多分花鳥風月→金田一、コナン的読み物ページ→小説置き場→高遠遙一の回顧録(「高遠遙一の回顧録」より)4-4
<編集部注
これは落丁ではありません。弊社記者中田良夫氏は、原稿締切日この最後の
原稿を郵送してきた後、消息を絶ちました。
全力をあげて捜索いたしましたが彼の行方はようとして知れず、先日東京湾にて、
無残な水死体となって発見されたのは皆さんご承知の通りと思います。
もはや我々には真実を知るすべはありません。
ただ、彼の死を無駄にしないためにも、こうして一冊の本として、彼の遺作として
出版しました私共の思いをご理解いただければ幸いです>
その次のページへ。
"その通りです。
Good-luck, またいつかどこかでお会いしましょう。
この国が紅い血の奥底へ沈まないうちに……"
だが、この事件の有力な証拠には成り得ないとして警察は指名手配犯、高遠の
容疑を増やすことは諦めた。
捜査はまだ、続いている。
しかし、高遠が何故誘拐事件解決の手助けをしたのか、単なる気まぐれから
なのか、それは依然として不明である。
あの、中田良夫を除いては。
否、ペンを置く前に。
明智警視や一の答えを追記しておこう。
「……トリックショーの前の、ちょっとした演出のつもりだったのかも知れませんね」
「自分の方が上だってことを示したかったんじゃねーの?」
果たして高遠がそんな理由だけで?
「フン、自分の中で出た答えを証明したかったのではないですか? 偶然にしろ、
彼が私達より有力な情報を得ていたのは事実ですからね」
「弁護なんてまっぴらだけど、助けられるのなら助けてやってもいいって思った
のかもな、気まぐれで」
彼はそんな人物なのか?
「そんなわけがありません。凶悪な殺人犯ですよ。一刻も早く逮捕しなくては」
「人を殺すことを何とも思っていない人間だよ、高遠遙一は」
そうですか。ご協力多謝。
以上、豊田一珂が作成しました。
<了>
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