多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→妖怪大戦争


妖怪大戦争

8/28鑑賞

 いやはや先入観とは恐ろしいもので、いざ見るまでこれ、子供向けのワイワイガヤガヤ
完全ヒーローものの映画だと思っておりました。
 主人公の男の子がかっこよく正義に目覚めちゃったりしてね。
 
 と思って見た先入観を完全に吹き飛ばしてくれました。何この面白い映画。

 冒頭いきなり廃墟となった東京の図が。
 先日地震もあったことですし、いきなり都市壊滅か!?ここから東京が立ち直っていく
話か!?とか思ったらまったく違いました。私はこの映画に何を求めてたんだ一体。

 幸いにもそれは夢で、彼は目を覚まします。彼の名はタダシ。
 明らかに両親は「正しいことが出来るように」と願ってつけたと思われる名前です。
 タダシが目を覚ました家は恐らくたたずまいからいって鳥取の民家を想定したものだと
思われます。
 こういうのが山陰のあちこちにあるわけですがやっぱりスクリーンを通して見るといい
ものですな。ビバ田舎。
 えーそれで。タダシーのナレーションから彼が、両親の離婚で母親について鳥取の
実家へやってきたことがわかります。東京っ子か。もやしめ。

 とある牛小屋。
 不審な物音におっちゃんが行ってみるとそこには件(くだん)の姿が。
 奴は「恐ろしい、不吉なことが」と言って息絶えます。
 でもって「時は来た」とかいうてるおっちゃんが。誰この人?
 ああ、かとちゃんペッの人?
 …加藤保憲です。
 飛ぶのにさぁ、手を広げるのはいいんだけどさぁ、ガッチャマンに見えます。何?ガッチャマン
世代?(1000年前にガッチャマンがあるか!)

 ちなみに件というのは、「くだんのはは」という小説でも知られているように、世の中に
不吉な出来事が起こるときに生まれ、100%当たる不吉な予言をして死ぬと言われている、
牛と人間の化け物です。だからにんべんに牛と書いて件というわけですが。
 戦前、戦時中にはこのくだんが各地に当たり前にいた、という話も残っています。
 最近の噂ではおさるに「モンキッキと改名しないと地獄に落ちるわよ!」と言ったとか
言わないとか(このネタはやばい)。
 
 で。
 祭り。
 麒麟にかまれたものが今年の麒麟送子なんだよってその解説で分かると思って
るのか、バカガキめ!(子供相手に張り合わない)
 まあタダシがかまれるのは想定の範囲内ってところですかね。
 もらったのは小豆ご飯と手ぬぐい。
 いいなぁ、私もう赤飯には目がなくて。2合くらいあっても一人でモシャモシャ食って
ますよ。あれもち米ちゃんと使ってるやつだと本当うまいんだよねぇ。というわけで機会が
あればモッシャモッシャ。朝から晩までモッシャモッシャ。旅のお供にモッシャモッシャ。
ゆりかごから墓場までモッシャモッシャ。
 赤飯とスイカがあればもう幸せです。例え半日トイレから出てこれなくなっても。
 私の個人的な願望はさておき。
 タダシのお母さんが酔っ払って帰ってきたところに何故か衝撃を受けました。突然
冷蔵庫から何か出すから何かと思ったら「キュウリ!」だし。おいおい。

 あずきは体にええだ byじいちゃん
 方言では「あずきはみがらにええ」となります。

 小豆だけでなく豆類が体にいいのは本当です。
 たんぱく質が豊富で肉や魚と同じくらい含まれており、ビタミン類も沢山入っています。
昔から豆ご飯のレシピは本当に沢山残っていますし、お祝い事といえば赤飯。つまり昔の
人達は豆は体にいい、良い気が体内に入るというのを知っていたわけですね。
 お豆万歳!

