多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページちょっとだけ怖い話→話


消えかけていた人



霊感が無くてもゾッとする時。
何故なんでしょうか。
本当の身の危険を感じるからなのでしょうか。
助けてあげられた、という感覚は確かにありました。





 中学校・高校と、まあ第六感に毛の生えた程度の霊感のようなものはありました。感じるだけで
たまに見えるときもあるけど、だからといって祓えるわけでもない。
 だから最低限寄せ付けないようにするだけのことは勉強したけども、否定するに越したことはないと
殆ど無視してました。
 大学はそういったものと縁遠い学部だったので日々過ごすうち忘れて行ったんですけど、やっぱり
そうもいかなかったようで。私が入学するまでは、年に数回は飛び降りがあったそうです。
 学部の名誉もあるから詳しくは言わないけど、××の△学部に飛び降りの○学部ってなカンジで
いわれていたようで。
 だから構内での目撃談も多いし、何より使用していた学部棟がものすごく古い作りで嫌な雰囲気は
ありました。学部柄深夜まで実験とか実習してるのは珍しくないし、部屋の中には標本とかいろいろ
あるしで決して気分のいいものじゃなかったですね。
 ともかくとして、そういう学部なだけに逆に見たがる人が多くて、夜なんかそういう話で盛り上がって
困ったこともありました。別に自分のことは言いませんでしたけど。
 ある夜、一時くらいだったかな。ちょっと実習に使う薬剤がなくなってしまって、もう今日は終わりに
しようと出たら、先に終えて帰っていたはずの友人達が車に乗ってたんです。これからドライブに
行くけどどうって。もちろん気分転換したくて乗りました。
 行く先を知らされていなかったんですけど、何だか雰囲気が段々おかしくなってくるんですよ。
子供が車に乗ってから病院へ行くことを知らされたような気持ちですか?とにかく、行き先を誰も
言わないんだけど、山を登っていく、それが危険なところに向かっているような気がして。
 頂上についた時、もう鳥肌が立っていました。一秒でもいたくない場所、そういう雰囲気でした。
ですが誰も分かっていないんです。こんなにハッキリと空気の重圧があるのに。
 でも不思議と誰も車内から出ませんでした。彼らは知っていたのかもしれません。その頂上は、
そんなに広くなくて車がやっとUターンできるくらい。けど、ヘッドライトが照らし出していたその先。
それを見た時の怖さといったら。首の後ろの毛が逆立っていくんですよ。
 そこはトンネルになっていて、鎖が張り巡らせてあり「ドーベルマン注意」と書いてありました。
だけど普通考えたらそんな山の頂上に犬がいるわけないじゃないですか。しかも鎖張り巡らせたって
意味ないし。
 その時にね、何かの気配を感じたんです。見えないけど脳がその存在を感知してるっていうのかな。
何かがそのトンネルからぞろぞろと這い出してきてこちらにやってきている。そう感じました。
 友人達は「じゃ下りてみるか」と言い始めていて、私はドアを開けたらやばい!と思いました。
「ちょっと、もう帰ろうよ!何にもないじゃん!」
 私が叫ぶのを無視して前の席の2人は下りる相談をしています。懐中電灯が見当たらなくて座席の
下をゴソゴソしていました。
 そうしている間にその気配達は、車を囲んでしまいました。私、つくづく見えなくて良かったなと
思ってますけど。もーここでドアを開けてしまったら本当にまずいと思った時に。
 となりに座っていた女の友達が、「帰ろう」と言ったんです。懐中電灯が見つからなかったことも
あって渋々車はバックを始めたんですが、その時間の長かったこと!無事国道に出た時には全身の
力が抜けました。
 後で聞いたらそこは有名な「出る」所だったようで、ドーベルマン注意もウソ。何でも、そのトンネル
内に肝試しで侵入した人達が、集団の侍の霊を目撃しているそうです。だから鎖が張り巡らせて
あるのだとか。
 本当、行く前に言ってくれたら絶対乗らなかったのに…。

