多分花鳥風月→金田一、コナン的読み物ページ→中村の気まぐれ法医学→6.高遠遙一を勝手に分析する
何の因果か決死行をリアルタイムで読まされる羽目になって、全作品中高遠遙一が
登場する話に目を通したことになるのだが、何だか首をかしげたのは俺だけなんだろうか。
自分は昔から「悪の美学」というものに興味があって、初登場時から注目していた。
つたない小説なんぞを書く機会があったのでこれ幸いと自説をぶちまけてやったら、挿
し絵を描く為に読んだ相方が、明智ファンだったのが(一時期明智の出る話ばかり編集
していたらしいからな…)それを読んで毒されたらしく高遠にも傾倒していて笑えた。
おっと脱線。
行動心理学などはまったくと言っていいほど門外漢なので詳しく分からないが、魔術
列車殺人事件から4作品、少しだけ登場した番外編も並べてみると、何故だか高遠遙
一の性格に統一性がないような気がする。ふいと人間性を覗かせてみたり、突然快楽
殺人者の素顔をむき出しにしてみたり……。これでは二重人格者だ。
はっきりそう認識したのは、明智を邪魔者とし金田一に殺害させようとしたくだりだ。俺と
しては明智を殺させようとしたのはあくまでも金田一を陥れるつもりであり、本当の殺意は
ないものだと思っていた。ところが聞いてみればはっきりその口から殺意を示したという
ではないか。
犯罪を芸術だと言い、(番外編でのことを踏まえて)警視庁宛に挑戦状を送って寄越すほど
プライドの高い彼が「目障りだから」という理由でライバル殺害をもくろむものだろうか。
もし殺意が本当であれば、高遠が認めるライバルは金田一ということになるが、そうしてし
まうと今度は警視庁宛の脅迫状が意味を成さない。単に警察に「犯行」をほのめかすだけ
だとしたら北海道警察に送り付ければ済むだけの話だ。
金田一に関しては魔術列車事件でハッキリ、「君のことをちゃんと殺してあげるべきだった」
と言っているので明確な殺意は抱いていないだろう。
とまあこういったことを考えて、やっこさんひょっとしたらよくありがちな、不治の病にでも何
でもかかって明智警視どのを地獄の道連れに選んだのか?と思ったがどっこい、単に話の
必要上殺害を企むということになったらしい。
高遠とは別に友人でも何でもないので確証を持っては断定しかねるが、何か首をかしげて
しまった行動だった。
それとも俺が高遠という人間を過大評価し過ぎただけなのか? 所詮は彼も数多い快楽殺
人者の一人でしかなかったのだろうか。そうは思いたくないが……。
高遠は障害が多いほど喜びそうな人間だから、その障害を自ら「永遠に」消し去ってしまう
ようなことはしないと思うのだが。
それから最後に余計な一言。いくら何でも剣持に変装するのは無理がある。手を見れば露
見必死だからだ。マジシャンの手と、叩き上げてきたノンキャリ刑事の手がどれほど違うか
は素人目にも明らかだ。体格はごまかせるとしても手だけは無理だ。意外性を持たせようと
し過ぎて、ちょっとずさんだったぞ。
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