 さてはて、同級生に「山にいって剣を取ってこなければならない」という、今時どこの
育成ゲームの出だしですかという話を真に受けてタダシは山へ。

 タダシが山に行っている間にじいちゃんとの会話で、方言によって分からなかったと
思われる部分を解説させていただきやしょう。
●「しごんならん子だった」(アキラのことを語る場面で)
 これは「手のつけられない子」「暴れる子」というような乱暴者、やんちゃ者という意味です。
●「わりぃ大天狗がおった」
 わりぃ、は悪い、という意味ですね。
●「大天狗はしゃーね入れ替えて麒麟送子の弟子に…」
 しゃーねは性根。
●「山にいくらか?」
 山に行くのか?

 まあかなり分かりづらいと思われるのは一番上くらいですかね。
 にしても地元人の私が見てもじいちゃんこと菅原文太さんの発音は完璧。さすが大物
俳優さんです。
 面白いと思われましたらよかったらこちらも見てみて下さいね。
 →山陰の方言(一部)

 で、その山というのは昔悪さをしていた大天狗を麒麟送子が退治し、性根を入れ替えさせた
という伝説があり、心を入れ替えた天狗が聖剣を守ってるとかなんとかいう山です。そんな
まともに行ってどこに剣があるとわかるのか。ちょっとは考えろやタダシ。
 で、山にびびって逃げ出して乗ったバスに妖怪が張り付いて大騒ぎと。
 この運転士もなんか怪しいですけども。
 そこで出会った小さなぬいぐるみネコににた妖怪をタダシは連れ帰りました。
 かわいいと得をする、というお話です。これが多分カッパとか一本だたらだったら、車外
へ放り出されていたかと思います。
 この妖怪、身振り手振りて自分の名前をすねこすりと伝えます。
 お前それ、日本語わかるなら書いたほうが早いんとちゃうか。

●麒麟送子について
 私どうしても麒麟獅子と間違えて書いてしまうので何でかなぁと思ってたんですけども、
鳥取県に実際に麒麟獅子舞というのがあるそうです。今回はコレを参考にして麒麟送子が
作られたみたいです。なるほど納得。

 一方怪しげな工場。
 パンツ丸出しのおねえちゃんが怪しい動きをしています。つーかちょっと隠そうよパンツ。
ワカメちゃんとかしずかちゃんじゃないんだからさぁ。ええとしこいてパンツ丸出しってなんなのよ。
パンツ丸出し妖怪か。
 と思う存分連呼したところで、この女妖怪の名はアギ。
 妖怪たちを裏切って加藤に協力し、この世の中を支配したいみたいです。
 つか何かというと「加藤と一つになって」とか言ってるけど、ほれてるなら普通は一緒になって
じゃないのか?一つになってというとどうしてもドラゴンボールのフュージョン!しか浮かびませんが。
 しかし事態はそんなどうでもいいことを言ってられない状況。
 妖怪を、捨てられた燃えないゴミと一緒にしてくっつけてなんか化け物を作り出している
みたいです。どっちかってーと悪質になった付喪神って感じがしますが。
 その付喪神、カタパルトよろしくすっ飛んで飛び出していって民家を襲いましたよコラ。
 あ、パンフレット見てみたら、大怨霊「ヨモツモノ」とまぜまぜした新種の悪霊「機怪」だ
そうです。お前ネーミングセンス悪いぞ加藤。

 この事態に気づいた猩猩こと赤い顔のおっさん。「こりゃいかん、麒麟送子を…」とつぶやいて
おります。

 境港にて水木しげる記念館に足を運ぶタダシ。いいなぁぁぁぁぁぁぁ。私か昔行ってた頃は
まだこれ完成してなくて、建つ前だったので見るも何もなかったんですよ。一度行きたいなと
思っているんですけどね。観光予定のある方は是非一度どうぞ!
 
