多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→電車男


電車男

6/19鑑賞

 恋人を持つことはスティタスだとか、男(女)の価値が上がるからとか、金づるだとか
性的欲求を満たすためだとか。
 そういうものでなく、ただひたすら相手のために何かできるということ。
 相手を大切に思うこと。

 多少美化された感はありますが、この映画はそんな当たり前のことを教えてくれます。

 それはとあるインターネット掲示板への書き込みから始まりました。
 アキバオタクのある男に突然(恋の)チャンス到来。
 面白そうな書き込みに、見ていた人達は興味を引かれたようです。
 ここの画面割りが、6分割になって、電車男やその他の書き込む人々(以下住人)のやり取り
をあらわすわけですが、書き込みはかなり頻繁に、交互に行われ、6分割でもそんなに見づらい
というわけではありませんでした。テンポもよくてついていきやすかったと思います。
 住人達も、一癖も二癖もありそうな人達で興味を引かれたというのもあるかと。

 最初このアキバオタクこと電車男君、緑のパーカー(?)を着ていたので踊る大捜査線の
オタクかと思っておりました(笑)。なんかそれが役に立つのか伏線かと。違うんですね…。
いや、「キミの心を逮捕する!」とか「秋葉原封鎖できません!」とか言うのかと(寒い)。
 ともあれ電車男が乗り込んだ電車に乗ってきた酔っ払い。人に絡みまくり。これがドリフ
だったら間違いなく志村けんの役どころ。あれ突然シラフに戻ったりして面白いんですよねぇ。
 ちなみに私はこういう経験はありません。だって外で飲むこと殆どないから、酔った状態で
外歩かないもんねぇ(酔っ払いの方の経験かよ!)。
 で、きれいな女性に絡んでいたのを見かねて思わず立ち上がった電車男。
 ここで突然画面は入力画面に戻ります。
 うーんなんか感情移入しかけていただけに突然ブッツリ切られて「何なの!?」って
感じでした。もう少し手前で切って欲しかった。まあそういう風に思うあたりすでに術中に陥って
いるのかも知れませんが。
 しかしタイピングするスピードはぇーな、おめーらはよ。
 
 立ち上がったはいいが手を出しあぐねていた電車男、そこに電車からの突っ込みならぬ揺れが
きて、男に突撃した形に。当然男は電車男に絡むわけですが、やっとこさ乗務員がやって
きましたよ。
 話を聞いた後きれいなおねいさんは電車男クンに「御礼をしたいから」と住所氏名を聞きました。
ところがどっこい電車男は気が動転して聞くどころではなく、そのまま帰ってきた模様。ガックリ
後悔しております。
 え、事情を聞いたときとかに住所氏名聞かれないか?ちゅーても記憶するどころじゃないか。
 この報告に住人は「まあ社交辞令だから」とか「期待するな」とかいう慰めのレスをつける、と。
確かにそんなものですよねぇ。
 っておい電車男、パソコンつけたまま寝るのかよ!

 さて会社では、仕事中にアダルトサイト見ていたおばかちゃんが、ポップアップ立ち上がりまくって
どうにもならずに電車男に助けを求めます。自業自得じゃボケ。で、彼はこれをMS-DOSコマンド
だと思うんですが(一瞬立ち上がったから)さくっと消してしまいました。すげぇ!
 オタクオタクとバカにされますが彼らのこういう技術を見ているとやっぱすごいなと思いますよ。
というか、オタクということはつまり、その道のプロフェッショナルということであり、頼りになる専門家
ということです。その知識、情報は見逃せないものがあります。


 電車男が帰宅すると、何か小包が届いていたとかで大騒ぎ。
 ムハァとかハァハァとか言うておりますがな。ダマレ小僧。
 電話するかしないか、大モメ。
 しかも中身見て「カップだ。ハ、ハーメスってかいてあるけど」の電車男のレスに住人全員、
「エルメスだ!!!!」の総突っ込みは笑った。すっげぇ笑いました。
 そしてさらにパニくる電車男。メダパニかけられたところに更にかけられた感じ。でもって
味方に会心の一撃出しちゃった感じ。あれでヤンガスにククールがやられたんだよなぁ…くっそう。
しかもそれが剣士像の洞窟んとこのボスで、他が全員レベルアップしてるのにククールだけ死んでる。
むなしい。

