いやー、勉強してもし足りないのがイベンター。次から次へと知っている必要のあることがでてきます。
しかしある程度の法律を知っておくことはとても心強いことですし、自信にもつながります。
雑学としての法律の本も大分出ていますから、参考になさって下さい。
ここでは、法律の条項がどうとかいうのではなくて、イベントに関わる部分を説明していますので、専門的な知識が必要な場合はネットで調べてくださいませ。
金田一少年の事件簿って知ってます?マンガ読んでない人でもうっすらとはご存知ですよね。ある時、全国各地でこのマンガの「ミステリーツアー」が開催されたことがあります。
で。
これを個人でやりたいと考えた方がいまして。企画そのものは良かったんですが、問題はその方が開催に十分な条件をまったく満たしておられないことでした。
まず、お金を徴収してツアーや旅行を企画することは、一般旅行取り扱い主任だか何だかという資格が必要になります。次に、物語の主人公となって謎解きをするらしいので、舞台となる機関や建物の所有者に届出が要ります。何とこの方、無許可で「松江城」その他の施設にヒントの小道具やら何やらを隠しておこうとされたんですな。松江って重要文化財の町ですから、調べている最中に破損でもされたら大変ですがな。
その辺をまったく理解されておらず、花鳥風月に対して協力要請をされたのでお断りしました。
内容としてもかなり問題があることを説明したところ中止になりましたが、「花鳥風月に潰された」とうわさを広められてました。
まあ文化財が壊されることや、即売会が開けなくなることを考えたら、それくらいは何でもないです。
食品衛生法だったハズですが(管理法だったカナー)、自分達が作ったものを売ることは出来ません。
これも調理師の資格だかが必要になります。
既製品を売ることは可能ですが、一応会場に許可を求めてください。
ウチは業者と契約して、飲食物を仕入れています。
そのためこういった資格などは必要ありません。(確認済み)
ペットボトルのジュースを紙コップに入れて売るというのもちょっと何だかなと思います。あと、タダであげるのはいいですけど、いらないといわれても押し付けないようにしてください。
サークルも、購入者に対して市販品の食べ物やご自身で作られたものをおまけとして渡すことは問題ないですが、有償特典として(頒布価格にその食べ物の料金が含まれる)販売物とともに食べ物を売るのはアウトですので、主催者側は周知してください。
お手製の石鹸や香水、アロマを販売するのは薬事衛生法に触れます。
最近プチ流行のハーバリウムも中のオイルを使用することを目的とした販売は出来ません。
またコスプレ衣装、小道具は版権問題がありますので注意して下さい。
良かったら花鳥風月参加FAQでもふれていますのでご参照くださいませ。
平たく言えば、火災やその他のことで緊急避難が必要となった時、対応できるだけの設備が整えてあるかチェックしたり、避難しやすい配置になっているかをチェックする法律のこと。
会場の事務の方にこの資格を持っているか、把握している人がいるはずです。
例えば、通路は狭すぎないことだとか、消火器を他の荷物で隠してしまわないこと、ドアやシャッターを荷物や机でふさいでいないこと、机の列に適切な隙間があること、とかチェックされます。
非常扉の前に荷物を絶対におかないようにしてください。
サークル列も中央は通路として使うこと、ふさがないで欲しいことを告知しましょう。
これがまたいろいろありますが。必要なものったら郵送に関することかな。
まず切手に関してですが、言うまでもなく消印を押されたものは使用できません。
昔あったんですけど、とある手口で一度使用した切手を再利用できるようにして使うというものがありました。
これは絶対にしてはいけませんし立派な犯罪です。
郵便法第83条の「料金を免れる罪」に当たります。
法律とは関係ないですが、ゆうパックやレターパックでものを送る時「雑貨」とは書かないで下さい。
中身は何ですか、と確認されます。
「アクリルキーホルダー」「筆記具」「クリアファイル」など具体名を書くようにしましょう。
ものによっては飛行機に荷物が載る場合送れないものもありますから事前に確認しましょう。
今はネットがあるから便利ですね…。
直接はイベンターには関わることのない法律だとは思いますが、イベンター側が取り立てられる側になったのは聞いたことがあります。
イベントパンフレット印刷料金の踏み倒しです。
絶対にやってはダメですね。
逆に、広告を出稿してくれた印刷会社がいつまでたっても料金を支払ってくれないというケースもあります。
ですのでイベント終了後に請求書を送るのはやっておきましょう。
印刷会社もすぐ支払えるわけではありません。
25日締めとか末日締めとか翌月締めというように、会計の処理の仕方があります。
請求書を送ってから2ヶ月経過しても音沙汰がない場合は、もう一度請求書を送ってみるか電話で問い合わせてみてください。
書類が届いていなかった、会計処理に回ってなかったなんてこともありえるからです。
