多分花鳥風月→金田一、コナン的読み物ページ→ちょっとだけ怖い話→話
見えない誰か
思いがけずことが運びすぎると、そこに何かの介在を感じることは無いですか?
死が時に背中あわせである分、
我々は守られているのかもしれない。
そう思うことが時にあるのです。
事件の捜査のため、ある学校の校舎に赴いた時のことでした。かなり老朽化が進んでおり、新校舎を
建築中だったのですが、放課後学生1人で入るには確かに勇気を要するような場所でしたね。
その事件はほぼ解決に向かっており単なる確認でしたので、私と部下数人という少人数でした。少し
日の傾いた時間でしたが殆ど校舎内に人影はなく、校庭から部活動のにぎやかな声が反射していました。
確認も終了し、私は校長らに挨拶をしようと職員室のある方へ向かいました。部下は一足先に外へ出、
上へ報告しているはずです。木造の校舎は普通に歩くだけでもきしみ、湿気た雰囲気を漂わせていました。
目の前の廊下を曲がれば職員室という時。
「危ない!」
耳元で叫ばれ反射的に私は声のした左側を向きました。
まるでスローモーションのようにゆっくりと、ドアが倒れ掛かってくるところでした。そのドアには上側に
ガラスがはめ込まれており、気づかずにいたら頭部に大怪我をしていたでしょう。
幸いそうなる前に受け止めてはめ込んでおきましたが、職員室に挨拶がてら報告すると平謝りしていました。
以前からそのドアはよく外れるため支えがしてあるのですが、今日に限ってそれが外れていたらしいのです。
そして、私は知らせてくれた声の主にお礼を言おうと捜したのですが、その声を聞いた瞬間も、ドアをはめ
込んだ後も。そして校長らが呼びかけても誰も名乗り出ませんでした。
確かに距離から考えても、声と同時に私は振り向いたのですから人影なり目に入るはずです。遠くから
見かけて叫んだのであれば耳元で声はしません。
こんなこともありました。ロスでの話なのですけどね。ある目撃情報から殺人事件の犯人を追い詰めた
のですが、1人警官がミスをして逃亡されてしまったのです。我々は非常警戒網を敷き、あたり一辺を
捜査しました。私もパットや同僚とともにストリートの一角を調べていた時です。
「後ろだ!」
私は同僚が言ったのだと思いとっさにみをかわしながら振り向きました。その途端発砲音と共に、私が
今まで立っていた地面に砂煙が立ち上りました。犯人は物陰に隠れていたのですが、逃げられないと知って
我々の誰かを射殺しようとしていたのです。
すぐに気づいたパットや同僚達が銃を突きつけこの犯人は無事逮捕されました。
が、後で確認してみるとその場の人間誰もが犯人に気づいていなかったばかりか、叫んだ人間すら
いなかったのです。もちろん非常体制が敷かれている為市民も皆無でした。
もしかしたら。
何か目に見えない存在というのはいるのかも知れませんね。時折気まぐれに助けてくれるような。
もっとも剣持君辺りは、悪運と言うのでしょうけどね。