 そこで妖怪好きという佐田に出会ったタダシ。思いのたけを語りまくっています、佐田。
大人になると妖怪が見えなくなる、というのは確かにそんな感じですね。世界にも似た様な
話は沢山ありますね。大人になると行けないネバーランド、大人になると見られない妖精
などなど。
 やっぱりこういうのは「子供の純粋な心」がキーポイントなんでしょうかね。
 つか今の日本にこういう昔ながらの子供がどれだけ存在するか、となるとはなはだ疑問
ではありますが…。さぞかし妖怪には住みにくい時代になったでしょうな。

 そんなこんなでタダシが帰宅すると。

 「大天狗の穴で待つ じいちゃん」

 や、じいちゃん!いきなりなに挑戦状出してんねん!そして何いきなり底なし沼に
はまってんねん!そもそも何がしたいん。
 そらタダシじゃなくても「なんで?」って言いたくなるわ。

 というかタダシ、一人で向かわないでせめて警察に電話してから行けよ。
 と思うのは私が大人だからでしょうか。
 そして何故か早々に戦線離脱するすねこすり。
 この作戦に協力すべくわざと離れたのか、怖くて離れたのか知りませんが、震えていた
ところを見るとかなりの確率で「ガチ」だったと思うんですけど。

 ここでいきなり水中に引きずり込む妖怪にビビるタダシ。
 後ろ向きで現れた女の子をいきなりお姉ちゃん認定するタダシ。お前頭検査してもらえ。
 あと、お姉ちゃんの名前が「タタル」ってどういう名前やねん。そら離婚もするわ。
 この両親のネーミングセンスは加藤とどっこいどっこいだと思われます。

 タダシが逃げ込んだ先は不審な屋敷。具合の悪そうな女が一人。いやタダシ、土足だから。
まず靴を脱げ。
 しかもこの女、ごめんねごめんねとか言いながらクビ伸ばしてくるし。わけわからん。
 よし結べ。タダシ、そこで長くなったクビを結んでしまえ。
 というわけでさんざん妖怪にもてあそばれたタダシ。逃げ出そうとするが、じいちゃんの
「助けてー」という声を聞いて勇気を奮い立たせて走り出します。
 そこに「合格」とか呑気な顔して猩猩登場。私だったら是非グーで殴っているところです。

 しかもタダシいきなりバランス崩して水中へドボン。
 誰からも求められていないボケをやらかすあたり、彼は天才的なお笑い芸人の素質を
持っていると思います。
 それを助けてくれたのが川姫。その背後に立っていたのがカッパの川太郎。奴は見た目で
差別されるのが気に食わないらしくタダシにくってかかります。
 ちなみに川太郎演じられてる方は、「踊る大捜査線第9話・湾岸署大パニック 刑事青島
危機一髪」において愛人の存在がばれて口論になり主人に殺された妻のお兄さん役で、
湾岸署へひっそり潜入し、女を殺そうとしたが立ちはだかった青島を刺し、取り押さえられた
人です。まあなんというか、上と下との連絡体制について室井が現実を突きつけられるきっかけ
となった、重要な役どころではあります。あの(いつも情けない)袴田さんが「青島は大丈夫か」
と言う室井さんに対し「私の部下をなんだと思ってるんだ!!!!!」と激怒する回です。
 この演技のギャップ。すごい才能のある人ですね。
 で、猩猩に騙されていたというか試したとか体よく言葉でごまかされたタダシは、大天狗
の元へ向かうことに。

 この過程もなかなか面白いです。腐りかけたつり橋を、「お前が落ちるのがセオリーやー」
とか言いながら自分が落ちて予想通りのボケをしてくれる川太郎とか、「こういうところでは
大きな岩が転がってくる」とか余計なこと言ってその通りにしてくれる川太郎とか、一人だけ
その岩に追いかけられてペシャンコに潰される川太郎とか、流石です。
 これ夏休みの大冒険てお前が大冒険やんけ川太郎。

 そんなこんなで約1名ヘロヘロになりながらもたどり着いた大天狗の住まう場所。
 聖剣を持ってきてタダシに抜いてみろ、と。
 ちょっと抜いただけで腰を抜かすタダシ。
 …あなた、主人公さんですよね?

