多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページちょっとだけ怖い話→話


鳴るはずのない電話



よく、死者からのメッセージ、という言葉を耳にします。
そんなことは本当にあるのでしょうか。
今まで信じたことはありませんでした。
でも、その人が強く念じた時、
メッセージは届くのかもしれません。





 1年前のことになります。
 祖父がガンで他界しました。蕎麦にまつわる話は以前もしたのですが、それとは
別にある不思議な体験をしたので、今回はそのことについて話をしたいと思います。

 それは私のイベントが8周年を迎えた日のことでした。以前から祖父の容態が思わしく
ないと聞いていたものの、流石に主催者が欠席するわけにもいかず、イベントが終了
したら帰省するつもりではいました。しかしいろいろと用事が重なって長引き、結局その
日の最終列車には間に合わず、気になりながら床につきました。
 深夜2時すぎでした。携帯に電話がかかってきて、祖父が亡くなったことを知らされま
した。それから眠ることも出来ず朝を迎えたものの、イベントの雑務もあり、結局帰れた
のは火曜日の午後だけ。それも、仏前に手を合わせてとんぼ返りという有様でした。
入院中一度もお見舞いにいけず、死に目にも間に合わず、告別式にも出られずと、
随分自分は恩をあだで返しているなとわれながら嫌にもなりました。

 ところが帰宅してすぐに、留守電のランプがついているのに気づきました。この時期
ですからイベント絡みでの電話はかなりあります。
 服を脱ぎながら再生したものの、その留守電にはメッセージは入っておらず、一瞬の
沈黙の後切れるといった内容でした。こういういたずら電話はたまにあるのですぐに
消そうとしたのですが、その手が止まりました。
 機械音が告げた留守電メッセージの時刻は3月18日午前2時。そして発信は
祖父の家からでした。その時間身内は全員病院にいて祖父の臨終に立ち会っており、
誰もかけてくるはずはありません。ましてや、留守電に切り替わるには何度か呼び出し音
がなります。私が気づかないはずはありません。
 すぐに、祖父だと思いました。ずっと会えなかった自分に最後のお別れをしてくれた
のでしょう。

 今でも祖父は時折夢に出てきます。決まって私が、何か問題を抱えて悩んでいる時
です。楽しく、いろいろな話をしている夢です。
 あれから1年、未だ悲しみは癒えませんが、祖父はずっと見守ってくれていると信じて
生きていたいと思っています。


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