 そんな不思議な踊りを踊っている(踊ってねぇ)電車男に住人は冷静に「ひとつだけいっておく。
相手の女性は一人だが、お前には俺達がついている」と。優しい人達だなぁ。
 そしてついに電話!留守でしたがすぐに折り返しの電話が!
 もう電車男パニくってます。宝物拾ったはずが間違えて捨てるを選択して捨ててしまった時の
ような。何いってるか分からなくなってるとことか。眠い中プレイしてたらはぐれメタルが出てきたのに
逃げる選択してしかもメタルに先に逃げられたとか。
 しかしエルメスのカップを気を遣っているからとはいえ「安く手に入ったから」と言える相手の女性は
どれだけお金持ちなんでしょうかねぇ。
 と、会話を続けている電車男の傍らでパソコンのディスプレイには「カップの御礼に食事に誘え」
という文字がいくつもいくつも。笑えました。
 割り勘で食事を快諾してくれた相手に住人も大喜び。
 ところがどっこいまだまだ安心するのは早い。自分の格好から何からあれこれ作り上げる必要が
ある、と。
 普通ならそのまま行きそうなものだけれど、服装に気を配ったりいろいろな情報を仕入れたりする
というのは大変なことです。それができるというのはいいですね。このストーリーが住人なくして
語れない、というのも当然のことでしょう。

 デートの時にきれいにしていきたい、というのは誰でも当たり前のことだけれども、電車男の
場合、相手に恥をかかせたくないっていうのもありますよね。それがやっぱりいいんじゃないかなと。

 ただ、このデートのシーン(想像)の後に出てくる戦場のシーン。これ意味的にかなり分かりづらい
んじゃないかなと思いました。
 あんなことやこんなことをしている、悔しい(本気ではない)、という感情を表したというのは分かる
けども、だからといって何故戦場なのか、というのもあるし。
 もともとこの話の発祥が「独身男板(通称毒男板)」からのもので、彼らにとっては夢のような話を
投下される、後ろから撃たれるスレ、という意味で戦場シーンのアスキーアートは使われている
ようですが、本だけ、もしくは映画のみ見てるという人にはわかりにくいですなぁ。このシーンは本当に
必要だったのかなって感じです。

 デートはまあうまくいった方ですが、電車男はメモしてきたことを聞いているだけ。家族構成だとか
こういう店はよく来るのか、とか。話をするつもりで質問攻めにしちゃってますな。初めてのデートで
あるからしょうがないけれども、「マニュアル」に頼ったものは面白くないです。頑張れ電車男。
 人ごみでも早足でエルメスさんを置き去ってしまうような歩き方をしていて少々心配です。
 でも次の約束もなんとか取り付けました。

 んー。失礼な言い方かも知れないけれど、電車男のようなタイプには確かにエルメスのような、
ちょっとおっとりしたタイプの人が似合うかと思います。今時の女性はもちろん、勝気な女性も
あわないでしょうな。
 あとエルメスさん、最初のデートに着てきた服、胴回りが太く見えるので前をひとつくらいボタン
とめた方がいいんじゃないかなと余計におせっかい。

 次のデートはエルメスの言う「会わせたい人」と一緒のデート。女性ってなんかこういうのよくやり
ますよね。男の見極めを女友達にやらせるの。あれ何なんでしょうねぇ。男はこういうのしないですが。
考え方の違いなんだろうなぁ。
 で、デートのプランが狂って知らないところに連れてこられた電車男は、エビがうまく食べられず
すっ飛ばしました。よっ、エビ爆弾! エビは手を使って殻をはずしていいんですよ。つーかギャルソン
呼んではずさせるとか。
 どっかの車のCMみたいに、人の頭に飛ばさなかっただけ良かったですな。
 わたくしはブドウの粒をパチンコ玉のようにすっ飛ばしたことはありますが(少し離れたテーブルの
人に直撃)。