 どうでもいいけどあの転がってた一枚歯のゲタ。邪魔だからしまっとけや天狗。
 片方だけ転がしとくってどんなんや。

 そこへ表れたるは機怪をつれたアギ。
 タダシの目の前でまんまと大天狗を捕獲していきます。
 しかもタダシ、どういうつもりか知りませんが一度は握った聖剣を放り投げ。機怪を狙った
とも思えないし…何がしたかったのか?
 ともあれそのせいで、アギによって聖剣は真っ二つ。すねこすりもさらわれてタダシ
いいとこなし。

 そんなタダシが目を覚ましたのは妖怪がウジャウジャいる屋敷の中。
 タダシ君律儀に「こんばんは」と挨拶していますがこれまた律儀に返事を返す妖怪。
 ラブリーですねぇ。
 あと油すまし頭邪魔。ぬらりひょんに「俺が映らん」とか言われてるじゃないか。っていうか
ぬらりひょんカメラ意識しすぎ。

 真っ二つに折られた剣を直せるのは一本だたらだということで行方を雲外鏡に映し出させ
ますが、その一本だたらはどうやら捕らえられている様子。
 打つ手なし。万策尽きたといった感じで、大将のぬらりひょんが決意の一言。
「おひらきにしよう」

 いやいやいや!何ボケ倒しとんの!
 タダシ、豪快に囲炉裏端に転がりこんでおります。理想的なこけ方だ。
 もともと妖怪は何かを守るとか、そういうのには乏しいとされていますからね。自分の
身に危険が起きなければどうでもいいとか、同族でなければ特に…といったような
感じのようです。もちろん妖怪にも個性があるので仲間意識が強いとかそういうのも
いるんですけど。
 だからこそ妖怪は、人間がどんどん住みにくくしていくことについて、対抗するすべを持たず、
ただ消えていくだけなのだと思います。彼らはなんというか団体戦が苦手なわけです。

 ただ、ぬらりひょんが言った「人間は簡単にモノを捨てすぎる。ものは人間を恨んでいる」
というのは流してはいけない発言ですね。
 バブル時代「使い捨て商品」が流行りました。不景気となった今でも「少し使えて安ければ
いい」というものが好まれる傾向にあります。
 昔の人達はモノを大切にするために、「付喪神」という妖怪を作り出しました。ものを大切に
しなければこの付喪神が仕返しをし、大切にしてくれるものには守り神となると。
 だから処分をする時にもただ捨てるのではなく、感謝しつつ煤払いで捨てると。しかし
煤払いで道端に捨てるっつーのもあれな話ですが…。
 どちらかというと付喪神は悪さをするという概念の方がよく伝わっていますが、大切な
品であれば守り神にもなるという解釈も欲しいと思うのです。(確か昔の古典で、道端に
捨てられた器の妖怪たちが人間に仕返しを企むが、力のある僧に退治され心を入れ替えて
仏の教えを受け、成仏して仏となったという話があります)

 加藤の存在を知り、川姫昔のことを思い出しているようです。川姫は捨てられた人型
だったようですね。
 服装からして加藤は修験者の姿で現世に紛れ込んでいたようですが。その背後にいたのは
安倍晴明でしょうか?彼ならきっと川姫を助けてくれたと思うんですけどね。

 ぬりかべ!突然出てきて川太郎を張り倒して帰っていきました。
 キミら是非ドリフに出現してくれ!

 さて残りましたるは、川姫、川太郎、猩猩。…と、足がしびれて立てなかった小豆とぎ。
一生懸命あずきをとぎますとか言うてますが意味あるかぁぁぁぁぁぁ!!!!
(とこの時点では誰もが思っていたはず)
 あと一旦木綿も無理やり「鬼太郎の前ではええ顔しとるやないかい!」と川太郎が
引き止めています。
 …………妖怪ポストに手紙入れて鬼太郎呼べばええんとちゃうん?(話終わるから)

 一方ヨモツモノサイドは大変なことに。
 なんと!
 飛ぶ工場!
 これさえあれば高い土地代を払わなくても便利!飛翔しながら生産活動が出来ます!
お客様からの注文があればそこへ即日納品!
 この空飛ぶ工場!地球に優しい燃料で飛びます!
 今ならなんと3億9800万円にて販売!お申し込みは加藤保憲まで!
 100回払いまで金利手数料はジャパネットタ●タが負担!
 今回は限定1個のご紹介です!


