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名探偵コナン・ベイカー街の亡霊 |
4/23鑑賞
まず。この映画を見る前に、できれば簡単でいいので、19世紀のロンドンの事情と、切り裂き
ジャックについての文献、それとシャーロックホームズの人間関係を知っておかれるといいかと
思います。その方がコナンと同じように物語のヒントがありありと見えてきて、きっと楽しいものに
なると思います。
もちろん知らなくてもちゃんとフォローが入りますので心配ありません。
アメリカ、マサチューセッツ洲。あるマンションの一室でモニターを見つめながらキーボードを
打っている少年。傍らのテレビからその少年のニュースが流れ、10歳にしてマサチューセッツ
工科大学に入学した天才少年ヒロキ・サワダであることが分かります。
彼はひとつのプログラムを完成させます。それは、「ノアズアーク」、つまりノアの箱舟。
そして窓を開け、ビルの屋上に立つと…「僕もノアズアークのように飛べるかな」とつぶやき
ました。
異変に気付き駆けつけてきた警備員が見たものは。
屋上の柵の前に揃えられたクツでした。
とまあ始まりはいいんですが、10歳の子供がクツをそろえているのがどうも怪しい。こんなこと
知ってるわけないじゃーん。ちょっとやりすぎでしたな、演出。
さてその2年後。場所は米花シティホール。次世代ゲーム機「コクーン」の発表会に呼ばれた
コナン達の姿が見えます。しかし彼らは発表会に呼ばれてはいるものの体験者ではないのです。
このゲームを体験できるのは政治家や名医者、有名人の子供だけなのです。
コクーンとは、人を催眠状態にし、バーチャルリアリティのゲームを体感させる機械です。
そしてこの発表会には、工藤新一の父親、工藤優作も招待されていました。ゲームのストー
リー作成に力を貸したとのことです。アメリカへ手助けに行っていた阿笠博士も一緒でした。
会場内はこまっしゃくれたクソガキ将来有望そうな子供達でいっぱいです。しかしマナーは最悪
で、パーティ会場内でなんとサッカーを始めてしまいます。人にぶち当て、テーブルの食べ物を
グチャグチャにし、見かねた園子が注意しますが聞きやしません。それどころか、コナン達に
向かって「お前らとは違って俺達はコクーンを体験出来るんだぜ」と言う始末。
さらに毛利小五郎氏に「あー、あんた知ってるよ。眠りの小五郎だろ。どうしてそう言われてるか
も知ってるぜ。眠ってる間に奥さんが出て行ったからだろ」
その言葉に蘭ちゃんが怒りました。「失礼ね!眠ってる間じゃなくてトイレに入ってる間よ!」
コナンでなくても「フォローになってねぇよ…」と思うところです。
まあ私が園子だったらなだめるフリをして数発ずつ、外から見えない腹部にかましているところ
ですね。
灰原さんは呆れたように言います。
「汚い政治家の子供は汚い政治家に。名声しか頭にない医者の子はそういう医者に。日本
のそういうところが変わらない限りこの国は腐ったままね」と。
意味がわからず首をかしげる元太達。コナンは慌てて灰原さんに耳打ちします。「おめーな、
もっと子供らしい言い方をしろよ」
灰原さんは再び同じセリフを繰り返した後「って、新聞とかニュースで言ってたわよ。うふふ☆」
とやってみせます。コナンは、「こ、こわー」とつぶやきました。おい。
先ほどサッカーをしていたクソガキどもに、背の高い男性が声をかけました。「どうやら君達の
親は、社会常識というものを教えなかったようだね」
男性の名は樫村。このゲームの開発者です。
クソガキどもは言います。「俺のパパの銀行の融資がなかったらゲームなんて出来なかった
クセに」「お前なんてすぐに首に出来るんだからな」