 話のとっかかりを探して電車男はついうっかりディープな映画の話を。いやでもこんだけ知識を
持っていてそらで言えるのはすごいですよ。そのジャンルでなら何を質問しても打てば響くように
返って来る人、というのはそういない。まあでもこちらが引いているのに話をやめない人は困ります
けども…。

 二人の仲は順調に進みなんと電車男がエルメスの家に行くことに。いやーすごいですねぇ。
うちなんか家へ誘う以前に誰も入れませんからね。入る場所がないというか。人一人いる面積が
ないというか。(確か5年くらい前までは床が見えておりました)
 人の家へ行く時いつも思うのが、体感温度の差ですかねぇ。前に友人の家へ行った時、友人は
普通なのに私は寒くて(部屋の中なのに)凍え死にそうだったことがありますが。お前らは雪女の
一家か。

 彼は緊張のあまり砂糖をほおばったりしています。おいおい大丈夫か電車男。Lじゃないんだから。
 飲んだ紅茶はベノア。おお、まったくわからんが何だかすごそうな名前だ。私はイングリッシュブレック
ファーストが好きです。フルーツフレーバーはあまり好きではないです。(誰に言っている)
 励ます住人が「サワヤカに欝にしてくれてありがとう」と皮肉を言うところとかも好きです。住人の
中でオタク3人組がいるんですけど、言動とか見てる限り悪い人達じゃなさそうだし、ノリもよさそうだし、
きっと格好をちゃんとすればもてると思うんだけどなぁ。私はバンダナしてた長髪の人が好きです。
 そしてベノアの紅茶を飲んでるシーンとか。でもって同じ住人の一人の男性がベノアを買い求めて
いるところとか。憎い演出ですねぇー。この男性の奥さん、お土産としてベノアを受け取ったんですけども、
気づいたみたいです。同じ、電車男を応援している人間だということに。いい演出だぁー。
 きっとこの映画を見た後、ベノアティーを手に入れようとする人も多いんでしょうね。
 
 最高のデートをすべく電車男はあれこれものを買い込んでいざ家具付きアパートメントへ。がしかし
会員でなければダメ、カードの提示が必要と断られ(会員申し込みをしていたけれどカードは届いて
いなかった)がっくり。頭の中が真っ白に。
 いや普通カードの提示が必要ならそれチェックしませんか…ってしょうがないか。しかし応用のきかない
店員も店員だ。
 パニックになった電車男は情報を得るためネットカフェへ。あーあー…。
 デートのとき突然相手が数十分も消えたら不安になってしまいますよ。そこを考えなくちゃ。
 結局電車男が戻ってきた時には時間切れ。エルメスは「明日から海外出張だから」と帰宅してしまいます。
残念無念まった来週〜。
 もしも何かのハプニングでデートの予定が狂ってしまったとしたら、相手に「これからどうしようか」と
思い切って話をふってしまうのもひとつの手だと思います。一人で何とかしようとするから袋小路に
なってしまうわけで。もちろんこんなことを今言ってもしょうがないわけですけども。

 がっくりしたけれども電車男は、自分にしかできないことをやろうと思い立ちます。
 それは、彼女が言っていた「パソコンを選ぶ」という約束を果たすこと。
 パンフレットを集めたりあれこれ触ってみたり店員に話を聞いたり。その熱心さは、例え眠っていても
コントローラーを放しませんでしたというドラクエにはまっている人みたいです。(例えがわからない)
 そしてエルメスが帰ってきた日。電話をかけますがうまく話せることなく切られてしまったため、彼は
彼女の会社へ。雨が降り出す中エルメスを待ち続けます。
 彼女が出てきて近寄ろうとしますが、状況の差に気づき愕然とした電車男は、自分が不釣合いである
ことを痛感し「もう会わない方が」と立ち去ってしまいました。
 エルメスもまた「あなたが楽しくないのなら、会わない方がいいのかも知れませんね」といいます。
 お互いが相手のためにと思ってしていることがすれ違うのは悲しいし、言葉にしなければわからない
ことも沢山あるし。
 ところでエルメスと電車男が話すシーンで、電車男の服が殆ど乾いていたのは何故だろう。

