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野次馬ニュース

週刊ダウト  6月6日号(01年5月30日発売号)より

事件と謎と危険

 先日メーリングリストでもお知らせしたように、警視庁捜査一課明智警視の協力を得て、5月27日に
発生した米花町児童行方不明事件を追ってみた。

<事件のあらまし>
 5月27日朝9時ごろ、少年探偵団メンバーは何者かの呼び出しを受け出かけた。そのまま夕方
5時を過ぎても連絡がなく、通報があったことから警視庁では誘拐や何らかの事件に巻き込まれた疑い
があるとして捜査、翌28日朝6時過ぎ無事保護されたというもの。保護者の要望により捜査は打ち切り
となったが、何があったのかなど謎の多い事件。


 ある消息筋によるとこの事件はかの高遠遙一氏が、自覚なく事件に首を突っ込むことの危うさを
身をもって教えるために仕組んだことだという。それは一体どういうことなのだろうか。
 少年探偵団をよく知っているという目暮警部に話を聞いてみた。
「まあ、事件解決に一役買っとるのは確かだが、一度成功したからといって次も成功するものでもない。
何より、危険を顧みず危ないことをしたりして親御さんを心配させちゃいかんよ。一度きちんと注意して
おかねばならんと思っとったところだ。事件に興味を持つのは結構だが、警察だってきちんと捜査して
いるのだからな」
 成る程。確かに少年探偵団の活躍は目を見張るものがあるが、その前に子供であるという自覚を
すべきということだろう。

 そして我々は、消息筋から事件の詳細を手に入れた。このソース元に関しては、明智警視より
匿名であることを厳重に念押しされているので、編集部に問合せをされても一切お答えできない。


  朝、ポストに手紙が入っていたのよ。ある人には『キミの秘密を知っている』というメッセージとともに
場所の指定が、ある子には『キミに事件を解決して欲しい』という依頼ね。事件を解決して欲しいと
言われた子供達は、お互い相談することも無くその屋敷へ出かけた。脅された人達は用心しながら
出かけた。だから一番目の罠にはまんまとはまってしまった。「自分だけ」という思考に陥ってしまった
のよ。お互い屋敷の中で顔をあわせるまで全員が呼び出されていたなんて知らなかったわ。指定
された入り口が違っていたから。
 入った扉は内側からは開かなかった。そこで初めて彼らは自分達の迂闊さに気づいたのよ。連絡
しようにも電波がシャットアウトされているらしくて携帯電話は繋がらない。けれど、屋敷をくまなく
調べたらクイズのようなものがあったの。

「命題  1時間以内に2階へ移動できなければ即死亡」
 …ドラマの見すぎだとは思ったけどね。でもそれが一番分かりやすい方法でしょう?
 2階へ行く階段は無かったの。もちろん外にも出られやしない。そこで彼らは考えたわ。時間が
過ぎていく恐怖と戦いながらね。大人ならバカらしいって思えるのかもしれないけど、子供達には
まさしく「命がけ」よ。
 そしてその中の一人が気づいたの。階段が無くても移動は出来るって。移動手段は別に階段で
なくて良かったのよ。急いで家具を積み上げ、天井の通気口から2階へ移動。そう、部屋の中には
「踏み台」になる家具ばかりあった。そして不自然な通気口。
 しばらくして何かの音に下を確認すれば、一階は丁度私達…じゃなくて、子供達の背の高さほど
まで浸水してた。彼らは怖がっていたけれど、上に全員移動したのを確認してのことだと思うわ。

