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ハウルの動く城

3/7鑑賞

 世界のミヤザキ作品ということで前評判は高かったものの、声をあてたある俳優さんに
対してのバッシング記事が多く、もしかしたら半分くらいの人があまり期待しないで見た
かも知れない作品。
 そんな杞憂をものの見事にぶっ飛ばしてくれました。声の演技がおかしいなどと誰が
言い出したのか。
 もしかしたら私達は関係者が仕掛けた、一番目の魔法にさっくりはめられたのかも
しれません。

 物語は、ある国の高原をのっしのっしと歩く城の図から始まります。見た目、動く城と
いうよりはなんかメカロボットという感じがしないでもありませんが。今のもあの口が開いて
「ヤッターロボ、ヤッターロボ」とか言いながらミニハウルが出てきそうです。
 その風景は(ロボが出てくる風景ではありません)みんな見慣れているのか誰も、
霧の中から城が現れても驚きもしません。
 この時代魔法使いは人間と当たり前のように共存しており、戦争にその力を発揮
していたからです。
 ハリーポッターの世界では、(おろかな)人間が気づかないだけで魔法使いはそこここ
にたくさんいるという設定でしたね。また、人間界では魔法を使ってはダメというのも
ありました。
 ハリーがよりリアリティある、イギリスらしい陰湿さ・暗さ(失礼)を持っているのに対し
ハウルのいる世界は戦争という悲劇はありますが人々は魔法使いと仲良く暮らしている
のかも知れません。
「ド○えもーん、ジャイ○ンたちがいじめるんだよー。魔法でこらしめてよー」
「よーし、の○太君をいじめると僕が許さないぞー」
 というのが日常的…なわけはないですね。
 ま、時代的には中世の香りがします。錬金術とかあったあたり。
 
 話が冒頭からかなりすっ飛びましたがとりあえず、街中の風景。両端に密集した住宅が
立ち並ぶ中を機関車?かな、通り過ぎていきます。黒煙がすごいですねぇ。これまだ
煙が逃げるところがあるからいいですけど、ちょうどジャックザリッパーが出現していた
頃のイギリスだとこれが地下鉄だったというんだからたまったもんじゃありません。
(うろ覚えなので間違っていたら許してください)
 で、そんな一角にある帽子屋さん。そこで働いているのがソフィーでした。ここでは詳しく
語られませんが、この店は亡き父の店であり、おしゃれなことが大好きで外出ばかりして
いる継母(父親と再婚、ソフィーは前母の子であるので血はつながっていない)や次女である
レティーが何もしない中、長女だからと頑張って支えているのでした。かといってこの暮らしが
大好きというわけでもなさそうです。
 そんなソフィーの第一声。これですよ。ここだけ何でリテイクしなかったのかなと。ちょっと
かすれたような倍賞さんの声がものすごく浮いていて残念でした。しかしこの後は非常に
合っていて違和感なく、むしろ話が進むにつれて入り込める感じだったのですごく良かったと
思います。
 本当に最初の一声、失礼ですがもう少し慎重になっていただきたかったです。

 ソフィーは店を閉めたあとレティーに会いに行くみたいですがその道途中でどうでもいい
兵士二人に絡まれます。というかこいつら声のかけ方が「何かお探しかな、小ねずみちゃん」
って、ナンバの仕方としては一番やっちゃいけないようなセリフを。こんなだから戦争に勝て
ないんじゃないかと思いますけど。
 せっかくですからここはキッドあたりを見習って、「キッドは屋上へはきっと(キッド)こない」と
オヤジギャグを飛ばして相手を凍りつかせるくらいやっていただきたいものです。
 ともあれ絡まれて困っているソフィーを助けたのが天然金髪碧眼気障小心者弱虫ハウル
でした。(なんだかいらない恨みを買った気がしますが)
 しかも助けてくれたのかと思いきや実はハウルの方が追われていて、一緒に逃げてくれる
人が欲しかっただけだというとんでもねーやつでした。これで「良い人だった」といえるソフィー
の神経が信じられません。
 水戸黄門で言えば入水自殺しようとしていた女性に「おやめなせい」と声をかけた弥七が、
刺客に襲われて「あぶねぇ!」と女性を水の中に突き落とすようなものです。うーんマンダム。
 レティーは「信用できない」みたいなこと言ってますが、確かに彼女の見る目の方が正しい
かも知れません。巻き込んでおいて「僕がひきつけるからもう少し待って出なさい」とバルコニーに
人を置き去りにするやつですよ?しかもソフィーがスカートで、下から覗かれたら下着見えて
まうやん、ということも気づいていません。
 まあこんな性格(しかも天然っぽい)だからソフィーくらいしかまともに付き合える人がいないの
かも知れません。

