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まずお読みいただく前に、以下のことをご承知おきいただきたい。
●遺体の尊厳を傷つける目的ではないこと
●法医学に携わる方、そういったものに携わる方を侮辱するものではないこと
●残酷な表現がダメな方は目を通すのをあきらめること
文中生々しい表現があるかも知れないのでご注意のほど。
さまざまな人と出会い話をする機会があるのだが、女性の方に意外と「死体好き」が多い
のに驚かされた。
とある団体が死体展をやったことにも影響しているのかも知れないが、あれはあくまでも
学術的な観点からの「死体」であって、現実から切り離されたものである。その死体の
時間は止まっておりまた、視覚と感覚以外から得られるものはないからだ。
また、死体の本を集めているとか、グロ系が好きで、と、少々TPOをわきまえず話を
始める方もいる。
本家本元、死体と聞くと何をおいても飛んでいく方はさておき、「死体」を知ったつもりの
「死体好き」についてはちょっと内心眉をひそめてしまう。何故か、未成年に多いのには
閉口する。
あなたは腐乱死体の臭いをかいだことがありますか?
あなたは水から上がったばかりの水死体の音を聞いたことがありますか?
そう訊ねたくなってくる。
死体とは美術品ではない。死体の薀蓄を、少なくとも外で堂々と話すべきではない。
ためしに台所の生ゴミの臭いをかいでみられるといいだろう。出来れば、数日間放置
したような。死体の臭いとまではいかないが、腐乱臭とはそういうものだ。決して
いつまでも嗅いでいたいようなものではない。またこの臭いは人間の嗅覚神経を強烈に
刺激する。夏、腐乱死体が発見されたような場合は、慣れた警察官でも吐いたり倒れたり
することがある。
死体とは視覚だけのものではない。テレビドラマに出てくるような、血色のいいもの
でもない。
以前、「一度人を殺す体験をしてみたかった」という動機で殺人に及んだ少年の
事件があった。
少々不謹慎な言い方かも知れないが、彼は現実の死体というものをどう思っただろうか。
人間というものはそうたやすく死にはしない。
ナイフでブスリとやってすぐ絶命するはずがない。頭を殴ったとしても一撃で昏倒する
ことは殆ど無い。
死んだとしても死体は生きている時とは比べ物にならないほど重い。
血は想像しているよりはるかに沢山流れる。
体中の筋肉が弛緩することによって体液も流れ出すし、顔から表情が消える。
人がただ寝ている時のそれとはまったく異なった状態になる。
表情の消えた顔がどんなに恐ろしいものか。
彼が思い描いていた、ゲームの中の死体との共通点はなかったはずだ。
死体が好き、という趣味については一向に構わない。
だが、単に写真の中の死体を見て「好き」と格好をつけているつもりならやめて
いただきたい。
タブーな部分が好きな自分がカッコイイ、と思っているだけならやめてもらいたい。
本当にそれを趣味としている人に失礼でありまた、リアルな「死」を侮辱するだけである。
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