 2階にはまた選択があった。「命題 一億人の中から100人に当たる懸賞と、100万人に1人
当たる懸賞。選ばなければ即死亡」
 …そこでせっかちな子が勝手に前者の懸賞と書かれたドアを開けてしまった。答えは外れ。
外れると落とし穴が開くようになっていたのね。どこだか分からないような薄暗いところへ落下よ。
ライトをもっていたのは2人だけ。後は何も持っていなかった。でもそこはひどく入り組んでいて、
壁に手をつけていてもなかなか出られなかったの。
 え?知らないの?独立した壁の無い迷路は、壁に手をつけて離すことなく歩けば、いつかは必ず
出られるもの。けれどその迷路は多分、独立した壁がいくつもあってその方法は使えなかったわ。
 ライトもバッテリーが切れ、真っ暗闇の中彼らは進むしかなかった。幸いなことに食料を持っていた
子がいたから動けなくなることはなかったけど、浅はかな行動を後悔するには十分な時間だったで
しょうね。
 やっとのことで2階に戻り再スタート。もちろん今度は正解。答えは「どちらも同じ」なんだから。
問題にもどちらかを選べとは書いてなかったし。つまりどちらのドアも開けてはいかなかったの。
ただ、そこから先の進路に手間取ったけどね。
 ええ、両方のドアの間にある柱。それにスイッチがあった。迷った末押せばそこはまた別の
通路に繋がっていたわ。

 その通路はとても長くて、けれど引き返そうにも扉は開かず、我慢して進むしかなかった。やっと
たどり着いた先はどこかの建物の地下。中からしか確認できないからそこがどこか、何なのかは
わからない。流石に疲れ果てた子供達はしばし休憩することにした。何故か、毛布のようなものが
おいてあったしね…(笑)。
 そうそう、食べられるような非常食も揃っていたっけ。まるであつらえたように。
 少年達の内、ある人間らにはこれが誰の仕業か分かり始めていた。こんなに手間をかけた罠
でありながら、絶対に身の危険が無いように配慮されている。しかし深く考えもせず、まんまとやって
きたことに対するペナルティはきちんとある。こんなトリックショーを演じてみせるのは一人しかいないって。
 とっくに日が落ちた頃、ある子供が根を上げた。けれどそれで冒険は終わりになるはずも無い。
テーブルの上に乗っていた、「ここから脱出出来なければ即死亡」というメッセージに従い、先に
進むという選択しかなかったの。その道は確かに、映画のような仕掛けだらけのものだった。
ま、付け加えておけば出てきた昆虫、爬虫類はすべて無毒、仕掛けもそれこそ「子供に解ける」
程度のものだったけど。
 それでも彼らは必死に出口を目指し、やっと光のともったところに出た。それは最後の命題が
置かれた部屋。
「1時間以内に出口から全員出られなければ即死亡」
 確かに出口は天井にあった。子供達が肩車をすれば十分に届く。…でも、その方法では最後の
1人は決して出られない。
 今度は踏み台になるようなものは無く、あったものは細い30センチ程度の化繊ロープが十数本。
それをつなぎ合わせてみても、ほどけないようにしようとすれば結び目に長さをとられて、とても釣り
上げられるだけの長さにはならない。
 そう。それは明らかに「解く相手」を指定していたの。
 彼はしばらく考えて、一本の長いロープを作った。そして全員何とかギリギリ脱出に成功したのよ。
 そこは、米花町を見下ろす山頂。空はもう白みかけていたわ。
 振り返れば出てきた部屋はじわじわと浸水していた。少年達は滅多に無い冒険にはしゃいでいた
けれど、もうむやみに事件に飛び込むことはないでしょうね。 


 というわけで、この証言から確かに、よく計算のなされたものだったことが分かると思う。がしかし、
この証言者の「解く相手を指定していた」っていうのは一体…?
 ま、それはさておくとして、今週の懸賞問題はこの事件から。
 少年探偵団は30センチ程度の化繊ロープ十数本をどうやって、脱出可能な長さにしたのだろうか。
道具を一つだけ使ったとのことなので、考えてみて欲しい。
 ヒントは、この証言者も解答に気づいたらしい…?
 発表は来週の週刊ダウトで。高遠氏のコメントと共に発表予定。

<速報!>

 5月17日号での明智警視の1日特集大反響につき、高遠遙一氏の密着取材決定!6月下旬発売号
に掲載予定です。乞うご期待!


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※これら掲載の記事はすべて実際の事件・団体等に関係の無い架空の物です。


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