もしそうやって催促しても相手が支払ってくれない、電話もサイトも消えててつながらないという場合は内容証明郵便を出してみましょう。
内容証明郵便は、法的効力はありませんが裁判で証拠として扱うことが出来ます。
で、これを出してもダメだったらいよいよ訴訟です。広告料金でここまでこじれることはないと思いますが、別関係で何か支払い請求をする時には覚えておいて下さい。
最近は小額訴訟が可能なので、60万以下の金額であれば簡易裁判所で手続きが可能です。
これは即決で判決が出て、普通の判決と同じ執行力を持つので便利ですが、デメリットとしては、十分な審理がなされないで判決が下りる点にあります。つまり一度下りた判決を覆せないということです。
ま、こっちも本読んでみてください。
一番確実なのはネットで「内容証明郵便」で検索かけて下さい。
間違いがないです。
・主な使い道→お金の支払請求をしたという証拠作り/相手に何らかの意思表示をしたという証拠作り
・法的権限→強制執行権はありません。裁判沙汰になった時に確実な証拠として採用されます。
・出せるもの→内容を書いた紙
・同封できるもの→なし。借用書のコピー、証拠物件の写しなど一切同封不可能です。
今回はサークル側のケースを紹介します。中止になったイベントに返金を要求したのに支払いがないなど。
■用意するもの ここではパソコン作成場合のみ紹介します。
・パソコン
・用紙(白) 3枚
・内容をメモした紙
・相手の住所氏名
・印鑑
・封筒1枚
・お金(2000円もあれば足ります)
(手順)
1.書式設定は、20字×26行に設定。B5用紙を横使いで縦書きが一番多い書式です。A4でもいいのですが、そうすると封筒は長3か、長4でもA4が入るものにしないといけません。結構面倒。この文字制限は厳守してください。これ以内なら、20字×20行でも15字×23行でもいいです。
()や「」はあわせて1字。(1)などはこれで1字です。英語は氏名やイベント名などの固有名詞のみ使用可能です。英数字は半角でも1字と数えます。
2.内容を簡潔に書く。(以下例) これは例ですので文字数などは数えていません。
通告書
平成×年×月×日開催の貴イベント「○○」が開催中止になった件において、1ヶ月以内にサークル参加費返金とありましたが、未だに返金がなされておりません。電話や手紙での連絡もお返事がありませんでしたので、あらためて請求させていただきます。
つきましては、本書面到着より10日以内に金××円及び、これの請求にかかった費用、金××円をお支払いくださいますよう、ご請求申し上げます。
もし右期間内にお支払いなき場合には、訴訟その他の手段をとらざるを得なくなります。ご了承下さい。
平成×年○月×日
あなたの住所・氏名(名前のあとに印鑑を押す)
相手の住所氏名 様
※あなたと相手の住所氏名は必ず記載されていないといけません。
3.3枚印刷する。もし内容が2枚以上になった場合は、一部分をとめ、割り印を押す。
4.集配郵便局(そこらの郵便局では受け付けていません)に3枚とも持っていき、「内容証明郵便でお願いします」と伝えます。あとは郵便局がやってくれますが、配達証明もつけましょう。これがないと相手に届いたという証拠がなくなってしまいます。印鑑も忘れずに持っていきましょう。どこか修正が必要になるかもしれませんから。
かかる費用
・内容証明料(440円)
・書留料(435円)
・通常郵便物の料金(84円)
・配達証明料(320円)
上の例文ではこの費用も請求に含めています(笑)。
※料金改正によりこれらの料金は変更になる場合があります。
5.あとは相手の反応を待つだけです。
ちょっと補足。相手によっては「受け取り拒否をしたら大丈夫だろう」とか思うかもしれませんが。相手に届いた時点でその通知を知りうる状態になったとみなされるので、受取拒否をしても「通知をした」ことは成立します。
その他のことについては、悪用しようとされる方に悪知恵をつけてもいけませんので記載しません。
6. e内容証明の活用
こんな便利なシステムがありましたので紹介しておきます。
e内容証明(電子内容証明)
刑法で縁があるとしたら、嫌がらせ関係の「名誉毀損罪」「侮辱罪」「傷害罪」などでしょうか。
ただ、よほど被害が大きくないと動いてくれないので、どうしても腹の虫が収まらんって時は、弁護士に相談して民事裁判で損害賠償を求めるといいです。ただ、ものすごくお金かかりますけど。あ、もちろん、小額訴訟でもいいですよ。
別のイベントですが、開催中に木刀で殴りつけられ参加者がケガをしたケースがあります。
こういった場合主催者は当事者でなくても関係者として話を聞かれることになります。
主催者がいなくなるとイベント開催に支障をきたすことになるので、警察と対応を話し合って下さい。
契約不履行というのが当てはまるでしょうか。
会場に嘘をついて契約を結んだり(即売会の開催を禁止しているところを借りたり)、やりもしない企画をやりますといって人を集めたり、中止になったイベントの参加費を速やかに返金しなかったり…。
刑法の詐欺罪と同じなんではないかと思うのですが、商法では契約不履行となります。