樫村さんはやれやれ…と肩をすくめた後に、「では君達を追い出す方が先かな」と言います。
子供達は脅しがきかないことにあきらめて、どっかに行ってしまいました。
ステージでは、工藤優作氏のスピーチが始まりました。その間に阿笠博士はコナンに近寄って
「お土産じゃ」とゲーム体験者の証しであるバッチをくれました。しかしひとつしかないため、
コナンは歩美ちゃん達に遠慮してつけないでおくことにします。
そうしている間にぱぱりんのスピーチが終わりました。コナンの姿を見つけて近づこうとします
が、たちまちファンに囲まれてしまい親子対面は果たせませんでした。
しかし二人は目で会話します。満足げにコナンはきびすを返し、仲間の元へ帰っていきました。
その頃。樫村氏は自分の部屋でキーボードを叩いていました。そこへコクーンの発売元、シン
ドラー会社社長のトマス・シンドラーが入ってきました。何かストップウォッチで時間をはかって
います。
「私をゆする気か」
なにやら不穏な空気です。取引を樫村氏は持ちかけたようです。それは成立したらしく、シン
ドラーは「ノアズ・アーク」を見せてくれと言い、樫村氏が背を向けている間に手袋をはめ…。
樫村氏が振り返った時には、ナイフが胸に突き刺さっていました。シンドラーは素早く何かの
CDを取り出すとパソコンへ。すべてのデータが消えたようでした。
ナイフの血をティッシュでふき取り部屋を出るシンドラー。樫村氏は最後の力を振り絞って
キーボードのいくつかを叩きます。
データが消えたはずのコンピューター。それが再び動き始めました。
「我が名はノアズ・アーク…」
仮面ヤイバー超レアカードと、体験者バッチを交換した歩美ちゃん達。商魂たくましいという
かなんというか。まあそうしないと物語は始まらないのですが。
そのころ、樫村氏との面会を希望していた優作氏は、彼が何者かに殺害されたことを知り
ます。古くからの友人であり、コクーンを一緒に開発した樫村氏が何者かに殺された。
優作氏は直ちに現場へ向かいます。
先に現場へやって来ていた毛利小五郎とコナン。目暮警部と白鳥警部もいます。コナンは
キーボードのある文字が血で汚れているのに気付きます。ダイイングメッセージです。
「R」と「T」と「J」。あれこれ入れ替えているうちにコナンは、ひとつの組み合わせに思い至り
ました。「JTR」、それがコナンの選択でした。
まあここで、カンのいい人でなくとも19世紀のロンドンと聞けば大抵分かるでしょう。
その答えはのちほどん♪
さて、コクーンの搭乗時間がやってきました。歩美ちゃん達はもちろん、コナンも乗り込みます。
コナンは、殺人事件をとく鍵がこのゲームの中にあると確信したからです。
コナンの姿を見つけて不安げになる蘭ちゃん。それを見た園子は、自分がもらっていたバッジを
蘭ちゃんに譲りました。
こうして登場人物がそろいました。
その頃。樫村氏の遺体を見た優作氏は、コナンと同じくダイイングメッセージに気付き、それが
ゲームに関係していると見抜きます。そして自分の息子がそのメッセージを見てコクーンに乗り
込んだことも知ります。
その時突然、制御ルームに不気味な声が響きました。このゲームの支配権を乗っ取ったという
のです。
予め仕掛けられていたプログラムが、コクーンのシステムを乗っ取ってしまったのでした。
「我が目的は日本という国のリセットだ」
声は話し始めます。つまり、選ばれているのはこの国を支えていくことになる子供達。そんな
ことではいずれこの国はダメになってしまう。つまり子供達のうち一人でもゲームをクリアすること
が出来れば、子供たちは無事現実世界に戻ることが出来る。しかし全員ゲームオーバーになって
しまえば子供達は二度と目覚めることはできない。
なるほど、今の日本に対する強烈な皮肉です。本来は政治家達が見るべき映画でしょう。
