多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→ラッキーナンバー7


ラッキーナンバー7

1/28鑑賞

 この映画は結構好き嫌いがわかれるものだと思います。
 ハッキリと単純明快なアクションが好きな人にはイライラするだろうし、じっくり推理物を
読み解くのが好きな人なら「ほーう」という感じになるかと。
 私らの後ろで見ていたカップルが典型的な前者だったらしく(笑)、「いみわかんない」「つまんない」
を連発した挙句、重要な場面でトイレに立ったもんだからさらにわからなかったらしく。最後まで
文句を言ってお帰りになられました(笑)。

 私は最初意味わかんなくて「は?」って感じだったんですけど、段々面白くなってきて、
最後は「やられた!」って感じでした。トリックなら金田一なみといってもいいんじゃないで
しょうか。私はそう思いました。
 あ、パンフレットを映画の前に読むクセがある人は気をつけた方がいいかと。あっさり
ネタバレしてますんで。
 これは見る前にネタバレしちゃったらまったく面白くなくなるので、パンフレットは映画を
見た後に買ったほうがいいと思います。
 
 パヒュームのCMやってたんだけど、アラン・リックマンが出てこねぇ…(泣)。

 さてさて。
 なんか冒頭にいろいろ人が殺害されるシーンが出てくるのですが、これは重要なので
目を皿のようにして見ておいた方がいいかと。
 金田一で言うと大体犯人の動機となるような「この後過去の悲劇が語られる〜!CMの後すぐ!」
みたいな部分。(全然わかりません)

 で。
 場面は変わり、空港(多分)のロビー。
 まあ座ってるところにいきなり「There was a time.(時があった)」って話しかけられても
困るだろうな。私も多分時間聞かれたかと思って「時計持ってません」って言うよ。
(お前は話を冒頭10秒で終わらす気か)
 時間を聞かれたと思った男は腕時計を見て4時35分だよ、と答えますが、車椅子の男は
「時があった、と言った」とスルー。いやいやいや、話ふったのお前だよ!

 その車椅子のおっさんはスミスと名乗りました。まーいいんだけどね…。
 おっさん曰く。
 その昔、競馬において八百長を企む者あり。
 そんでその八百長話を「秘密ね」と言いながらレストランで大声で話していたたわけあり。
 その話を聞いたレストラン関係者が急いで親類に電話し。
 話を聞いた親類はヤバイとこから借金して競馬のレースにつぎ込み。
 その馬は勝利直前に転倒してツキを逃し。
 親類は大借金を負ったと。

 それだけならまだなんとかなったのですが、そのやばいところってのが、こいつは金が返せる
当てもないと踏んで、貸したほうが見せしめのために家族を皆殺しにしたと。
 そこから実はこの映画の物語は始まっているのです。
 っていうか薬で馬勝たせようとしてもすぐ見つかるし。
 
 この話を聞いてひどい話だ、と憤慨する空港の男。
 ところが…。

 話は変わりましてある不幸な男。
 なんかマンションの一室でヒゲそってんですが、そこにけたたましいノックの音が。
 あけると隣人と名乗る女性がズカズカ入って来て砂糖かしてくれと。
 お前はコンビニに行けば簡単に手に入るものを、蹴破りそうな勢いで朝から隣人宅の
ドア叩いて借りるのかと。
 まあいいや。この隣人のリンジー(この名前考えた奴、お前はダジャレ王か)は、この部屋の
住人ニックがいないかわりにその男がいることについて、砂糖を探しながら理由を尋ねるわけです。
 この男スレヴンの言うことにゃ、えー、まず失職して、アパート追い出されて、恋人のところに
いったら浮気現場に遭遇し「そのままでどうぞ」と言って出てきて、親友ニックのところへ来たと。
あ、ついでに空港へ降り立った途端強盗に襲われたと。
 したらニックはいなかったんで勝手に上がったと。つーかお前らの「ちょっと行く」は飛行機
使って移動する距離かよ。どんだけグローバルだよ。

 さてここ。後で気づくのですが実は巧妙なあるトリックが仕掛けられています。
 そうねー、今現在連載中の金田一(雪霊伝説殺人事件)でもやってるトリックですねー。
 これは実に面白い。映画が終わった後で思い返すとニヤリと出来ます。

 あーだこーだしているうちにニックの行く先を探すだのなんだのでリンジーはそこの電話の
履歴を調べるのですが、発信も着信も同じホテルだということで何か変だ、ということに
気づきます。
 この女性の行動力はすごいっス。
 いよいよニックに何かあったのは間違いなし。
 
