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消えたログ/「居る」
理解の限界を超えた時初めてそれは、
本人にとって「怖い」という感情に変化するものだけど。
どうしても原因がつかめないデジタル的トラブルは
いつまでも考えてしまうわね…。
大分前のことになるけど。チャットに参加してた時、怖い話の話題になったことがあったわ。私は
そんなこと信じてもいないし、体験したこともなかったから、話に参加する気にはなれなくてしばらく
ROMしてたけど。
そうね…30秒毎の自動更新だったわ。ログ表示は45行にしてたのだけど。その時の話題は、
一晩毎に近づいてくる幽霊の話。一番最初に見た夜は交差点で、次の日がマンション入り口、次の
日はエレベーターホール…っていうようなね。まあよくある話なんでしょうけど。
で、一番のクライマックス、最後の夜は…っていうところに差し掛かった時にコーヒーを飲もうと画面から
一瞬目を離したの。そう、ほんの一瞬。
その瞬間目の端で画面が真っ白になったのが見えたのよ。スクリーンセイバーが作動したかしらと
思ったのだけど画面はチャットのままだったわ。でも…。
そこまでのログがすべて消えてたのよ。ログ表示を100行までにしてみたけど、何も出てこなくて。
勿論参加者はパニックになってたわ。管理人も参加していて消したわけではなかったし、誰かにパス
ワードをハッキングされて消されたわけでもなく…。
結局原因はわからなかったわ。タイミングがタイミングだっただけに、しばらくそのチャットはその話題
でもちきりだったけど。
幽霊は電気系統に侵入するってよく言うわよね…。
今夜もどこかのチャットを覗いているのかしら?
これはまだ科学的にハッキリと立証されたわけじゃないけど、人間の無意識の領域を利用した実験ね。
ああ、一応警告しておくけど夜中には絶対やらない方がいいわよ。どこにも逃げられなくなるから…。
この実験の目的は最後に言うわね。最初に言ったら意味がなくなってしまうから。
まず、目を閉じて部屋にいる自分を思い浮かべて。部屋はどこでもいいけど窓のある部屋がいいわね。
窓は開いていたら全部閉めて回って一旦その部屋を出る。イメージでもきちんと自分の手で閉めてね。
次に部屋に入り窓を全開にするところをイメージして、再び部屋を出る。少ししてからその部屋に入るところ
を思い浮かべて、部屋の中に誰かがいたらそれが現実でもその部屋にいる霊だって聞いたけど。
誰もいなかったらそれでいいんだけどね…。
私?もちろん誰も居なかったわよ。
誰だったか、黒い影がうずくまってるって言って怯えてたけど。