ちで指名してしまって
申し訳ないと言ったあと、自分の女の名は「のぶ」と言う、って水野に言うんですね。
驚く水野。
このあと、今夜だけおのぶと呼ばせてくれ、と言ってたけど、頭のいい吉宗のこと、
事情は察したんではないでしょうか。
さてその後ですが。
当然このまま終わったら面白くない。
吉宗はお庭番にあることを命じます。
お信が墓参りにやってきて、水野の墓におむすび供えてんですけど、ひょっこり水野が
現れてそれ食べてたのは面白かった。
さては幽霊!
ではなくて、実は吉宗の取り計らいにより、斬首は行われず、死んだということにして
おいて、別の人間となって生きていくように言われたわけなんですな。
吉宗としても「ただでさえ男が少ないのに殺すのはもったいない」ってことでしょう。
さらにさらに。
この後史実を知ってるとニンマリ笑える出来事があります。
吉宗が大奥に突然、この中で選りすぐりの美男50人を集めよと言ってくるわけなんですね。
いよいよだと胸踊らせる松嶋と藤波。
庭に揃った美男50人の中に松嶋がいたのは言うまでもありません。
しかも見染められた水野にならって皆が黒の裃という念の入れよう。
吉宗は一同見渡すといいました。
「本日を持ってお前達には暇を申し渡す。それだけ美男であれば実家に帰っても結婚
出来るだろう。しかし不器量なものはそうはいかないから大奥で面倒を見る」
こうして藤波、松嶋のたくらみは崩れ去ったのでありました。
真に名君なるは男であっても女であっても変わらぬ吉宗公でありましたとさ。
うーん…。
つくづく話の選び方がもったいないと思います。
せっかくの吉宗の強烈なキャラがいまいち生きてない気がする。
もっとメリハリある話を題材にしてもよかったんじゃないかなぁ…。
なまじ十三人の刺客を先に見てしまったために、インパクトにかけるなぁと思った映画で
ありました。役者さん生かし切れてないのが一番もったいない。