多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページちょっとだけ怖い話→話


見せられない写真



夏になるとよく、オカルト番組などで取り上げられるものがありますね。
「心霊写真」と呼ぶようですが。
専門家に言わせると99%までが、撮影者や機材、光線の加減などに
原因を見出すことができるようです。
しかし残り1%は本当に説明のつかないものであるとか。
そんな写真は、保管庫の中にも眠っています。





 以前、鑑識写真のことについてお話をしたことがありますね。それと似たようなもの
なのですが…。
 私はテレビ番組で取り上げられている心霊写真の類についてコメントしようとは思い
ません。それが事実であるかそうでないか確かめる術がない以上、議論は不可能だと
考えているからです。
 ただ、我々警察が撮影する写真といえばどうしても犯罪がらみ、捜査一課ともなれば
殺人がらみもざらですから、専門家の指摘する「心霊写真になりやすい条件」というのは
満たすことになるのではないでしょうか。
 ですから以前お話ししたあまりにも異様な状況のものは少ないにしても、ありえない
ものが写りこんでいるというものはかなりあるようです。
 そうですね…。
 例えば、室内を撮ったら無数の顔が浮かんでいたですとか、壁から手が出ていた
などというのもあるようです。海から引き上げた水死体を撮影した時には、確かに
撮影時には何もなかったのにもかかわらず、黒いものが水死体の足に絡み付いて
いたというのもあります。
 ただでさえ非公開な捜査資料ですから一般に公開されることはないのですが、
こういった写真は捜査用からも外され、保管庫にしまわれることになります。一応
証拠物件であるため処分は出来ません。
 随分昔のことですが、ある事件で裁判が非常に長引き、最高裁から再び、再審に
なったことがあります。その時にどうしてもということで撮影した写真の一切合切を
提出するように、という命令が裁判所から降りました。
 鑑識と検察の間で随分もめたそうですが、結局保管庫行きになっていた写真も
日の目を見ることになったそうです。
 その裁判の場が、たった一枚の写真によって非常に重苦しいものになったのは
言うまでもありません。記録によるとあれほど否認していた被告人もその写真を
見るなり罪を認め、あっさり有罪判決がおりたとのことでした。
 その写真ですか?
 丁度捜査の過程で容疑者を含めた重要参考人の上半身写真だったんですけどね。
ええ、任意で被害者の遺族からお借りしたものでした。犯行の半年前に撮影された
ものだったのですが…。
 殺された被害者が容疑者の後ろに立っていたそうですよ。殺害された時のように、
全身血まみれだったとのことです。もちろん、現像時は普通のスナップ写真でした。
 こんなこともあるのだと、裁判官と検察側は妙に納得したそうです。


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