 電車男の告白に愕然とする住人。
 もうだめぽという電車男に、住人の激が飛びます。
 少しずつでも、転びながらでも前に進んでいく電車男から勇気をもらっていた人達の。
 そしてそのほかにも見守っていた人達の。
 ここで、別々に書き込みをしていたひさしさんとみちこさんが一緒に彼を見守ることで立ち位置が
変わったりとかなかなか細かい演出があったり、一番冷めたレスを返していた引きこもりクンが
「エルメスさん家行きのチケットはJTBじゃ売ってくれねぇんだよ」とかっこいいレスを返したりと、
すごく熱いシーンです。私はこのひきこもりクン好きですなぁ。
 勇気を少しずつ分けてもらって彼はもう一度立ち上がりました。
 彼女にもう一度自分の気持ちを告げるために。
 と、いいシーンなのに私は何故か夢中になってホームのイスの数を数えていたわけですが。
なんでだ。
 8つありました。


 電車男から受け取った封筒の中身は、詳細のメモが書き込まれた十数冊ものカタログ
でした。
 こんな、たった一言「パソコン選んで」という約束をかなえるためにここまでできる人は
普通いません。
 それを大事に抱えて、エルメスは秋葉原へと、パソコンを買いにいったようです。
 アキハバラ、すごいですねぇ。でも多分私行くと迷子になりそう。いやそれ以前に一生分の
お金を使ってしまいそうだ…。

 エルメスを追いかけて追いかけて、スッ転んだり人とぶつかったり。コンタクトを落として
メガネにかえて。
 自転車に引っかかって空中半ひねりを加えながら転ぶという、狙ってもできないワザを披露
して地面にへばっていた彼へ、メガネを拾って心配そうに抱えあげてくれたのはエルメス
でした。力あるな。
 そこでやっと電車男は勇気を持って気持ちを伝えたのです。ただここのエルメスの「頑張って」
とかはちょっと余計な演出だったかなぁと…。いや、なんていうか。
 抱き合う二人の後ろにはありったけの「キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!」のAAが。お前ら空気嫁。
 つか映画で一番盛り上がるシーンでこんな背景だったのはこの電車男が初めてでしょう。

 その後、あの夫婦がとても仲良くなったり、オタク3人組がかっこよくなってたり、看護婦さんは
昔の自分にバイバイしたり。
 そして一番の大きな進展はひきこもりクンが外に出たこと。これで第二の電車男ならぬ
バス男が生まれるかも知れませんね!

 とか思ったんだけど、ちょっと告白後の後が長すぎたかな。告白で一気に盛り上がっていい
気分のまま観客は終わりたいと思ってるだろうし、なので告白の途中にエルメスがこんなこと
してくれて嬉しかった、と語るシーンをちょいちょいと入れても良かったんじゃないかと。
 で、住人のその後はエンドロールを画面2分割してそのどちらかでやればよかったんではと。
そして最後の、ドラマがらみの部分はまあエンドロール後でいいと思いますけど。(でもこの部分、
すっかりかっこよくなった電車男が、過去の自分と同じ光景を目にして助けるという感じでも
意味通るからなかなかいいですね)
 こういう、盛り上がった後だらだら続くのはテンション下がっちゃいますからね…。うっかり
牛の糞投げつけようとして握りつぶしちゃった、みたいな(汚ねぇ)。

 ともあれなかなかいい映画でした。ストーリーを知っていて面白くないかなと思ったけれども
ふと気がつくと電車男を応援している自分がいる。そんな感じです。

 冬のソナタのように大恋愛というわけでもない、世界の中心で愛をさけぶのように切ない話
というわけでもない、そしてラブアクチュアリーのようにカッコイイ恋愛でもない。
 どちらかというと「ああもう!何やってんの!」と観客にまで突っ込まれる主人公。
 でも、それがいいのです。
 彼の恋愛は七転び八起きしながら進んでいくのだろうから。

 


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