 さて帰宅してきたソフィー。そこへえっらいこわいおばちゃんが入ってきます。…失礼ですが
これ大阪のおばちゃんに似てる気が。いやまあなんちゅーかあれですが。
 それは実は荒地の魔女。きわめて一方的にソフィーに呪いをかけて立ち去っていきます。
ハウルに関係があるらしいのですが、ただ行きすがっただけでこの扱い。一日中ハウルの
動きを監視しているのでしょうか。ストーカーちっくというより単なる暇人です。
 そんな呪いで90歳のおばあちゃんになってしまったソフィー。どう考えてもおばあちゃんに
なっただけでなく体重も3倍くらいにされているような気がしないでもありませんが、顔の面積も
すごいことになっています。このまま湯屋にいけば湯婆婆の関係者といっても通りそうな気が
します。

 こんな姿ではここにいられないと、ソフィーは家を出て行く決心をします。確かにこんなことに
なってしまったら誰が彼女をソフィーだと信じてくれるでしょうか。
 彼女が目指したのは高原地帯。ここで、末の妹に会いに行く、というセリフが出てくるのですが、
本当に会いに行くつもりだったのか、村人へのうそだったのかはわかりません。
 杖代わりにしようと草むらから引っこ抜いた枝が実はカカシだった(ソフィーがカブと命名)という
ことがあったり、そのカブが杖を持ってきてくれたり、さらには寝床としてハウルの城をつれてきて
くれたりとかなり急展開がありつつ、ソフィーはハウルの城とめぐり合ったのでした。
 まるで新撰組総集編並みの展開の速さです。まあナレーションで済まされてしまった、隊士達の
切腹シーンよりはマシかも知れません。

 城に乗り込んだソフィーは暖炉を発見。そこには火の悪魔カルシファーがいました。大して
驚きもせずソフィーは、ハウルとカルシファーの間に交わされた契約の秘密を探ってあげると
かなりいい加減な約束をして眠りにつきました。若い頃のソフィーとはまったく違うずうずうしさ
です。というか「年寄りのいいところはたいていのことでは驚かないこと」と、単に呪いで年をとった
だけなのにもかかわらず、数十年を過ごしてきたかのような貫禄っぷりにはビックリです。
 翌朝目を覚ましたソフィーは弟子のマルクルと知り合い、ずうずうしくもご飯を食べることに。
この朝食なんですが、ベーコンにサニーサイドアップ数個、パンというかなりカロリー高そうな
バランスです。野菜を食え、野菜を。あとコレステロール値高くなるからソフィーは黄身の部分
食べちゃダメですよ。つーかハウル料理うまいな。さじを持ちつつその手で片手で卵を割るとは。
 それとハウルが最初言ってた「うまし糧」が意味がわからず、「馬鹿手?…バカって言ってる?」
と一人で悩んでました。バカは貴様だ。

 で、そこでハウルに掃除婦と言った上「誰が決めたの」と聞かれて「そりゃわたしさね」と言う
あたり、ソフィーは90歳の老婆というより大阪のおばちゃんという感じがしないでもありません。
ともあれ奇妙な同居生活は始まりました。
 そーいやソフィーの服のポケットに入っていた紙片を渡そうとしたらそれは、荒地の魔女からの
ものでテーブルに焼印がクッキリと。それはメッセージだったみたいですが、伝言するたびに
テーブルを焼かれていたのではたまったものではありません。でこぼこして文字かけなくなる
やんけ。(そういう問題ではない)
 それによると荒地の魔女はハウルの心臓を狙っている様子です。

 さて、働かざるもの食うべからずとはよく言ったもので、ソフィーの働きっぷりはなかなかのもの
です。もういっさいがっさいの分別をやめて何から何まで捨ててるといった感じです。
 余談ですが、一見散らかっているように見える人の部屋でも、本当に散らかっているのならともかく、
実はラベリングをしていたりテリトリーを決めて散らかしていたりすることがあるので、むやみやたらに
仕舞い込んだり片付けたりするのはやめましょう。…全部出さないと何がどこにあるかわからなく
なってしまいます(経験者)。
 そうして何でもかんでも片付けたソフィーのせいで、風呂に入ったら髪の毛の色が変わったと
逆切れするハウル。つーか魔法使いなんだからちゃっちゃと染め直せよ。やさぐれて体中から
ネバネバ出してますけど、その前に服を着ろ。
 主役が半ケツでやさぐれてヒロインに抱えあげられてるなんて史上初のような気がします。
 その前のシーンでは、眠っている(若い姿の)ソフィーを静かに微笑をたたえて見つめるなど、
覗きまがいの行為をかっこよくやっていたのにえらい違いです。