おそらく耳に痛いはずですから。
ともあれ、ゲームは完全に大人達の手の届かないものになってしまったのです。
ゲーム世界では、大人達になされたような説明と共に、5つの入り口が示されていました。
ワンピースのような世界、「ヴァイキング」、ローマ帝国での格闘ゲーム「コロセウム」、カーレース
ゲームの「パリ・ダカールラリー」、トレジャーハンターの「ソロモンの秘宝」、そして100年前の
ロンドンを舞台とした推理ゲーム「オールドタイムロンドン」。
コナン達は迷わずロンドンを選びます。何故ならばJTRのヒントはここにあったからです。
さきほどサッカーをやっていたクソガキもついてきました。クソな順に、警視副総監の孫・諸星
秀樹、政治家の愚息・滝沢進也、狂言師の息子・菊川清一郎、銀行頭取の息子・江守晃。
うーん微妙にリアリティある選択っぽいのですが、まあ深く突っ込まずにおきましょう。
(つか、ローラースケートはいて「ガラスの十代」歌っとけや諸星ってカンジですが←古いネタだ)
彼らがたどり着いたのはかの有名なホワイトチャペル。ホワイトチャペルと聞くと、大きな十字架
型マシンガンを背負った黒いグラサンの牧師を思い浮かべる方もいらっさるかもしれませんが、
1888年ロンドンにおいてはホワイトチャペルとは、スラム街のようなものです。主に娼婦が住んで
いた地域と言われています。
霧のロンドン。そこは空気も悪く、暗く沈んだ街。この霧には石炭や石灰が含まれているため
正確にはスモッグのようなものだ、とコナンは説明します。この頃は悪名高きロンドンアンダー
グラウンド(ロンドン地下鉄)が走っていた頃で、街中の空気が汚かったはずです。寒がる歩美
ちゃんにジャケットを脱いで渡してやるコナン。ちょっとの差で先を越されてしまった光彦は、
上着を灰原さんに。鈍くて間に合わなかった元太君は蘭ちゃんに上着を貸してあげます。その
様子を醒めた目で見ているクソガキーズ。
そこでやっと阿笠博士がコンピューターのプログラムに侵入することに成功、コナンに話し掛け
ます。行く先と、ゲーム解決を助けてくれるお助けパーソンの存在を。ところが、そのお助けパー
ソンの名前を言う前に、コクーンは再び制御不能になってしまいます。
それと同時に崩れ落ちる橋。慌てて避難したものの、菊川が落ちそうになりコナンがすんでの
ところで腕を掴まえます。蘭ちゃんも協力してなんとかひっぱりあげました。
ところがその時鋭い悲鳴が!走り出すコナン。あわてて一同後を追います。そこには、血まみれ
になった女性とナイフを手にした男が。目にもとまらぬ素早さで走り抜けた男の後を追ってコナンは
転がっていた空き缶を蹴り上げますが残念、現実にこの世界にきているわけではないため、
単に空き缶を力いっぱい蹴っただけでした。当然博士の発明品すべてがこの世界では使えない
のです。ドラえもんのいないのび太ですな。まあのび太よりはましですが。
コナンはそれでも男の正体に気付いていました。彼こそ1888年、ロンドンを恐怖のどん底に
陥れた「JTR」、ジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)だったのです。ロンドン警視庁の捜査にも
関わらず手がかりはなく迷宮入りした事件です。(ちなみにあまり知られてはいませんが、ジャック
は警視庁宛に挑発する内容の手紙を送りつけており、そのようないたずらは他にもあったのですが
署名入りだったのと警察が発表していない情報が記されていたため、本物であると言われて
います。また、警視庁ではその正体を知っていたがそれが身内にあたる人間だったため、発表
することが出来なかったというのはあまりにも有名な話ですね。以上相方のうんちく←相方のかよ!)