 その飛ぶ工場が目指すはいざ東京。
 さあ大変なことになってまいりました。こいつら、不動産売買契約を無視して不当に
土地を占拠するつもりです!というか都庁が!石原軍団出撃だ!(無茶言うな)

 加藤について。
 川姫は説明してくれます。先住民の怒りが怨霊となってよみがえったと。
 そんなことも知らない人間は幸せだね、と川姫は壮大な皮肉を言うておりますが。
 知らないものは知らないんだよぉぉぉぉ!
 誰もが帝都物語と帝都大戦のDVD持ってると思うなよ!

 ここでタダシ捜索隊の警察官が言うセリフについて一言。
「がいな騒ぎになっとる」というのは、「大きな、すごい騒ぎになっている」という意味ですね。
がいなまつり、という名称をお聞きになったことがあるかと思いますが。

 とてもヨモツモノに追いつけないと思った妖怪一行。
 川姫がとてもすばらしいアイディアを提供して下さいました。
 飛行機の翼につかまって飛ぶ。


 …どこの密入国者さんですか。

 「良い子は絶対真似しないでね」とテロップ出ますが真似できません!

 ただ、時折外国の飛行機で貨物室にこっそり紛れ込んで運賃をタダにしようともくろむ
人がいますが、こういうのも絶対やめましょう。
 高度数千メートルにおいては気温は簡単に氷点下となり、人間が耐えられるレベルでは
ありません。
 まあ貨物室がそこまでなったら荷物も無事じゃねぇって感じでもありますが、ともかく
こういう方法で毎年数人の凍死者が出ております。
 海外にいってすっからかんになった飛行機のチケットをなくしたということになっても、
絶対に貨物室に乗り込まないようにしましょう。大使館を訪ねたほうが親切に対応してくれます。

 川姫のとんでもねぇアイディアで何とかヨモツモノに追いついたはいいが、その前に激しく
HP削られてますが、タダシ。

 その一方で捕らえられていたすねこすりは、そこにいた一本だたらと出会います。思い
だしたるは、折れた聖剣。すねこすりは必死に一本だたらと話を始めます。いやー言葉
通じそうだからいいけど通じなかったら身振り手振りだと体力消耗するよなぁ。

 一本だたらを逃がすために犠牲になったすねこすり。彼は一体どうなってしまうのでしょうか。

 そんなことがあったとは知らずに、やってきたタダシ。
 一本だたらを見つけて、聖剣の打ち直しを頼みます。
 というか折れた時より明らかに長くなってませんか、聖剣。10cm以上は伸びたと思う
んですけども…。しかも打ちあがった聖剣もさらに伸びてる。
 ううむ。

 さて妖怪たちの間では、東京が大停電になったという話が広がり始めていました。
 これが何故か伝わるうちに、真っ暗になっている→盛り上がっている→東京ドームが
都知事を食った→東京真っ暗祭り→都知事の粋な祭り→日本最大級の祭り→とにかく
すごい祭り→いかなきゃソン、となってしまうのですから伝言ゲームとは恐ろしいものです。
まあ人間みたいな通信手段を持たないとこうなるんでしょうなぁ…。

 さあいよいよヨモツモノに乗りこみだ!
 しかし現れた機怪の数は多く、タダシ大苦戦。
 なんかこの聖剣自動追尾装置がついているのか、握っていれば勝手にやっつけてくれる
のはありがたいですが、それでも大変。
 そして川太郎はピンチに陥った川姫を救おうと飛び降りますが、目測誤って勝手に落下
していきました。
 皿が割れたと大激怒してますが、いや、自分ひとりで落下してったやん。
 でも皿が割れても弱くならないカッパはいいなぁ。

 圧倒的な数の多さにタダシ達がひるみかけた瞬間。
 それはやってきました。
 ヨモツモノ工場をぐるりと取り囲む、全国から集った妖怪たち。その数120万。
 こんなに頼もしい軍勢はありません。
 猩猩大喜びで手をふると妖怪たちが「すっげぇ祭りだなや!!!」

 
 …………は?


 ともあれこの機会に生じて中へのりこめぇぇぇぇぇ!

