多分花鳥風月→金田一、コナン的読み物ページ→ちょっとだけ怖い話→話
目撃者
犯罪を立証するために欠かせない目撃者。
しかしそれがもし犯人よりも怖い存在であったら?
これこそ究極の選択だと思いませんか…?
地元住民が何故か近寄らない、そこを通りたがらないという場所は、日本だけでなくどの国にもある
ことだと思いますが。
その公園もそういうところでした。住宅街の真ん中に位置しながら昼間でもひっそりと静まり返り、
手入れされることの無い林が茂ってやや暗いイメージを与える。それでいて行政もその状況を見て見ぬ
ふりといった、意図的に放置された場所だったのです。
ある夏の夜。女性がそこを通りかかりました。ちょうど運悪くその夜は、ギャングがたむろしていて、
その女性は目をつけられてしまったのだといいます。
数人に囲まれ公園の林に引きずり見込まれても、誰も助けるものなどいなく、彼女が地面に引き倒さ
れた時。
彼女はそれを見ました。
引き倒された自分を面白げに覗き込むギャングの背後に、数十もの目が浮かんでいるのを。
当然あるはずの顔どころか体のシルエットも無く、不自然に一対の目がいくつも覗き込んでいたそうです。
そう、まるで瞳だけが浮遊しているかのようにね。
彼女はそのまま気を失いました。
翌朝たまたま近くを散歩していた近所の人間によってその女性は発見されたそうですが、ギャングの
方はといえば話を出来る状況どころではなく、全員が病院へ収容されたそうです。精神科へ…ね。もち
ろん今も退院のメドはたっていません。
彼女が失神してから一体何があったのか。それを語ることのできる人間はもういないのです。
そしてこの話には後日談があるのですが、一応未遂罪で捜査に乗り出した所轄所の連中は、現場の
写真を見てゾッとしたそうです。残念ながらそれは、警視庁によって非公開になってしまったので誰も
観ることは出来ませんが。
…まぁ人並みにそういう現象を怖がるのなら、見ない方が賢明でしょうね。不幸にも見る羽目になった
鑑識員とその上司は、数日間寝込んだそうですから。
私ですか?フン、あんなものどこが怖いのか理解できませんね。
そうそう。あの公園は、随分昔処刑場だったそうですよ。それもどちらかといえば女子供が多く処刑
されたそうです。
それが原因で…というのはあまりにも安直な気がしますけどね。