 で。
 人がいるのにいつまでも腰にタオル巻いた姿でいるスレヴンもどうかと思うんですけど、
そうやって着替えねーもんだから変な二人組に拉致されたあげく、その姿でどっかの組織へ
連れて行かれることになんだ。
 いままでわけがわからんうちに拉致されたというエピソードはいろいろ見てきていますが、
タオル一枚で連れ出されたというのは初めて見ました。
 しかも強盗にやられた鼻パンチをもう一度くらうという有様。
 はっはっはー、たわけめ。
 スレヴンはものの見事にニックと勘違いされていて、連れてこられた組織のボスに、対立
する相手組織の親分であるところのラビの息子を殺せと命じられます。
 理由もへったくれもねーなおめーらはよ。
 あとスレヴンは、ノックされたからといってやたらドアを開けてはいけないということを
学んだ方がいい。腰巻タオルの時は特に。
 
 そんで帰ってきたかと思えば今度はまた別の組織に拉致ですよ。
 流石に学習したと見えてちゃんと服着てましたけど。

 で、両方の組織を監視している警察は混乱気味。無理もないな、いきなり現れた男が
双方のビルに入れ替わり立ち代り出入りしてるわけですから。この男は何者だ、ってことになる。

 拉致された先はラビのとこ。
 ニックはこのラビの下のノミ屋に借金しているらしくそれを返せと。
 ラビはやたら説教臭くてうるさいですけども、もういい加減怖いことになれたスレヴンの
行動が笑える。
「そういえばここ入る時、ボディーチェックしなかったけど(俺にやられる危険もあるんじゃないの?)」
 みたいなこと言ってラビに近づこうとすると、ラビは膝の上においていた銃を取り出してスレヴンに
構えるわけです。
 そんで、「ユダヤ教では禁止していることが3つある。偶像崇拝、不義密通、そして計画殺人だ」と。
つまりスレヴンが飛び掛ってきたということにすれば正当防衛で殺しても構わないと。
 何を言ってもムダ、と理解したスレヴンが何かをいいかけてやめて出て行くのが笑えます。
 ただし、ラビはこの青年がニックでないと気づいていました。
 そっと現れた謎の男性に言いますがその彼も「知っている」と言いました。
 はてさてこの男性の意図は…?

 開き直ったスレヴンはボスのもとへ向かい、適当に殺人計画を話しつつ、チェスをするのですが。
 いやそのチェスのコマ、どう見てもでけぇだろ!(殴って人が殺せますレベル)
 っていうかどれがどれだかわかんねーよ!
 誰だよこんなチェス作った奴。
 お前はあれか、「このチェスのコマが全部似ているのは、一つかけてもパッと見てわからない
ようにしておくためだ!つまりこれを凶器に使って殺人を行ったんだ!」とかやらせたいのか。
(注:本編とは何の関係もありません)

 ここでようやくスレヴンとリンジーは、ニックにはめられたのではないか、と気がつくんですな。
 おせーよ。
 多分観客はもっと前から「しーむらー!うしろうしろー!」って言ってるよ。(言ってねーよ)
 ちなみにリンジーの行動力はいかんなく発揮され、問題の電話の相手がスミスという名で
あること、横顔を写真に収めたこと、そのスミスを尾行していった先で、丁度スレヴンが出てくる
ところに出くわしたと話します。すげぇ行動力だな本当に。

 スレヴンはラビの息子でフェアリーと呼ばれている相手に近づくべく、レストランでトイレに立った
隙を狙って接触します。なんでそう簡単に接触できちゃうのかって話ですが、まあよしとしましょう。
 で、あっさり会う約束を取り付けてリンジーとマンションへ帰ります。
 ここのシーン、周囲多分全員エキストラだとは思うのですが何故か、二人の後ろでリアルに驚いた
顔している人が一人…。
 いい仲になったリンジーとスレヴンですが、寝っ転がってるけどそれベッドと頭の向き逆だよね?
 