 妖怪たちのテンションMAXです。もうマックスハートでプリキュアです。
 機怪たちもなんのその、ケンカ祭りと大騒ぎで殴り飛ばす有様。

 あと忘れられていた佐田さんがやってきました。
 彼には妖怪は見えません。が、突き飛ばされ跳ね飛ばされかみつかれ、砂をかけられ、
やけになって目の前に落下してきた機怪の冷蔵庫から出てきた麒麟ビールを飲んだら
見えるようになりました。アルコールは理性の蓋をずらすといいますからねぇ。
 つか麒麟ビールのシャレに笑いました。キリン、心が広いなぁ。
 さあ成人の皆さん明日からキリンビールを飲んで妖怪と仲良くですよ!飲み終わった缶
はちゃんとゴミ箱へ。飲酒運転はしないさせない許さない。
 
 立ちはだかった機怪と対峙するタダシ。
 それが川姫の指摘ですねこすりであることに気づきます。
 が、心を失ったすねこすりにはどうすることも出来ず、タダシはその機怪を斬ることに。
 最後に元の姿に戻れたすねこすりと、「ごめんね」と謝るタダシの姿が印象的でした。
 あれこれギャグがちりばめられた映画の中にただ一つ。
 人間が今まで打ち捨ててきた道具の恨みつらみと合体させられた妖怪の哀しさ。
 それが人間に返ってきた瞬間なのだと。
 私はそういう風に解釈しました。タダシが向き合わなければならない現実の厳しさです。
これが普通の映画だったらすねこすりは心を取り戻して…となるんでしょうが、そうしない
のがこの映画の厳しいところだと思いました。

 
 ここにアギが「邪魔はさせない」と現れますが、一太刀交わしただけで加藤に呼ばれて
さっさと撤退。なら出てくんな。
 あと衣装着替えすぎ。お前はおしゃれ泥棒さんか。(いやいいんですけど)

 一方人間界では。
 じいちゃんの家にだけは機怪も近寄れず。
 それは小豆ご飯のせいでした。
 小豆は聖なる力でもって、悪霊を遠ざけていたのです。

 ついに加藤と対峙したタダシ。
 ところがどっこいまったくもって毛の先ほどもかないません。
 加藤がやってるのはデコピンですよおい。
 しかも小豆とぎは、転倒したときにこぼれた小豆を拾い集めるのに夢中だし。あったどー!
とか自慢げに加藤とアギに見せびらかして、やばいと思ったのかさっさと小豆とぎだすし。
お前はもっと空気読め。ちなみにこの小豆の数は756個だそうです。

 ここで川姫が加藤に、人間が憎いとかもうやめてとか言ってるんですけど。
 いや、なんちゅーか、もうちょっとなんとかならんかったというか。
 失礼ですが声がひどく耳障りだったので。もっと腹筋使って欲しかったなぁ…。
 喉だけ使って声出してるとこうい叫び声になるんですよ。
 
 そして野望達成の仕上げとして加藤はアギを殺害。
 一人融合の釜の中へ。
 えっと…釜の中へ入って何と合体するつもりですかこの人?
 釜の中に飛び込むのさえコート広げてポーズにこだわるか。何お前正義のヒーローの
変身ポーズみたいなことしちゃってるんだ。後ろから釜の中へ蹴り入れるぞ。








 ここから強烈なネタバレになりますのでご注意。

 そこへやってきたは空気の読めない男パート2こと佐田。
 川姫を見て「会えたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」と叫んでいきなり飛び降り。
 その場所がまた問題で、小豆とぎの腰掛けていた板の反対側だったもんだから当然
小豆とぎは吹っ飛び。
 その時にぶちまけられた小豆が一粒釜の中へ。
 気づいた加藤。
 ここで能天気な音楽が流れます。
 思い切り笑うところですよー。
 いやあ笑った笑った。伝説の麒麟送子でもかなわなかった加藤を、豆が。
 …っていうかこの物語、麒麟送子の存在意義って一体。


 ここでじいちゃんの言葉を思い出しましょう。

「あずきは みがらにええだ」

 それに「何ィ」と答える加藤。大分性格丸くなったようです。
 というか加藤がギャグキャラだったとは。


 起こる大融合。
 妖怪たちはそれに吹き飛ばされ、元いた地に戻され。
 川太郎は宇宙まで吹っ飛び。
 現れた麒麟にのってタダシは大満足と。
 現れた妖怪大翁。もう妖怪ファン大喜びです。


