非常に難しい問題だと思います。
わざと原作の絵ソックリにして笑いをとることを目的とした同人誌も沢山ありますよね。私もいくつか知っていますが、多分それはソックリではなかったらあまり面白くないかもしれません。
かといって、ソックリの絵で例えば男性向、女性向の同人誌があったとします。書店売りに出されたとして、何も知らない方がその作品だと思って手にとり購入したらどんなことになるでしょうか?
恐らくその人は激しい嫌悪を抱き、場合によっては出版社に抗議するでしょう。(こういったことは過去何度か起きています)
似ていない絵柄だったら男性向・女性向をやってもいいというのではありませんが、ある程度原作に似た(もしくは似せた)絵を描く人はこういうこともあると注意された方がいいでしょう。
コミケットに来る人全員が、同人誌について詳しい人ではありません。人に頼まれたとか、何となくきたという人もいます。そういう人が間違って購入することもありえます。
あんまり、ソックリな絵ではまずいものはやらない方がいいでしょうね。
それから時折トレスをしてもいいのかと問合せを受けますが、絶対ダメです。
これは「真似をする」「似せる」というレベルではありません。普通に同人誌を作っている人よりは確実に逮捕が近いと思ってください。
例えば作品の絵に紙をかぶせてなぞることによってそのまま写し取ったり、最近ではスキャナーで取り込んで色合いを変えたりちょっと手を加えたりというものが該当します。
繰り返しますが絶対にそんなことはしてはいけません。
私の見た限りでは三つに分かれています。
ポケモンやドラえもんなどのキャラクター商品がかなり出回っているものについてですが、市販のものと紛らわしいデザインや、著しく似ているものはやめて欲しいと呼びかけている印刷所もあります。
キャラクター商品を扱っているところからすれば確かに、自分達はきちんと「制作・販売する権利」を買って作っているのに、同人グッズはそういうものを取得しないで販売している。つまり商売の邪魔をしているように受け取れますよね。
かなりきわどいです。
それと、「趣味の範囲内」での制作は大目に見るけど、量産して本格的に売っているようなところは規制されるよ、と忠告している印刷所もあります。
どこまでが趣味で、どこからが量産になるかは企業次第です。企業の妨害にならないようにすることを念頭においてください、と申し上げるのみです。
次。ディズニーなどの海外に権利が発生するもの。これは手を出さない方が良いです。権利に非常にうるさいところはとことん裁判で決着をつけようとします。下手をすると何千万、何億も請求されたりするので手を出さないようにしましょうね。(名前を下手に出しただけでヤバいという噂も…)
最後。上以外の作品。
これは同人誌と同じで、出版社の権利を侵害しないように気をつけてもらえればと思います。
別項で出てきますが、便せんなどに堂々と「©」を書いている人がいて非常に驚きました…。
訴えられた時にただただ不利になるだけですので絶対やめて下さい。
こちらもあわせてご覧ください
17.同人グッズについて考えてみよう
17-2.海賊版グッズの何が問題なの/コスプレ小道具制作の注意
大丈夫じゃないです…。
出版社が何も言ってこないのは、同人誌の数が多すぎて規制できないでいるだけで、著作権を持つ以上いつでも訴えることは出来るのです。
しかし訴えても労力を使うばかりでメリットがないだとか、かえって作品のイメージを悪くしてしまう可能性もあるわけで、そういったリスクとメリットを天秤にかけてみてリスクに傾く以上、動くことはないでしょう。
花鳥風月パンフレットで「著作権」のことについて軽く触れた時にも、「でも出版社が言わなければいいんですよね」という手紙が届いて驚きました。
例えば、イベント会場において迷惑な行為をしている人がいたとします。通路で固まって立ち話をして誰も通れずにいるとか。そういう場合、主催者はその人に対して注意をします。それで改まればよし、改善されないならば退場勧告を行うことが出来ます。これは主催者の持つ権利であり、イベント
開催の妨げになる以上、その参加者に拒否権はありません。
ただし、他の方に危害が及ぶ行為を行っている場合(小道具を振り回しているとか)、警告無しに退場を言い渡します。この場合も拒否権はありません。
これと同じで、出版社が「この作品に対して害になる」と判断すれば、警告無しにそのジャンルの同人誌摘発を行うことは出来ます。むしろ警告があるのは「共存を考えてくれている」くらいの気持ちでいた方がいいでしょう。
すごく例えが難解だった気もしますが、出版社が何もいわない=大丈夫ではありません。どうなるかと監視しているようなものですね。