 なんとか立ち直ったハウルに声をかけるソフィー。あれもイヤ、これもイヤとわがまま爆発な
ハウルによく耐えていると思います。まあ長女だと兄弟のわがままにはなれますからねぇ…。
私なら「あれもイヤ、これもイヤ、何ならいいんじゃコラァ!」と口にミルク流しこんでやりますが。
 ハウルは王宮からの呼び出しにどうも気が乗らない様子。魔法学校時代に、国のために尽くす
と契約させられていて、それにそむくことはできないみたいです。それに加えて荒地の魔女からも
狙われているのが怖いんだとか。
 つまりハウルは外見とは逆にとても小心者で臆病で面倒くさがりな魔法使い。戦争の地帯に
いって飛び回ってあれこれ破壊したりはするけども、何か目的があってしてるのではなく、それが
楽しいからって感じですな。よし、海に沈めろ。
 ところでハウルは初登場時、マルクルに「掃除もたいがいにしろと言っといて」と言った時、
黒髪のボサボサ時、新しい引越し時と4回髪型が変わっています。結構なおしゃれさんなんですな。
私は金髪おかっぱのハウルが好きですが。素直そうに見える(大笑)。

 さてそんないくじなしのハウルに代わりソフィーはハウルが使っていた魔法使いの名前である
ペンドラゴンを使い、ペンドラゴンの母として王宮へ。
 途中荒地の魔女と出会い一緒になりますが、ソフィーの足にまとわりつく犬が。ソフィーは
「あなたハウルね。老犬に化けたりしてやなやつ!」と言っていますが別にその犬は肯定
したわけでも否定したわけでもないので、勝手に腹を立てているソフィーの方がどうかと
思います。
 というか自分で階段をのぼらない犬もどうかと思いますが。(最上段にたどり着いて身を
起こすヒンの姿はかわいいので必見です)
 全身汗だくになりながら上がってきた荒地の魔女の姿は、このままお化け屋敷に放り込んだら
そのまま最恐のお化けになれるんじゃないかというくらいすごいです。魔法で身支度を整える
余裕すらないっぽいです。それにくらべてシャキシャキしているソフィー。気力が戻ったから
力が沸いてきているのかも知れませんね。
 ここでひとつはてな?と首をかしげたのが、ソフィーと荒地の魔女との会話。
魔女「ペンドラゴン…?聞いたことある名だね」
ソフィー「当たり前でしょ、私のいた帽子屋の名前だもん」
魔女「そうだっけ…?」
 ペンドラゴンは魔法使いの名であり、ソフィーのいた帽子店は確かハッターという名前だった
はず。まあ魔女が覚えていないのはしょうがないとしても、なぜソフィーはそんなうそをついた
んでしょうか?それがちょっと意味不明。
 まあソフィーにしてみれば呪いの趣向返しのつもりでちょいとついたウソだったのかも知れま
せんね。それで魔女が覚えていて訂正したのならまた答えも違っていたかも。