そこでコナンは「レストレード警部に連絡を」という言葉を耳にします。それはコナンにとって信じら
れない言葉でした。そこに灰原さんが、「これはゲームなのよ。小説と現実をごちゃまぜにして
いたっておかしくないわ」と言います。
何がなにやら分からない一同。
コナンはすぐに、お助けパーソンが誰であるかに気付きました。レストレード警部が存在して
いるなら、かの人物も存在しているはずです。
その名は、シャーロック・ホームズ。
一同はベーカーストリート221B番地に向かうことにします。そこにホームズが住んでいるから
です。と、突然諸星がビックベン(時計台)を指差して叫びました。
「あの時計おかしいぜ!」
時計の針は逆に動いていました。そこからコナンはそれが、子供達の数をあらわしていること
に気がつきます。目の前で二つ動いたので50人のうち2人が脱落したことになります。
急いでベーカーストリートを目指すコナンたち。その目の前を、アコーディオンを弾きながら浮浪
者風の男が歩いていきます。
「切り裂きジャックを捕まえるにゃ、血まみれになればいいのさ」
変な言葉をつぶやきつつ男は去りました。
やっとのことでたどり着いてノックすると、ハドソン夫人が出てきました。しかしお助けパーソン
であるはずのホームズはいないといいます。あわててコナンが日付を確かめると、今日は9月
30日。つまり、「バスカヴィル家の犬」として後世に残る事件のために出かけていたのでした。
優作氏はここで、ゲームのストーリーが変えられていることに気付きます。氏の原作では、
プレーヤーはホームズと力をあわせてジャックを逮捕するはずだったのです。困ってしまうコナン
達。
ハドソン夫人はそんな彼らの様子を見て、「あなた達がイレギュラーズね!」と言い出しました。
イレギュラーズとは、ホームズが一日に付き1シリングの報酬で雇っていた浮浪少年達で、
情報収集に非常に役立った子供達です。
そうして中に招き入れられたコナン達。コナンはホームズがジャックに関する文献を集めている
に違いないと判断、資料を探し始めます。そんな考え込んだコナンの姿に、新一を見る蘭ちゃん。
コナン=新一はついついホームズが考える時のクセを真似ていたのですが、ハドソン夫人は
ホームズの真似ね、といってにこやかに去っていきました。
コナンはホームズの手帳から、彼がジャックはモリアーティ教授の手先と突き止めていたこと
を知ります。ホームズの宿敵であるモリアーティ。非常に危険ですが、教授に会うしか方法は
なさそうです。しかしその居場所はわかりません。
灰原さんが見つけた本から、モリアーティ教授の腹心の部下、モラン大佐が出入りしている
バーへ向かうことになりそうです。
いろいろ調べていた諸星が、棚の上から何か丸いものを落としました。興味なさげにほうり
なげると、受けとったクソガキ滝沢が「これって100年前のサッカーボールだよ!」と、まるで
お宝鑑定団に出しそうな勢いで大喜びです。
がさごそと引き出しを探っていた元太が拳銃を見つけました。喜んで武器代わりにと持って
いこうとしますがコナンは「よせ!使い慣れない武器は怪我をするだけだ!」と止めます。
渋々それを戻して一同は部屋を出ます。と、バカ諸星が拳銃を取り出し、ジャケットの下に
しまいました。バカです。もーどーしよーもないです。これだからクソガキはもー…。
トランプクラブというバーにやってきた一行。そこにモラン大佐がいるはずです。顔写真を
見ていたコナンは、自分が様子を見てくるからと皆を残し裏口から中へ。様子をうかがうと、
ポーカーに熱中しているようです。モラン大佐が一方的に勝っている模様。
ミナンはテーブル正面、ワインと空のグラスが置かれているのに気がつきます。誰のため
の席なのでしょうか。
と、バカガキ二人、諸星と滝沢が入ってきました。「お前だけに手柄独り占めはさせねーよ」
どこまでバカなんですかねー。
モラン大佐がカードゲームに強いことに感心している二人に、向かい側の猿が手の内を
教えている、イカサマゲームだと説明してやるコナン。ところが二人はそのまま出て行って