 さてスレヴン。
 今度は警察に拉致されました。きみ本当に拉致されるの好きね。
 でも警察に捕まったところで、一番わけわからんのはこいつですから、あっさり放り出されました。

 そしてついにフェアリーと会う日が。
 …え?こんなあっさり殺せちゃうの?
 スレヴンの様子もおかしいし。
 そこへやってきたのはあのスミス。
 ボスに、「フェアリーを殺したことによって抗争にならないで済むにはどうしたらいいか」という
方法を提案していたんですけどそれが、フェアリーを殺した男(つまりニックと間違われているスレヴン)
を殺して、そういう関係のトラブルで死んだという風に見せかければいい、と。
 フェアリーが死んだか確認のため近寄っているスレヴンの背後に忍び寄るスミス…。

 とその次の瞬間、銃を抜いてスレヴンを撃とうとしていたフェアリーに止めを刺したのはスミスでした。
 ここから怒涛の展開が始まります。

 死体を運び込んできてフェアリーの隣に転がす。
 時計を摩り替える。
 ここできっちり冒頭見ておくとこの死体が、空港で「スミス」に声をかけられ殺された人間だと
気がつきます。
 そう。こいつこそがニック。
 フェアリーの護衛も一掃した後二人は部屋を爆破。
 もう既に正体を隠す必要もなくなったスレヴンは、精悍な青年の面持ちをあらわにするわけです。
 いやーすげぇよ。
 このあたりはもうぽかんとして成り行きを見るくらいでしたね。

 いろいろあって拘束されたラビとボス。
 二人で罵ったりいろいろ言うシーンがあるんですが、お前らはアホか的な部分があり笑えます。
 でもってどちらとも、スミスこと「グッドキャット」に殺しを依頼してなかったことがわかるのです。
 愕然とする二人。
 そこへ現れたスレヴンとスミス。
 交差する階段を下りてくるシーンはめちゃくちゃかっこいいです。
 お前らどこの新婚さんよ、みたいな。(かっこいい…?)

 ラビとボスを拘束した二人は、何故このようなことが起きているか話を始めます。
 まずニックを選んだのは、賭け事を繰り返した挙句負けの込んでいる人間を。それも支払いを
せずに逃げるような、死んでもいい人間の方がいいと。
 ここで思い出してみましょう。

 ニックに「来てもいいよ」といわれたというスレヴンの話は、彼がリンジーにしただけで、
何一つ二人が実際に会って話をするシーンはなかったと。強盗にやられたというのも、とられ
ないで済んだ時計をリンジーに見せて、のちのちの証拠を作るため。スレヴンが変なことに
巻き込まれて、フェアリーとともに焼け死んだ、という。
 そう。あれは完全にスレヴンの作り上げた「錯覚」。やられましたね。
 そしてリンジーもまた、顔を見られたためスミスによって射殺。まあこれが殺し屋としては
当たり前なんでしょうなー…。
 
 話は過去、あの競馬の話に戻ります。
 賭けのため大金を借りた男とその家族を殺した組織。
 賭けの親元であったラビとボスは、八百長が自分達の知られていないところで行われたと
知って見せしめのために、その殺しを命じたのでした。
 それがどんな結果を招くかも知らず。
 
 スレヴンとスミスはこの大金を借りた男の家族を皆殺しにした連中を全員始末して
いったのでした。そのための壮大な計画だったわけです。
 何故なら、スレヴンこそが男の息子であり、組織が雇った殺し屋グッドキャットの気まぐれで
助けられたバッドドッグという殺し屋なのですから。
 
 一方警察。スレヴンの身元を調べていたところ、そんな男が存在しないことを知り愕然。
 スレヴンとはあの八百長試合の時転倒した、ナンバー7の馬の名前だと知った警察官は、
その直後スレヴンによって射殺。男の妻を撃ち殺したのがこいつだったため。ケレブラとは
ヘブライ語で言うバッド・ドック。それを知った時は遅すぎました。
 こうしてすべての復讐を終えた二人は立ち去っていくのですが…。

 空港ロビーにいるスレヴンの横にはリンジーが。
 スミスがリンジーに顔を見られたため殺そうとしていることを知ったスレヴンが、リンジーに
話して聞かせ助けたのでした。
 自らも気まぐれでスレヴンを助けた過去を持つスミスは「まあいい」といって立ち去っていきました。


 この物語のヒントは、
・カンザスシティ・シャッフル
・時計
・野球のボール
 前半のユーモアティストが漂う雰囲気から一転、後半の、とがったナイフのような緊張感溢れる
展開は一瞬たりとも見逃せないと思います。
 つかマジで一瞬でも見逃すとわけわからなくなってしまうので、トイレは我慢しましょう。
 


多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→ラッキーナンバー7