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野次馬ニュース

週刊ダウト8月20日号(8月13日発売号)記事より

KID、逃走中に人助け

 それはまるで白銀の矢が、夜の闇を切り裂いていくようだった…。

 熱さも厳しい8月10日深夜。
 怪盗KIDが現れると聞いて、予告現場でカメラを構えていた方もたくさんおられたこと
だろう。
 今回はその華麗なる犯行が主役ではない。
 彼の逃走途中の出来事である。

 怪盗KIDに助手がいるらしい、という噂は皆さんもお聞きおよびのことだろうと思う。その
助手は逃走中いつでも状況が変わった時に備えて警察の無線を傍受しているとのこと。
今ではデジタル化されて傍受の難しくなった無線をどのようにして聞いているのかは不明
だが、この日も助手はKIDの逃走を助けるため警察無線に耳を澄ませていた。

 そんな時、あるビルの屋上に不審な人物発見という一報が流れた。
 犬を散歩させていた近所住民が、この近くへKIDが飛んでくるという友人からの連絡を
受け、見えるかと上を見上げていたところ、近所のビル屋上に、柵を越えて身を乗り出して
いる人影を見たと通報してきたのだ。
 最初はKID見たさかと思っていたが、足を踏み出してはひっこめるという行動に、自殺では
ないかと不安になったらしい。
 ところがその付近の交番は深夜パトロールに出ており無人状態になっていた。管轄の警察署から
パトカーを出したが周辺はKIDを見にきた野次馬でごったがえしており、緊急車両といえども
容易に進める状態ではない。

 いよいよ人影が足を踏み出した時だった。
 宙へ舞ったそれに颯爽と近づく白い影。
 KIDである。

 彼は人影を抱き抱え、呆然と携帯電話片手に光景を見ていた住民へ近づくと、「この人を
お願いします」と言い、再び飛び立っていったという。
 この間まさに10秒。
 パトカーが駆けつけた時にはすでに事件は解決していた。

 図らずも一部始終を目撃することになった住民は、当社の取材に対して、「飛び立つときに
手に持っていた、無線だと思うのですが、それで「無事救助した」と連絡していたように思い
ました。とにかく映画を見ているみたいでビックリしてしまったのでよく覚えていません。いや、
うちの娘がKIDを見ては騒ぐ理由もわかる気がします。」と納得顔。
 助けられた女性は、「まさかこんな風に助けられるなんて。ずっと悩んでいたけど、これは
生きろって意味なんだと思って一からやり直したいです。KIDは命の恩人です。ぜひお礼が
したい」と病院で涙を浮かべた。

 なお、通報を受けたという警察署に確認したところ、「確かに通報を受けており、その時点で
一番近い車両を向かわせ、救急車も手配した。少しして「無事救助」の報告を受けたが、車両は
その時点でまだ現場に到着しておらず、誰からの連絡だったのかわからないでいた。まさか
怪盗相手では表彰するわけにはいかないし…」と複雑な表情だった。
 おそらくKIDならこう言うだろう。「人として当然のことをしたまでです。礼には及びません」と。



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※これら掲載の記事はすべて実際の事件・団体等に関係の無い架空の物です。


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