しまい、「このゲームはいかさまだ」とトリックを明かします。
それだけでなくモラン大佐に銃を突きつけモリアーティの居場所を尋ねます。これにモラン
大佐が逆上。慌てて銃の引き金を引きますが当然反動によって二人は吹っ飛びます。
まあ親の七光りだけで育つとろくなことにならんという結果ですな。
助けるために飛び出すコナン。乱闘が始まってしまいました。テーブルをうまくひっくり返して
男たちを転ばせるコナン。飛び掛ってきた男に蘭ちゃんの鉄拳炸裂。そう、彼女達も駆けつけ
てきたのです。
乱闘に継ぐ乱闘の中、歩美ちゃんと光彦君が攻撃を受け、消えてしまいます。そして、銃弾
からコナンを庇った元太とそして助けてもらった借りを返したという菊川も。
コナンは急いで思考をめぐらし、ある男が大事そうにワインを抱えていることに気付きます。
それを奪ってモラン大佐に取引を持ちかけたのでした。
「ボクを撃ったらこのワイン割れちゃうよ。これ、モリアーティ教授のでしょう?」と。
それでも撃とうとするモラン大佐。(買いなおせば済む問題だしね…)
そこへ老人が入ってきます。
「ぼうや達にモリアーティ教授が面会なさりたいとのことだ」
モラン大佐は仕方なく銃をおろしますが腹の虫が収まりません。コナン達と出て行こうとする
老人を「お待ちください!」と呼び止めます。
老人はじろっとモラン大佐を睨み「モリアーティ教授に逆らうのですか」と尋ねます。
大佐はだまって引き下がるしかありませんでした。うはははは。いい気味。
外に出ると馬車がいました。ワインをといわれて先ほどの老人に差し出すコナン。馬車に
座っていたモリアーティ教授が話し始めます。が、コナンはすぐにさえぎって「おじさん、モリ
アーティ教授じゃないでしょ」と言います。びっくりする一同。
コナンは老人を指差し、「あなたがモリアーティ教授だね」と言います。
その根拠は、先ほどモラン大佐が老人に対し敬語を使っていたこと(彼が敬語を使うのは
教授に対してだけ)、ワインを渡した時に柑橘系のコロンの香りがしたことを伝えます。教授
がそういう香水をつけていたことを知っていたからです。
見事正体を言い当てたことに「ホームズを見ているようだ」と教授は言いました。そして、
ジャックが自分の部下であったことを認め、逮捕の協力を申し出てくれたのです。
それは明日のロンドンタイムズに広告を出すことで、ジャックをおびき出すというものでした。
そして馬車は去りかけます。
コナンはとっさに「3年後のライヘンバッハの滝にご注意を!」と叫びます。
はぁ?という顔をする元太達に蘭ちゃんが説明します。
モリアーティ教授は「ホームズ最後の事件」でホームズとともに滝壷へ消えるのです。ホー
ムズは奇跡的に帰還するのですが、教授はそこで亡くなったという設定になっているのです。
つーかコナンよ。ゲームの登場人物に言ったってしょーがねーよ。と突っ込んだ人は私だけ
ではないはず。
ここで説明をしながら蘭ちゃんは、新一とのデートの記憶を思い出します。彼が消えた
あの遊園地で、乗り物に乗り込む際に言っていた言葉…。「ホームズはな、モリアーティ教授
にこう言うんだ…」
それが何だったのか。
蘭ちゃんはコナンに聞きかけて、思い直します。コナンが知っているはずはないのだから。
翌日。ロンドンタイムスを80円(笑)で手に入れたコナンは「モリアーティ、掛け値なしの悪党
だぜ」とつぶやきます。(正しいセリフは忘れました…)
モリアーティが広告でジャックに殺害を命じた人物、それは、アイリーン・アドラーだった
からでした。
ホームズが唯一尊敬し、対等の立場と認め、愛した女性。それがアイリーンなのです。
オペラハウスでの舞台を止めさせなければ、アイリーンがジャックに殺されてしまいます。
しかし会いに行ったコナン達の言葉を聞かず、アイリーンは「貴方達が守ってくれるんでしょう、
ホームズさんの使いだものね」といい度胸です。
まあゲームの製作者が製作者ですから、こういうキャラになるのは目に見えていたの
ですが…。