 そうして平和は訪れたのですが、川姫のことを尋ねる佐田にタダシは、「真っ白な嘘」を
つきました。
 相手のことを思ってつく嘘。
 これが大人の仲間入りだということなのでしょう。


 時間が経ち、タダシも立派なサラリーマンになりました。
 もう、擦り寄ってきたすねこすりも見えません。 
 ここは残念でしたねー。せめてタダシだけは妖怪の見える大人になっていて欲しかったです。
 そこに現われたるは豆太郎こと加藤。お前小豆やるから帰れと。
 まだまだ人類は油断できなさそうです。

 さて。このアギという妖怪がよくわからなかったので調べてみました。
「鳥刺し妖女・アギ」というそうです。小鳥を捕まえるから鳥刺しというそうです。
 妖怪でも人間でもなく、加藤と同じように昔からフラフラしていたプー古代日本に住み、
人間に恨みを持つ存在とのことです。
 下から見上げる目に見覚えがあったので調べてみたらキルビルのお姉ちゃんだそう
ですね。なるほど。あの目がすごい印象的で、なかなか好演されたと思います。

 また、加藤保憲について。
 昔「帝都物語」「帝都大戦」という作品が作られましたが、この物語の主人公です。ダーク
ヒーローといったほうが正しいでしょう。帝都東京を滅ぼし支配するために現れます。
 元々は荒俣宏の小説『帝都物語』の主人公でした。
 演じたのは嶋田久作さん。まさに異様な風貌は魔人加藤保憲にピッタリでした。なので、
加藤というとこちらのイメージを持った人が多いと思います。
 それを覆すかのように今回の加藤保憲は現代風の衣装になかなかハンサムな外見という
ことで、逆にすごみを増していると思います。
 また、川姫の回想で出てきた、加藤の後ろにいた人物は安倍晴明。その名をよく知られた
陰陽師で、加藤の野望を阻止すべく過去に戦った経験があるようです。ただ、その子孫で
ある土御門家はまったく歯が立たなかったようですが…。
 はるか昔、大和朝廷によって倒された先住民族の怨念であり、その時代から恨みを持って
いるわけですから、そんじょそこらの人間では太刀打ちできないでしょう。
 大和朝廷に討伐された先住民族といえば思い出すのは、「陰陽師2」に出ていた中井貴一
演じる出雲族の生き残り。ということは加藤は土ぐもと蔑まれた出雲族の出ということになる
んでしょうか?
 そうなると同じ地元人としてちょっと愛着が…わくかぁぁぁぁぁぁぁ!
 ともあれこの加藤、まだまだちょくちょくよみがえっては人間にちょっかいを出しそうです。

 物は大切に使いましょう。
 あらゆるものに感謝しましょう。
 そして小豆を食え。
 この映画が言いたかったのは多分そんなことだと思います。
 なかなかにいい映画でした。
 シビアに評価すると、加藤のことがもう少し説明されていると親切だったかなと思います。
 川姫との関係、背後の名前が出なかった男(安倍晴明)との関係が分かりにくかったですしね。

 それを除くと、ラスボスが最後ギャグ落ちというとんでもない大どんでん返しをやってくれた
映画として、大変面白く、良い作品であったなと思います。

 また、完全な余談ですが、ぬらりひょんを演じた忌野清志郎さんの自転車が盗難に遭い、
数日後に無事返ってきた事件について。まあ返ってきたからいえる話ですが、全国の妖怪
達が裏で、テレビやインターネットを見て「大将の自転車が盗まれたらしいで」「自転車とは
なんじゃい」「大将ののりもんや」「そりゃあ不便じゃろう、探せ探せ」とか会話してたりしたら
面白いですねぇ。誰かが犯人から取り返してこっそりあそこにおいておいたのかも知れません。

 
 妖怪はいつでも、あなたのそばにいます。
 いつでも、見つけてもらいたがっています。



多分花鳥風月金田一、コナン的読み物ページ映画の感想レビュー→妖怪大戦争