 でも、その女の友達、Fさんとしておきますけど、どうも聞いたら私と一緒にいるようになってから
変な現象を体験し始めたそうなんです。めくれる、って言うらしいんですけども。
 そのFさんがドライブに誘ってくれたことがあって。っていうかそのFさんの友達とその彼氏とで、
ドライブに行ったんですが、その時も「何だか変な方角に向かってるなぁ」と思ってたんです。
 ある路地に入った時。「うわ、ここから先は行けないや」と思ったんですけど車が止まるはずもなく。
角を曲がった途端にその神社が視界に入りました。
 神社系とかって確かに夜行くとゾッとしないところだったですけど、そこはもう、何つーか、「乗っ取ら
れてる!」って思いました。かまえは立派なのに神様がいない、そんな感じのするところ。そして
いろいろな気配がそこここにあるんです。
 鳥居をくぐった瞬間に空気が変わるのが分かりましたから。ああもう私の対処できるレベルじゃ
ないな、って感覚を閉じるようにしました。Fさんも「離れない方がいいよね」って私にくっついてて。
 そのFさんの友人の彼氏っていう人が「視える」人で、私が「こっち行きたくない!」とか言うと
「ああ、いるから行かない方がいいよ」とさらっと言ってくれる人でした。お友達がまったく見えない
人で、ここなら(多いから)見えるかもとつれてきたそうです。いや、まいりました。
 これも後で知ったのですけど、そこの神社は改装中で神様がいなかったそうです。狛犬も中途
半端にずらされていたため、聖域の役割を果たさなかったそうです。確かに、あの狛犬には違和感
を感じましたが…。
 途中拾ってしまったらしく、二人して体調が悪くなり、ある神社に寄って置いてきました。そこは
大学在学中とてもごひいきにしてたところなんです。ものすごく神格は高いはずですよ。

 で、Fさんとはそれからいろいろこっち関係で因縁話があるのですが、一番怖くてかつ、私自身も
身の危険を感じた話を一つ。
 私大体体調が悪くなるとこっち方面防げなくなるんで、普段から気をつけているんですが、その日
は前日からイベントのことで忙しくてヘロヘロになって11時くらいに寝ました。11時半だったか、
Fさんから電話が入って、非常識をお詫びしつつ「相談に乗ってくれないかなぁ。友達のことなん
だけど」と言いました。その瞬間脳裏にどす黒い渦巻きのようなものが浮かんできて、ものすごい
恐怖感を感じました。私は「ちょっと待って」と一旦話を切り、「それってヤバイ系の話?」と確認を
取りました。答えはYES。
 こういう風な感じ方をした場合、大体相手の力が強すぎるんですよ。私は次の日に相談に乗る
ことにして、電話を切って寝ました。何か、寝苦しかったですけど。
 次の日はイベントの用事が入っていて、仕事を午前で切り上げて午後鳥取へ向かったんですよ。
夜8時くらいに用事が終わって、Fさんの家で落ち合うことになっていたから連絡を入れると、
その友達Aさんが突然来られなくなったと言うんです。Aさんはとても几帳面な人で、約束をキャン
セルするような人じゃない。なのにいきなりキャンセル。
 ああー、ますますもってやばいなーというカンジでした。偶然が重なってとか、そういうのと明らかに
違う感じがしました。何か妨害されてるなって。
 とりあえず私達がよく行く神社に場所を移してFさんから話を聞きました。ここなら妨害もなかろう
ってことで。いや、マジで手におえない話だなと思いました。
 そのAさんは実家にいた頃から変な夢をみていたそうです。黒い渦巻きが襲ってきたりとか、
足が引っ張られる夢、金縛りもしょっちゅうで、お母さんも同じ体験をしていたとのことでした。
 実家を出てこちらで一人住まいをするようになってからもその現象は続き、最近は何かが夜毎
部屋に近づいてくるらしいのです。
 確かにこれは命の危険があるな、と思いました。
 私では手におえないので後ろの人(守護霊)にお願いしておいたんですが。
 それから何日か経ってようやく会えることになったんですけど、一応場所はまたその神社ということで。
会って思ったのは、「生命力が少ない!」ということ。ものすごくはかなげというか、命が消えかかって
いるような感じを受けました。もちろん口には出しませんでしたけど。
 話をしていてふと脳裏に浮かんだことをいくつか聞いてみました。
私「ねぇ、水晶欲しいと思った?」
Aさん「うん。最近買おうと思っていろいろ見てる」
私「ちょっと待った方がいいよ。水晶って全部が全部、お守りになるわけじゃないから。それから、
Aさん、先祖のこと大事にしてないでしょ?」
Aさん「うん…。少し前におじさんが亡くなったけど、全然家族誰も墓参りに行ってない」
私「そう。じゃ、行ってあげなよ。多分守ってくれる」
とこんな感じです。言っておきますが、私、誰も彼も分かるわけではないです。というよりも、普段は
全然わからないです。この時はたまたま口をついて出たというか、わかったんです。

 どうも今回は相手が変というか、全然レベルが違いすぎてて消極的なことしか出来ませんでした。
でも、一ヶ月くらいして会ったAさんは、全然分からないほど変わっていました。ものすごくハキハキ
した女性で、明るい人になっていました。
 何が、彼女を引っ張りかけていたのかは知らないですし、知ろうとも思いませんが、いやこれは
もう二度と体験したくない、本当に怖いものでした。


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