ということで見張っていると、どこから仕掛けられていた時限爆弾が爆発、ライトがアイリーン
めがけて落下してきました。助けに飛び出した滝沢と江守がこの下敷きになり、彼らは消えて
いきます。そして、崩れる柱からコナンを守った灰原さんも。
「ホームズがこの世界にいないのなら、私達にとってはあなたがホームズなんだから…」
風を切り逃げていくジャック。アイリーンを警察に保護してもらい、コナン、蘭ちゃん、クソガキ
諸星はその後を追います。
ちょうどチャリング・クロス駅から出発しようとしていた列車にジャックが飛び乗ります。コナン
達もそれを追って列車へ。
外の世界では行方を追っていた優作氏がつぶやいていました。
「チャリング・クロス駅…。あそこは物語のラストとしては最悪な選択だ…!」
あのー…この意味が最後までわからなかった私はどうしたらいいんでしょうか。映画の中でも
何を意味するのか全然触れられてなかったんですよ。まさか列車の暴走をとめることになるとは
この時点ではぱぱりんは知らなかったはずですし。誰か教えてくれー。
コナン達は乗客をひとつの客車に集め、謎解きを始めます。乗客に変装したであろうジャック
を見つける唯一の証拠。それは、ホームズの家にあった指輪の写真でした。
二人目の被害者(この話では誰の名前を使っているか忘れてしまったので、現実の被害者の
名前を使うことにします)、マーサ・ダブラムの殺害現場には指輪が二つ残されていました。大きい
方はマーサのもの、そしてもうひとつはジャックのものであるとコナンは言うのです。実はジャック
の母親がマーサであり、第二土曜日の9/8に教会で親子のバザーがあることになぞらえて、指輪を
はめたままマーサを殺害、指輪をその現場に残したというのです。指輪は小さい頃ジャックが捨て
られた時に母親とでそろいではめていた指輪だったのでした。
こういっちゃなんですが、殺人事件で一番ワケわけらん動機だと思います。つーかこんなこと
考え付くコナンもすごいですが。
で、第一の殺人は無差別殺人を装うためのもの、第3第4は狂気に歯どめがきかなくなった
ために起きたらしいです。
えーちょっとここで解決編に行く前に。
私が単に記憶違いしているだけだと思うのですが、9/8に起きた殺人は4人目の犠牲者であり
マーサではありません。アニーチャップマンです。マーサが殺害されたのは8/7であるため、
第二土曜日の親子バザーになぞらえて、にはならないのです。つまり、二人目に殺害したのが
ジャックの母親だと言っている以上、ジャックの殺害動機自体が成立しないのですが、これは
どういうことになるんでしょうか。根本的な間違いを犯してるんですけど。アニーがジャックの
母親であり、それまでに起きた3つの殺人事件こそがアニー殺害動機をごまかすためってん
なら分かりますけど。重大なトリックの欠陥では…?
とまあちょっと納得いかない疑問を残しつつ解決編へ。
さて現実世界では優作氏が、一同を相手に謎解きを始めていました。凶器はあらかじめ
会場に持ち込まれていたシンドラー氏の持ち物である銅像の短剣。場内がプレゼンで暗くなった
時に樫村氏の部屋に行く。その時にダンボールで作ったものと取替え、本物の短剣を持って
いき、それで刺して戻る。そこで短剣を入れ替えてダンボールを捨てる。
トリックは単純なものでした。その動機とは、樫村氏はヒロキ・サワダの父親であり、シンドラー
の祖先がジャック・ザ・リッパーであることを、ノアズ・アークから樫村氏に伝えられることを
恐れたためでした。
ヒロキはシンドラーの家に遊びにきたとき、ジャックが使用したというナイフを見つけたのです。
そして開発途中だったDNA探査機でナイフに残ったアニーのDNAとジャックのそれが同じで
あることを知り、さらにシンドラーの祖先がジャックであることを知ってしまったのでした。
それが世間に公表されたら。それを恐れてシンドラーは樫村氏を殺害したのです。なんてーか
あれだよねぇ、わけわからんよねぇ。私はシンドラーのナイフさばきから、黒の組織の人間かと
思ったのですが、ちょっと考えすぎだったようです。