約束事は守りましょう。
明らかに相手を騙す目的で、ウソの契約を結んだときに成立します。
また、商法ではなく商標法になりますが、アニメやゲームのロゴ、すでにある企業のロゴを勝手に利用してはいけません。アレンジも不可。
商標登録されていることも多いので違法行為になります。
イベントのロゴとして絶対に使わないで下さい。
こちらもご覧下さい→「同人誌と著作権」
※TPP同意で著作権法は非親告罪になりましたが同人誌は対象外との見解が出ています。
環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律(平成28年法律第108号)及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律(平成30年法律第70号)について
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/kantaiheiyo_hokaisei/
3.改正の概要
参照
同人誌の位置付けだとか、実際にあったことを例にとってご説明しようと思います。
ご存知の通り、アニパロの同人誌はありていに言えば原作(マンガ・アニメ・小説など)の著作権法違反であるということになります。しかし、一つの文化として世間的に認知されてきており、また近年同人界からプロがデビューするなどという状況からも、出版社の立場としては容認せざるを得ないという状態です。
これには人それぞれの意見あると思いますが、私としては「容認されたからといって大手を振れるものでもない」ということを認識すべきだと思います。
一応同人誌も二次的著作権がどうのという法律で保護されるにはされますが、もちろん出版社が著作権違反で訴えてきた場合ほぼ負けます。二次的著作権が有効になるのは、一次著作権(原作者・出版社)の承認があってからです。
ではどうして出版社は訴えないのか。第一に上にあげたような、「ギブ&テイク」の関係が一部成り立っている以上むげに潰せないということ。次に、著作権法は親告罪であるということ。親告罪というのは、出版社が訴えないと警察は動かないという意味で、つまり警察が勝手に捜査は出来ないのです(例外もあり)。ですから訴えようと思ったら星の数ほどある同人誌についていちいち一つずつ届を警察に出さなければならず、そんなことはしていられませんよね。
有名なのはポケモン事件でしょう。(詳しくは検索してください)
この時、この同人誌を委託販売していたイベント主催者も「販売幇助」を疑われ、事情聴取されたということです。委託だけにかかわらず、直参のサークルさんでも万が一こういった摘発・逮捕があれば、主催者は事情聴取される可能性があります。このことは忘れないで下さいね。
こういう極端な例は置いておくにしても、一応普通に同人誌を出す分にはまあ逮捕されることはないと思います。
ですが、昨今「容認」を「手放し許可」と勘違いするサークルが多いのも事実です。原作をそのままトレースしたものを自作として出版したり、テレビやその作品の公式HPなどからダウンロードしてきた画像を無断使用するなど、決して許されることではありません。また、行き過ぎた表現や青少年への影響を及ぼすとして、「児童ポルノ規制法」の対象に当初絵画(つまりマンガも)が入れられたことからも、同人誌は既に「個人的趣味の領域」で済まされない部分ももち始めています。
一部同人グッズの販売に対して出版社が販売取りやめを委託ショップに求めたケースもあります。
主催者側としてはこういった「限りなく黒の領域に同人誌はある」という状況を念頭において、サークルさんへ呼びかけ・注意などを行ってください。
これは余談ですが、(C)(本当は○にC)をつけることは日本では何の意味もありません。しかし、サークル名やペンネームの前に(C)をつけることは望ましいことではないです。何故かというとまたいろいろと面倒なので、そういうページを回ってください(笑)。
なんか(C)を「サークル」の略称と勘違いしている子もいますけどね。必要のないことはしないにこしたことはないです。
また、著作権については様々な議論がなされていますが、はっきりと統一した見解は出ていません。都市の条例によっても違います(一番厳しいのは千葉県と、最近東京都も)。
ですが、大抵大きなイベントの参加案内では同人誌の規制について語られている項がありますので、どういう見解をそのイベントが打ち出しているか、確認してみて下さい。
あまり縁のないように思える法律ですが、日常でもさまざまな法律が身近にあります。そして、イベントを開催するということは必ずいくつかの法律がかかわってきます。
一回きりにしても継続にしても、知っておくに越したことはありません。知識には貪欲になって下さい。
また、一度は最寄の警察署に足を運んで、防犯・防災のアドバイスを受けてください。大体管轄は生活安全課です。
動いて損なことはないです。もっともっといろいろなことを積極的に学んでください。
それが参加者のため、ひいては貴方のためにもなります。きっとなります。