避難誘導、怪盗が先導！？

　ゴールデンウィーク真っただ中の5月5日深夜、都内を震度4の地震が襲った件で、
おりしも予告通り宝石店へ盗みに入ろうとしていた怪盗1412号(通称ＫＩＤ)が、見物人を
安全な場所に誘導するという、なんとも珍しい光景が展開されていたことが分かった。

　地震が発生した当時、現場はまさにＫＩＤの犯行を見届けようとする見物客であふれかえり、
警察も予告現場になった店を包囲するなどまさに緊迫した場面になっていた。
　そこへ大きな揺れが発生し現場は一時騒然。
　窓ガラスが割れてガラス片が降り注いだり、倒れた看板を避けて将棋倒しになるなど
たちまち見物客の間にパニックが起きた。警察側も状況把握に手間取り身動きが取れないで
いる中、上空からこれを見ていたＫＩＤが拡声器を使って空から誘導を呼びかけ、近くの公園へ
見物客を避難させ、けが人については警察へ的確な指示を出し、救急搬送の手助けをした。
　また、いくつかの目撃情報によると、地上へ降りてきたＫＩＤが一般人に変装して、ケガ人の
手当や救急車の誘導を行っていたという。(誰もそれを警察へ通報する者はいなかった。)
　そのため大きな混乱はなく、けが人も軽傷のみと、まさに避難訓練をそのまま実演に
移したかのような光景となった。

　この珍事が翌朝のニュースで報道されたところ、警視庁へ「ＫＩＤのおかげで助かった。
ぜひともお礼を言いたい」「子供とはぐれそうになっていたのを助けてもらった」「彼を表彰
すべきだ」という意見が多数寄せられた。
　中森警部は「いくらいいことをしたといってもまさか泥棒を呼んで表彰するわけにはいかない。
いや、あいつのことだから呼べばのこのこやってきそうな気も…」と複雑な顔でコメントして
いたが、ちょうど通りがかった明智警視に「のこのこやってきたのはいいとして、それを
取り逃がしたら目も当てられないわけですが？」と意見され、「や、やっぱり表彰はダメだ」
と渋い顔になっていた。
　なおＫＩＤからは「当然のことをしたまでですので、皆さんお礼には及びません」という
コメントが当社に届いている。

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※これら掲載の記事はすべて実際の事件・団体等に関係の無い架空の物です。

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