乗客の中で一番奥に座っていた女性が指をかざすと、右手薬指だけが異様に細くなって
いました。彼女…いえ、彼がジャックの変装だったのです。
つかみかかる蘭ちゃん。しかし煙幕と共に彼らは姿を消してしまいます。急いで窓を開けて
コナンが振り返った時。
乗客も消えうせていました。
これは一体どういうことなのか。
しかしジャックを見つけ出さなくてはなりません。いえ、その前にこの列車を止めなくては。
機関室に行くとブレーキは壊され、石炭は満杯にしてありました。ではとりあえず蘭ちゃん
を助けなければ。列車の天井に登ると、蘭ちゃんを縛ったジャックが。ロープの先はジャックの
腰にくくりつけられています。つまり、ジャックがコナンにやられて落ちれば、蘭ちゃんも落ちて
しまうのです。
道具も何もなく、苦戦するコナン。諸星がジャックを取り押さえようとしますが子供の力では
敵うはずもなく蹴飛ばされて転落しそうになってしまいます。
コナンを掴まえナイフを振りあげるジャック。
蘭はふと、新一の言葉を思い出しました。「その時にホームズはモリアーティにこう言ったんだ」
「君を破滅させるためならば、公共の利益のためならば、ボクは喜んでこの命を投げ出そう」
「ライヘンバッハの滝よ!コナン君!』」
蘭の言葉にジャックが振り向きました。蘭が立ち上がっています。
「コナン君、信じてるからね」
そう言って蘭は身を投げ出しました。列車が走っている崖に。
転落していく蘭。あわててナイフでジャックがロープを切ろうとしますが間に合わず、彼も引っ
張られて転落しました。
しかし。この列車を止める方法はありません。加速もついていき、あと5分で駅に突っ込んで
しまうのです。終点に。
諸星は「何とか列車を止める方法はないのか!」と叫びますがコナンはうなだれたまま、
「ダメだよ。もう方法はないんだ…」とつぶやきました。
列車を止めるには連結部分を壊すこと。しかし、それが可能な蘭はリタイアし、乗客も消えた
今、子供の力だけではどうしようもないのです。
優作氏はそんなコナンを黙って見守っていました。「お前ならできる。頑張れ」
うなだれるコナンの前に、調子はずれなアコーディオンの音が響きました。
「ジャックを捕まえるには自らが血まみれになれ。お前達はまだ血まみれになっていない」
その姿がホームズに変わります。そう、お助けパーソンは最初から彼らにヒントを与えていた
のです。
その言葉にハッとひらめいたコナン。列車の最後尾に行き、赤ワインの入ったたるを壊し始め
ます。わけがわからないながらも手伝う諸星。みるみるうちに列車の中がワインでいっぱいに。
「俺が合図をしたら潜れ!」コナンは叫びます。
列車が駅に突っ込み、止まりきらず構内へ。コナンと諸星はワインの中にもぐっています。
やっとのことで列車の暴走が止まり、コナン達はワインのおかげで傷を負う事はありません
でした。
ゲームクリア。
コナンは目を覚まします。最初に5つの入り口が現れたあの場所でした。
隣りでは諸星が。「君の勝ちだね」と。
コナンはそれを聞いて確信しました。「君はヒロキ君だね」
驚くヒロキ。コナンは見破ったポイントを解説していきます。
「最初におかしいと思ったのは、時計台に気付いた時。君は針が動く前におかしいと言ったね。
次に、ホームズの家でのサッカーボール。サッカーが好きな子のはずなのにそれに興味を示さな
かった」あとひとつは忘れたんで、劇場で確かめてくだされ。
そうヒロキは結局日本をリセットするつもりはなく、冒険の中で子供達に、親に頼ることなく自分
達の未来を切り開いていって欲しかったのです。そして、友達と遊んだことがなかったから、
ここで遊んでみたかったことと。
出口が開きヒロキはコナンに別れを告げます。
コクーンの中でヒロキは永遠に生き続けるのか、と尋ねるコナンに対しヒロキは、データはすべて
消去されると言いました。これほど優秀なマシーンは大人に悪用されてしまうからだと。
コナンは出る前に言います。「お父さんに会えるといいね」
