多分花鳥風月→金田一、コナン的読み物ページ→ちょっとだけ怖い話→話
よくある話
大学には何故か、何らかの事件で亡くなった方の話がいろいろ
伝わっています。
不自然なほどに、うちの大学はその話が多かったのです。
これは大学時代の友人の話です。
実験のための動物を沢山飼っていると、夜1人で実験していてもそれはそれはにぎやかな
ものです。
特に夜行性の動物などだと、夜の方が活発になるのでうるさいくらいです。
いつものように実験を繰り返していた彼は冷ましてはいけないものを入れておく箱(冷蔵庫と
丁度反対の機能を持つものです)から、樹脂を取り出したり、薬品を入れたりしていました。
その保温箱は他の研究生も使いますからとにかくいろいろなものがゴチャゴチャ入って
いますが、長時間あけておくと温度が低くなってしまうため、開閉はできるだけ早く行わなければ
いけません。
ですから彼は薬品を一番手前に入れて、実験を続けていました。
何度目かの時、あまりにも乱雑にしすぎて薬品が奥へ転がってしまい慌てて手をのばし
それを取り上げて急いで扉を閉めると、何か不自然なものを感じて彼は振り返りました。
しかし誰がいるわけでもなく、機械の低くうなるような音が聞こえているだけです。
気を取り直して、別の薬品を入れようと保温箱を開けようとして彼は、その不自然な
ことにようやく気づきました。
うるさいくらいだった動物が静まり返っていることに。
動物の様子を見ようと思い薬品を保温箱に入れかけて彼は、その奥にあった人の
顔と目が合ってしまったそうです。
入れるはずのない、保温箱の中の。