 そんなこんなで王宮にたどり着いたものの、ソフィーは王室付き魔法使いのサリマンと
対峙。ハウルの生き方を否定するサリマンに対して真っ向から向き合います。ハウルに対する
ことを言っていくうちに若返るソフィー。すぐに元に戻ってしまいましたが、この姿はソフィーの
心の強さに比例しているのかも知れませんね。
 そこへやってきたのが王様。サリマンに挨拶した後ソフィーのことについて話をしていると
そこへ入ってきたのが王様。ここで金田一あたりなら「王様が二人!?どちらかが偽者だ!」
「どちらかが高遠の変装なんだ!」「〜というわけで高遠の変装はこっちだ!」「さすがは金田一君、
わずかな手がかりで私の完璧(自分で完璧というところがミソ)な変装を見抜いてしまうとは…!」
「フン、どこが完璧だ。お前の変装は穴だらけだぜ!(以下また説明)」という感じになりますが、
さすがは王様動じません。
「今度の影武者はよくできてるなぁ」と言って立ち去ってしまいます。お前もう少し危機感持てよ。
 そんなこんなでハウルの魔法は見破られ、ソフィーを連れてうまいこと逃げおおせます。
ところがそこに、魔法の力を取り上げられしわしわのよぼよぼになった荒地の魔女と、ハウルの
変身ではなかった犬、ヒンがついてきてしまいました。
 ハウルは「ソフィーはみんな連れてきちゃったな」と言いますが、とっとと逃げなかった自分の
せいだと考えないあたりあくまでも責任転嫁です。
 この、逃げおおせる前にハウルとソフィーを囲んでいた、オリンピックマスコットキャラの
出来損ないみたいなのがしゃべっていた言葉ですが、「ほっといてほっといて ぼくにさわら
ないで しにたいのに しにたいのに」と言っているみたいです(日本語ではなし)。
 ところでサリマンの身の回りの世話をしている少年たち。どう見ても若い頃のハウルを金髪に
した感じなのですが。サリマンの魔法使いの才能以前に、少年たちをはべらせるその趣味に
ついて少し問いただす必要がありそうです。

 さて城から戻ったソフィー。途中、乗っていた飛行船の止め方がわからず派手に城へ
突っ込んだり、お約束のように舵のハンドルだけを手に持って降りてきたりしましたが、
怪我はしなかったようです。
 そして翌日、なぜか上機嫌なハウルはいきなり引越しをすると言い出します。街の闇金から
借りられるだけ金を借りて無事夜逃げが終わった一家のように上機嫌です。
 いろいろなところへ通じるドアも色が変わって登場。
 と、その前に、新しく引っ越した先のことについて少々。
 新しい引越し先は前にソフィーが支えてきたあの帽子屋でした。といっても中は無人。
どうやらソフィーが出て行ってから結構な時間が経過しており、その間に帽子屋は潰れて
継母ファニーはさっさとどっかに行ってしまったようです。ここは見るだけではかなりわかりづらく、
解説本を読んでやっとわかりました。
 ともあれそれを悟り複雑な心境のソフィー。そんな彼女の気持ちにも気がつかないのか
のんきにハウルは新しいドアへ誘います。
 そこは一面に広がる花畑。あれでしょうか、ここでハウルはアルプスのハイジごっこでも
やりたいんでしょうか。
 立った!立った!クララが立った!とかやって欲しいんでしょうか。それにはまず、どこに
つながっているかわからない巨大なブランコを用意してもらわなくては。
 その花畑の中にある小屋。ここは自分が子供の頃過ごした場所だ、とハウルは語ります。
人間的な部分がまったく語られなかったハウルですが、ここにきてやっと身内の話が
出てきました。
 そこへ飛んできたのがどっかの軍艦。いい雰囲気を台無しにされてちょっと怒っているっぽい
ハウルはこれを墜落させます。がしかし敵も黙ってはいません、直ちに応戦開始。
 一方的にソフィーをドアの向こうへ放り込んでハウルは戦いの地へ。

 戻ってこないハウルを心配しながらもソフィーはかいがいしく荒地の魔女だのなんだのの
世話を焼いています。荒地の魔女がしたことと言えば「恋だね」とソフィーに言ったくらい
なんですけども。あんた一体何しについてきたんだ。
 でもってここらあたりも詳しく描写されてはいないのですが、生真面目なソフィーはハウル
の言ったことを真に受けて花屋さんを開いていたみたいです。
 そこにやってきたのが存在を長らく忘れ去られていた継母ファニー。ソフィーに飛びついて
涙を流しながら再会の感激を伝えていますが、そんなに仲の良い家族だったでしょうか?
 と思っていたらやっぱりサリマンが送り込んだ小道具を持ってきただけでした。それに気づいた
荒地の魔女が燃やすんですけどもこれがまた、カルシファーに食わせるというとんでもない
ことを。カルシファー撃沈。
 戻ってきたハウルは一目見てこの状況を理解、カルシファーを助けた後、荒地の魔女が
すっていた葉巻を消します。これもまたサリマンの道具だったみたいです。何やってんですか
こいつらは。