振り向かず出て行く彼の背に、ヒロキはサヨナラを告げました。「さよなら、工藤新一君」
無事に子供達が戻ってきました。コナンも優作氏と再会を果たします。
二人は黙って見詰め合った後ニヤリと微笑みます。
「お前にしちゃ随分時間がかかったなぁ」
コナンも言い返します。
「ちょっとゲーム世界をいろいろ見て回ってたんでね」
そして消えていくコンピューターを見上げながらコナンは言いました。「お休み、ヒロキ君」
とまあここで終わるかと思いましたがどっこい。
寝静まった毛利家で一人ゲームに奮闘するコナンの姿が。コントローラー自体を動かし
ちゃってます。彼の腕が上がるのはいつのことやら…。
えーと。正直な話今回のトリックはクソだったと思います。コナンにしては珍しく。
いや私の記憶違いかもしれんから偉そうなことはいえないですけど、9/8の第二土曜日に
かけて母親を殺害したと言っていたのは確かなんで、だったらそれが第2の殺人でなければ
ならないのに、実際では4番目の犠牲者なんですよ、9/8は。
だからトリックを解く上でムチャクチャ矛盾してます。ゲーム中のことだから9/8を2番目に
して、コナン達がチャペルについたのが9/30だからそれまでに2人犠牲者が出たことにして
つじつまを合わせたのかもしらんですけど…(確かにこの9/30は、歴史上でも2人犠牲者が
でています)。ジャックザリッパーを知ってる人なら「殺人を二つごまかしていることになにか
あるのかも」と思うですよ。なんつーか調べ方が足らんですな。
ゲームですからきっちり現実を取り入れてないといってしまえばそうなんですが、コナンの
ようにきちんと事件を把握している人間が、ジャックの殺害人数の数を忘れるはずがないです。
としたら、9/8の事件を第4の殺人と考える方が普通ですよ。つまりコナンのように正しく
事実を把握している人間であるほど、この殺人事件は解けません。解けるはずがありません。
ちなみにジャックが殺害した人数は5人ではなくて10人です。ロンドン警視庁が正式に
認めた数です。もしもホワイトチャペルでの殺人だけピックアップしよーっていうんなら4人だし、
第一9/8の殺人事件はホワイトチャペルでは起きていません。スタピルフィールズ、ハンベリー
ストリートです。
江戸川乱歩賞だかなんだか知りませんが、コナンにとってメイン部分にくるはずの鮮やかな
トリックとその解決が今回は最悪でした。つーか私みたいな素人に指摘されるなよ。
確かに冒険は面白かったですよ。だってコナンが絶望しちゃうんだから。
んー…まあ日本政治への批判映画ということでよしにしときますかぁ。
まあハラハラドキドキのアドベンチャーが好きならいいと思いますが、推理マンガを期待して
いくとがっくりします。特にジャック・ザ・リッパーとコナンの対決が楽しみっていう人にはお薦め
出来ません。私これを期待してたからがっかりだった。
天国へのカウントダウンよりは先がどうなるか分からなくて面白かったですけど。
えと、追加。劇中アイリーンが歌っていたオペラは多分本物の音声を使っているようで、非常に
綺麗な歌声でした。あれいいなぁ。
あと採点としては、85点を差し上げたいです。推理はまあ、ジャックしらんかったらどうでも
いいことだし…(笑)。でも現実の殺人事件の動機もなんかイマイチわからんのだけどね。切り裂き
ジャックの子孫ってあーた、世間に知られたって失脚なんてしないと思いますよ。あのジャックの
正体を知りたがる人とかが殺到してくると思う。あんなに重要な地位についてる人がジャックの
子孫だからゆーたって、別にその人まで人殺しなわけじゃないし。
そーか、何か納得いかんなーと思ってたのはこれでしたわ。先祖のことで人を殺してたらホンマ
世界中でどれだけの人が犯罪者になるんですか。そんな曖昧な動機をもってこられてもねぇ。
まーそれは置いといて。
またもう一度は見に行きたいですなぁ。今度はストーリー分かっているから、内心ニヤリとしつつ
あの臨場感を味わいたいです。
多分花鳥風月→金田一、コナン的読み物ページ→映画の感想レビュー→名探偵コナン・ベイカー街の亡霊