 またも戦いに赴こうとするハウルを後ろから羽交い絞めにして抱きしめて止める
ソフィー。そんなソフィーにハウルは一言言い残して飛んでいきました。
「ようやく守らなければならないものができたんだ。君だ」
 だから守るつもりなら一緒にとっとと逃げろやとか思うんですけども、鳥に変身したら
とり頭になっちゃったのかハウルはそのまま戦火の中へ。
 残されたソフィーはどうするかというと何といきなり引越しを決意。こんな大変な時に
何をしてるのかと思ったら、要するに部屋と城のつながりをなくして、この街を守らなくても
いいようにしたいみたいですね。
 ただここでカルシファーの言う「引越しー?無茶だよ、あっちはカラッポだよ」という
セリフが何をさしているのか調べたのですが、ちょっとわかりませんでした。
 ともあれ引越し敢行。城は崩れ去ります。これ産業廃棄物扱いなんですかねぇ。

 崩れた城の中に入っていって小さな城にして移動しようとするソフィー。いやあんた
むちゃくちゃでござりまするがな。
 カルシファーをこき使っている上に、どこに行くかもまったく決まっていません。もう
少し落ち着け、ソフィー。
 とにかくハウルのところに行きたいらしいのですが、いかだに足が生えたような
そのミニ城では何百年たっても飛べないと思います。(飛べない城はただの城だ)
 しかもどさくさにまぎれて荒地の魔女がカルシファーゲットだぜ!をやってしまいました。
全身炎に包まれても離さないあたりは立派ですが、それを懸命に助けようとする
ソフィー。私なら魔女がこんがり焼けるまでとりあえず放置します。
 魔女を助けようとして思い切り水をかけるソフィー。都合よく水の入ったバケツが
あったことにも驚きですが、その瞬間崩れて真っ二つになるミニ城を見ていると、
一瞬ドリフのコントに入り込んでしまったかのような錯覚に陥るあたり、さすがスタジオジブリ、
侮れません。

 そんなこんなでみんなと離れ離れになってしまったソフィー。と、ヒンが何かを
教えたがっているようです。崩れた残骸をのけるとそこにはあのドアが。まさかこれが
どこでもドアになったとでも言うのでしょうか。
 ドアの奥はいかにもバラエティ番組で芸人さん達が飛び込むことを要求されるような
ゲル状のもので埋め尽くされていました。芸人でもないのに飛び込んでいくソフィーは
えらいと思います。
 たどり着いた先はいつかの小屋。外に出たソフィーは少年時代のハウルに出会います。
この頃のハウルはまだ素直そうな顔立ちをしていましたねぇ。好きな女の子がいじめられて
いたら「○○ちゃんをいじめると許さないぞ!」とか言って立ちはだかりそうなタイプです。
それがどこからどうゆがんであんな見栄っ張りで、逆に女の子の後ろに逃げ込みそうな
子に育ってしまったのか…。
 ともあれその少年ハウルがカルシファーと契約する場面に立ち会ったソフィー。
次元の穴に飲み込まれる前に「未来で待ってて」と自己紹介とともに言い残していきました。
 そしてソフィーが戻ってくるとそこには、今から鳥人間コンテストで飛んできますという
感じのハウルが。律儀にちゃんと待っていてくれたようです。
 そのハウルに動じず「カルシファーのところへ連れて行って」とさらにこき使うソフィー。
ハウルは黙って飛び立ちます。
 で、カルシファーが持っていたハウルの心臓をソフィーは祈りを込めてハウルに返し
ました。ハウルの目覚め、そしてカルシファーの開放。ついでにカブの呪いも解けて
大団円です。
 それをいまさら伝えてきたヒンにあきれつつも苦笑を浮かべるサリマンの姿がありました。
どうもこの人連絡があるまでずっと待っていたようです。それでもこの結果に満足した
のか、「このバカげた戦争を終わりにしましょう」と言いました。いや、その戦争に加担
していたのはあなたでは…。

 そしてソフィーはハウルとともに、新生ハウルの城で飛んでいきました。
 さあ皆さんで歌いましょう。「しーらけどーりーとーんでゆーく、南のそーらーへみじめみじめ」
 …何だか世界中から呪われたような気がします。

 前回の千と千尋が少女の成長物語だったのに対し今回は純粋な恋愛モノ…というと
語弊があるかも知れませんが、戦争の悲惨さとその中でめばえていく恋、というのはなかなか
良かったかと思います。やっぱり誰かが死んだりしてその犠牲の上に、っていうのは嫌な
ものですしね。
 それから原作も読んでみたんですけど、どちらかというと私は映画の方がストーリー的には
好きです。
 ハウルの動く城、天空の城ラピュタとどっかでぶつかってないといいですがねぇ。
(最後に、言うに事欠いてそれかい)
 ま、さわやかな終わり方でとても楽しめました。DVDが楽しみです。



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